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「好きな曲が1曲だけのCDアルバムをタダであげます」と言われたらどう答えるか

Music

昨日TWEEDEESの沖井礼二さんが、奈良のレコードショップであるジャンゴレコードの店主のツイートを取り上げてこんな疑問を発していた。

実は引用した上記ツイートには下記の通り前段がある。

それがあまり読まれていなかったからか、沖井さんに来たリプライ自体は「CDがいい、配信がいい」「今時音楽は無料」的な繰り返されてきたテンプレトークが殆どだったのだけど、この問い自体は結構面白いんじゃないかと思って少し考えてみることにした。「好きな曲が1曲だけのCDアルバムをタダであげます」と言われたときに、どう答えるか。

僕の回答はおそらくこうだ。「1枚目はたぶん喜んで受け取る。ただ何枚ももらえると言われると却って躊躇してしまう」。それはなぜか、という個人的な意見から色々迷走しながら話を膨らませていきたい。

なぜ最初はいいのか。多分あまり考えてないということもあるけど、CDが増えていくと取扱に困る、というのはある。ジャンゴの店主がミニマリスト的、と述べてたけど実際この辺は多くの音楽好きには由々しき問題で、僕自身引越しの時にCDをケースから分解してKOKUYOMEDIA PASSというソフトケースに入れて体積を1/3くらいまで減らしたくらいだ。(全てのCDをインポートしている訳ではないのでとりあえず残した)

もう一つは、1曲のために入手したCDはその曲以外あまり聴かないだろうなあという予感があることだ。僕の家にはフリーサンプラーでもらったCDが十数枚(いやもうちょいあるかな)あるが、それらの中には一度も聴いていないものも相当数ある。なので最近はサンプラー受け取るのも躊躇しがちだ。なんでかというと他に聞きたいものがたくさん出てきてしまうからだ。この「音楽好き(なんでカッコ付きなのかは後でわかる)」特有の「聞きたいものが湧き出てしまう」現象は本当に厄介。旧譜も含めると聴ける音楽の量は増え続けていて、さらに大抵のものが古びない(これはあらゆる芸術・エンタみに言えそうだけど音楽は特にそうな気がする)ので、終わらない旅をずっと続けられる。なので好きな曲がただ1曲だけ入ったCD貰うなら他の聴かないし配信で1曲買いますよ、となるなあとこの話を眺めながら感じた(それはそれでレジーさんがよく言ってる「手癖で音楽聴く」みたいな話になってしまうのでよくないなあというのはわかっているのだけど)。とか言いながら同じCDを何枚も買う行為自体も引き続きやってるのであまり説得力がないかも。笑

そんなことを考えていたわけだけど、この理屈だとこの答えに「1曲だけのためにCDを買うのは…」と思ってしまうのはむしろ音楽好きな人の側なのではないかな、という気もしてくる。数多くの曲を聴く習慣がない人にタダでCDをあげること自体は割とアリなのかもしれない。僕は「最近音楽好きの人が減った」的な言説はあまり信じていない。今の新しい音楽に興味を持つ人(これだけ捉えて「音楽好き」と呼称するのもなんか変な話だ)は減ったけど好きな曲や歌が全くないという人はそんなにいないと思っているので、その人が新しい音楽に会うきっかけになればタダであげるのも悪いことではないのではという気もする(個人的な体験で恐縮だけど、複数枚買ったCDを周りにいる新曲とかあまり興味ない人に渡しても割とすんなり受け取ってくれる)。

 

とりとめもなく考察と言えるのか微妙な考えを巡らせていたけど、この質問は結構面白いなあと思った。その人の音楽に対する姿勢が垣間見える質問な気がする(当然だけど、どんな答えが出てきても悪いことは全くない)。さて、「好きな曲が1曲だけのCDアルバムをタダであげます」と言われたら、あなたはどう答えますか?

 

あ、それから沖井礼二さんと清浦夏実さんのバンドTWEEDEESのニューアルバム、先行曲がよくて期待できるのでお楽しみにだね!!

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武藤彩未さんの発表を見て現代に生きるソロアイドルの大変さを改めて思う

Music 武藤彩未

昨日5月31日、アミューズのWebサイトにて、活動休止中だった武藤彩未さんが同社とのアーティスト契約を解除したことが唐突に発表され、それを受けて本人からツイッターでコメントがあった。

これを読んで僕が考えている楽観的な仮説を以下に記す。

  • 「アーティスト契約」は終了したけどアミューズがまだマネジメントしている可能性は高い 今年3月末に卒業して即芸能界引退になったさくら学院卒業生がアミューズのサイトでは「契約終了」と記載されていたことと比べると違いがある。武藤彩未の所属レコード会社はアミューズA-Sketch(ここもアミューズの子会社なんだけど)の共同設立レーベルであるSHINKAIなので、要は事務所直系。わざわざご丁寧に「留学後の活動は未定」とまで書いてあることやTwitterのアカウントはこれからも残るっぽい(またツイートしますと言ってるし)。これまで契約がなくなったらアイドルのアカウントが消えるのを何度も目撃してきた身としては、「これはちょっと違う」という気になっている。多分留学が長期化するので「◯年で◯枚CDリリース」みたいな縛りから解放した、ということなのではないか。
  • 本人は歌手やる気。ただしアイドルとして、ではない・・・? 書いてある通り本人はボイストレーニングを受けたりしててるしまだ歌手としてやっていく意思を示している。しかし、自分をどう表現したらいいのかと言っているように迷いがあり、おそらく活動休止前と同様の形態は望むべくもない。歌唱力・表現力については抜群なので、正直事務所もどうしようかわからないのではないだろうか。そんな中我らがベースマスターがこんなことを言っていたので期待しとくw

そんでもって、彼女が活動休止を発表した時に感じた「ソロアイドルが現代で活動することの厳しさ」というものを改めて実感した次第。現代はアイドルブームだとか何だとか言われているけど、あくまで「グループアイドルの時代」であり、ソロで大成したアイドルは文脈の違うところから出てきたきゃりーぱみゅぱみゅを除けば皆無に等しい。どうしてだろう。数え上げたらきりがないくらい理由は出てくる。

  • 一人だからダンスが少ない。ゆえに見栄えしない。(きゃりーちゃんはキッズダンサーとかいっぱい入れてステージが簡素になるのを避けている)
  • 握手や何やでCDを売ろうとした時に、メンバー数が少なくて多くのお客をさばけない。
  • グループは誰か一人でもひっかかればOKだけど、ソロだと0か1かになってしまう。
  • 女性ソロ歌手と区別が曖昧

4番目は深刻な問題ではないか。miwaや大原櫻子とソロアイドルはどう違うの??という疑問が出てきてしまう。

miwaは自分で曲を書いているからシンガーソングライターだよねって区別できるけど(それでも彼女たちSSWをアイドル的に見てる向きは多い。とか言ってると小金井の事件に当たってしまうので深くは語らない)、大原櫻子は自分で曲を書いていない(歌詞は一部共作している)。そういうあやふやな状況下で「私はアイドルです」って言い切っちゃうことでかえって自分の客層を狭めていないかな、ということを考えたりしてしまった。中田ヤスタカプロデュースで海外ウケしてティーンが好きそうなファッションをしているきゃりーぱみゅぱみゅみたいに引っかかりどころが沢山あるならまだしも、だ。前回「〇〇系」みたいな話して「アイドル」もそういう音楽性とは別レイヤーのカテゴライズだという話をしたけど、それゆえに、曲の感じで引っかかるかもしれないけど「アイドルだから」敬遠するという人は確実にいる。武藤さん自体の80'sアイドル路線が正しかったかどうかは述べない。個人的には素晴らしいステージングだと思っているのだけど。

