たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

2016年の音楽売上を読み解く

このブログの名物記事といえば音楽マーケットの数値読み解きだ。今年もこの季節がやってきたぞ。

一般社団法人 日本レコード協会|各種統計

毎年1月にCD売上、2月に配信売上の通年分が日本レコード協会から出てくるのでそれぞれを元に色々語ってるんだけど今年は2月にまとめてやることとした。理由は自分が1月に忙しかったこと以外にもいくつかあるのでまずそこについて説明しておきたい。

  • CD売上の深堀ができなくなった
    前からオリコンのトップ100の数値を重ね合わせて傾向とか読んでいたのだけどそれができなくなった。なぜかということについては下記を参照いただきたい。
    【重要】2016年3月16日以降の「オリコンランキング」に関する記事掲載について
    要はオリコンのWebサイトに載っている以上の情報は載せてくれるな、ということだ。そして今年は年間ランキングに売上指数が載らなくなり結果各種サイトにも載らない、ということになった。有料会員サイトの情報を持ち出さないで、ということなのでそこはまあ仕方ないだろう。
  • 掘り尽くした感
    わりと趨勢は見えてて語られてもいるので例年より執筆モチベーションは低め。笑。ただ、それでも見えてくるものがあるだろうと思っており、今年も集計してみた。

言い訳も終わり本題に行くまでに、これまでのエントリはこちらにあるので読み比べなどして見てほしい。
CD:2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
配信:2013年 2014年 2015年 

それからもう一つ。パッケージメディアに関してはレコード協会の統計なのであくまで「生産金額」となっている点にはご注意願います。そんなわけで各項目別にみていこう。

項目別数値の推移

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CDシングル:5,457万枚(前年比99%)
CDアルバム:10,456万枚(前年比93%)
CD合計:15,922万枚(前年比95%)
音楽DVD:4,191万枚(前年比96%)
音楽Blu-ray:988万枚(前年比96%)

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CDシングル:429億円(前年比103%)
CDアルバム:1,320億円(前年比95%)
CD合計:1,749億円(前年比97%)
音楽DVD:435億円(前年比92%)
音楽Blu-ray:244億円(前年比99.5%)

まずはCD。全体としてここ数年の緩やかな低落傾向は変わらない。その中でシングル盤だけは比較的気を吐いている状況。これもここ数年の傾向通り。シングルは全体のパイが少なくいくつかのヒット作でわりと動くので、乃木坂と欅坂が昨年すごく伸びたことが寄与したと考えられる。続いて映像メディア。Blu-rayが前年割れ。ここ数年進んでいたBlu-rayへのシフトが止まった感が少しある。そんでもって映像メディア全体としては頭打ち感が出ているのでなんともな…という感想である。

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アナログ生産数量:79.9万枚(前年比121%)
アナログ生産金額:14億5,500万円(前年比124%)

アナログレコード、引き続き好調。しかし伸びは若干鈍化。しかし相変わらずパイは小さい。仕方がない。なお、レコード市場を新品だけで測るのは如何なものかとよく言われるけど測るすべがないしむしろ新品流通にフォーカス当てることでそれ特有のファクトを探したい。

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PC/スマホシングル:1億229万6千DL(前年比94%)
PC/スマホアルバム:836万7千DL(前年比99%)
着うた+着うたフル:971万5千DL(前年比66%)
メロディコール:3,722万6千件(前年比85%)
DL数総計:1億5,916万9千件(前年比89%、ビデオ等その他項目含む)

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PC/スマホシングル:165億3,800万円(前年比95%)
PC/スマホアルバム:95億5,400万円(前年比104%)
着うた+着うたフル:15億1,000万円(前年比65%)
メロディーコール:25億1,900万円(前年比85%)
ダウンロード総計:328億8,300万円(前年比95%、ビデオ等その他項目含む)
サブスクリプション:200億0,300万円(前年比161%)
音楽配信売上総計:528億8,600万円(前年比112%)

音楽配信。今年最大のトピックは音楽のダウンロード販売が前年割れしたこと。その一方でサブスクリプション(定額聴き放題)はまだまだ勢い良く伸びており、このままのペースで推移するとするなら(多少鈍化したとしても)、日本における音楽配信売上金額の過半を締めることになる。フィジカル・配信の比率が諸外国と違うので実感がどうにも薄いけど、日本も「音楽配信の主役がストリーミングになっている」という点で諸外国と同じような環境になりつつあるのだ。 

ちなみにグラフがこれだけ2011年以降になっている理由は、それより前の年で「着うた+着うたフル」が大きすぎて今主流になっている配信方式の数値の変化が見えなくなるから。

というわけでここからトピックを挙げつつ結論に持って行きたい。

配信で売れた楽曲

日本レコード協会では毎月有料音楽配信で一定の売上を挙げた楽曲を発表しているので、そこからプラチナ(25万)以上の売上を達成した楽曲をリストアップしていきたい。

トリプルプラチナ

ダブルプラチナ

プラチナ

星野源の「恋」は2017年1月にトリプルプラチナをすっ飛ばしてミリオンの認定を受けており、12月の時点でトリプルプラチナに限りなく近かったものと推察される(因みに「前前前世」はまだミリオンに達していない)。とにかく配信でこの曲の勢いがすごかったというのが率直な感想。「恋ダンス」動画のアップとその中での90秒以内の楽曲使用を許諾したことがかなり追い風になっているものと推察される。あれはレーベルの英断であったというほかない。「恋」と映画共々大ヒットした「前前前世」の2曲が今年の配信市場でトップ2だったことには異論はないだろう。

また、アルバム単位で宇多田ヒカル「Fantôme」とRADWIMPS君の名は。」がゴールド(10万DL)を達成。なお、2015年12月配信開始のもので浦島太郎(桐谷健太)「海の声」がミリオン、RADIO FISH 「PERFECT HUMAN」がプラチナを達成している。これらも合わせると紅白出演歌手も結構納得度高かったなあと感じるところだ。

新品レコードの販促キャンペーンと品物の種類

4月にはレコード店中心のレコードストアデイ、11月には東洋化成主導のレコードの日、とレコードは色々販促をしているが次の月別販売データを見る限り、それが寄与しているような感じは見受けられない。それぞれの販促キャンペーンは色々課題も多く、まだまだ道半ば、という印象がある。

