たにみやんアーカイブ(新館)

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「ソーシャル・ネットワーク」はギーク向けの映画ではない

今日は休みだったので、ニンテンドー3DSの予約を颯爽と(というほどではなく時間がかかったが)済ませて、話題になってる映画「ソーシャル・ネットワーク」を見に行ってきた。題材がFacebook。主人公のマーク・ザッカーバーグは2010年のアメリカTIME誌の「Person Of This Year」に史上最年少で選出。すでに昨年秋頃から複数回試写会が開かれていたこともありTwitter界隈では話題になっていたし、日本での公開直後にゴールデングローブ賞を受賞と、話題性は今一番高い映画。

というわけで見てきた感想。ネタバレっぽいところがあるかもしれないけど、元々がノンフィクションの話なのでそこはご容赦を。

まず、題材が世界最大のSNSであるFacebookということなんだけど、その辺の技術的うんちくとかそういうのを求めてこの映画を観ると思いっきり肩すかしを食うし、ネットビジネスの成功談とかそういうのを求めて見ても首をかしげることになると思う。じゃあ何の映画なんだろう。見終わってからずっと考えていた。色々考えた中で思ったのは、多分青春群像劇+ビジネスバトルのドラマなんだろうなって事。若者達がアイディアを持ち寄ってビジネスを成長させていく中で色々出会ったり争ったりなんだりしていくっていう話。本当は成長物語みたいな要素も入るんだろうけどこの映画にそういうのは無い。なぜかっていうのは後述。

僕が面白いなあって思ったのはアメリカの若者の今の姿をふんだんに描写しながら話を進めてたなあっていうところ。登場人物が殆ど大学生なので当たり前なんだけど、アングラな感じにならず、平均的な感じで楽しく生活している若者の姿がそこかしこに出てくるのが面白い。それから、アメリカってわりと欲望を前面に出すことを肯定してるんだなあっていうことを感じた。最初にザッカーバーグがブログに罵詈雑言を出すのはどうかと思ったけど、ナンパするためにSNSつくろうとか(実際初期のFacebookはそういう使い方をされてたらしい。後日紹介する本に詳しい。)、アイディアからサイト作ったらすぐにビジネス化しようとか。その感じはいいよなあって思う。逆にこういうのを見てると日本ではなかなか若い世代から新しい物は出てきにくいだろうなあって気もする(最近は慶應とかで学生起業とか学生時限定起業みたいなのもやってるような話は聞くけど)。

というところを観察しつつ、ところどころに挟まれるIT小ネタ(わからなくても全く問題ない)に一人笑いながら見ていたんだけど、この映画はマーク・ザッカーバーグの視点で描かれてないんだよね。主人公なのに。というのはこの映画は基本的にエドワルド・サリバンの視点で描かれているから。なのでザッカーバーグの成長物語なんかにはなっていないのは当然の話。しかもザッカーバーグが受けた訴訟から紐解く形でFacebookの歴史を描いているので、予備知識無しでこの映画見た人はザッカーバーグにいい印象持たないんじゃないかと思えるくらい酷い描かれ方をしてると思う。この構成自体はうまいと思うんだけどね。あと特筆するべきはものすごい詰め込み感とセリフの速さ(特にザッカーバーグ)。このセリフの速さがポイントだね。ギークっぽさとかを演出しているし、内容がすごく濃いのを圧縮している感、早回ししている感が出ていて、結果的にテンポのいい映画になっている。

原作は↓みたい(映画見た後に行った紀伊国屋で知った)。

facebook

まあFacebookについては今読み進めている本があって、そっちの方が資料としての客観性・有用性はあるんじゃないかと思うけど、それを元に映画にするととてつもなくコアな物になってしまいそうだ。でもその読んでる本は非常に良くできてるので読み終わったら紹介したい所。

ジャスティン・ティンバーレイクショーン・パーカーとか配役も結構しっかりしていて。出来は普通にいい映画。Facebookユーザーじゃなくても十分に楽しめる娯楽作品だと思う。おすすめ。