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武藤さんにはまた歌って欲しいと思っている。因みに、アミューズには阪本奨悟という「一度抜けて数年して復帰した」タレントがいる。だから気を長くしてまっとけばいいかな、という楽観的な気持ちでいるのがよろしかろうと思うわけです。

あと、ポニーキャニオンに3年間飼い殺しされた南波志帆さんもそうだけど色々と呪いになってしまうので「10代のうちに武道館」とか無理目の目標立てさせるのはやめよう(武藤さんについてはそれなりに練っていたのだろうけど)、ということを改めて思いつつ、特に結論はなく終わる。

音楽における「○○系」はジャンルなのか、という話

Music

ネットでは定期的に渋谷系について盛り上がることが多いけど、つい最近もこんな話があった。

lit.hatenablog.jp

mohritaroh.hateblo.jp

僕が1つめの記事にはてなブックマークでコメントしたことを起点として2つめの記事が書かれているので、なんとなく乗っかりたくなった。

2つめの記事では渋谷系の源流となっている音楽として「ポストパンクとインディムーブメント」「モッズおよびそれを経由したソウルミュージック」「DJカルチャーとクラブミュージック」を挙げている。その結果渋谷系と一口にいっても多種多様な音楽がそこに含まれるしその中には共通性を見いだしにくい物も多い。もっとも記事中にて「ジャンルについて考えるときは代表的なバンドの共通点ではなく、全部を包含する物(集合でいう和)を考えた方が良い」という旨書いてあってそこはまあ頷けるところではあるんだけど、個人的な感覚からすると「渋谷系」に共通する物は音楽性ではなく創作姿勢なんじゃないか、という気がしている。この辺は僕が敬愛しているCymbals沖井礼二さんがテレビ出演して話した渋谷系講義の内容に影響を受けてる面が強いけど、若杉実さんの「渋谷系」でもDJカルチャーをベースとした温故知新のムーブメントっていうとらえ方をしているし、そんなもんなんじゃないかな、と。

そこで思ったんだけど、「○○系」と言われる物って音楽的特徴でくくるのが難しいけどその一方で「ジャズ」とか「メタル」(これらも最近色々定義が拡張して揺らいでるけど)とかと同様に音楽を分けるジャンルとして使われるのって、なんか色々不具合を起こしてるんじゃないかという風に思った、というのが今回の趣旨です。

●幅広い「○○系」とカテゴリ音楽

渋谷系と並んで(いやむしろそれ以上に)使われることの多い「○○系」と言えば「ヴィジュアル系」だ。ゴールデンボンバーが「†ザ・V系っぽい曲†」という曲を出しているが、確かにこの曲は「V系っぽさ」のある部分が端的に出ている。

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ヘヴィメタルっぽいリフとドラムにどちらかというとハードロックっぽいリードギター。この激しい感じがヴィジュアル系音楽の特徴として一番分かると思う。今だとthe Gazetteあたりがそんな感じか。しかしながら、これは割と純化したものでLUNA SEAなんかはハードコアパンクっぽい感じだしGLAYとかシドになってくると特徴とも言われる激しさみたいなものも控えめな感じになってくる(あくまでこのカテゴリーで、という話だけど)。あとはゴシックロック的なMALICE MIZERやら枚挙にいとまがない。2003年とちょっと昔に出版された「ヴィジュアルロックの時代」という本では、ヴィジュアル系バンドの音楽的特性について源流など含め分析しており、多くはヘヴィメタル・ハードロックと位置づけているがパンクやグラムロックなどからの影響も示唆している。

というかそもそも「ヴィジュアル系」という名前からして、共通項は音楽性よりもその外見や立ち振る舞いの方にフォーカスされる方が多かったりする。音楽はその日現実感を増幅させるような使われ方をするので激しいものになるのではと考える。というかそういうもんでないと「V系っぽい」なんてタイトルの曲はネタだとしても成立しないよな、って感じはある。「アンビエントテクノっぽい曲」とか「シンフォニックブラックメタルっぽい曲」というタイトルの曲は出せるのだろうか。笑

一方で、狭義のジャンルは細分化が進んでる。新しいものが出てくるとそれを言い表す言葉が必要になるということがずっと続いている。でも今全く新しいものが生まれるかというとそういうことはなく、基本的に今あるものからの分派みたいな感じだ方仕方ない。メタルなんか典型的で「ヘヴィメタル」のサブジャンルに「デスメタル」があり、そのサブジャンルとして「メロディックデスメタルメロデス)」や「シンフォニックデスメタル」となったり…という風になっているし、テクノとかクラブミュージックも日々新しいジャンルが出来ている。そういった話に対して、「○○」系はむしろ言葉はそのままでそれが包括する対象がどんどん拡大している、というタイプのものなんだなあと日々感じるところである。

●日本において「○○系」とは何か

こうして考えると「○○系」とは、音楽的特性ではなく、そのアティテュードや外部特性などによって規定される類の音楽なのではないか。そう考えると、そういう類の音楽が日本では他にも隆盛を誇っている。アイドル・アニソンといったものがそれに当たる。以前「アニソンやアイドルといった分類はジャンルではなくタグでは」という議論があったけど、それはその通りで、ジャンルより一段上のレイヤーというかカテゴリーというかそんな感じ。「渋谷系っぽいアニソン・声優ソング」とか「メタルアイドル」とか、組み合わせで語られることは多い。

海外在住経験が無いので一概に日本ではこうだよみたいな事は言えないけど、マーティ・フリードマンなんかもよく言ってるとおり「ジャンル」に対する帰属意識みたいなのが薄いからこういうカテゴリーベースの音楽が色々出てきて面白くなっているんじゃないかな、と思うところ。混ぜたりするのに躊躇しないし、リスナー側も何でも聴いたりするから何やってもいい感じがある。あとはかな文字から何から、異文化を取り入れてアレンジして自分たちの物にしていく貪欲な国民性かな。ちょっと風呂敷広げすぎたかも。

そうすると、いわゆる現代ジャズ(ジャズを起点に拡張された、クロスオーバーな音楽)のミュージシャンが日本でも一定の人気を持ち、それらのミュージシャンにフォーカスを当てたムックシリーズ「Jazz The New Chapter」が2016年春時点でシリーズ3まで出版されているということはそういった日本人リスナーの気質とマッチしたから、ということが言えるのではないだろうか。(この前提としてはこれらのミュージシャンが本国での認知度がめちゃくちゃ高いというわけではないという背景がある。ロバート・グラスパーエスペランサ・スポルディンググラミー賞を取ったけどその割にはSNSのフォロワーはたかだか十数万とか数十万だ。まあそれをもって有名とするかどうかに疑問の余地があるのは認めるけど。因みにエスペランサの方がバラク・オバマノーベル賞受賞祝いのこともあってフォロワーやいいねの数は多い)これ自体まだ名称が定まっている訳ではなく「JTNC系」「今ジャズ」「リアルタイムジャズ」など様々な呼ばれ方をしている。これらは温故知新的かつクロスオーバー的な音楽性もさることながら、その包含範囲の広さも日本の音楽リスナーと相性が良かったのではないかな。