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また、レコード1枚あたりの生産額は洋楽が1,739円、1,906円である。差が1割くらいなので優位なものかは判断しかねるけど洋楽の方が7inchシングル盤など低価格な商品の比率が高いということだろうか。それとも単純な値付けの問題だろうか。ここからは余談だけど、海外でのレコード作品はDLコード付きであることが多いとよく言われるが僕が最近買ったレコードはそういった類いのものがない。DLコード付きアナログレコードがもっと増えれば買うのになあという気持ちは結構ある。

映像と配信から見えてくる日本の音楽視聴の現状

2016年の市場で特筆すべきトピックはPC/スマホ向け配信とBlu-rayがともに前年割れしたこと。どちらもここ10年程で次世代のメディア/プラットフォームとして期待されながら、必ずしもその期待通りには伸びてこられなかったものだからだ。そして映像も音楽も今まさに伸びているのはサブスクリプション型の「○○放題」サービスだ。映像方面では(まだ音楽コンテンツは弱いにせよ)NetflixやHulu等のSVOD、あるいはAbemaTV等に急速に置き換えられているし、先述のように音楽配信をセグメント別に見ると日本ですら定額聴き放題が4割で来年には過半数を超える見込みだ。これらサービスはPC・スマホタブレット・あるいはゲーム機だったりテレビへの機能埋め込みだったりで色々なデバイスから利用することができる。メディアが・機器が・フォーマットがどうこうという時代からの大きな転換である。

 

 日本では2000年代にエンタメメディアの世代交代にもたついた。かくしている内に「見放題・聴き放題」によるメディアレス・メディアフリーの時代に切り替わろうとしている。2016年はまさにそのターニングポイントとなる1年だったのではないだろうか。

 

一応しっかりとしたトピックを見いだせるような調査になったので、ちゃんと調べてよかったな、という感想。今年1年間も、また変化を見つめながらその中でいちリスナー・ユーザーとしてサバイブしていきたいなあと思う次第。

Jリーガーの好きなミュージシャンは誰だ選手権2017

2017年のJリーグが今年ももうすぐ始まろうとしている。世界的な動画ストリーミングサービスの高まりを受けてJリーグもイギリスのパフォームグループと放映権に関する大型契約を交わしたためリーグ戦は配信サービス「DAZN」を中心として放送されることとなった、ということが大きな変化。それによって強化分配金や賞金が大幅に増えるのも特徴で、初年度の今年はそれを見据えて各チームが積極的な補強を行いしのぎを削っている。

ところで、選手バスから降りてスタジアムに向かう選手たちはヘッドホンをしていることが結構多いように見受けられる。彼等はどんな音楽を聴いているんだろうか。日本代表のキャプテンである長谷部誠Mr.Childrenの大ファンであるというのはファンの間では知られた話であるが、他の選手はどうなんだろう。

ということで調べてみた。

取り出したるはエル・ゴラッソの選手名鑑2017年版。

Jリーグ選手名鑑2017 J1・J2・J3 (エルゴラッソ特別編集)

ここでのJ1チーム各選手へのアンケートから「好きな芸能人・アーティスト」の欄に記載されていたミュージシャンを集計してみた。打ち込みつらいかなと思っていたけどミュージシャンを記入していたのは半分くらい(未回答もかなり多数)だったので2~3時間くらいで打ち込みは終わり、少々拍子抜け。入力した後に他のメディアの名鑑だともっと精度のいいデータがあったりしないか…と思ったら他の名鑑にはそもそもこういった質問が無かった。安心した。

それでは早速集計結果発表するけど、先に補足と注意事項を。

  • 傾向を見るために、選手の2017年1月1日時点での年齢を補足データとして用意。回答者平均年齢は25.64歳。
  • あくまで選手名鑑に載っている選手が対象なので、2種登録の背番号無い選手などは対象外。
  • 対象になった選手548人のうち、300人弱から有効な回答を得た(アバウトな数なのは外国人選手が挙げた人達がミュージシャンかどうか判断つかないものもあったため)。
  • 2月8日に発売した選手名鑑編集の都合上、情報が取れてない選手いるのでそこはご勘弁を(2月6日に鳥栖に加入した権田修一、1月末にC大阪に加入決定・2月に帰国した清武弘嗣、去就の判明が2月にずれ込んだ斉藤学など)。
  • 2017とかタイトルに銘打っちゃってるけど、2018は多分やりません。

それでは10位から順々に発表。

10位:ナオト・インティライミ(6票、投票者平均年齢26.00歳)・西野カナ(6票、投票者平均年齢21.67歳)・長渕剛(6票、投票者平均年齢26.67歳)

同率10位が3人。ナオトは柏レイソルのジュニアユースに所属していたこともありサッカーとの関わりも深いのは知られた話。林彰洋FC東京)、今野泰幸G大阪)などが投票。西野カナは支持層がめっちゃ若い。トップ10では2番目の若さ。U-20代表の堂安律(G大阪)などが投票。長渕剛北本久仁衛(神戸)が投票というのがなかなかハマっていた。 

9位:安室奈美恵(7票:投票者平均年齢30.00歳)

 

Jリーグ開幕と同じ1992年にSUPER MONKEYSでデビューした安室ちゃんがランクイン。阿部勇樹(浦和)、水本裕貴(広島)、青木剛鳥栖)らベテラン選手からの支持を集め、トップ10で最も投票平均年齢が高かったミュージシャン。そんな中、なぜかC大阪のユース昇格2年目である庄司朋乃也も投票。なるほどそうか… 

8位:AK-69(9票:投票者平均年齢25.89歳)

スポーツ選手に人気のヒップホップミュージシャンAK-69。スタジアムにも観戦にも来ていたりする。親交も深い槙野智章(浦和)、遠藤保仁東口順昭(共にG大阪)らが投票。 

7位:back number(11票:投票者平均年齢22.26歳)

テレビにもフェスにもよく出るバンドback numberがここにランクイン。彼等も投票者が全般的に若いのが特徴で、中島翔哉FC東京)、三浦弦太G大阪)、金森健志(鹿島)などリオ五輪世代からの得票が目立った。この世代の代表はとてもおとなしいとよく言われていたが、back numberの若干後ろ向きな歌詞も影響していたり……しないよね。

6位:AAA(12票・投票者平均年齢22.25歳)

