たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

2019年2月に聴いて良かったCD

2月はかなりここにあげた作品ばっかり聴いてました。もちろん他のも聴いてはいたんだけど。

 

KOHH「Untitled」

ラップもトラックもカッコいい。渋みがあって良いし、そこまでハードコア感があるわけでもないのでスッと聴ける。

Ariana Grande「thank u, next」

R&Bベースにラップにトラップにとてんこ盛り。めちゃくちゃ良かった。ライブで聴きたいんだけど、もう来てくれないのかな………

杏沙子「フェルマータ」

久々に出てきた直球のJ-POP女性ボーカル。メロディーも良いしアレンジもめちゃ好み。歌声もクセが程々で良し。今後も期待。

あいみょん「瞬間的シックスセンス」

本当に直球で普遍的な魅力を持つ上手い歌手になりましたね。奇をてらわないアレンジ・メロディー・歌詞にブルージーな少し掠れた歌声が心地よく響く。繰り返し聴きたくなる逸品。

 

 

3月は年度末でたくさん出るので聴き逃しとかないといいなー

 

2019年1月に聞いてよかったCD

今年も引き続きこの感じでやっていきます。なお、CDとは概念です。一つも盤では聴いていません。

 

Little Glee Monster「FLAVA」

リトグリのアルバムはいつも聴き心地が良くて好き。

Emerald「On Your Mind」

去年のアルバムなんだけど、年が明けてストリーミング配信解禁されたのでようやく聴いた。いつもながら好みど真ん中の音で好き。

ずっと真夜中でいいのに。「正しい偽りからの起床」

これも昨年案件。凝ったアレンジとか超大好物で、なぜ去年の自分が発見できなかったのかと思うくらい。

フジファブリック「F」

今のフジファブリックの充実ぶりが現れてる快作。ところで金澤ダイスケプロデュースのドラゴンポテト、どこに売ってますか。

さかいゆう「Yu Are Something」

サイプレス上野ZEEBRAといったラッパー、黒田卓也をはじめとするジャズ演奏家をはじめとする多彩なゲスト達を迎え、より黒くしかし色鮮やかなポップスに進化した印象。

Kolme「Hello kolme」

初期の習作感を脱してグループとしての色を確立した感じ。全般的にウェルメイド感が漂う。

 

来月も早めに書けるよう頑張ります。

2018年12月に聴いてよかったCD

年間ベストがあるために割と忘れがちになってしまうやつ。なお、もはやCDではないけど「アルバム」でもわかりづらいので名前は引き続きこのままでいこうと思いました。

 

キュウソネコカミ「ギリ平成」

 現代人の感覚・心情がかなり反映されているのがだんだん好きになりつつある。「推しのいる生活」がとても良い。

 

Shiggy Jr.「DANCE TO THE MUSIC」

一つ一つの曲がキラーチューンだっていうアルバムはそうそう無いけど、これはそれに該当するんじゃないかな。メジャーデビューしてからずっと苦労してたけど、ようやく「これがShiggy Jr.だ!」っていう物を出せたと思う。

 

七尾旅人「Stray Dogs」

今までの七尾旅人になかったポップネスと、今までの七尾旅人の美しい歌がマッチした新境地。とにかく聴いてほしい。

 

BLACKPINK「BLACKPINK IN YOUR AREA」

耳にすごく残るダンスチューン。「DDU-DU DDU-DU」は去年一番頭に残った曲でした。

 

Awesome City Club「Catch The One」

Awesome City Tracks」シリーズは全てミニアルバムだったから実はフルアルバムは初めてだ。前よりも歌に感情が乗っているように感じられ、とても好き。

 

星野源「POP VIRUS」

 

現代的なブラックミュージックを歌ものポップスのフレームワークに落とす物っていうのがそもそも自分の大好物なんだけど、そういった中でも本当に素晴らしい出来。星野源天才かよ。

 

ヤバイTシャツ屋さん「Tank-top Festival in JAPAN」

ラウドミュージックに意味の無い(おもしろい)歌詞を乗せて…っていうのはなんか定着してきた感があるけど、その中でもポップで楽しいのが良い。

2018年マイベストディスクトップ20

さて、楽曲ベスト10に続きアルバム単位でのベスト20をまとめてみました。前回書いた通りアルバム聴きする旧世代の人間なので、ベストソングよりベストアルバムの方が母数は多くなります。旧世代って自分で言っちゃったよ。歳はとりたくないもんだな。なんの話だっけ。

