たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

ガラケーは強固な課金ビジネス

最近、東京にいる限りでは本当にスマートフォン(と言うかiPhone)をよく見る。本当に凄い。僕の周りでももちろん続々移行しているのだけど、中には移行しない人もいる。その人達は大体2パターンで必要性を感じていない人と移行したいけど何かネックになっている人。んで持って後者の人と話している内に、ここはガラケー強いよなって思うようになってきたのでその辺を背景含め考察するよというのが今日の話。

僕の友達に某国民的ロックバンドの大ファンがいる。どれが国民的やねんっていう声もあるのでヒントを出しとくと腕を広げて歌うのが凄く様になっているボーカルの方が所属するバンドなんだけど、とにかくチケットを取るのが大変だそうで、モバイル会員で長期間いるとそのサイトではチケットが取りやすいとか何とか。というわけでそこから離れることあたわずということで、スマホにするとチケットが取れず生き甲斐が失われるという危機を迎えることになる可能性があると。いうことだそうで。それなんてアイデンティティクライシス。

アイデンティティ

さて。そのバンドでは公式サイトをスマートフォンに対応させるかどうか検討中だけど、当面はしないようで。じゃあどうしてそうなのかなーとか考えてみた。やろうと思えば今でもできないことはないんじゃないかな。ガラケー用の有料課金コンテンツをスマートフォン/用にする方法は多分以下の二つがあると思う。

  • PCでよくやっているのと同様にIDとPASSを発行して会員サイト化
  • スマートフォン用アプリにして延長をアプリ内課金を使って支払わせる

でもどっちも最適解じゃあない。というかどっちの方法も不完全。だからこのバンドだけでなく多くのコンテンツ業者は公式サイトのスマートフォン対応に取りかからない。なんでかという理由をこれから3点挙げる。

①コンテンツ(特に画像)にDRMを付けられない これは前者の方に当てはまる。今の携帯電話サイトではダウンロードしたコンテンツはSIMカードの情報と結びついて。その携帯電話でしか使えないようになっている。しかしスマートフォンのコンテンツは基本的にPCと一緒なのでそんな縛りなどなく、ダウンロードし放題、ばらまき放題。これはコンテンツ業者的には非常に厳しい。

②かといってアプリにすると活用の幅が狭まる これは後者の方で、アプリ内でしか特典画像を閲覧できないようにすると、壁紙にしたりとか着信音にしたりとかが今までの携帯電話と同じようには自由にできないケースが多い。この辺はOSによると思うけど、iOSなんかはAPI的に割と厳しい。これじゃあ入ってもらっても長続きしないしApp Storeのレビューには☆1個が並んでしまう。

③クレジットカードが必要になる可能性が高い ①②はどちらかというとコンテンツ提供者側の都合だけど、最後はどちらかというとマーケティング的側面。前者のID発行の場合はまず間違いなくクレジットカードが必要になる。そして後者の場合はやっぱりクレジットカードがあった方がいいよねって話になる。例えばiOSの場合はiTunesカードかクレジットカードかの2種類しかないんだけど、前者を可能にしてしまうと、都度払いになっちゃって1ヶ月くらい飛ばしてもいいんじゃないのみたいな話をどう解決するかということになりそう。ちなみにAndroidは携帯電話料金とまとめることもできるので運用上は可能だったりするけど。 じゃあカードでいいじゃんと素直には言えないのがこの国の難しいところ。経済産業省の特定サービス利用動向っていう統計によると、2008年の国内でクレジットカード利用した購買活動の金額は30兆円。国民経済計算によると2008年のGDP家計部門が291兆円だから、約1割。お世辞にもよく活用されてるとは言い難い。因みにお隣韓国では半分くらいだそうで、日本のこの1割くらいという値は他の国と比べても圧倒的に低いみたい(アメリカも・カナダなども日本の倍以上ある)。さらに、JCBが実施しているクレジットカード利用動向によると、クレジットカードの所有率は20代で7割ちょっと(全世代的には85%強)。一番会員になりそうなところが一番会員になれなそういうちぐはぐな状態。日本人ってクレジットカード嫌いな人結構いるよねって話で、これでは会員あんまり来ないんじゃないかなという懸念がある。 あとカードでの個別払いにしてしまうと、明細に出てしまうのもデメリットかも。特に親や配偶者に払ってもらってる場合には。

そういうわけでお金払いやすいかどうかって凄く大事だなあと思うのです。そう考えると、auが今日の発表でついにAndroidケータイをバンバン出してきたのは、LISMO!とかEZナビウォークとかガラケーと同様の課金コンテンツをAndroidというプラットフォーム上で提供する準備が整ったからなのかなと思ったり。今日の発表を見る限り、auのアプローチは「ガラケーAndroid化」にどうしても見えてしまう所があって、これって不人気なKCP切り捨てる口実にするんじゃないかなと思うけど、そう考えると公式サイトのAndroid対応もauが一番最初にやってしまうのかも。今の公式サイトがスマートフォン/PCのコンテンツと比べてカネ取れるコンテンツなのかとか色々議論すべきポイントはあるけど、それはまた別の話。こういう所から見ると、今後国内携帯電話市場って意外と面白くなるかもね。