そんなところでNHKの「ニッポン戦後サブカルチャー史」で渋谷系についてやるそうなので、これを見ながらまた色々考えようかなあという感じ。

宮沢章夫、風間俊介らによるサブカル史番組の第3弾、テーマは90年代

今日はこんなところで。ちなみに僕は渋谷系も現代ジャズも好きですw

大手チケット販売サイトの手数料とかについて僕が考えていること

Music

ぴあ・イープラス・ローチケの3大チケット販売会社は、音楽ファンからの評判がすこぶる悪いことでも有名である。いや、たぶん音楽だけじゃなくて取り扱っているエンタメ全般のファンに嫌われているといった方が正しいのかもしれないけど、とにかく嫌われている。僕もこれらの事業者のサービスに満足しているわけではないが(ここ重要)、なんか文句がいちゃもんに聞こえるときもあるので、自分なりに考えていることを整理してみたいなと思った。次のことについて書こうと思う。

  • 各種手数料
  • 土曜午前10時のサーバーダウン
  • その他

繰り返しだけど、僕はこれらのサイトの回し者ではないしお金ももらってない(だからステマなどでは決してない)ということ。

●手数料は正当なものなのかという話

とにかくまず挙がるのが「色々手数料を取っている」という話。ここで挙げた3社やイベンター(DISK GARAGE・ウドー等)の直営サイトなんかで行われる先行販売の際にはとにかく話題に上がる。先行販売に申し込むとチケット代以外に特別先行販売手数料500円+システム利用料250円+発券手数料108円で合計1000円近く加算よ、なんてことはざらだ。お財布の中身は有限なのでそりゃあ高いより安い方が良いよ、というのは心情的にはよくわかる。じゃあこれらの位置づけって何なんだろう、というのが最初のお題。まず、ぴあイープラスローチケそれぞれのサイトの説明を見ても、それが何かということは殆ど書いていない。なので、ここからは推測なのだがほぼ間違っていないと思う。手数料の内容・意味は下記の通りだろう。

  • 発券手数料:実際のチケット印刷や封詰め代+(店頭行けば)どこでもチケットを買える事への対価
  • 決済手数料:その名の通り。コンビニとかからチケット販売業者への送金とかの手数料
  • システム利用料:各種サイトに(文字通り)どこからでもアクセスしてチケットを予約できる事への対価
  • 先行販売手数料:一般販売よりも前にチケットを押さえられる権利への対価

発券手数料。これを考える際には手売りされているチケットとの比較が一番わかりやすい。手売りされているチケットは、既に印刷もされているのでその場で手渡しされればすぐ使える物になる。しかし、みんなが興行者なり出演者から直接チケットを買うことは出来ないのでこういったチケット販売業者が出てくることになる。そうするとその場でチケット印刷をして手渡しすることになるのでそのための対価(材料+人件費)とそもそも店頭に行けば興業者から直接買える事への対価だろう。そしてシステム上で即完結するクレジットカード以外は出先と販売業社間の送金が発生するので手数料いりますよ、と。恨むなら金融機関を恨もうw

とはいえ店頭に素早く行けるわけでもない事情というのは存在する(最近はコンビニが取り扱いしてくれるから良いものの、昔はチケット販売業者の出先でないと買えなかった)。なのでネットや電話を通じて押さえて後で店頭に行って発券したいというニーズが出てくる。その対価がシステム利用料だろう。電話でもネットでも同じ価格である場合が多いが、まあいちいち分けたりするの大変だろうな、という感じはする。

ここまではあくまで一般販売されているチケットについての考察だが、最近は行きたい人が多く販売時に人が殺到するケースもたくさん存在する(実際は昔からそうだったんだけど)。そうするとシステム側でも捌けないし、そもそも発売日に即完売では公平に行き渡らないよねってことで最近増えているのが先行販売。この制度自体はそれこそインターネットでのチケット販売がなかった20年前位からあったけど、ファンクラブやぴあカード会員など「一定の対価を既に払っている人」向けの施策だったと記憶している(違ったらすみません)。なので、一般販売よりも前にチケットを確保できる権利への対価として先行販売手数料という物が出てくる、と考えられる。そして恐らく各社ここで稼いでいるのだろう。特に大物アーティストのツアーを丸ごと独占先行!みたいなのは販売業者の営業さんがアーティスト側に頑張って営業かけて獲得した案件、ということでしょう。今は先行で取るのが当たり前みたいになっているけどそもそもは一般販売がベース(この精度が良いかどうかはさておき)とすると、合理性はあるのではないか。

余談だけど、この特別先行手数料の価格は概ねチケット代に比例しているようだ。そのため同じ公演で極端に価格差がある場合(ポール・マッカートニー日本武道館公演など)には安いチケットの特別販売手数料が高いチケットの手数料に引きずられてチケット同額とかいう冗談みたいな状態になってしまう。それは何とかしてよ、と思ったり。(よくヤフオクなんかでダフ屋行為が問題になるとプレミアム高額チケットを出した方がいい、という議論が出るが現実にそうならないのは公平性の確保以外にこういう融通の利かないシステムに原因があるのかもしれない。)

そういう風に考えると、ある程度手数料類も納得いくんだけど、正直に言って各チケット販売会社はここら辺についてもっと周知するべきだろう。通販(特にAmazon)の送料についてダンピングとか下請け締め付けとか話題になるけど、そういう心配をする人達もチケット販売の手数料については一様に文句を言っているというのが率直な印象だ。PR大事。

●土曜朝10時になるとサーバーが落ちる件について

各種チケット販売サイトの一般販売開始が土曜日の朝10時なのはなんでかというと、やはりその時間帯が一番「人の活動が少ない」即ち店頭にチケットを買いに来られる人が多く、なおかつ電話や何やらが他の用途で使われてて邪魔になることが少ない時間帯であるということだろう。以前は日曜の朝10時、というのもあったような気がするけど、週休2日が普及してからは土曜日が主になったはず。それこそ20年前に、母親と弟が大宮ソニックシティでやるtrfのライブチケットを取りに駅の反対側にある西友にあったぴあだかチケットセゾン(今のイープラス)の店に朝から行ってたのを記憶している。ただ取り扱い点数が増えた上にインターネットでの販売も普及した今ではその時とは比較にならないくらいのリクエスト量が集中して電話は繋がらない(昔もだったけど)わネットではサーバーからエラーメッセージが出るわで購入メニューに行くのも一苦労、というわけだ。それゆえに先行販売をする公演が昔に比べて広がったという側面もあるんだけど、それにしても土曜朝10時は地獄の時間だ。

