たにみやんアーカイブ(新館)

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亀田音楽専門学校SEASON2のケーススタディをしてみよう〜#10「タタタのリズム学」

毎週恒例アップの亀田音楽専門学校ケーススタディ第10回です。12月になって残り放送予定も全部発表されましたね。最後のゲストはクレイジーケンバンド横山剣さんのようです。

過去の記事はこちら。第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第1部の最終回

さて、第10回は前回に引き続きゆず先生を迎えての「タタタのリズム学〜3連さんいらしゃ〜い!」。タが3つあることが大事ですね。

●講義の内容

3連のリズムとは、1拍を3つに割ったリズム。例として大杉久美子ドラえもんの歌」、サザンオールスターズ「栞の手ーマ」、DREAMS COME TRUE「晴れたらいいね」木村カエラ「リルラリルハ」が流れる。楽譜を見ると3連符が連続で使われている。4分音符を3つに割ったのが3連符。因みに2つ割では8分音符になる。音符と音符の感覚を、4分音符では1とすると8分音符では0.5,3連符では0.33となる。最後の音符が前のめりの効果をもたらし、曲に推進力を与える。ゆずもよく使っており、割とエモーショナルなときに使うことが多い。これは音が多くなることによる物。また、亀田音楽専門学校の校歌を3連リズムで歌うと、軽やかな印象になった。また日本ではお囃子のリズムが3連符であり、意外に3連のリズムは日本人に合ったリズムなのではないだろうか。炭坑節や水戸黄門のテーマ曲なども3連のリズムであり、体をゆらす効果がある。

3連リズムの効果的な使い方その1:メロディーの余韻をたっぷり取る

松田聖子SWEET MEMORIES」、加山雄三「君といつまでも」の2曲が流れる。メロディに隙間があるので、聴いている人に情景を思い起こ指せる効果がある。三連符を使ったメロディーで歌詞を詰め込んで説明し、余韻で情景を連想させるという緩急つけたような効果がある。因みに、日本語では一人称が3文字のものが多く、これらは3連リズムと相性がいい。

3連リズムの効果的な使い方その2:歌詞を詰め込む

ゆず「嗚呼、青春の日々」、尾崎豊「卒業」が流れる。3連符を使うと詩を読むように歌えるので言葉を詰め込める。歌詞が字余りでも3連リズムなら詰め込むことが出来る。歌詞を詰め込むことで切迫感やほとばしる青春感が表現できる。

3連リズムの効果的な使い方その3:シャッフルビート

槇原敬之「冬がはじまるよ」。かなりテンポが速くなってくる。シャッフルビートとは、3連の真ん中の音符を抜いたリズムで、ハネながら前に向かう強い推進力がある。「冬がはじまるよ」はサビの最初にはシャッフルのメロディを使わずに曲にメリハリをつけている。

ゆず先生が選ぶ3連リズムの名曲

  • 大瀧詠一君は天然色」 まさに3連。ピアニストは相当辛いと思うだろうけど、終始三連符でピアノ伴奏。しかし歌はそうでもない。
  • 椎名林檎罪と罰」 情熱というか情念を感じる曲。情念が3連符によって色濃くされている。
  • 中島みゆき「時代」 郷愁感や切なさを感じさせつつも強さもある曲。サビの最後では3連リズムとコードを一つずつ対応させて曲の終わりへ持ち込んでいく。非常に細やかに作られている、J-POPのパイオニア的な曲。

まとめ・総括

3連リズムはお囃子の頃から使われているリズムで、J-POPの歴史の中で色々な気持ちを表現できるように成長してきた。新しいタイプの3連の解釈がまた出てくるのではないだろうか。そしたら楽しいね!

●補足・コメント

今回の授業は理論と実践とがうまくミックスしてて面白かったですね。シャッフルビートは3連符と意識してなかったので色々発見でした。 16分とカニしてひたすら細かくするのではなく3連符くらいにしておくのがジャストなんだろうなあ、とか。

ケーススタディ

それではケーススタディ。番組で示された例に沿っていってみましょうか。

言葉に余韻を作る:Especia「くるかな」

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大坂堀江のアイドルグループ(堀江系ガールズユニット、というのが公称)Especiaの今年リリースされたアルバム「GUSTO」の収録曲。深夜のアーバンな風景を連想させるまったりとした味わいのある楽曲が特徴だったりするんだけど、これはその典型的なパターン。終始ハットが三連符を刻んでいるのでわかりやすいんじゃないかな。その一方でゆったりとしたテンポでメロディもそんなに細かくないので余韻を感じさせる感じの曲に仕上がっている。そして、サビの頭の歌詞が「ものがたりは〜」など3連×2で最後を伸ばす形。リズムをきちんとメロディに落とし込んでる。

言葉を詰め込む:星野源「化物」

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今シーズン2度目の登場となる星野源。これは昨年亜発売のアルバム「Stranger」の1曲目ですね。サビの終わりの「化けた僕をせり上げてく」という部分が3連符。この曲はアルバム制作直前にくも膜下出血で入院していた彼の「生への執着」が歌われていて、この部分が3連符になることで、「生への執着」が寄り強調される役割。星野源はこういう3連符を活用するパターン結構あったような気が。

シャッフルビート:モーニング娘。'14「What is LOVE?」

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モーニング娘。'14の今年1月に発売されたシングル曲。この曲の特徴は「テンポが速い」こと。番組中で例として挙げられた槇原敬之の「冬がはじまるよ」じゃBPM132だけど、この曲はBPM190超の高速シャッフルビート。なのでより細かい。そんでもってサビの最初の「たった(ひとりの〜)」のところはまさに3連符の中抜きのリズムを歌メロに落とし込んでるわけですね。

そしてつんく♂さんがその手法を更に突き詰めたのが℃-uteの11月に出たシングル「THE FUTURE」。

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これもまた「What is LOVE?」同様の高速シャッフルビート。Aメロでも「羽ばたけない」のところで三連符と合わせたフレーズを詰め込んだりサビのメロディに過剰に言葉を詰め込んだりと更に色々やっている。この辺はハロプロで一番スキルが高い℃-uteだからこそ出来るんだろうなあということもあり、今年の三連符大賞はこの曲と言うことでw

 

さて、次回はクレージーケンバンド横山剣を迎えて「トドメのメロディー学」。 J-POPのメロディーの最後2つの音に注目するそうですよ。まさに締めっぽいテーマに。でも番組はそこからもうちょっとだけ続くんじゃ。