 

過去のものはこちら。多くなってきたので何が1位かは省略するから、各自の目で確かめてくださいね。

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

 

アルバムの場合は楽曲の判断基準に加えて追加の選考基準があるのでそれも書いておきますね。

 

構成の妙:つまるところ曲順。個々の良くても、明らかにかみ合わせの悪い並び順になっていたりしてるとつらい気持ちになります。
成長性・進化:アルバムというのはシングル以上にそのミュージシャンの一定期間における活動のまとめというような色彩を持つと思うわけ。だから、やっぱり前より良くなってほしいしマンネリ感や成長が見て取れない感じを見ると「惜しいな」と思っちゃう。
時代性:「この2018年に鳴るべき音か」とかいうけどハイパー主観に満ちた要素。どちらかというと「この時代にこれかよ!」みたいな減点要素に使われてしまう気もしなくもなく。あくまでも、自分にとってのジャストフィット感でしかないことは強調しておきたい。主観だ主観!!

 

というわけで、そういった観点から選んだと言われている20枚はこちらです。コメント入れるのはトップ10から。

 

20位:ペンギンラッシュ「No Size」

今年知ったグループの中では一番好き。知ったのが遅くてリリイベとか逃してしまったのが残念だった。

19位:三浦大知「球体」

ググッとアーティスティックな方法に寄せた作品。彼がこれをやったということの意義はすごく大きいよねって思う。

18位:宇多田ヒカル「初恋」

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ラップ的な歌唱が(Feat.ではなく)あったりとかより今の世界の音楽の傾向とリンクしている感じがした。ライブも見に行ったけど本当に歌がよかったな〜

17位:市川愛「MY LOVE, WITH MY SHORT HAIR」

菊地成孔プロデュース案件という事で聴いたらかなり好きな感じだった。曲中にセリフが挟まれるのが本当面白くて良かった。

16位:阿佐ヶ谷ロマンティクス「日が灯る頃には」

1stがはちゃめちゃに良かった阿佐ヶ谷ロマンティクス。もちろん抜群に良かったのだけど基本的には路線踏襲だったのでこのあたり。

15位:ネクライトーキー「ONE!」

今グイグイきてる若手バンド。勢いとメロディとボーカルの個性と全部揃っててこれからが楽しみになる。

14位:中村佳穂「AINOU」

最初聴いた時これは本当にこの音源でいいの?って思っちゃった。それくらい歌の音像というか聴こえ方が独特で心にグッときた。

13位:Shiggy Jr.「DANCE TO THE MUSIC」

メジャーデビューしてから相当色々苦労していた印象があるけど、ここにきてすんごくShiggy Jr.らしくしかも全曲強度のある素晴らしい作品ができたと思う。Gt.原田さんが丸々歌う曲もあってそれも良い。

12位:南波志帆「Fille! Fille! Fille!」

フレンチポップ的なテイストでものすごく好みドンピシャだった。かつてのカバーアルバム「CHOICE」を思い出すし、曲自体がそもそも南波ちゃんのボーカルを最大限に活かす方向で作られているのでフィット感がさらに上がってて好き。

11位:七尾旅人「Stray Dogs」

内省的なポップスというのが彼のイメージだったけど、そういったところも少し残しながら思いっきり開かれたポップスになってる。とはいえやさしい歌声はそのままなのでとても聴き心地が良い。「湘南新宿ライン」が歌詞に出てきてニヤリとしてしまった。

10位:レキシ「ムキシ」

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ビッグ門左衛門(三浦大知)との「GOEMON」や先行シングル「GET A NOTE」「SEGODON」など、単純にポップスとして秀逸な作品が多かったように思う(なお歌詞はお察しw)。傾向があるのかわからないけどレキシは偶数枚目のアルバムが自分の好みに合う。

