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レンタルCD業界のお話のちょっと続き~音楽を聴くインフラであることについての補足

Music 音楽業界レビュー・売上まとめ

というわけで、ものすごく大好評頂きましたレンタルCDの話。

レンタルCD業界の現状について調べてまとめてみた

こちらについて、ちょこっとやり残した話というか補足事項があったので、ブコメやツイートで触れられている話と一緒に総ざらいしていきたいなというところ。

●宅配レンタルってどうなの?

一番言及が多かったのが「オンライン宅配レンタルってどうなんだろうね」という話。今の国内の大手プレイヤーというと、TSUTAYA DISCUS、ぽすれん(GEO傘下)、楽天レンタル、Dmm.comレンタルの4つがある。まあお恥ずかしい話なんだけど、僕は使ったことがなかったりする。大体間近にあるTSUTAYAでほぼカバーできていたので。とはいえ、そこにない高橋幸宏のニューアルバムを借りようと思って各社のを見てみたんだけど、さくっと借りられそうなのは楽天ぽすれんなのね。スポットでは借りられるラインナップに制限をかけたりとか、結構各社色々苦労してるのがうかがわれる。

ただ、今回の話はそこじゃなくて、実際にどのくらいの存在感なのかという話。しかしこれまたセグメント別の売上とかが出て無くて分からないのが現状。ただ、上記の話じゃないんだけど、基本的にオンラインレンタルで「DVDのおまけ」色が強くて値段も高めなところがあり全般的に各社そんなに力を入れてないんじゃないかという印象をうけた。

因みに、宅配レンタルはJASRACへの報酬支払いにおいてどういう扱いになっているかだけど、このサイトの資料によると、「貸出件数が計測不能な場合」という風に扱われていて今でも回数ベースで報酬支払いをするようになっている。レンタル1回につき36円、JASRACさんにお支払いしている。

まあここはちょっとした余談みたいな話なので軽く流して次へ。

●音楽の入手チャネルは変化しているのか

この前のJASRACの分配金のグラフを元に2011年まではレンタル回数を計算できるんじゃないかという指摘が あった。まさにその通りなんだけど、条件がちょっと複雑になるのだ。実はこの報酬支払い条件ははるか昔に出来た物のため、LPレコードを借りた回数が基準になっており、CDアルバム1枚は1.2回、ミニアルバムは0.5回、CDシングルは0.3回と算定するようになっているのだ。そしてそれぞれのメディアの種類がどれくらいの割合で借りられている結果この値になっているかなんて全く明らかになっていない。とはいえそれでは話が終わってしまって大変残念なので、とりあえず仮で比率を置いてみることにする。アルバム:ミニアルバム:シングル=2:1:2としてみよう。アルバムの比率はもう少し高いのかもしれないけど、まとめ借り200円の対象外ながら回転率の高いシングル需要も底堅いと考えられるのでとりあえずこんなもんとしておく。まあ雑な計算だけどそうするとCD1枚あたりの係数は0.7となる。そしてJASRACのサイトによると古いレギュレーションでは100,000回のCDレンタルで360,000円なので、係数1のレコードレンタル1回あたり36円のJASRACへの報酬支払いがある、と。この両者をかけると、CD1枚借りると平均して25.2円JASRACに行く、ということになる。なので前回のグラフに出て来た数値を25.2で割ると、CDが借りられた枚数が出てくる。

これだけでは面白くないので、CDの販売枚数とインターネット配信、着うた系モバイル楽曲配信(あくまでもフルサイズのシングルトラックのみで30秒ものやメロディコールなどは除外)のダウンロード数も一緒にグラフ化してみることにした(出典は日本レコード協会の「日本のレコード産業」)。例によって2012年のCDレンタルのデータがないのは残念。そして配信のデータを取り始めたのは2005年からなのでちょっと中途半端になっている。

volume

CDのレンタル数というのは2011年で大体CDの販売数の半分くらい、と言ったところだろうか。やはり結構な規模で、やはり「音楽を安く聴くインフラ」と数字でも言えるなあと。この辺の話、この前は字数の都合と計算どうするかで言葉にしつつもきっちり論証せずにさらっと流しちゃったから今回一番書きたかったところ。また、CD販売に比べるとCDレンタルの落ち込みはそんなでもない。これがある種の「レンタルで十分だし」へのシフトなのかもしれない。そしてダウンロード販売が最近伸びているということが分かる(サブスクリプションと食い合っているのでこのままだと今年をピークとして頭打ちになる可能性が高いけど)。そして着うたがちょっと一世を風靡したあと死んでしまっているのはもう今まで散々語り尽くされてしまった話。ここまでは今までのこのブログの記事(これとかこれあたり)と前回の記事でわかる話。