先日メンバーの伊藤千晃さんが突然の「おめでた引退」を発表したAAA。西川周作(浦和)、清水航平(広島)、土居聖真(鹿島)、丸岡満C大阪)など、若手寄りながらも幅広い年代から支持が集まった。なお、リーダーの浦田直也が昨年のYBCルヴァンカップ決勝で国歌斉唱を行ったので西川周作テンションアップにより浦和が優勝したのではないかという説もある。 

5位:清水翔太(16票:投票者平均年齢21.13歳)

 

トップ10の中では最も投票者の平均年齢が若かったのが彼、清水翔太関根貴大(浦和)、小池龍太(柏)、端山豪(新潟)など20歳前後の選手から多く票を集めた。若くから活動している彼も、ある種この世代にとってヒーローなんだろうな。

4位:BIGBANG(22票:投票者平均年齢23.76歳)

韓国の選手が多くいるJリーグだから何組か入るだろうなと思っていたK-POPミュージシャンだけど、意外にも BIGBANGに一点集中する結果に(次点は少女時代の3票)。チョン・ソンリョン(川崎)、ク・ソンユン(札幌)、パク・ジョンス(横浜FM)ら韓国人選手だけでなく、倉田秋G大阪)、渡辺一真(神戸)など日本人選手からも支持を多く集めた。MV貼ろうと思って探索したら再生回数が桁違いだった。

3位:ONE OK ROCK(24票:投票者平均年齢23.92歳)

 

NHKで今年サッカー番組のテーマ曲担当に抜擢されたワンオクが栄えあるトップ3入り。2002年W杯のDragon Ash「Fantasista」といい、ミクスチャー・ハードコア的な音楽とサッカーの相性は良いのか。いずれにせよサッカー選手からも人気のミュージシャンを起用ということでNHKサンキューな!といったところか。中谷進之介(柏)、江坂任(大宮)など若い選手中心に票を集める中、今年36歳で年男の那須大亮(浦和)も投票。うん、那須さん血の気多いから若いしな。若い若い!!(同い年)

2位:Mr.Children(28票:投票者平均年齢28.07歳)

はいきました!ミスチル、なんと2位。ってことは上にもう一ついるということか…ミスチル桜井和寿自身も相当なサッカーファンなのは有名なので取り立てて話すこともないんだけど、投票平均年齢がここに来てずいぶん上がったね。前田遼一FC東京)、梁勇基(仙台)、稲本潤一(札幌)などベテラン選手からの支持が厚かったのが特徴。野津田岳人(清水)など若手も数名投票しているのだけど、ファンの高齢化なのか…という心配も出てきたりこなかったり。

1位:ケツメイシ(34票:投票者平均年齢27.41歳)

1位はなんとケツメイシ。今30歳前後くらいの選手からしたら青春時代に大ブレイクしてた思い出深いミュージシャンってことで支持厚かったのだろうと推測。あとは風体とかもJリーガーに近いところあるかな、とか。大前元紀(大宮)、田中達也(新潟)などそういった年代の選手に混ざり、J1最年長選手の土屋征夫甲府)も投票していたりwしかしながら、彼らも劇場版クレヨンしんちゃんの主題歌を担当するようになっているなど、時の移り変わりを感じるところだ。

 

という結果でした~。いわれてみるとなるほどって感じもそういう傾向なのか~という気付きもありで色々面白かった。そんなわけでデータ集計していたら副産物が出てきたので少しおまけを。

 

複数回答書きすぎで賞

1人で複数のミュージシャンを挙げている人も結構いたんだけどその中で最も多かったのは梅崎司(浦和)と三浦弦太G大阪)の4組。君たちわかるけどさあ(笑)。因みに梅崎と仲良しで大の音楽好きとして知られる小林祐三鳥栖)はまさかの無回答。多過ぎで答えられないの境地に達してしまったのだろうか。

アイドルファン

サッカー選手でももちろんいるでしょ、アイドルファン!と思ったけど意外に少なかった。回答は下記3名。

因みに大谷幸輝はガチのモノノフで有安杏果推しです。後大屋翼(大宮)がぱるるっていう回答していたけど、歌手としてではなさそうなので一応除外(先述の通り、対象質問項目が「好きな芸能人・アーティスト」のため。なお、好みのタイプの女性芸能人という項目は別に用意されている)。あとE-Girls丸山祐市FC東京)、Flowerを田川亨介(鳥栖)が揚げてたけど文脈的には少し違うかな。

チームごとの傾向

川崎・神戸・磐田は回答率が低かった。複数回答者が多かったのは浦和・新潟・G大阪。あと大阪で局地的人気だったのが地元バンドのベリーグッドマン。

洋楽

ジャスティン・ビーバーブルーノ・マーズの3票が最多。その次がアデルの2票。想定以上に少なかった。海外志向ある選手は移籍先での話のタネとして洋楽聴いといたほうがいいんじゃないかな(適当)

Suchmos

成岡翔(新潟)、福田晃斗(鳥栖)の2名が記入。彼らにはいい波が来るのではないか。

ピコ太郎

該当者なし。

 

そんなわけで、集計して結果ニヤニヤしてた自分の気持ちをおすそ分けすべく、ランキングを下に埋め込んでおくので見てみてくださいな。

 

いやしかしもうすぐ開幕か〜楽しみだな〜〜。

そんじゃまた。 

COUNTDOWN JAPAN 16/17に行ってきた話

あけましておめでとうございます。今年は去年よりはブログ書きたいと思いますのでよろしくお願いします。さて、今年も最初のエントリは昨年末に行ったCOUNTDOWN JAPANの話から。最初に行ったのは08/09の初日でそこから毎年行っているのでもう9回目になるのか。年越しも8年連続。

今年も昨年に続き行ったのは30・31の後2日。見たのは下記の通り。
30日:岡崎体育→Lovefilm→サニーデイ・サービス→雨のパレード→フジファブリック→きのこ帝国→never young beach→Suchmos→Gotch & The Good New Times→サカナクション
31日:チャットモンチー→Gacharic Spin→plenty→Base Ball BearCAPSULE植田真梨恵→SHE'S→ねごと→RADWIMPSTHE YELLOW MONKEY

特に良かったのはサニーデイ・サービスとGacharic Spin。両者衝撃的だった。

サニーデイ・サービスは最新アルバムの曲「セツナ」の後半の鬼気迫るアウトロの演奏にあっけにとられた。2日間で一番「音に没入」した瞬間であり、ある意味最も幸せな時間だったかもしれない。