9位:イヤホンズ「Some Dreams」

声優ユニットイヤホンズの2nd。演劇がかった曲の構成、作り込まれたキャラクター性など聴きどころが多く楽しかった。

8位:ものんくる「RELOADING CITY」

前作から全ての面でパワーアップしていて表現力が上がってるし、よりジャズとポップスのハイブリッド感が増しててホント曲の強度があるアルバム。

7位:TWEEDEES「DELICIOUS.」

このアルバムについては詳しく記事を書きました。バンドの進化を目の当たりにできている幸せを噛み締めています。

6位:Analogfish「Still Life」

アナログフィッシュ3年ぶりのアルバム、今作もめちゃめちゃよくて、サウンドも歌詞もホント染み込むように入ってきてすごく好きな作品になった。

5位:SOIL&"PIMP" SESSIONS「DAPPER」

これまでの「DEATH JAZZ」路線から急旋回を遂げて現行ブラックミュージックの最前線と同期するかのようなミディアムナンバー中心の構成に。メンバーのスキルがそこにダイレクトに活きていて色気を感じる。凄い作品。

4位:cero「POLY LIFE MULTI SOUL」

前作「Obscure Ride」の現行ブラックミュージックとのリンクから一転、ポリリズムやクロスリズムにBPM変化などが多用された凄まじいリズムの作品に。その結果、なんだか初期みたいなワールドミュージックごった煮感みたいなものも出てきたのはなんか面白い。

3位:くるり「ソングライン」

いつだったかのCDJで岸田さんが「くるりは音楽の世界旅行をするバンドです」って言ってたけど、まさにそれを体現するかのような一作。さあ次は何が来るかなみたいな気持ちで楽しんで聴けたのも良かった。

2位:星野源「POP VIRUS」

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12月にこういう年間ベストのまとめをするとまあ直近に聴いたもののインパクトが強くなりがちなことは否定できないんだけど、それにすぎても好きすぎた。この作品が出る前に発売された音楽雑誌の年間ベスト1位に選出されたことで物議を醸してたこともありかなり警戒して聴いたんだけどそれでも1曲目から好きすぎてもう降参だった。好みドンピシャなんだよね。

1位:lyrical school「WORLD'S END」

勘の良い読者の方はもはやお気付きだったことでしょう。というか最初からわかっていたか。というわけでリリスクのアルバムが1位です。全曲大好きなのでそりゃあもう1位でしょうと。詳細な話は過去記事を見てくださいませ。夏の始まりと終わり・夜から朝が来てまた夜へという二重で時制が変化していくという実はトリッキーな構造はお見事の一言でした。一つ一つの曲が新しく発表されるときのドキドキ感とか今でも思い出すくらい思い入れも強くて、本当に愛おしい作品です。

 

振り返ると上位はリリスク含めてこれまでも高く評価してきたミュージシャンばかりだったのですごい保守的なセレクトになったなーという感想を自分でも抱いた。まあその中でも初聴きの人たちがちょいちょい入ってるのはいいことで。基本今は週末ほとんどリリスクなので来年は平日の時間の使い方をうまくしてもうちょい色々見にいきたいなあとか思っています。

 

それではみなさん、良いお年を。

2018年マイベストソングトップ10

年の瀬です。なので今年聴いてよかった楽曲のトップ10をまとめたいと思います。過去のはこちら。

2013年 1位:パスピエ「ON THE AIR」
2014年 1位:きのこ帝国「東京」
2015年 1位:lyrical school「ゆめであいたいね」
2016年 1位:POLTA「春が過ぎても」
2017年 1位:lyrical school「つれてってよ」

ところで最近思うんですが、この年間ベストというのは「結果」であって「目的」ではないんですね。あくまで自分が耳にした中からしか選んでないし、わざわざ年間ベストを選ぶために自分が聴きもらしたものを積極的に拾って網羅的にしようとかは考えていないわけです。あくまで自分的には年間ベストを選ぶために音楽を聴いてるわけではなくて生涯ベストを追い求める気持ちでして、年間ベストを決めるために音楽を聴いてるわけではないということを最近強く思うのです。

さてそんな御託は置いといて、例年書いてる僕がよく気にするポイントを書き記します(コピペですが)