IT業界の隅っこにいる人間からしたらクラウド化して負荷に応じてリソースを増やしたり減らしたりするElasticな形態にすればいいじゃん、と思ったりもするんだけど、そうも許さない事情があると考えられる。まず一つは価格比較をして多分クラウド化した方がまだ運用含めて高くつく、という計算になっているということ。もう一つはぴあが2008年にシステム入れ替えに失敗して各興行主に敬遠されて大赤字になり希望退職を募集するまで至ってしまったことの記憶が業界に残っており、業界全体として若干保守的なのではないかと見られること。あとは電話とかはどうにもならんじゃんとかあるけど。

じゃあPeatixとかのスマホチケットはどうなのよみたいな話が出てくるけど、その昔ももクロのイベントを先着順で受付用としたらサーバーが落ちて半日復旧できなかった事案があったように、規模的な面を考えるとそれだけのリソースを用意できないという事情がある。そしてやっぱりそういう投資余力を手数料収入で確保してるんだろうなあというかんじ。スパイク(突発的な負荷上昇)への対策というのは、クラウドでやるにしても意外と面倒なものだし、普通のサーバーだと平常時との乖離が激しければ激しいほどどこに合わせてリソース設計するかという話になる。例えば土曜日午前のアクセス数が平常時の5倍だとしたら、それに合わせて設計すると1週間のうち160時間以上は8割もリソースの無駄が発生することになる。それは企業として取れる選択肢なのか。因みにぴあは上場企業なので決算書が公開されているから見てみる(PDF)と、いろいろとチケットサイト特有の特報が出ていて面白いです。「固定資産の中に占めるソフトウェアの金額比率の高さ」とか。

●結論のようなもの

この記事で言いたいのは殆どが「手数料は別にそんなに不当な物ではない」なんだけど、事業者側も寡占事業になっていることにあぐらをかいてサービス品質の向上にあまり取り組んでなさそうなところや説明不足なところについては「それでいいの?もっと頑張れよ」という気持ちだ。実際ネットからの購入大変だし、ローチケとか個人情報入力させすぎ(Pontaおサイフケータイ登録すると格段に楽になるけど)だし。因みに僕は新興勢力のスマホチケット系にはそんなに期待していない。先に挙げたシステム障害もさることながら、全国各地の公演をカバーしていくのはネットだけではしんどいんじゃないかなあと思っているところがあるからだ。

それでも定価リセール(ぴあ)とか電子マネー対応(ローチケ)とか少しずつ良くはなっているので、まあもっと頑張れ、って感じ。まあ何事もそうだけどダメなところは参考にせず、良いところを見習わないとね。あまり締まらないけどまあそんなところです。

BABYMETAL「METAL RESISTANCE」はどういうアルバムなのか

BABYMETAL Music

BABYMETALの新しいアルバム「METAL RESISTANCE」、びっくりするくらいに売れている。

 

日本では3代目J Soul Brothersのニューアルバムと同時発売だったため順位は2位だったが、1週間で前作の累計売上を上回る13.7万枚の売上をたたき出し、2週目も2万枚3週目1万枚でもしかしたら20万枚行くんじゃないの、ってペース。さらには日本だけにとどまらず米ビルボードで39位(日本人のベスト40入りは坂本九以来53年ぶり)、英オフィシャル・チャートでは15位など、各国で高順位につけている。南米や北欧などのメタルが盛んだけどプロモ足りてない地域ではそれほどでもないけど、それにしてもすごいセールスであることは間違いない

このアルバムのインパクトについては(かなり大風呂敷広げた記事だけど)柴那典さんが書いているし、全世界同時発売日の翌日に行われたウェンブリーのライブについても行った方が空気感の伝わる参加記をしたためてくれている。そしたら僕はアルバム自体についてまるっと書いてみますか、という結論に至った。なので書く。

まず全曲簡単に総ざらいして、そのあと全体の方向性とかを読みたい。

●ド・キ・ド・キ☆全曲解説

これでは前のアルバムではないかというのはその通りだと思います。MVと参考動画でYouTubeを貼りまくったために重くなっちゃってごめんなさい。

1:Road of Resistance

この曲については前に解説記事を書いてるから詳しくはそっちを参照してちょ。初出は2014年の1stワールドツアー追加公演ファイナルにあたるロンドン公演。ドラゴンフォースのサム・トットマンとハーマン・リが参加しているバリバリのパワーメタル。シングアロングで盛り上がるんだけど、背中を押してくれるかのような力強さを持つメロディがシンプルに好き。いい曲だと思います。

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2:KARATE

MV作られてるのでこの曲が多分リードトラックその1。初出は2015年のJAPAN TOURファイナルの横浜アリーナ公演。ゆよゆっぺによる、彼が前作で手がけた「悪魔の輪舞曲」みたいなメシュガーっぽいジェントにソイルワークみたいなメロデス風味を足し合わせた重厚な曲。MIKIKOMETALによるMVの振り付けは、同時期に出たPerfumeFLASH」のそれと好対照になっていて面白い。

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3:あわだまフィーバー

「ギミチョコ!!」を作曲した上田剛士による、MAD CAPSUKE MARKETSを彷彿とさせるインダストリアルメタルチューンその2。初出は2014年の12月に開催されたファン限定イベント「APOCHRYPHA−S」。「ギミチョコ!!」と同じで、歌詞にほとんど内容はない(笑)。それからBPMが220から180に落ちてるがその分ドラムの音数が増えているのでそんなに遅くなったようには聞こえない。

4:ヤバッ!

「KARATE」同様ゆよゆっぺ編曲によるエレクトロニコア/ピコリーモ(メタル・ハードコア+エレクトロチューン。例:Fear, and Loathing in Las Vegas、Crossfaith)チューン。スカのリズムが入っているのはメタルとしては珍しいかもな、と感じるところ。初出は2015年6月の2ndワールドツアーファイナルの「巨大天下一メタル武道会」で、その後ファンクラブ限定ライブにあたって行われた楽曲リクエスト投票時には「違う」というタイトルだったので、長らくそっちの方で呼ばれていた。なんだかんだで未だにレコーディング音源の半数以上が打ち込みで作られているベビメタの曲だが、その中でも一番打ち込み要素が高いと感じられる曲。

5:Amore - 蒼星 -

扱いとしてはSU-METALのソロ楽曲(YUIMETALとMOAMETALの声が入っていない)。「イジメ・ダメ・ゼッタイ」や「紅月 - アカツキ -」のアレンジをしていた教頭による、それこそ「Road Of Resistance」以上にDragonforceっぽいド直球のパワーメタル。いたるところにDragonforceっぽい早弾きやピロピロギターが出てくる。タイトルから察しがつくと思うけど「紅月」と対になるような曲。歌詞もそんな感じで、紅月同様ベビメタにしては珍しいラブソング。

6:META!メタ太郎

タイトルから「いったいどんな曲なのだろう…」と思われてたこの曲、蓋を開けてみたらヴァイキングメタルだった。ヴァイキングメタルというと僕はコルピクラーニばかり思いついてしまうんだけど、そこまでフォーキー(民謡風)でもないなあ。因みに、日経エンタテインメントのインタビュー記事によると、男声バックコーラス(と言っていいのか)は実際にスカンジナビアのヴァイキングの人たちに歌ってもらったとのこと。SU-METALの今作のお気に入りソングだとか。曰く「BABYMETAL史上最もかわいい曲じゃないですか(笑)?」と。お、おう……