Gacharic Spinは音圧がすごくて、ベースがバカテクで、パフォーマーもいるわメンバーの衣装が光る話でとにかく情報量の多いハイカロリーなパフォーマンスだった。この全ての要素を愛せる人って少なそう、とか余計な心配をしたw

他に良かったのはBase Ball Bear(というかサポートギターのキリンジ弓木英梨乃さん)、フジファブリックCAPSULE・きのこ帝国あたりかな。THE YELLOW MONKEYも最初2曲はすごく良かったんだけど、吉井さんの声が出なくなってしまって一旦中断・セットリスト削るなどで消化不良気味に終わってしまったのが残念だった。

そんなわけでここからは連続して見てきて考えたことを今年も書いておきたいです。

●ブッキングの話〜違うフェスに見える28日と世代交代

今年のブッキングの特徴だけど、概ね去年の傾向の通りで「異分野(アニソン・アイドル)は武道館クラス以上にして前半に固める」というものだったんだけど、特記することとして挙げられるのは昨年に比べてアニソンブッキングが減らされた、ということと欅坂46の出演。去年の6組からfripsideOLDCODEXKalafina・LiSAの4組と減っている(ちなみに初登場のfripside以外は全て3年連続出場)。昨年は28日に固められていたが、今年は29日の比較的遅めの時間に固められ、コミックマーケットとハシゴできるような形になっていた。おそらくそうした方が集客できるのでは…?という読みからだったのだろう。公式Webサイトによると昨年の28日の集客は36,202人と、他の日の46000人を大幅に下回っており、昨年のようにコミケと重ならないようにすればたくさんくる、という目論見が崩れたため、ということだろう。そこに初めての単独ライブがつい先日行われたばかりの欅坂46が投入され、結果1日目は昨年比4000人増の40,247人となり、大盛況となったようだ。さらに4年ぶりの出演となったPerfume、来年6月で解散となる℃-ute、来年早々に総動員数約5万人のアリーナツアーを行うでんぱ組,incと集客力のあるアイドルを投入してきた。その結果、28日は別のイベントなのではと思えるとくらいだった。GO!FESかと。それでも当日券が出たが、多くの企業で28日はまだ仕事納めになっていなかったからやむを得ないだろう。とはいえ、RO社としては集客に敏感になりながら色々手を打っているわけだ。

そしてそれが如実に出たのがステージ割。もともと集客が下がったかな、というバンドについては結構すっぱりステージ下げたりしてて、一昨年の会場拡大のタイミングで随分と調整が入ったわけだけど、今回はそれ以来となった。前回EARTH STAGEに出ながらGALAXY STAGEに配されることになったのは実に5組(くるり・でんぱ組,inc・木村カエラスキマスイッチチャットモンチー)。一方で昇格も4組(KEATALK・キュウソネコカミ・WANIMA・MONOEYES)となり、昨年のCDJ及び夏のRIJFの動員状況をシビアに見ながら考えているのだろうな、と感じた。EARTH→GALAXY組は概ねベテランが多い中で特異点はでんぱ組,inc。Perfume・BABYMETALなどと比べるとまだ若干フェス来場者層との距離があるのかもしれない。

●会場の変化〜メリハリ??とコラボブースと「思い出作り」

会場については例年に比してレイアウト面での変更が少ない。両方の画像を貼って間違い探しをして欲しいくらいだ(正解はマッサージブースの場所と女子トイレの増設)。

16/17
http://img2.countdownjapan.jp.s3.amazonaws.com/1617/img/areamap/all.jpg

15/16

http://img2.countdownjapan.jp.s3.amazonaws.com/1516/img/areamap/areamap.jpg

 

会場内装飾での変化としては、昨年設置された演奏中ミュージシャン紹介看板が大きなディスプレイになっていたことだ。

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会場内の装飾は色々手が込んでいく一方で幕張メッセの2F廊下は若干寂しくなった印象があり、特にASTRO ARENA(イベントホール)の入り口に何も装飾がされなくなってしまいイマイチわかりづらい、という印象を受けた。

また、各種コラボブースも特色だが、今年は映画枠としてシン・ゴジラのスペースがあった。と言ってもゴジラ全体像か等身大の足のどちらかと記念撮影できる、というものであり昨年のスターウォーズコラボほどの賑わいはなかった。それからSpotifyのブース。ステージが設置されておりそこに短時間登って自己主張なり決めポーズをとって歓声を受けられる、というもの。

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見辛いねw

この他にも相変わらずのROCKオブジェクト写真撮影や外の「CDJ1617」花壇での写真撮影などで常時行列が発生しており、「音楽聴きに来てるんだろ」的な感想を抱いている自分はおっさんなんだなあと思うところだけど、「年越しイベント、音楽もあるよ」くらいの感じの人は多分に多いものだと改めて感じさせられる。

●音楽フェスと音楽配信の相性について

過去、℃-uteアップアップガールズ(仮)がROCK IN JAPANに出演した時に、その時に演奏した楽曲をプレイリストにして販売していたことがある。 

その時は先鋭的な取り組みだなあと思ったんだけど、今回会場で自分もそれに近いことをしていた。サニーデイ・サービスが終わったらすぐに最新アルバム「DANCE TO YOU」をダウンロード購入したし、Gacharic Spinが終わったら最新アルバム「確率変動 -KAKUHEN-」をApple Musicでダウンロードした。それもひとえに幕張メッセのホール内に各種通信業者のWi-Fiサービスが提供されていたからで、大変ありがたい世界。

そんな話では、今回のCDJにスポンサーで入ったSpotifyによって、演奏曲がプレイリスト化されて公開されていた。

こういうのはいい取り組みだよなあと思う一方で、「Spotifyだけかよ」という気持ちにもなった。また、全部のアーティストが曲を公開しているわけでもないし、曲数が多すぎるから特定ミュージシャンに絞りたいという意見も出そうなので、個々のミュージシャンがプレイリスト発信するとかもあっていいんじゃないかなという感想。時代にアジャストしているので続けて欲しいと思うんだけど、この4日目のプレイリストのフォロー数がわずか102人というのはさみしいぞ!因みにDay3は250人フォロワーがいるが、サカナクションなど他のサービスに提供しているミュージシャンが結構なかったりするので、サービス自体の充実頑張ってください。

 

 

そんなわけで今回も楽しかったです。サカナクションのマンネリ具合とイエモンの不完全燃焼は残念だったけど、来年も行くと思います。それにしても「現代的な若者の集まりの場としてのフェス」というものをこれまで以上に感じたのも確かで、次はその辺を取り扱う本を2冊ほど読んでその話を書きたいと思います。