アレンジ:メロディや歌詞に合った(もしくは巧妙に外した)アレンジか、全体の音の均整が取れてるか、ハッとさせられるポイントがあるかなどがポイントだと思われる。基本的に過度にシンプルなスローバラードなどは面白くないと考えるタチです。
メロディ:耳に残るか、美しいと感じるか、など。この辺は多分に自分の感性によるところなんだけど音感がないのでどういうメロディが好きかはあまり説明できない。すみませんな!
リズム:元々重視してたんだけどここ数年は更に重視傾向に。変拍子大好き。普通のエイトビートにするよりバスドラやハイハットで16分音符を適度に挟み込んでアクセントにしているようなのが好き。あとベースはメロディ楽器みたいな気持ちでいます。
音像:説明の難しいところで、アレンジとも密接に関連してると思うんだけど要は「キレイに聞こえるか」みたいなところが評価ポイント。パワーメタルみたいなのは好きだけどハードコア系のメタルテイストは好きになれない、みたいな話。そういう観点からは、歌詞も言葉の響きとして良いかみたいなのが気になる。中身が気になるケースはレア。
影響:自分の生活にインパクトを与えたかどうかみたいな話だけど、これは年に1曲出るか出ないかくらいです。まあ主観による補正みたいなもんだと思ってもらえれば。これ以外に、今年は特に耳によく残った作品をいくつか選んでます。中毒的な。

ではいきましょう。

10位:ドロップスターズ「Twinkling Star」

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今年の第一四半期に話題をかっさらったポプテピピックの劇中劇主題歌。歌唱メンバーは星降そそぐ(CV:小倉唯)、月野しずく(CV:水瀬いのり)、夕陽ころな(CV:上坂すみれ)という豪華さwwとにかくサビのキャッチーさが印象に残って、1年を通して突然頭に流れること多数。笑

9位:星野源「アイデア

星野源は今年頭に出した「ドラえもん」も超よかったんだけど、この「アイデア」は2番でSTUTSによるMPCプレイがドラムの代わりに入るのが良くて、さらに2:18あたりからは伴奏がMPCだけになる。そこの部分の変則的な感じがめちゃくちゃ好き。

8位:絶対忘れるな「平日ナイトフィーバー feat.日向ハル

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会社員ラップグループ絶対忘れるなの1stアルバムのリード曲。アイドルが好きな会社員達が作るラップだからということもあるのか、自分の気持ちとシンクロする部分が多い(笑)。そこで突如嵐のように現れる日向ハルフィロソフィーのダンス)のゴリゴリのゴリな歌声が笑ってしまう。つまり最高。

7位:BLACKPINK「DDU-DU DDU-DU」

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今年一番耳に残った曲。イントロの狂ってる感じがすごく好き。韓国語版を聴いた後誰のなんて曲か忘れてそのまま耳に残ってて街で聞くたびに反応してて、年末に日本語版アルバムで聴いて「あ、これだ!」って(笑)。

6位:キュウソネコカミ「推しのいる生活」

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キュウソネコカミは一貫して現代人の気持ちを歌っていて最近その点にすごく好感を持つようになってきた。最近だとヤバいTシャツ屋さんも比較的そんな部類に入るけど、キュウソは割と内面に踏み込んでるような気がするのです。そんな点で推せるのはこの曲。まじわかる!の連発でした。

5位:DA PUMP「U.S.A.」

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いろんなところで出ているU.S.A.です。 正直この曲が盛り上がっているときはその消費され方というか盛り上がり方にノレないという気持ちを抱いていたんだけど、なんども聴いていたらやっぱり癖になるというか頭から離れなくなってしまった…とりあえず意味のあまり感じられない歌詞が最高。

4位:椎名林檎宮本浩次「獣ゆく細道」

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かっこよくて狂気というか、天才と天才のぶつかり合いみたいな。でもやっぱりミュージックステーションのパフォーマンスの印象が強いww

3位:TWEEDEES「美しい歌はいつも悲しい」

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TWEEDEES最高傑作。アレンジ・リズム・メロディ・歌唱全て今までで一番良いと思うし、何よりこの2人ならではの曲。This is TWEEDEESです。

2位:POLTA「失踪志願」

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初出が去年のEPなので扱いどうしようかなって思ったんだけど、今年シングル(7インチアナログレコード)として出てるし入れるかってことでPOLTAのライブ定番曲。歌詞がまず最高でサビのコールアンドレスポンス(ときに怒号の応酬)になるところもめっぽう良い。でもメロディがキャッチーだから暗くならなくて良い。楽しくて良い曲です。

1位:lyrical school「パジャマパーティー

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これまでこの企画6年やってきてさすがに2回に1回リリスクなのはどうなのかと自分でも少し思うよ。でもいいんだもん。最高だったツアーファイナル新木場スタジオコースト公演のアンコール1曲目で披露されて「めっちゃいい!」ってなって、その後ニコ生タイムシフトや自分で撮影(特典券1枚と交換)したものとか見てて、この曲の魅力を何度も確認した次第。現代的なサウンドと歌詞にグループの魅力をうまくパッキングできており、これがリリスクの新たなスタンダードナンバーだって感じがある。今年の秋冬を彩った曲。