ここで一つポイントなのは、ダウンロード販売の構成比は期間平均でシングル:アルバム=約17:1となっており、CDのシングル:アルバム=1:4〜1:2、レンタルの先ほどの比率に比べると圧倒的にシングル比率が高いこと(着うた系は構造上1曲単位の販売しかないのはいうまでもない)。そして、このシングルは「シングルトラック」つまり1曲単位の購入であること(シングルCDでもたいてい2曲くらいは入ってるからね)。つまり、ダウンロードの伸張は確かにあるのだけど、単曲中心の薄く広いライト層的な購買が圧倒的マジョリティであり、CD購入やレンタルに比べると「たくさんの音楽との出会い」にはなりづらいということ。この点はデジタル移行がより進んだアメリカではより顕著であり、その結果、こんなことが起きている。

アメリカ人はもう音楽には興味無し!? アルバム週間売上枚数が過去22年間で最低を記録

「もう音楽に興味なし!?」というタイトルは煽りだと思うんだけど、それはさておきストリーミングなどによるアルバムの「アンバンドリング」は本文中でも指摘されている。iTunesには「コンプリート・マイ・アルバム」っていって先行シングルを買ってあるアルバムは差額を払えば残りの曲をダウンロードできるという親切な制度があったりするし、Spotifyなんかでもアルバム丸聴きはできるとのことなんだけど、それでもこの結果な訳だ。後者に関してはメタリカも楽曲提供してからいきなりSpotifyにシフトされたという話があるくらいなんだけど、これはある意味Spotifyがアルバム聴く人を増やす潜在的な効果がある「可能性がある」ということも言える話。そういう意味でも、単曲ダウンロード購入モデルだけでは「これからはオンデマンドの時代だからレンタルなんて時代遅れ」という風にはまだ足りないよなあと。とはいえ、Spotifyなどのフリーミアムモデルも立ち上がったばかりでその有効性を疑問視する声を上げるミュージシャンもいたりでまだまだ先行きはわからない。

とはいえ、アメリカでラジオが果たしてきた役割を日本ではレンタルCDが果たしてきたところがあって、しかも値段安く聴けるインフラとして機能してきたんだということが、数字の上でも改めてわかる。ただ安いので産業的にどうかというとなかなか難しいところで。ここでさっきのグラフで使ったレンタルCDの貸し出し枚数にむりやりながらCD1枚200円をかけてみる(シングルは200円未満だから大手チェーン以外や5枚適用外での貸し出しを平均するとこれでいいのではないか)ことでCDレンタル単体の市場規模を出して、他のチャネルのものを金額ベースのものに変更して比較。

salesbychannel

単価安いから産業としてはインパクト薄いし、たくさんのミュージシャンを抱える規模にはならない。まああくまで補助的な手段かな。しかしダウンロードも まだまだこれからというところだなあ。しかしそれだけにサブスクリプションと食い合っちゃってるのが痛いというか、こういった形態で音楽に触れる層の全体のパイがまだまだ十分な規模に広がっていないなあという感じ。これでフリーミアム型に移行しようぜ!というのには一抹の不安もある。

あと結構見かけた「レンタルCDを店舗で5枚探すの辛い」という意見。この話って二つのレイヤーがあって、「店舗設計の問題(ものが探しづらい、密度が過剰なため窮屈で快適に探せない)」というのと「5枚も借りるほどの選択肢ない(そんなに音楽知らない)」の二つに分類できると思う。前者に関しては店舗マターだけど、確かに棚がやたら高かったりとちょっと息苦しいよね。自分も昨日行って思った。後者については、この前の記事では「そのためにネットユーザーの少ない地方ではオムニバスがやたら置いてあるのだ」という話になったけど、ネットを経由してこの記事を読んだのであれば、せっかくなんでこのブログの他のページや言及してる他の人のブログ見てみてはいかがでしょうか。超手前味噌だけど。笑。最近のJPOPもいっぱい良い曲ありまっせ。最近当ブログではNHK Eテレの「亀田音楽専門学校」っていう番組で紹介されたテクニックを実際に使っている曲を紹介するという記事を毎週書いているんだけど、意図的に最近の曲を多く紹介するようにしているのでぜひ見てみてくださいませ。

というわけで今週放送分の記事書かないとね〜。(ネタはもうほとんどできあがっているので明日にはアップできる予定)