2016年マイベストディスクトップ20

楽曲ベスト10に続きアルバム単位でのベスト20をまとめてみました。毎回思うけど曲の方が母数多いのに選出少ないのはなんでなんだぜ。知らないんだぜ。

 

過去のものはこちら。多くなってきたので何が1位かは省略するから、各自の目で確かめてくださいね。

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

 

アルバムの場合はシングルに加えて追加の選考基準があるのでそれも書いておきますね。

 

構成の妙:つまるところ曲順。明らかにかみ合わせの悪い曲を並べたりしてるとつらい気持ちになります。
成長性・進化:アルバムというのはシングル以上にそのミュージシャンの一定期間における活動のまとめというような色彩を持つと思うわけ。だから、やっぱり前より良くなってほしいしマンネリ感や成長が見て取れない感じを見ると「惜しいな」と思っちゃう。
時代性:「この2016年に鳴るべき音か」とかいうけどハイパー主観に満ちた要素。あくまでも、自分にとってのジャストフィット感でしかないことは強調しておきたい。主観だ主観!!

 

 というわけで、そういった観点から選んだと言われている20枚はこちらです。

 

 

20位:AL「心の中の色紙」

心の中の色紙

 

やっぱ小山田壮平だなー!!

 

19位:冨田ラボ「SUPERFINE」

SUPERFINE

 

マジ最高なんだが、birdの時と比べると若干散漫さがあるような。好きなんだけど。

 

18位:吉田省念「黄金の館」

 

黄金の館

  

想像通りの出来栄えに、彼がまだくるりに在籍していたら、ということを想像してしまう。

 

17位:Galileo Galilei「Sea and The Darkness

Sea and The Darkness(初回生産限定盤)(DVD付)

  

最後にとてつもない置き土産を残していってくれたバンド。名作や

 

16位:lyrical school「guidebook」

guidebook

   

毎度リリスク製作陣の「アルバム構成力」には感嘆させられる。でもな、なんか足りないんですよ。なんか。

 

15位:BIGYUKI「Greek Fire」

グリーク・ファイアー 

  

日本のジャズには上原ひろみが、黒田卓也が、そしてBIGYUKIがいる!

 

14位:CICADA「Formula」

formula

  

ネオソウル・R&B的なものを吸収して自分の音楽の糧にしているバンドは最近多いけど彼らはその中でも一段違う印象。オリジナリティを確立したと言えそう。

 

13位:For Tracy Hyde「Film Bleu」

Film Bleu

   

青春!!みずみずしい!!最高である。

 

12位:downy「第六作品集『無題』」

第六作品集『無題』

www.youtube.com

  

轟音と耽美。凶悪な音の世界に引き込まれていく感じがたまらない。

 

11位:レキシ「Vシキ」

Vキシ(CD+DVD)

  

やりたい放題やってから最後に松たか子、はずるいと思う。笑

 

10位:きのこ帝国「愛のゆくえ」 

愛のゆくえ(初回限定盤)(DVD付)

 

まさかのダブ・レゲエ要素。downy同様、聴いててうっとり。

 

9位:TAMTAM「NEWPOESY」

ニューポエジー

  

これも聴いててうっとりする。

 

 8位:D.A.N.「D.A.N.」

D.A.N.

 

衝撃的に良かった。ライブも一度見たけど良かった。

 

7位:Snarky Puppy「Family Dinner Vol.2」

Family Dinner Volume T

 

 洋楽勢唯一のランクイン作(まあそんなに数聴いてないからね)。たくさんの楽器、様々な要素を取り込んだ豊かな音楽って感じ。

 

6位:TWEEDEES「The Second Time Around」

The Second Time Around【初回盤(CD+DVD)】

 

沖井礼二というミュージシャンはその曲に手癖があらわれやすいミュージシャンだったけど、今作はそういったマンネリ感を脱している。ラストトラック「ムーンライト・フラッパー」は白眉。

 

5位:Negicco「ティー・フォー・スリー」

ティー・フォー・スリー

   

Negiccoのアルバムはいつも「惜しい」と思っていたんだけど今回は本当に良かった。20代女子向けというマーケティング方針は思いっきり外していると思うけど、ムードあり柔らかさありで、大人アイドル、って感じの新境地を切り開けるかも。

 

4位:Perfume「COSMIC EXPLORER」

COSMIC EXPLORER

  

FLASH」だけでなくその直後に出たアルバムも素晴らしい出来だったね。エレクトロ感が増す一方で彼女たちの声にフォーカスする度合いが増えたような。

 

3位:宇多田ヒカル「Fantôme」

Fantôme

   

宇多田ヒカル、完全復活!!ブランクなく、共演ミュージシャンの選択など含めてまさに今を生きている感じの音楽だなあと。 

 

2位:BABYMETAL「METAL RESISTANCE」

METAL RESISTANCE(通常盤)

  

カバーするサブジャンルが広がったので結果としてトータルの完成度は上がったと思う。

 

1位:蓮沼執太「メロディーズ」

メロディーズ

www.youtube.com

  

好みのツボにドンピシャだったし、まったりとしつつも深みのあるアレンジで本当に長く聴けるアルバムだなあと思った次第。長く聴けるアルバムだなあと思う。幅広い年代の人たちに勧めたい。

 

 

総評。ここ2年くらい続いてきた「猫も杓子もブラックミュージック」的な流れは少し落ち着いてきてるかもしれないなあというのが率直な印象。淘汰された結果良いものだけ残る形になりつつあるとも言えるけど。ベストソングとも合わせて考えるとアイドルだとかバンドだとかソロシンガーとかそういうカテゴリを問わず良いものは良い、と決めて行った結果がこれ。

今回のランクイン作は大半がApple Musicで聴いた作品になったのも今年の特徴。もはやこれなしの生活は考えられないくらい。Spotifyも上陸したけど思ったほど話題になってない印象がある。 ただApp Storeのレビュー見る限りではAWAやLINE MUSICより抜群に良く、アプリとしての操作性は良いとのことなのでうまく使っていきたいなという気持ちはある。

自分の同年代に新しい音楽を追う人が少なくなってしまったこともあり、自分の関わり方や「僕らにとっての聴くべき音楽とは」みたいなことをよく考えているのだけど、結局そんなことあまり関わりないランキングになったような気もする。というか今年はブログ更新頻度減ってしまったので、来年はもうちょい書きたい。多分これが今年のエントリ。それではみなさん良いお年を。