 

全般的な感想として、例年たくさん聴いてるけど旧世代のアルバムリスナーということもあり曲単位で印象に残るのはわずか。年々インパクトや耳に残るとかそういうのの比重が高まってる気がしている。良いのか悪いのか。

 

アルバムは実はまだ選定中ですが諸々の事情により、31日に発表する方向で。間に合うのかな…笑

 

TWEEDEESニューアルバム「DELICIOUS.」から考えるバンドの「進化」

沖井礼二というベーシストは自分にとっては特別な存在だ。大学生の時にCymbalsというバンドを知り、独特というか唯一無二のベースラインに惹きつけられそれからずっと聴いてきた。Cymbals自体はライブを見に行ったことはなかったけどその後は事あるごとに行ってたし、今沖井さんがやってるバンドであるTWEEDEESについては前にもブログで書いたりしている。

そのTWEEDEESのニューアルバム「DELICIOUS.」が先日発売された(もう随分前の話になってしまった…)

なんか発売までに事前情報をほとんど入れる余裕がなくかなり素な気持ちで聴き込んで、それでナタリーのインタビューを読んで、サイン会に参加して、そこからリリース時恒例の芋煮会(みんなで同時刻にアルバムの再生を始めてTwitterに感想を書き合う会)に参加したりして色々見えてきたことがあるのでそれについて書きたいなーと思う。

芋煮会振り返りの名を借りた全曲レビュー

まずはアルバムの曲たちはどんなのだったのか。芋煮会で書いたことを多少アップデートしながら書きます。Apple Musicとかで聴きながらどうぞ。

  1. DELICIOUS.
    TWEEDEES以前から沖井さんの作るアルバムのオープニングナンバーはそのアルバムのイントロダクションとしての機能を十二分に果たすような曲が来ることが多いが果たして今回はなんとシューゲイザーっぽい感じの楽曲に。つかみはバッチリ。イントロの雰囲気が今までのTWEEDEESとは確実に違った。それでいてなんだか霧がかかってる感じのイメージがあり、さあここからどうなる!?と感じさせる曲。
  2. 花束と磁力
    さあアルバム始まるぞってことで名刺がわりの一曲としてこの上ない沖井節ポップミュージック。ベースがブイブイ言うところとかほんと沖井ファンみんな大好きなやつ。メロディの駆け上がる感じなんかも沖井節120%みたいな。そしてボーカルも高音域多めで曲のパワーを感じる。
  3. 少年の見た夢は
    ビートルズ的・ブリティッシュロック的なミドルナンバー。サウンドだけではなく歌詞も「鐘」「石畳」とかのワードで外国の港町(というかリバプールじゃないかなこれ!?)を歌っているかのような印象。そして他の曲に比べて清浦さんのボーカルがはっきりと言葉を伝えようとしているような印象を受けた。
  4. 昼夜逆転の歌
    これまたピアノ主体のしっとりしたミディアムナンバー。から曲の途中でスウィング調になるところがめっちゃ良い。一曲の中に昼と夜を同居させ、夜を派手なサウンドにしたところはまさに昼夜逆転!見事な構成です。ピアノの井上さんはじめ演奏陣も素晴らしい仕事をしている。
  5. エトワールはオルゴールの中で
    これまたTWEEDEES初期からあった洋風趣味の曲。三拍子のワルツ調で進むおもちゃ箱みたいなサウンドと清浦さんの声にうっとりしてると曲があっという間に終わる(1分)
  6. Medley: 東京は夜の七時~21世紀の子供達
    今作最大の驚きかもしれない。メドレーだから曲と曲を繋ぐのかなと思ったら書き下ろし曲を「東京は夜の七時」で挟むという驚きの構成。そして清浦さんのボーカルは今まで聴いたどの「東京は夜の七時」とも違う。これは意義あるカバーです。
  7. 不機嫌なカプチーノ
    前がかりなイントロから始まるハイテンポ曲(GENさんの妙技!)。そしてめっちゃ沖井メロディだしこのツンとした感じの歌詞は清浦さんだよな〜〜。なんだかお茶目な感じもあり。今作で一番「TWEEDEESっぽい」曲かも。
  8. 美しい歌はいつも悲しい
    タイトルからは意外なハイテンポと込み入ったドラムパターン。しかし何よりこの曲の聴き所はしっとりさの中に凛とした存在感を放つ清浦さんのロングトーン。とにかく声がよく伸びる。TWEEDEESとしての一つの到達点。文句なしのリードトラック。MV見てね。
  9. 間違いだらけの神様
    これまでの曲のテンションの高さとは打って変わっての三拍子のミディアムバラード。最後の方のコーラスが冬っぽさとエンディング感を出しててアルバムが終幕に向かうことを暗示してる。優しげな清浦さんの歌声が木管主体のオケとピッタリで聴いてて落ち着く。
  10. 作戦前夜
    クリスマスソングにこのタイトルつけちゃうのがとてもよい。他の曲でも思ったけど今までのTWEEDEES作品に比べると歌を通して生活の情景が浮かんでくる作品であるようにも思えるところ。タイトルとか途中のテンポチェンジとかはらしいなって思っちゃうけどw

