BABYMETALのルーツたるヘヴィメタルを掘り下げてみよう〜その6「Road of Resistance」

あのシリーズが帰ってきたぞー!!!!

BABYMETALの新曲がロンドンで披露されてから2ヶ月、トレイラームービーが公開されたので見てみたらこれやっぱり今まで通りにBABYMETALらしい曲だと実感しました。何がって今までのメタルのいろんな要素が詰め込まれた曲である、という本質は変わっていなかったということ。大物のフィーチャリングもあって一点で注目されてる(もちろんそれは正しい)けど、決してそれだけじゃないし、それ以外を知ると超楽しいはず。というわけで、今回もやってしまいます、元ネタ探訪の旅。もちろんここに書いてある以外にもあるはずなのでこれ読んで面白いなーと思ったメタラーの方はじゃんじゃん探していきましょう。

昨年のMステでの披露曲をはじめとした今までの曲の深掘り記事はこちら。

そして、今回のテーマはもちろんこの曲、「Road of Resistance」。昨年11月のワールドツアーファイナルのロンドン公演で初披露された曲です。

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因みにこの曲の入手法は、1月7日発売のライブアルバム「LIVE AT AT BUDOKAN ~RED NIGHT~」の初回限定盤に添付されているミュージックカードでダウンロードするか、もしくはiTunes Store等で当該アルバムを購入するかのいずれかです。CDの通常版には付属しておらず、単曲買いも出来ないので注意。まあこのアルバム臨場感とか凄くてめちゃめちゃ音が良いからおとなしく買っとこう!!

 

●DragonForce参上!

トレイラームービーが公開されたらすぐに、メタルに親しみのあるファンが口々に叫びだした。「これ、めっちゃDragonForceっぽい!!」そうなのです。なぜなら本人が参加しているんだから(もちろんわかった上で言っている人が多いとは思う)。そう、この曲にはイギリスのメタルバンドDragonForceのギタリストであるハーマン・リとサム・トットマンの2名が参加しているのです。そのため、この曲は彼らの音楽性を反映した超直球のメロディック・スピード・メタル(世界的にはパワーメタルという呼称が一般的、BABYMETALで他にこのタイプの曲は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「紅月」の2曲)に仕上がっているわけです。しかも後半のシンガロングもあいまって、コテコテのヘヴィメタルアンセムになっているわけです。

さらにこの曲はDragonForceの代表作としても名前が挙がることの多い2006年発売のアルバム「Inhuman Rampage」の頃の音をイメージして作られているようです。そもそもドラフォの特徴はなんなのかというと、とにかく「音数が多い」こと。そして「テンポが速い」事(因みにギターソロが2〜3分くらいあるということも挙げられるんだけど、それはこの曲には継承されてないです。よかったw)。とにかくぎゅうぎゅうでてんこ盛りなんですね。その辺が一番表れてるのがこのアルバムだから、でしょう(最近の作品では疾走感が薄れて売上が落気味)。実際にプロデューサーKOBAMETAL氏は「ヘドバン」のVol.1でこのアルバムをおすすめメタルアルバムとして挙げているし、彼等にとってもこのアルバムとその前・後あたりが商業的にも最も成功している時期と言える(僕もこのアルバムが一番好き)。

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ちなみにDragonForceは去年の秋に日本最大級のヘヴィメタルフェスであるLOUD PARK に出演するために来日したんだけど、下記の通りライブが10月18日なのにかなり余裕を見て10月14日に来日しているので、この間にレコーディングしたと推測されるところ。

因みにBABYMETALの曲に著名メタルミュージシャンが参加するのはこれで2回目。前回は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」に元アーチ・エネミーのクリストファー・アモットが参加している別バージョンがある。なので、正規バージョンへの参加は今回が初ということになる。ただしあくまでサムとハーマンはギタリストとして参加しているわけで、作曲をしたりしているわけではない。この曲を作っているのはMish-Mosh(いいね!作曲)/NORiMETAL(メギツネ作曲)/KYT-METAL(イジメや紅月のアレンジをしている教頭?)なので、KOBAMETALから「Inhuman Rampageみたいにしたいんでよろしく」みたいなディレクションがあったのではないだろうか(そして、やはりKOBAMETALによる徹底した作り込みによってBABYMETALの曲が作られていることを実感する)。

●まだ沢山あるメタル小ネタ

そんなわけで「ドラフォっぽい!!」というのが大方の感想で、僕も最初からそんな感じで聴いていたんだけど、よくよく聴いてみるとそれ以外にも色々仕込まれているではないですか。それでこそBABYMETAL楽曲!ということで、その辺の小ネタを分かる範囲で拾っていきましょう。

まずタイトルの「Road of Resistance」。これは超推測だけどメタリカが昨年出した新曲「Loads Of Summer」をもじってるんじゃないかな、と。RとLで意味も全然変わるけどこれは日本人的な感覚で。

そしてAメロの所々にはさまれている「Die!」って聞こえるシャウト、これもメタリカの「Creeping Death」の物でしょう(動画では3:10辺りから)。

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メタリカネタ以外だと最初のスローペースなところのブラストビートト入りのフィル。割と多用されがちなパターンだけど僕はSoilworkの「Stabbing The Drama」のイントロを連想した。あとは後述するメタリカの「ONE」かな〜。ONEの締めの部分はそのものズバリかも。

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それからトレイラーでは入ってないけど最後のサビ前に「STAND UP AND SHOUT!!」って言ってて、これはDIOの同名曲からの引用ですね。

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その直後「And the Justice Forever」みたいに言ってるけどこれはメタリカの「And Justice For All...」なのかな?