2016年マイベストソングトップ10

年も暮れてきたので毎年恒例のマイベストを挙げたい。まずは楽曲から。これまでの記事は下記の通りですよ。

2013年 1位:パスピエ「ON THE AIR」
2014年 1位:きのこ帝国「東京」
2015年 1位:lyrical school「ゆめであいたいね」

 

さて、本題へと入る前に自分がどういうところを重視・注目するのかという話を軽くしておきたい。

アレンジ:メロディや歌詞に合った(もしくは巧妙に外した)アレンジか、全体の音の均整が取れてるか、ハッとさせられるポイントがあるかなどがポイントだと思われる。基本的に過度にシンプルなスローバラードなどは面白くないと考えるタチですな。
メロディ:耳に残るか、美しいと感じるか、など。この辺は多分に自分の感性によるところなんだけど音感がないのでどういうメロディが好きかはあまり説明できない。すみませんな!
リズム:元々重視してたんだけどここ数年は更に重視傾向に。変拍子大好き。普通のエイトビートにするよりバスドラやハイハットで16分音符を適度に挟み込んでアクセントにしているようなのが好き。あとベースはメロディ楽器みたいな気持ちでいます。
音像:説明の難しいところで、アレンジとも密接に関連してると思うんだけど要は「キレイに聞こえるか」みたいなところが評価ポイント。パワーメタルみたいなのは好きだけどハードコア系のメタルテイストは好きになれない、みたいな話。そういう観点からは、歌詞も言葉の響きとして良いかみたいなのが気になる。中身が気になるケースはレア。

 

そんな観点から選んだかもしれない今年のトップ10はこんな感じです。気になったものにすぐにアクセスできるようにリンクを置いておきました。いたれりつくせりですなあ。

 

10位:LUCKY TAPES「Tonight!」

CIGARETTE & ALCOHOL

しゃれた感じと王道J-POPの吸収咀嚼具合のバランスがとても良い。昨年のアルバムではカッティングギターが多用されたオシャレブラックミュージックっぽさ満開だったけどいい意味でヒネてなくて好感が持てる。

 

9位:ザ・なつやすみバンド「GRAND MASTER MEMORIES (feat.嫁入りランド)

 PHANTASIA

聴いてて楽しくなる曲ナンバーワン。試聴音源の後にあるワイガヤシーンが最高。こういうのって得てして邪魔になりやすいんだけど彼らが持つ独特の雰囲気が良い方向に作用させている。

 

8位:星野源「恋」

恋 (通常盤) 

逃げるは恥だが役に立つ」は見なかったけど恋ダンス動画は公式非公式含めたくさん見た気がする。そして桐山さんが様々なアイドルが恋ダンスしてる映像をキュレートしているので読むがよい。イントロのメロディが頭から離れなくなった。アレンジ的には「Yellow Dancer」の楽曲群のフォーマットを踏襲している中にエスニック要素が巧妙に入っててセンスを感じるなあ小賢しいなあって気持ち。

 

7位:SHISHAMO「ごめんね、恋心」

SHISHAMO 3 

アングラ感漂う音源で恐縮です。しかしながらこの曲は本当に良いので公式にMV作っていただきたい!寂寥感と疾走感が塊みたいに畳み掛ける歌。最初出てきた時の「絶対大人が裏にいるだろ」感からは大きく変わったなあという印象が強く、これからも楽しみなバンドになった。

 

6位:Awesome City Club「Vampire」 

Awesome City Tracks 3 

本年のイントロ大賞。そして古めのシンセ音が多用されて夜っぽさ溢れる独特の雰囲気を醸し出しており優勝。ACCはボーカル両人の声が本当に良いんだけど僕が特に気に入る曲は「4月のマーチ」だったりこの曲だったりPORIN様フィーチャー曲ばっかだな笑。因みにユキエさん派です(誰も聞いてない)。

 

5位:Suchmos「STAY TUNE」

LOVE & VICE (通常盤) 

一気にブレイクした感のあるSuchmos。どの曲も良いのだけどこれは頭抜けて良い。R&B・ソウル・ロック含めた様々な曲の濃縮還元とでも言おうか。来年さらなる上昇軌道に乗りそうですな。

 

 4位:欅坂46「二人セゾン」

二人セゾン(通常盤) 

なんで「世界には愛しかない」でないのかというとまあ時差ですな。ユニゾンの音像が綺麗、というのがとにかく印象深い。あとは少し古めのトランスみたいなシンセの音がそこかしこに入ってるのも良い。

 

3位:PerfumeFLASH

COSMIC EXPLORER  

率直に言ってPerfume久々のキラーチューン。歌詞とダンスにあった裏テーマは「和」。それをいつものヤスタカサウンドとうまく融合させて「日本を代表するテクノポップグループ」としてのキャラをうちだしたのがうまくいった感じ。 Bメロからサビにつながる歌詞の詰まった部分が良い。あとアレンジ・メロディそれぞれに静と動のコントラストがよく出てた感じが良かった。

 

2位:CICADA×GOMESS「City Light」

リズムが面白くて、独特なグルーブ感がふんだんに感じられるところがとても良い。音源はライブ会場限定発売のCD-Rのみ。配信で売ってくれ〜〜〜

 

1位:POLTA「春が過ぎても」

HELLO AGAIN

作った尾苗愛さん自身がライナーノーツで言ってるけど、春が過ぎ「ても」。「ても」が良い。温かみを感じるメロディ、無駄のないアレンジ、後ろ向きなだけで終わらない歌詞。盛り上がる感じではないけど、淡々と何度も聞いていられる曲。というか僕が歌詞の内容を機にするということはそれだけ印象に残る曲だったということでもある。いろんなシーンで聞いたし、これからも聞き続けると思う。

 

去年「聴く手段が増えてたくさんの曲を聴くようになった分、印象に残った曲のセレクトが保守的になった」と言ったけど、今年はその「聴く曲がたくさんある」ことに慣れたのか昨年ほど保守的なセレクトではないように感じる。10個選べるかなと思ったら意外とホイホイ出てきて、今年も良い曲たくさんだったなあという感想に至った。