全般的にアレンジが冴え渡っている楽曲が多く感じた。

バンドの進化・変化

TWEEDEESが3rdアルバムを作ると発表した時、自分は率直にrdアルバムはすんごい変化が欲しいな〜と思ったしいっそのこと「sine(Cymbalsの3rdアルバム。バンドサウンドから一気に打ち込み主体に変わってリスナーを驚かせた)」みたいに2人のバンドであることを活かすのもありなんじゃないかなとか思ったりしていた。それは直近の新作だった「a la mode」が、かなり良い出来だった「The Second Time Around」との違いがあまり見られなかったように感じられた(ミニアルバムだからある程度は仕方ないが)ところが大きかったと思う。果たして出てきたものはどうなったかというと、そこまで劇的な変化とはならなかったわけだけど、そうは言ってもこれまでのアルバムからもまた確実に違うものに仕上がったな、という感想を抱いた。

何が違うのかというと、2人のメンバー沖井礼二と清浦夏実の関係性あるいは楽曲の中での清浦さんの存在感。今からして思うと1st「The Sound Sounds.」において清浦さん「沖井礼二主宰のバンドにおける新たなボーカリスト」という感じであったように感じる。それが2nd「The Second Time Around」ではお互い触発し合う制作パートナーという一面が強くなり(念の為言っておくとそういう面は1st時にもある程度見られた)、3rdである今作においてどうなったかと言うと、清浦夏実成分が強くなり名実ともにフロントマン然とした佇まいを備えるに至ったなあという印象を抱いた。

そかある程度聴いて感想がまとまったところでナタリーのインタビュー見たら、なんか自分の考えを見透かされていたかのような気持ちになった(自意識過剰)。

TWEEDEES「DELICIOUS.」インタビュー | 正常進化のためのあくなき戦い - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

──先日、アルバム発売前に新曲をお披露目するライブが行われました(参照:TWEEDEES、3度目のプレミアムショウで新作「DELICIOUS.」を産地直送)。二十代のプレイヤーがサポートで参加して、沖井さんが常々言っていた「ポップスは若い人のためのもの」をサウンドでも体現するような試みだと思いましたが、同時に「沖井さんがTWEEDEESを突き詰めると、最終的な理想形は“沖井礼二がいなくなる”なのではないか」とすら感じました。

沖井 ライブを終えたあと、僕もまったく同じ印象を受けました。ポップスは若い人のためのもので、TWEEDEESはこの人(清浦)が歌ってくれていて……最終的にはおじさんが視界から消えたほうがいいんですよ(笑)。

ー中略ー

沖井 アルバム制作の半ばぐらいかな。「今できつつあるアルバムは、清浦夏実のボーカルアルバムだな」と感じた瞬間があって。たぶん僕が作ってきたアルバムの中で初めてじゃないかと思うんですけど、このアルバムは僕の声が一切入っていない。コーラスは全部この人の声なんですよ。僕の声のように聞こえるところも、この人がオクターブ下で歌っている。「花束と磁力」と「少年の見た夢は」は一度僕の声でコーラスを入れたんですけど、結局納得がいかなくて全部ボツにして。僕の声が夾雑物に聞こえてしまう何かが、この人の声の中に生まれているのかなという気がしています。

 

清浦 それは私もそうかもしれない。

沖井 やっぱり私の声が嫌ですか?(笑)