あと振り付けなんですが、重要なのは2点。

まずイントロの乗馬のような仕草。こういう風にむち打つ仕草を英語で「Thrash」というんですね。勘の良い方はお気付きでしょう。そう、スラッシュメタルのスラッシュです。今年の夏にイギリス・カナダ・日本のフェスでBABYMETALは「スラッシュメタル四天王(BIG 4)」であるメタリカメガデス・スレイヤー・アンスラックスの4者と相見えてるんですね。この振り付けは、そのスラッシュメタル四天王に敬意を表した・もしくは何かを継承した証みたいなもんなんですかね。この曲が出るまでのRPGかのようなストーリー付けからするとそれくらいの盛りつけはあるんじゃないかな、とか。

それから、Bメロの2回目の「NOW IS THE TIME」繰り返しでやってるカメラフォーカスみたいな仕草の元ネタはこれかな(26秒あたり、他の仕草も取り入れられてる?)。

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これはどういうことかというと下記動画参照。

https://www.youtube.com/watch?v=aVn5nbQmuyc&start=285

ロンドン公演のFanCam動画です。「Road Of Resistance」が初披露される前のイントロの動画。ちょうど再生開始のタイミング合わせてるところでおわかりだろう。

We are all alive. We sing because we are alive. We are all still alive. We offer FOX SIGN because we are still alive.

そう。

僕らはみんな生きている 生きているから歌うんだ 僕らはみんな生きている 生きているからフォックスサイン

というわけ(一応この和訳でもメロディに合わせて歌えるようにはなっている)。

因みにこのイントロ映像の最後で「THE ONE」という言葉が反響音的にリピートされ続けてきたことから、この曲はタイトルが発表されるまでファンから「THE ONE」という仮タイトルで呼ばれていた。BABYMETALの2015年次のファンクラブ名称でもある「THE ONE」、由来はもちろんメタリカの「ONE」。

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といってもまだまだ法螺貝とか(戦闘といえばRhapsody OF FIRE辺りが怪しいかなと思ったけど少なくとも初期作にはなかった) 無数のネタがまだまだ転がっているはずのこの曲。本当にこれ1つだけでいくらでも語れてしまいそうな気がするし、こういう要素がちりばめられていてこそBABYMETALだなあと改めて実感。そして、今年もBABYMETALが面白いことやってくれるだろう、という予感に満ちた一曲。さいたまスーパーアリーナのライブで観るのが楽しみ。

●J-POPの海外進出とこの曲の意義

最後にもうちょっとだけ。この曲にはドラフォのメンバーが参加したということ以上に大きな意味があると考えている。というのはちょうどこの曲がロンドン公演で発表される辺りの時期に読んだ本とリンクしている話。

「ポスト「J-POP」の時代」と銘打たれたこの本、2014年の4月に行われたいきものがかり水野さん、livetuneのkzさん、音楽ライター柴那典さん、現代思想家の宇野常寛さんの4名の対談を収録した物。この中でいわゆる「クールジャパンの世界進出」について印象的な会話が出てくる。

kz (略)アジアで僕がDJやると2千人規模、あるいはきゃりーぱみゅぱみゅがラスベガスでやって5千人規模の集客があるんです。「KAWAIIカルチャー」というくくりで輸出をしている状況がある。ただ、Maxの値が多分そのくらいだと思うんです。 宇野 僕もそう思います。これって何が弱点かというと、凱旋モデルな点ですよね。海外で評価されたからきゃりーは凄い、という形で日本に帰ってくる。もう一度J-POPを盛り上げようというわけですよね。

この話を踏まえた上で重要なのは「BABYMETALが新曲を発表した場所がロンドンである」ということだ。もはや凱旋モデルではなくなりつつあるのではないか。この後柴さんがアヴィーチーなどを引き合いにして進出とかそういうのではなく突出することの重要性を述べているが、もしかしたらBABYMETALはそういう風になりつつあるのかもしれない、そう思った。月並みな言い方だけどナンバーワンというよりオンリーワンというアプローチで。ただ、BABYMETALもロンドン・ニューヨークで5000人のライブをやったばかりであり、その壁を越えられるかは、今年の活動で試されることになるのは間違いない。

 

何にせよメタルレジスタンス第3章は始まったばかり(あるいは1月10日のさいたまスーパーアリーナ“新春キツネ祭り”から始まる)。これがいつまで続くのか、そもそもメタルレジスタンス自体が何章まであるのか(THE虎舞龍のロードよりは少ないと思うけど)。興味は尽きない。今年もBABYMETALからは目が離せないなあ。