 そんなわけで、次はアルバムの方に行こうと思います〜。20枚選んだので前編後編で。

第5回アイドル楽曲大賞2016に投票しました

いよいよ年末ですね。毎年この時期になると1年を振り返る的記事を書いてますがそのトップバッター、アイドル楽曲大賞

 

第5回アイドル楽曲大賞2016

 

去年あたりからアイドル界隈をウォッチする気力が激減しており全く網羅できてないのは自覚している(そもそも網羅するのなんて不可能だけど)。それからこの大賞のランキングはだいたい「乃木坂・エビ中・Tパレとか所謂楽曲派と言われる人が好むアイドル」中心のランキングになるので集計結果にはあまり興味がない。ただいい機会なので自分の好みの振り返り・総括に使わせてもらってるという話。

 

御託は置いといて早速行くよ!一応自分の中の縛りとしては同じ部門では1グループ1曲、というもの。あと2010年前後のグループアイドルムーブメント以降の流れに乗っている人達から選ぶべきだという考えのもとPerfumeは毎年外してます。

 

メジャー部門

1位:欅坂46「世界には愛しかない」3.0pt

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2位:BABYMETAL「Tales Of Destinies」2.5pt

リンクはこちら(非公式) 

 

3位:わーすた「うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ」2.0pt

www.youtube.com

 

4位:清竜人25「LOVE&WIFE&PEACE♡」1.5pt

www.youtube.com 

 

5位:乃木坂46「サヨナラの意味」1.0pt

www.youtube.com

 

 欅坂46優勝!で終わらせてもいいんだけど。比較的保守的なセレクトになったような気も。BABYMETALの「Tales Of Destinies」はアルバム内で一番好きだったので東京ドームで聴けて嬉しかった。

 

インディーズ部門

 1位:amiinA「Atlas」 3.0pt

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2位:フィロソフィーのダンス「オール・ウィー・ニード・イズ・ラブストーリー」 2.5pt

www.youtube.com

 

3位:A応P「全力バタンキュー」 2.0pt

www.youtube.com

 

4位:Negicco「マジックみたいなミュージック」(0:48〜) 1.5pt

youtu.be

 

5位:WHY@DOLL「GAME」 1.0pt

www.youtube.com

 

毎年「インディーズ部門の方が豊か」という人は投票者の中に多いのだけど僕は逆に毎年こっちの方が選ぶの困ってた。なのでT-Palette Recordsがこちらに入ってくれてよかった。ただ、WHY@DOLLの曲はメジャーいた時(その後Tパレ移籍)のものなので、入れる時は若干の戸惑いがあったのは否めない笑

 

アルバム部門

1位:Negicco「ティー・フォー・スリー」 3.0pt

www.youtube.com

2位:BABYMETAL「METAL RESISTANCE」

www.youtube.com

3位:lyrical school「guidebook」

www.youtube.com

 今年は良いアルバムが多かった。ここに挙げた以外にもWHY@DOLLamiinA、sora tobu sakana等いろいろいいのがあった。しかし3つ選ぶとこれだな。リリスクの製作陣、アルバム作る時の構成力には毎度のことながら感心させられる。

 

 推し箱部門:lyrical school

他にありません。現場行く頻度は減ったけどやっぱ行こうという気になるしメンバーも魅力的ですからね。

 

今年は比較的外から見てる感じになってたアイドルシーン。「楽曲派はほぼ死滅してる中楽曲派(笑)という空気が残ってるのきつい」みたいなツイート見てなるほどなあと思ったけど、結果として邦楽ロックのリアクション画一化と同じ感じになってるところはある。とはいえ邦楽ロックの音作りも一時期よりは4つ打ち高速ロックは退潮した感じあるしアイドルシーンもこれから変わっていくんじゃないの、みたいなことは思います。それから過疎現場や荒れた現場ばかり話題になってる一方パフォーマンスで評価する声が多かったのが欅坂46ってのは味わい深い。来年は清竜人25が解散してしまうので行くところがますます少なくなるな。年末の欅坂46取れないの、残念であった……

 

業界の気持ちを汲みつつもチケット #転売NO にNOを唱える

最初の話が出てから随分経っているので今までの議論の繰り返しになるかもしれないけど、やっぱり書かずにはいられないと思ったので書く。

チケット転売NOとは、9月くらいに多くのミュージシャン及びプロダクションが連名で出した声明であり、とても簡単にいうと「各種転売サイト使わないでください」というようなもの。これが出て以降、ユーザー側や実演家側だけでなくオークション・市場取引などが専門の経済学者まででてきてそれぞれ主張をしてそれぞれの論が総じて賛否両論を巻き起こしている。なぜどんな論も賛否両論を巻き起こすのかというと、この問題が単純なチケット転売の是非だけではない、ライブエンターテイメントビジネスにとって根本的な複数の問題が絡み合った事案だからだ。なのでその辺を整理しつつ深掘りしていきたい。既視感ある議論が多いかもしれないけどご勘弁を。

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先に僕の立場を表明しておきたい。僕は所謂ダフ屋行為は許されないものだと思うのでもっと取り締まられるべきだしチケットキャンプをはじめとする非公式二次流通サイトの最近の広告攻勢は目に余るものがあると考えているが、そういったダフ屋行為を防止するために実演家側ができることはもっとたくさんあるはずだとも考えている。なのでこの宣言については自分達の怠慢をユーザー側に転嫁するとても残念な呼びかけだと捉えている。

 

さて、本件に関連する問題というのは一体どんなことがあるのだろうか。

  • チケットの値付けと販売システム
  • 関連する著作権料の制度
  • 公式リセール制度の不備?と二次流通サイトのスタンス
  • 本人確認や電子チケット

 ひとつひとつ解きほぐしていきたい。

 

 まず、なぜ高額な転売が起きるかというと、チケットを買いたい側の人が「このチケットを得るためならこれだけまでなら払う」と思う金額と実際の販売価格に大きな差があるからだ。こういう経済学の理論っぽいことを言うと怒る人がいるが、極めて抽象化するとこういう話にならざるを得ないのだから仕方がない。要は値付けの失敗だ。特に演者がよく見える最前列エリアの席は特に値上がりしやすく、販売価格と購入者側の考える価値との開きが大きいことがわかる。

これを助長しているのはJ-POPの多くのライブで行なわれている「ほとんどの席種で値段が同じ」である現象。1万人規模の会場でも1階最前列と3階最後列の価格が同じ、ということはザラだ。海外アーティストでは最前列エリアが一番高い状態で遠く・見辛くなるほど席の価格が安くなるようになっている。

