たにみやんアーカイブ(新館)

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亀田音楽専門学校SEASON2のケーススタディをしてみよう〜#04「お客様もアーティストです」

毎週恒例アップの亀田音楽専門学校ケーススタディ第4回です。今シーズンは週末の間に上げられないことも随分あると思いますがご容赦くだされ。特に次回とか……

過去の記事はこちら。第1回 第2回 第3回 第1部の最終回

さて、第4回は前回に引き続きmiwa先生を迎えて「お客様もアーティストです」。ということで最近の夏フェスとか色々踏まえた話題。講師がmiwa先生なのに合わせて今っぽいトピックをガンガン入れてきていますね。例により今回も前半で講義のポイントを説明して後半部分でケーススタディやりますよ。しかし前回に増して今回は今っぽいトピックなので完全にケーススタディは補足にしかならないよなあと言う気もするんだけど、気にせずやりましょう。

●講義の内容

シングアロングとは

最近のJ-POPで流行ってる歌の傾向があるんですよ、と導入。そこで例として今年の歌を何曲か聴いてみることに。サザンオールスターズ「東京VICTORY」ナオト・インティライミ「The Woeld is Ours!」ウカスカジー「勝利の笑みを君と」SMAP「Top Of The World」、そしてmiwa「君に出会えたから」が流れる。

上記に挙げた曲は聴いた曲には「WOW WOW」とかかけ声が入っていてみんなで歌うと盛り上がる。客が歌うことで曲が成立する、いわゆる「シングアロング」である。miwa先生曰く、「君に出会えたから」は夏フェス向けに作った曲で自分たちを見に来てくれる人達だけではないから一体感を出すために作ったとのこと。また、亀田校長から追加の指摘として今年はソチオリンピックやブラジルワールドカップがあったことも影響しているのでは?と。一体感が気持ちいいシンガロングだが、向いている曲があるという。具体的には下記。

  1. 1具体的な歌詞が無い 歌詞が無いから覚えなくてよい
  2. 自分に合ったキーで歌える 男性キーと女性キーをわけて作ったりもする。合わせて聴くと、色々な人が色々な声で歌うから音の層が出来るのがとても気持ちいい。

逆に、具体的な歌詞が無いにもかかわらずシングアロングに向いていない曲もある。その例として由紀さおり「夜明けのスキャットさだまさし北の国から」の2曲が流れる。この曲はどうしてシングアロングするような曲じゃない。ではどうしてなのか、という理由が下記。

  1. マイナーのメロディ
  2. テンポがゆっくり
  3. メロディが細かい

実習として「亀田音楽専門学校校歌」にシングアロングできる応援歌を足してみることに。一度作ってみたけどメロディが細かすぎてちょっと盛り上がりが足りない感じに。そこでメロディの音符数を少なくしてみたら上手くいった。上記の条件が裏付けられた、というわけ。

miwaが選ぶシングアロングの名曲

  • V6「WAになって踊ろう」 キャンプなどでみんなで歌った曲。
  • SMAP世界に一つだけの花」 みんなで歌うイメージが強いし、サビも覚えやすい歌詞だからサビは全員で大合唱
  • 西野カナ「We Don't Stop」 今年の曲。わかりやすい。瞬間的に覚えられて即効性がある感じ。

シングアロング J-POPならではのおもてなし術

最近のJ-POPでは、このシングアロングが更に進化しているのでその例を紹介。まず1曲目の例はMr.children「Gift」。この曲では最後のサビの部分で歌詞を無くしてシングアロングにしている。つづいてはアイドル楽曲。モーニング娘。LOVEマシーンAKB48「前しか向かねえ!」。この2曲では合いの手を入れてそこで観客も巻き込むような工夫をしている。これはいう方もいわれる方も楽しく、楽器の音を消してやってみたりすることもあるそうで、お客さんが参加して完成するような作りになっている。最後は歌詞に振り付けを付けたりするパターン。きゃりーぱみゅぱみゅ「つけまつける」キング・クリームソーダ「ゲラゲラポーの歌」この二つは歌詞に合わせた振り付けで「ダンスアロング」している。共に歌詞が謎なので追いかけたくなってくる効果も。miwa先生もそういう曲がある、ということなので、その曲「It’s you」でどういうことをしているか実演してもらうことに。「C」と「you」をお互い指してやることで一体感を覚えるというしかけだ。

https://www.youtube.com/watch?v=m8P4WR20bJU&start=292

まとめ

ライブでみんなで一体となって盛り上がれるのは一番の喜びなんじゃないかとmiwa先生。シングアロングは時代と共に進化してきて、日本人が大事にしている繋がりや絆を実感できる音楽の形でしょう、と校長。

●補足・コメント

いやあ、ほんと増えたよね、シングアロング。個人的にはそんなに好きではないんだけど、ちょうど時代がそういうのを求めていたということなんですかね。スポーツイベントが重なった歳だから、というのはなるほどどだけど4年前はどうだったのだろう。

完全に余談だけど、さだまさしの「北の国から」をシングアロングできるリミックスをした人がいるんですね。それは中塚武さん。渋谷系ファンの人なら知ってる人もいるかもだし、アニメファンの方には「きんいろモザイク」の主題歌「Your Voice」を作った人(因みにあれは原曲が最高すぎるのです)として知られているかも。この「Your Voice」と同じアルバムに収録されているのがこのリミックス。

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因みに、たまたまアルバム制作中に隣のスタジオにさださん本人が来ているという情報をキャッチして直にお願いして即OKをもらったらしいです。

因みにコールアンドレスポンスに関する言及が無いのは、あれ自体はオリジナル音源を作るときにどうこう考える物じゃ無くて後でライブでやるときに考えるような物だから、ということでしょう。

ケーススタディ

そんな訳で既に今年の曲がたくさん出ちゃってるけどめげずにやりますからね!

androp「voice」

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この人達のライブ特番を先日WOWOWで見たけど、シングアロングを頻繁に使ってるのね彼らも。この曲はイントロからシングアロングが使われてて、即効性重視な印象がある。miwa先生の「君に出会えたから」やCzecho No Republicの「Amazing Parade」なんかもそう。1曲目にやるとがつんと盛り上がる感じですね。

MAN WITH A MISSION「FLY AGAIN」

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いつの間にか強大な集客力を獲得して、世界進出までしてしまったこの狼達。サビのところで振り付けをさせながら「yeah, yeah wow」って合いの手を入れさせるという、おもてなしパターンの合わせ技。そして気付いた人多いだろうけどこの曲4つ打ちなのですよ。まさに「今、ウケる要素」がすべて詰め込まれているJ-POP。ファンの中にはJ-POP呼ばわりすると怒る人結構いそうだけどミクスチャーロックを標榜する割に音が軽いので仕方ないと思う。

なんか微妙な終わり方になりそうなので、僕の好きなシングアロング曲を1つ紹介して終わりましょう。

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さて次回はスキマスイッチ先生をゲストに迎えての「恋するコード学~純情編」。そういえば、複数名での講師は初めてでは?