ただやっぱヴァイキングといえばこれだよな〜〜あんまり近くないけど(貼りたいだけ)

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7:シンコペーション

7曲目は国内盤と海外盤で全く違う曲が収録されており、こちらは国内盤限定収録の曲。シンコペーションとは何かということについては前に書いた記事を読んでください。次の小節から音を先取りすることで結果的に前のめり感を出す効果があるわけだけど、そのシンコペーションをメロディに多用しつつ歌詞もその「前のめりな心情」を出したものになっているという、ダブルミーニング的な楽曲。楽曲については実は一番メタルっぽさが薄いというか、V系メタルとかジャパメタとかそういう感じで、わりかし普通のJ-POPっぽいなあって感じの曲。いたるところに入っているシンセはcoldrainとかCrossfaithあたりにありそうな感じ。

7:From Dusk Till Dawn

海外盤で「シンコペーション」の代わりに収録されている、全編英語詞の曲。ディスクユニオンとかHMVで普通に輸入盤売ってるからそれ買えば聴けるわけですが。ちなみにタイトルは某映画からそのまま持ってきているという…笑。楽曲の分類としてはゴシックメタルという感じで、エヴァネッセンスとか辺りが近いかも。

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実際の曲はこれの10倍くらい緩急がついた感じです。

8:GJ!!

YUIMETALとMOAMETALの「BLACK BABYMETAL」の楽曲。前作収録の「4の歌」を彷彿とさせる三三七拍子からのスタートだが、中身は「おねだり大作戦」を彷彿とさせるラップメタル。今回もやっぱりリンプ・ビズキットっぽいですねwwちなみにこの曲は実質ファンクラブである「THE ONE」のメンバー限定盤では歌詞が全く違う「GJ!-ご褒美編-」というバージョンが収録されている。

9:Sis. Anger

こちらもBLACK BABYMETALの楽曲。というかタイトルだけでわかる人にはわかるんだけど、タイトルはメタリカの「St. Anger」をもじったものだ。

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実際の曲調は高速にした「St. Anger」って感じ。最近のメタリカが重厚感を増している代わりにテンポの遅い曲が増えてるのを「こうしてほしい!」ってKOBAMETAL(プロデューサー)が言っているようにも感じた。最初のサビの後に「きらいだ!」連呼が「気合だ!」連呼に変化して「バカヤロ〜」ってなるのは本当に最高だ。冗談の温度感が変わってないと、なんか安心する。

10:NO RAIN, NO RAINBOW

今回収録されている楽曲群の中では最も古くから存在していた曲で、初出は2013年のNHKホール公演「LEGEND “1999” YUIMETAL&MOAMETAL聖誕祭」。呪いにより蝋人形にされてしまったYUIMETALとMOAMETALを救うためにSU-METALが歌った曲というのが公式設定。なぜかファーストアルバムには収録されず、その直後の武道館公演で演奏されたけど、その後も見かける機会はなかったところで復活。武道館のライブが映像パッケージ化された時に初めて曲名がわかったのだが、それまではサビの歌詞から「止まない雨」と呼ばれていた。そう、Xの「Endless Rain」である。

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11:Tales of The Destinies

タイトルが運命のRPGなのは色々大丈夫なのか。複数形だからいいのか。それはさておき、変拍子・テンポ変化などめまぐるしく色々変わっていく、ライブでやるのがめちゃくちゃ大変そうなプログレッシブメタルチューン。というかもろにドリームシアターっぽい曲である。笑

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この後次の曲に間髪入れずに突入していくので、2曲繋がっているように聞こえるが、それもそのはずで元々一つの組曲みたいにしようと制作していたとのことである(なので作詞作曲アレンジ演奏、全て同じメンバーでやっている)。

12:THE ONE

アルバムのグランドフィナーレを飾る壮大なメタルバラード曲。初出は「KARATE」同様に2015年のJAPAN TOURファイナルの横浜アリーナ公演。MVもそのときの映像がベースになっている。

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タイトルは勿論メタリカの「ONE」から取っている。ただタイトルとして拝借した程度の印象が強く、実際には大団円の締めのために練り込んで作った曲、という感じ。これも「Road of Resistance」と作曲者が同じなのでメロディが良い。Mish-Mosh氏、何者なんだろう…と思って調べたら出てきた。二人組のユニットなんですね。

因みにこの曲には3つのバージョンが存在する。国内盤の通常バージョン、海外盤の「English Ver.(英語バージョン)」、ファンクラブTHE ONE限定盤の「Unfinished Ver.(ピアノ+ストリングスアレンジ)」だ。先日NHKで放送されたドキュメンタリー「BABYMETAL 少女達は世界と戦う」では、Unfinished Ver.が披露された。

因みに今作では一部楽曲において楽器もスタジオ録音されている。特にドラムが生録されてる曲が3つあるというのは相当な進歩だろう。因みにライナーノーツにはその辺何も書いていないので、参加ミュージシャンの自己申告しか当てにならない。Dragonforceの二人以外だと、神バンドのメンバーでもあるLedaさんとゴールデンボンバーの楽曲もアレンジしているtatsuoさんの2名が参加曲をツイートしている。

●アルバムの狙いを勝手に読み解く

先に全体的な感想を書くと、「今までの流れを維持しつつスキル・会場のスケールアップに伴って曲を作った、世界に向けたアルバム」というものだ。

このアルバムで核になっていると考えられる曲は、「Road of Resistance」と「THE ONE」の2曲だ。この2曲のMVはどちらも、日本国内で行われた大会場ライブの映像を使っている。「Road of Resistance」のシンガロング(合唱)の部分なんかは特にそうなんだけど、とにかく大会場で映えることを念頭に置いて作られている曲だという印象を受けた。率直に言うと今ツアーのスタート会場であるウェンブリー・アリーナとファイナル会場である東京ドームを相当に意識して作っていると言える。逆に、それ以外の曲についてはそこまでやることが変わっているわけではない、という感じ。新たにやったヴァイキングやゴシックも、前作の「メギツネ」とかの飛び道具的な曲の位置付けかな、という印象。例えばGJもおねだり大作戦のアップデートっぽいし。なので、今までの流れを維持しつつ会場規模に合わせた、という話になる。あとはバラードが入っているので前作より緩急ついてて聴きやすく感じる人も多いような気がする。

じゃあ何が世界に向けた要素なのか。それは海外盤の内容、というより海外盤限定で収録されている全英語詩の2曲。聴いて感じたのは英語の発音を相当トレーニングしたんじゃないか、ということ。非公式なのでいつ消えるかわからないけど↓をご覧くだされ。