この辺の話については津田大介さん・福井健策さんの対談にうまく話がまとまっているが、プレミアム席を作れないというのは実演家側の「観客を値段で差別したくない」というロマンティシズムもあるのだけど、著作権料の算出方法が影響している一面もある。JASRACのサイトによると、基本的にライブの著作権料は「平均入場料×会場の定員」に一定の比率をかけて算出されるもの。なので入場料を部分的に高くすると減収してしまう、というジレンマに陥ってしまう。この辺は修正されるべきだろう。まさに業界全体で考えるべき問題、というわけだ。(レンタルCDの話で調べたときにも思ったのだけど、JASRAC著作権料徴収・配分ルールははっきり言って現代の多様化した実演・視聴形態やデジタル時代に対応しているとはとてもいえないと感じる)あと、第1期BiSの解散ライブでチケット代1円の見えない席というのがあったけどこのシステムを逆手にとったものなのかな、とか。因みに洋楽の著作権料はJASRACが管理していないのでこのメカニズムは働かずそれなりに席種ごとに料金がわけて設定されるようになっている。

 今言ったような話を業界の人が認識してないのかというと全くそんなことはなくて、コンサートプロモーター協会会長のディスクガレージ中西社長はインタビューで「席種だけでなく曜日などからも柔軟に価格設定された方がいいのではないかなど考える時期だ」という旨を話している。じゃあなんで最終的にああいう声明になったんだという向きも出てくるが、そこはまあ利害者賛同者が多種多様すぎるのではないかと考えられる。事業分野が多岐にわたる会社の全社方針が全事業部門を意識しすぎて「がんばろう」的なスローガンめいたものになってしまうようなものだ。参加者が増えれば増えるほど全員を満足させる提案は難しくなる。ただ同じディスクガレージの人でも主張のトーンが違うのはどうなのかと思うけど。

まあそんなわけで中西さんの言うように色々考えるべき点があって人気公演では先行販売が事実上の一般販売になってる中で「先行→一般」の販売順序には意味があるのかとか、電子チケットを活用できないかとか色々話が出てくる。特に後者は後述。ただ、需給が水モノになる以上先行で確保できることにプレミアつけるのかが正しいか、安く売るのが正しいか、というのはどっちも成立するので一概にどっちが、という話でもない。ちなみに前者の観点に立つとチケット販売サイトの先行手数料も説得力を持つのだがそれはもうすでに一度書いたしここでは改めては触れない。興味がある人は下記記事を読んでみてくれれば。

tanimiyan.hatenablog.jp

そんなわけで値付けを高くして売るのが困難、となると需要と供給のミスマッチによる値上がりが発生しやすい状況になる。そこで出てくるのがリセール、という話になる。ただ、3大チケット販売サイトでリセールシステムを設けているのはぴあだけで、しかも定価のみとなっている。定価だけでも「行けなくなってしまった!」という自体への対応としても十分働くのだけど(特に近年は大箱ライブを半年以上前からチケット予約開始するケースも多々あるので尚更)、ここでチケットキャンプなどの「サードパーティ」転売サイトを使うと買った時より高く売れることもあるし、ピアの公式リセールよりも一目につきやすいし定価譲渡といいながら手数料取られるしそもそもあれ発券済みチケットには使えないから、てなことでチケットキャンプとかの方がはるかに使う気になる、というわけだ。それを追い風であるかのように捉えてチケットキャンプが(そうでないのに)公式のものであるかのように捉えさせるネット上の「〇〇のチケットが1,000円〜!?」というのは倫理的にはアカンやつだと思う。ああいうCMを打つってことは彼らも「非公式であること」がアキレス腱なのであるということがわかっているということなんだろうけど。

 とはいえ、非公式のものの方が公式のものよりも使いやすい、というよりも公式のツールや仕組みがえらく使いづらいというのはこの国のエンタメ産業が抱える問題でもある。この前宇多田ヒカルの「Fantôme」を買ったときに「プレイパス」というレコチョク謹製のアプリでスマホ用データ手に入るよってことで早速使ってみたんだけど、よく落ちるしライブラリの検索機能ないし使えないな〜という感想を抱かざるを得なかった。リセールもそうだし電子チケットもそうだ。ぴあやイープラスはそれぞれしか備えてないし両方備えている電通系のticket boardは取扱公演数がめちゃくちゃ少ない。じゃあPeatixとかがいいかと言われるとインフラ貧弱だしそれはそれで厳しいんだけど。そんなわけで最近は電子チケットはファンクラブ連動にしてファンクラブ運営業者がやったりしてる。サカナクションとかもそうだった。ただしそれだとファンクラブ入らない人にはその仕組みが使えないことになったりもするしやっぱり共通の基盤があった方がいいんじゃないかという気がしてくる。というか電子チケットのみならず本人認証の仕組みやリセールなど、各種チケット販売プラットフォームで揃えてパッケージ化してもらった方が行き渡りやすくなるだろうなと思うところ。そういったサービス料金への転嫁をきちんと説明すれば各種手数料だって長期的には受け入れられるのではないだろうか。

結局転売がどうだって話より、業界側がユーザー側に説明することを怠っているように見受けられること、ユーザー側の行動変化に期待しててシステムで縛ろうという意志が弱いあたりが問題の根源にある気がする。本気で解決したいなら、ロジカルに施策を打ってほしい。少なくとも現状ではユーザーに責任を丸投げする行為とも捉えられかねない。日本の音楽をめぐる環境が厳しさを増す中、ユーザーへの説明責任を怠ってはいけない。音楽業界は音源販売の規模が縮小しているのでライブで稼ぐ方向にシフトっていうのはすでに色々なところで言われている話だけど、値付けからしてビジネスとして未成熟な部分が多い。それに大規模ライブなんかだと半年以上前からチケット申し込みを開始しておいてその後行けなくなった場合のキャンセルなんかも受け付けていない、というのは一方的な面もあるしそこまで万難を排せる人以外は来なくてもいいですよと言っているような感じでもある。ここからライブが文化として落ち着くためにはまだまだやらなくちゃ行けないことがたくさんある。そしてそれはあくまでも実演家及びチケット一次流通会社が努力するべきところである。別に銭ゲバになるんじゃなくて長期的に顧客を繋ぎとめられる真っ当な商売をしてほしい。まずはそこからだから、今の状態での「転売NO」には私はNOと主張したい。