清浦 いや、そうじゃなくて(笑)。TWEEDEESの3枚目を作るにあたって、もちろん私も一生懸命ボールを投げてたんですけど、それよりも沖井さんの曲をより純度の高いものにする努力をしたほうが、TWEEDEESにとって幸せかもしれないって。お互い委ね合ってた、持ち場を守っていたみたいな。

 

沖井 前世の話になりますけど……3rdアルバムの作り方として、そこまでの経験を踏まえてグッと新しい方向に踏み込むというのが1つあって、前世で僕はまさにその方法を取ったんです。

──Cymbalsのメジャー3rdアルバム「Sine」(2002年7月発売)ですね。

沖井 ただ、それをやることは正常進化から逃げることにもなると思うんですね。今回はそれをきちんと受け止めよう、逃げずにやろうと(笑)。そのためには、とにかく曲の芯が強くなきゃいけない。それに尽きるのかなあ。「ポップスは若い人のためのもの」という言い方をしていますけど、僕はSex Pistolsが好きで音楽を始めて、ブラックユーモアや皮肉ったらしいものから大きな影響を受けていて。でも今回は違うところで勝負しなきゃいけないなと。そういうレコードを自分が聴きたかった。なんとしてもそれを自分の手で作りたい。「今、自分が聴きたいものしかこのアルバムには入ってはいけない」というところにこだわったんだろうなあ。

──TWEEDEESの3rdアルバムは、てらいのない作品じゃないといけないと。

沖井 てらい、作為を排除したところで何ができるか、というのが今回の勝負どころだと思っていたので。

うーむまさかsineの話がここまで明確に出ているとは笑。いやあそれでここまでいいんだったら全くもってそれでよいですよね。とりわけ「美しい歌はいつも悲しい」の衝撃的なまでの完成度の高さは驚きを通り越して嬉しかった。そしてこの曲はこのアルバムの特徴を最も端的に表現している曲だし、「清浦夏実だからこそ表現できる歌」だし、TWEEDEESとしての一つの到達点、この二人だからこそ作り得た曲である。

同じバンドを継続して見ていると色々な変化が起きることに立ち会う機会が増えるんだけど、TWEEDEESはとてもダイナミックに変化しているバンドだなあと思うし、意味がある変化をしているなあと思う。そしてボーカルとベースの2人であるにもかかわらずバンドを名乗っている意味というのもここにあるのかな、と。比較的メンバー間の関係が緩く希薄なイメージを漂わせる「ユニット」という言葉ではなく緊密な関係性を持つ「バンド」という名前を称するだけの強固な関係性がこの変化、いや進化を引き出してきたと言っていいのではないか。

主にボーカル面での沖井成分が薄くなるのは寂しさもあるけど、清浦さんが言うようにその分サウンド面での強度が高まる方向に行けばこの先もっと面白くなるだろうなと思う。今作のアレンジ面でのこだわりは今までの沖井ワークスの中でも随一だったので、ホントにホントにTWEEDEESのこれからが楽しみです。

 

11月に聴いてよかったCD

もうすぐ年末ですね。

 

マテリアルクラブ「マテリアルクラブ」

Base Ball Bear小出祐介氏によるゆるいつながりの音楽制作プロジェクト(といえば適切なのだろうか)。小出氏の今までのインプットのうちバンドではできないことが存分にアウトプットされているようで聴いてて面白い。

The Beatles「The Beatles(White Album) [Super Deluxe]」

リマスターされた2018MIXがすんごく音がいい。そして今までブートとかで出回ってた諸々のデモやアウトテイクをパッケージングしてCD6枚5時間超えの一品に。復刻版としても歴史的資料としても価値のある作品。

SAKA-SAMA「It's A SAKA-SAMA WORLD」

活動期間2年でメンバーの大半はこの夏以降の加入で、全般的に歌唱の拙い部分が散見されるんだけど、それを覆い隠すとかではなくむしろ生かす方向に作られたアレンジとメロディが際立つ佳作。

原田知世「ルール・ブルー」

ただ雰囲気がいいとかそういうのではなく陰陽際立つアレンジなど含めてトータルでとても完成度が高く聴きごたえのある一作。

SUSHIBOYS「350」

曲を作るモチーフがUSBメモリだったり遊戯王だったりして最高。今の3人体制における一旦最後の作品、必聴です。

 

ようやく年間ベスト的なものを考え始めたけど今年はギリギリまで悩むことになると思います。てか今の時点で既に悩んでる。