最近だとワンオクやセカオワなんかが歌唱時の英語の発音を鍛えてネイティブから聞いても不自然さをあまり感じないようにしているって話が聞かれる(セカオワについてはリアルサウンド柴さんが指摘してる)けど、ベビメタもそうしているんだろうな、と。そして今指摘した3組の共通項はアミューズ(もしくはその関連会社)所属であるということ。もちろん他にも英語を鍛えて世界に繰り出しているバンドはあるんだけど、アミューズは会社として狙ってるんだな、という感じ。(なのでPerfumeも今作で1つくらい英詞曲出すかなと思ったけどなかった。)なので、全体の構成とか英語詞曲のクオリティとかを考えると海外盤の方がPRIMERY VERSION、つまり表バージョンなのではないかな、というのが率直な感想。まあ自分が「From Dusk〜」好きなだけかもしれないけど。

そして4月20日〜21日に行われたファンクラブ限定イベント「APOCRYPHA - Only The FOX GOD Knows -」に行ってきた。国内では初演奏となるアルバム新曲も何曲か演奏されたが、ウェンブリーの時も含め、まだやっていない曲が数曲ある。おそらくダンスの振り付けがまだできていない(Tales〜に関しては練習も終わってない?w)ということだろうけど、既に発表された曲達も同様にインテンシティの高いパフォーマンスだった(それから「THE ONE」がEnglish Versionだった!!)ので、未発表の曲を見るのが楽しみ。そして今月のライブで初披露された曲達もツアーで練度が高くなっていくだろう。東京ドームまであと5ヶ月、当面見る予定はないけど期待して待ちたい。

いろいろ書いてきたけど、ベビメタに関して思っているのは突き詰めると一言に集約される。

 

行けるところまで行ってくれ!!!

総括されるJ-POPとそのターニングポイントたる「1998年」

Music

書こうと思いながらずっと暖めておいた話。個人的に色々とバタバタしてたので久々の更新です。

この1月~2月に亀田音楽専門学校のSEASON3が放送された。今回のテーマはJ-POPの歴史っていうことでJ-POPという言葉が誕生した1980年代末から今に至るまでのJ-POPの歴史を4回に分けて解説している。それを受けて書かれた記事に内容が割と載ってるので参照して頂ければと思うんだけど(他力本願)、それと時期を同じくして、1冊の本が話題になっていた。宇野維正さんの「1998年の宇多田ヒカル」だ。

この本は宇多田ヒカル椎名林檎aiko浜崎あゆみといった1998年デビュー組の女性ソロシンガーの歩みや音楽性を深掘りし、またその相互の関係性なども考察している。率直に言うとめちゃくちゃ面白かった。特に宇多田ヒカルの音作り(特にコーラスワーク)と全米デビューがなぜうまくいかなかったかという話は音楽的にかなり興味深い話だった。そしてこの本は取り扱っている対象のキャッチーさ、そして本のタイトルにもなっている宇多田ヒカルの音楽活動再開のニュースが発売後程なくして流れたこともあり、「普段音楽を聴かない人」にもずいぶん届いているように見受けられた。どちらかというとクロニクル的な書籍であり、(勿論現代のJ-POPにも触れてはいるのだけど)成熟期のJ-POPの総括という色彩が強い。こういう風にJ-POPを「総括」する流れみたいな動きが並行して出てきているのは偶然ではなく、そういう時期に入ったのかな、と言うところがある。なぜそう考えるのか。昨年出版された佐々木敦さんの「ニッポンの音楽」のある一説が思い浮かんだからだ。

筆者は「Jポップ」なるものが、60年代末に胚胎され、二十年の歳月を経て、80年代末に「言葉=概念」として誕生し、いつのまにか世の中にあまねく行き渡って、ほとんどこの国の音楽そのものを覆い尽くしたあげくに、そこからまた二十年を経たゼロ年代の末ごろに、一応の役割を終えた、と考えているのです。

要はJ-POPの歴史は一区切りしていて総括のタイミングにあり、それゆえそういう言説が幾つか出てきている、という話。なので僕も乗ってしまおう。という便乗感あふれるエントリ。因みに「ニッポンの音楽」でははっぴぃえんどが出てきた1969年から始まっているのでそこは省きつつ、多少補助線を書いていきたい。というわけで、「ニッポンの音楽」「亀田音楽専門学校」でそれぞれ説明されていた時期区分に加え、僕が考えるキーワードも並記してチャートみたいな感じにしたのが下の図である。

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今回言いたいのは二つある。「J-POPの歴史は1998年を境にプロデューサー主導の時代とセルフプロデュースの時代に大分される」ということと、「音楽の視聴形態が転換する時期に、時代横断的な音楽のムーブメントが発生する」ということ。

前者の方から述べていきたい。これはいわば「J-POP産業化の道のり」だ。亀音で説明されてたし「ニッポンの音楽」でも説明されているけど、J-POPという名前が誕生したのはJ-WAVE開局の1988~1989年あたりで、そこから1993年くらいまでのに定着していく。そして、みんなが知ってる1998年くらいまでCDの売上は景気どこ吹く風で右肩上がりになっていくわけだが、その中心にいたミュージシャンの多くはプロデューサー月盟神探湯になっていた、というのが特徴。小室哲哉小林武史・等は言うには及ばないが、ビーイングもそうだし(B'zの2人が初レコーディングまで顔合わせがなかったなどは有名な話)、ドリカムも、中村正人が「吉田美和で一儲けしようとおもってけっせいした」と半ば冗談ながら言っているが、スタンスとしてはプロデューサー主導に近い。そして、この時期のそういった流れの中に位置付けられるのがテレビ番組(特にバラエティ番組)内の企画ユニットポケットビスケッツブラックビスケッツにエキセントリック少年ボウイや野猿など、これもある種の「プロデューサー主導案件」と言えるのではないか。

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それに対して、1998年にデビューした歌姫3組が導いたのは「セルフプロデュースの時代」だ。もちろんシンガーソングライターはそれまでもいたし、その中には編曲なども含めて一気通貫でやってきた人もいた。しかし、曲の方向性などを特定のプロデューサーに頼ることなく自分たちの方法論で作り上げて大プロデューサーの作品に比肩するヒットをデビュー後早い段階で作り出した、という点で彼女達は一つの時代の移り変わりを導いたのだ。この本に浜崎あゆみMISIAの名が挙げられてないことを訝しがる意見が散見されたけど、こういった時代の移り変わりという観点からすると適切だったのではないだろうか。そしてこの1998年以降は彼女達や97の世代(NUMBER GIRLくるりSUPERCAR中村一義など)やそれに続くバンド達、平井堅等が引っ張っていったいわば「セルフプロデュースの時代」だと考える。そこで前面に出ていたのがR&B・ヒッポホップのような「ブラックミュージック」だ。もちろんドリカムやSMAPのような先達があったにせよ、見た目や立ち居振る舞いまでダイレクトにブラックテイストが染み込んでいるミュージシャンが表に出てきたのはこの時期ではないだろうか。

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そして今は、プロデューサー主導型とセルフプロデュースとがミックス状態になっているJPOPの成熟期といえるだろう。おそらく2007年あたりからそんな時期なんじゃないかな、と考えているんだけど、この時代の特徴はなんだろうと考えると真っ先に出てくるのが「インターネット」だ。YouTubeニコニコ動画が多くのインターネットユーザーに定着したのはゼロ年代後半位。それゆえに「動画サイトユーザーに飽きられないように15秒でつかむインパクト重視てんこ盛り音楽」も「古今東西のポップスの旨味をうまく抽出した懐かしさと新規性を両立したポップス」も出てきた。ソロもプロデューサー主導もブラックテイストもエレクトロも王道ポップスも色々出てきてどれが、というよりどれも、みたいになっているのがここ数年なんじゃないかな、と。そんな複雑化した時代だから、フィジカル面で訴えかけ躍らせ駆動させるような音楽(あえてここでは詳細を述べないけど)が台頭しようとしてきてるのでは、という感じ。

因みに「1998年の宇多田ヒカル」では「渋谷系は過大評価されている」という主張が述べられていた。その正誤をここで判断することはしないが、別の観点から勝手に補助線を引きたい。何かというと、渋谷系は音楽メディアの過渡期における自然発生的な現象だということと、その観点からしていわゆる「2010年代型のシティポップ」と「渋谷系」はかなり相似の現象ではないかということだ。

一つ目の話。若杉実さんの「渋谷系」では渋谷系とはDJ文化だという趣旨でそれを生み出した渋谷のレコードや文化の成り立ちと移り変わり、それが生み出した熱狂について克明に記録していた。

ここで描かれている1990年前後という時代は、レコードからCDへの移行がほぼ終わろうとしていた時期だ。この時期はレコードがメディアとして飽和していたということ、それからCD化に伴う再発盤リリースで過去音源が掘り返されたこと・(そしてほぼ触れられていないがレンタルレコード事業の勃興)からなる「旧譜が豊潤な時代」だった。それゆえ、それらの旧譜を聴くことで様々な着想を得たミュージシャンが同時発生した、というのが(若干乱暴ながら)渋谷系ムーブメントの発祥のテクニカルな側面だと考えられる。そして現代はいろいろな音楽が(非公式な物も含め)YouTubeに上がっているし、配信サイトでも結構色々手に入るし、何ならレンタルでもOKだしTSUTAYAで借りるもよしブックオフで叩き売られているのを買うもよし、という形で旧譜へのアクセスがしやすい時代になっている。状況は1990年前後とかなり近い。そう考えると「渋谷系」も「2010年代型シティポップ」もそういったメディアの移り変わりによる旧譜が豊潤な時代に自然発生する一つの「時代横断的音楽のムーブメント」と言えるのではないだろうか。ceroSMAP×SMAPに出演したときの稲垣吾郎による「渋谷系みたい」というコメントは、そういう相似形であることを肌感覚で表している良いコメントだった。

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日本の音楽業界には色々末法思想的な物が広がっている感じがするけど、こういう風に総括するような話が沢山出てきた時期だから、そこから何か考えてみることは良いことなのでは、と思ったりします。賢者は歴史に学ぶ的な。こんな感じで久々に色々書いてたら書きたいことが出てきたんで次も間を空けずに更新していきたい所存。

2015年の音楽配信市場読み解き

Music 音楽業界レビュー・売上まとめ

先月CDなどのパッケージメディアの売り上げというか生産状況について色々考察など入れてみたけど、音楽配信の方も年間のデータが出たのでざーっとレビューしていこう。日本レコード協会有料音楽配信売上実績というデータで、こちらは配信業者からの売上データ提出による物なので生産じゃなくて売上なんですね(そもそも複製コストゼロの配信で「生産」を数えることには意味がないしね)。とはいえ、パッケージメディアの時と言葉を合わせた方が良さそうなので「市場読み解き」というタイトルにしとく。たぶん来年もこのタイトルでいくはず。

はっきり明記しているわけではないけど、日本レコード協会が正規音源を扱っていると認定している証である「エルマーク」を付与されている音楽配信サイトがこの集計の対象になっている物と推測される。iTunes StoreAmazon MP3などの外資系のみならずLINE MUSICやAWAといった定額制配信サイトにもちろんついている(Apple Musicは記載がないがiTunes Storeに含まれているだろう)し、リスト(PDFです)を見るに各アーティスト・レコード会社等の直販サイトも対象になっているようです。としてもちょっと腑に落ちないところがあるんだけど…それはちょっと後で触れます。

ちなみに昨年までの文章はこちら。2011年と2012年はパッケージと一緒。
2011年:音楽業界はどうヤバくてどうヤバくないかの話
2012年:レコード業界のゆくえ2013(音楽業界はどうヤバくてどうヤバくないかの話 Part.2)
2013年:2013年の音楽配信売上まとめ
2014年:2014年の音楽配信の売上読み解き

ここまでの文章は去年と殆ど同じだけど、基本同じことをあまり繰り返してもくどいので、こちらも適宜参照していただけるとこれ幸い。

●サマリー:定額制配信様々…?

まずは売上数量。

volume PC/スマホシングル:1億884万8千DL(前年比100%)
PC/スマホアルバム:843万7千DL(前年比109%)
着うた+着うたフル:1482万9千DL(前年比61%)
メロディコール:4,399万4千件(前年比83%)
DL数総計:1億7,811万3千件(前年比91%、ビデオ等その他項目含む)
単曲もアルバムも一緒くたにしておいて数を数えるっていうのは変な話ではある。ここ数年は着うた+着うたフルが急速に落ち込んだ分をPC/スマホ向けでカバーするけどトータルは減少、というところであった。今年までくると着うた+着うたフルは5〜600万件と大した減少数ではないのだけど、PC/スマホ向けダウンロードが停滞しているために今年も引き続きトータルダウンロード数は減少となった。じゃあなんでそんなことになっているのかな、ってところで売上金額。

sales

PC/スマホシングル:174億3,800万円(前年比100%) PC/スマホアルバム:92億2,900万円(前年比111%) 着うた+着うたフル:23億4,000万円(前年比56%) メロディーコール:29億5,300万円(前年比79%) ダウンロード総計:346億8,500万円(前年比100%、ビデオ等その他項目含む) サブスクリプション:123億9,300万円(前年比159%) 音楽配信売上総計:470億7,300万円(前年比108%)

見て明らかなのはサブスクリプション(つまるところ定額制配信)の伸張とPC/スマホ向けシングル曲の停滞。もちろんその中核にいたのはApple Music、LINE MUSIC、AWAといった第2世代の定額音楽配信サービスだ。ただし、純粋に増えた金額だけ見れば2013年→2014年とほぼ同じだ。ここについては四半期別のデータをもとにここ5年くらいの動きをもう少し詳しく見ていきたい。

detail

2015年の2Q(4〜6月)にAWAとLINE MUSICが立ち上がったあたりからダウンロード売上が頭打ちになっていることがわかる(前掲の数字に出ている通りアルバムはまだ前年度比で上昇しているんだけど、)。また、今年のサブスクリプションの伸張は後半(3Qと4Q)に集中しており(この期間での増加分で30億円であり年間伸び額の66%だ)、第2世代定額制音楽配信が無料期間を終了してもそれなりの人数が有料会員として継続したと推測される。そしてその時期からPC/スマホ向けのダウンロード金額が伸び悩んでいることから、喰い合いが生じているというのもまた事実。しかしこの傾向は世界全体としてそうだしトータルではプラスだからいいかな、という感じなんだろう。

ところで気になっていることが一つある。サブスクリプションの1Q売上は23億4000万円。1月あたり8億円弱、と算出されるわけだ。そしてドコモのdヒッツが2015年の3月に会員数300万人突破を発表したが、この料金が300円か500円のいずれかであることから間をとって一人400円とすると1月あたり12億円の売上が上がることになるわけだけど、計算合わなくない?????実際にはdヒッツには初月無料制度があったりとかで割引も講じられているわけだけど、内訳がわからないから色々見えない(当たり前だけどdヒッツはLマーク認証サイトである)。

何が言いたいのかというと、(数字の不明な点はあるにせよ)今の定額制音楽配信についてはみんなが注目しているApple Music、LINE MUSIC、AWA等と同じくらいにドコモのdヒッツもプレゼンスがあるということ。2013→2014の伸張はかなりここによるところが大きいと考えられる(会員数の推移を見ると顕著)。しかもdヒッツは今年に入ってから嵐の楽曲を配信開始した。ジャニーズの楽曲は他のところでは全然出てこないのに、である(ちなみにSMAPSexy Zoneなど一部のジャニーズグループはレコチョクに単曲配信をしているが、あくまでレコチョクのアプリでしか聴けない)。

どうしてか、という理由の一つにdヒッツの配信方法がオンデマンド型ではない、ということが挙げられる。ドコモのdヒッツの説明ページにはこうある。

テーマに沿った楽曲があらかじめ登録されているので、ひとつずつ楽曲を選択する必要がありません。 毎月10曲ずつ、好きな曲を「myヒッツ」に保存することで、好きな時に好きな曲が聴ける♪ 音楽プログラムにある曲はもちろん、プログラムにない曲も検索して「myヒッツ」保存が可能!myヒッツした曲は、あたかも楽曲を購入したかのように、いつでもお好きなタイミングでお楽しみいただけます。

どういうことかというと、オフライン保存できるのは月10曲のみであり、基本はドコモが用意したプレイリストに沿った形(AWAのライトプランみたいな感じ)で使ってね、ということだ。この形式ならCD等の購入につながるとして許可する権利者も結構多い。例えばサザンオールスターズはdヒッツに280曲も出しているスマートフォンでリンク先に行くと楽曲試聴もできる)。そんな形態ながらも嵐はジャニーズとして初めてこういった定額制音楽配信サービスに参入した、というのが相当なインパクトなので、これからの動向に注目なわけ。もしかしたら、dヒッツがサービスを拡充していくことで定額制音楽配信サービスのダークホースになる可能性もありうる。この楽曲群をそのままオンデマンド型に持っていければ、という仮定の話であり結構難しいとは思われるが。(2/25追記:dヒッツには「携帯電話契約時にセットで結ばせる所謂「レ点営業商品(申込用紙にチェックマークを入れさせて契約させる商品)」であり、やめ忘れによりあまり使われてないのではという指摘がある。それは確かにそうであるが、ドコモ側でもその問題は認識していて改善に取り組んでるゆえのラインナップ改善であろう。実際ドコモ側の発表ではあるがアクティブユーザーの比率は改善してきているようである。)

さて、ここでどんな曲がたくさんDLされたかも記しておこう。正確な数字はないけど、2015年にリリースされた楽曲で、その年のうちに日本レコード協会でプラチナ(25万DL)以上のランクに認定されたのは以下の楽曲(ページリニューアルにより条件をつけて検索できるようになったから助かる)。

ダブル・プラチナ(50万DL〜)

プラチナ(25万DL~)

個人的な感触としては、着うた全盛の時とそんなにラインナップ変わらないような気がしている。シングルトラック単位だとそんなもんかな、という印象。そして去年は松たか子の「Let It Go」というミリオンヒットがあったのだけど、2015年はそこまで突出したものはなく、全会一致で決まるような「1年を代表するようなヒットソング」はないという状態かな、と。まあ敢えて言えば「トリセツ」なのでしょうが、年が明けてからbuck numberの「クリスマスソング」もダブルプラチナになっているので、突出している、というわけでもないかな。

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そんな感じで2年連続で売上金額が前年度越えした日本の音楽配信市場。定額制配信が伸張したものの、ダウンロードは頭打ち。そんな中でこれからどうなるか展望のような物を述べていきたい。

●相変わらずのパイの少なさをどうするかという話

去年のこの記事でテイラー・スウィフトSpotifyに「NO」を突き付け最新アルバム「1989」を大ヒットさせた、という話を書いた。そして彼女は去年もApple Musicの立ち上げに当たって分配率で揉めるという騒ぎを起こした。この話自体はApple側の反応があまりにも早かったことから一種のプロレスみたいなもの、あるいは炎上マーケティングみたいなものなのかな、と推測されるところだけど、メガヒットを出すミュージシャンの動向がこういったサービスの生命線を握っていることを露わにした(「ブロックバスター戦略」みたいな話ですね)。そういった話では、去年アデルが「25」を一切のサブスクリプション型配信サイトなどに通さず、1500万枚以上を2015年のうちに売り上げた。

日本でも大物がサービスの命運を動かす事情は似たようなところがある。そういった大物ミュージシャンにフォーカスすると最も楽曲数のあるAplle Musicですら、iTunes Storeと比べると配信カタログ数はかなり不足しているし、iTunes Store(やmoraやレコチョク)ですら未配信の大物ミュージシャンは未だ多い。なぜ未配信かというと、そもそも配信しなくても買ってくれる人の量が多いからわざわざ配信でディスカウントする必要がないからだ。だからこそ嵐の参入は驚きをもって迎えられた(いや、dヒッツのことなんかみんな見てないから興味ないか…?)。ここを取り込めないと音楽配信サービスが大きく伸びることは見込めない。そもそも音楽配信サービスの売上額というのはパッケージメディアの1/4〜1/5くらいなわけですから。

日本はレンタルCDがあるなど極めて独特な環境であり配信への阻害要因は大きいんだけど、今時CDドライブのないPCも増えてきているし、そもそもPCない人もずいぶんいるし(この5年で個人向け出荷台数も相当減ってしまっている)新しく音楽買ってもらおうとするのであれば配信の方が早いわけ。インフラ面でもCDが今後伸びる芽はないので、業界の命を守りたければ配信を通じて「音楽を聴く人」を増やす必要があるだろう。そもそも音楽自体興味ない、「金払う価値ない」位の考えの人が今の日本のマジョリティである事は疑いようもないので、dヒッツやAWAライトプランや、Spotifyのようなフリーミアムなど、安い価格あるいは0円でリーチを伸ばす施策も欠かせないだろう。フリーミアム自体はリスク高くてやらなそうな気がするけど、YouTubeでしか音楽を聞かない人の多さやLINE MUSIC無料期間終了後の反応の悪さはさすがにわかってるでしょ、とは言いたい。まだその先に「お金払ってもう少し色々自由に聴かない?」みたいな道は用意しておいたほうが良いのでは、というだけ。なんだかんだ制約などありつつ配信の利便性は高いので(この半年くらい、Apple Musicにないものはよほど好きなミュージシャンでない限りCDで買わずにまずダウンロード配信を使う、という流れになっている)、どんどん良い方に変わっていってほしいなあという次第。