たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

Cymbals大好きな僕にとって2015年は最高の年になるかもしれない

佐々木敦さんの「ニッポンの音楽」を読んだ。そんでもってその発売記念のトークイベントにも行ってきた。話聞きながら実況ツイートした物をまとめたものがあるので読んでみてください。すごく面白かったので。

佐々木敦×柴那典×南波一海 「J-POP IS OVER?――佐々木敦『ニッポンの音楽』刊行記念イベント」 Tweetまとめ - Togetterまとめ

どうしても楽曲派の部分がクローズアップされがち(その日から24時間位ずっと通知がとまらなかった)だけど、その辺は「曲が好きで、アイドルが好きなんじゃない」みたいなスノッブな楽曲派に釘を刺してるんじゃないかという印象。でも本題じゃないのでここら辺にしとく。因みにScott  & RiversとJ-POPの話は、僕のブログにも記事があったりしますNHKの番組に出てきたときの奴ね)。あと、アイドルバブルは弾けるけどAKB48チルドレンがまたたくさんアイドルを目指すという見立てはなるほどなあという感じだった。

本の感想についてだけど、前もツイートしたけど色々捨象しながらも一つの「史観」を作っていて読み物として面白かった(その辺りの偏りが出るよねって件はトークイベントの序盤で佐々木さん本人がその辺わかって書いている旨を話していた)。

はっぴぃえんど、YMO渋谷系小室哲哉中田ヤスタカ。個人的にはアジカン(ゴッチ)やくるり岸田繁)、なんかもリスナー型ミュージシャンなんじゃないのとは思ったりもするんだけど、確かにセレクトについては一貫性があり、繋がりを感じられるところである。

それで話の後半ではアイドルの話が結構出てきてたんだけど、佐々木さんは「自分はアイドルのことはよくわからないけど、アイドルの曲で面白い物はあると思う」という話をしていて、その中で□□□三浦さんや蓮沼執太が参加しているNegiccoの話に。

 

Negiccoのアルバムは上に挙げたメンバー以外にもShiggy Jr.、スカート、Orlandといったインディポップの最前線の人達もいれば田島貴男のようなまさに90年代渋谷系の体現者がいて、その間の世代であるNONA REEVES西寺郷太ROUND TABLEの北川勝利、Cymbals矢野博康などがいて、ここ20年くらいの日本における、「ニッポンの音楽」的な「リスナー型ミュージシャン」の一つの系譜がそのまま現れているアルバムだ。前作「Melody Palette」もそうではあったんだけど、マルチネ界隈から東京インディー方面にシフトチェンジしている所なんかから人選の一貫性みたいな物は高まったとは感じるところである。個人的にはこのアルバムは前作同様良いよね位の感じなんだけど、それでも良い作品だと思うしさっき言った文脈からしてもとても重要な作品だとも思います。

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そんな中、(発売が他より1日早い)Negiccoのアルバムをゲットした翌日にOK?NO!!の初CDアルバム「Rhapsody」をフラゲしたところ、これまた最高すぎた。

彼等は大学でCymbalsのコピーバンドを結成したところから始まっている(しかもCymbalsと同じ早稻田大学でだ!)。ということもあり、とても直球なまでにCymbalsのフォロワーであるということは以前書いた通りで、紛れもなく彼等も「リスナー型」のミュージシャン(特にボーカルのriddamさんは吉田ヨウヘイgroupにも所属し、ギターで作曲担当の上野翔さんは毛玉など複数のバンドに所属)だ。過去にbandcampで発表していた2枚のアルバム等からの曲をリアレンジして再録しつつ、新曲沢山でまとめ上げたのがこちら。収録時間が30分位というのもまさにCymbalsの作品っぽさを感じさせるところであり、こだわりを感じるなあと。

とはいえ、表題曲「Rhapsody」なんかはひねくれた感じ(「Straight」でまさに「ひねくれた私」と歌っている、まさにCymbalsが持っていたイメージそのものである)とは真逆の、暖かみのある歌詞とアレンジという、彼等のオリジナリティみたいな物が感じられ、単純なCymbalsのフォロワーというわけではない2010年代型ギターポップとして一つの形を作れたんじゃないかな、という印象を抱いた。SoundCloudに上がっている初期バージョンTOKYO ACOUSTIC SESSIONでやったバージョンなど、どれと比較しても暖かみと明るさがグレードアップしている。

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Rhapsody=狂詩曲=叙事的な歌なわけだけど、歌の内容は二人の日常というか半径5メートルくらいにフォーカスした超ミクロな内容というのが良い。敢えて言えば、それ自体が彼等の「ひねくれ」だったりするのかもね、とか。

そんな感じで2枚のアルバムを聴きながら「OK?NO!!も良いしNegiccoも良いし今年も楽しくなりそうだね〜」とか思っていたら、翌日(OK?NO!!のCDの発売日である1月21日)にCymbalsのリーダーだった沖井礼二さんが、2012年から歌手活動を休止していた清浦夏実をボーカルに迎え新バンド「TWEEDEES」の結成を発表。いきなり新曲を公開して配信販売まで始めるという急転直下の展開。すごい巡り合わせだな!そんでもって早速MV見たらこりゃあすごい。

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原色の背景に次々変わる衣装なんてまるで渋谷系じゃないか!!って感じだけど、音も本当に沖井サウンド以外の何物でもない。サビ終わりに挿入されるコーラスや動画終わりの(サビ後の)ピアノの入り方なんかはこれまでCymbalsやFROGなんかで何度となく見てきた形だ。それだけでもうツボに刺さるし、そして最高だと思ってしまう。そしてこの音を待ち望んでたんだよなあと言うことを改めて実感する自分に気付く。FROGの3rdアルバムずっと待ってたけど、これがあれば当分それは言わなくて良いなという気になってくる。

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※余談だけどFROGの1stアルバムはもう3年くらい前に沖井さんの手元にすら在庫がなくなってしまった、という状態なので、iTunesからゲットしてください。超名盤です。2ndもいいんだけどね。

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先頃アルバムの全曲試聴も公開されたわけだけど、全体的な印象とかはCymbalsよりもFROG以降というかパンク要素は比較的押さえられていて割と素直なギターポップになっている感じ。そんでもって3曲目「月の女王と眠たいテーブルクロス」なんかでは歌詞に「シンバル」なんて入れちゃって(因みに沖井・清浦が公式に共演しているおそらく初めての曲である竹達彩奈「サーフでゴゴゴ」でも歌詞に「Cymbals」と出てきたりする。)。なんだけど全体的にはバラードもあったりで緩急付いてる感じで、FROGやSCOTT GOES FORのような本人主体のだけでなくさくら学院バトン部Twinklestars竹達彩奈辺りのも含めた沖井礼二ワークスの集大成というか成果発表とも言えるような作品であるように思う。清浦さん(この機会に過去の曲聴いてみたけどすごく良い声ですね!)も「私の20代後半をこのバンドに捧げます」と宣言してたりで、活動はかなり活発になりそうな予感で期待出来る。

3月15日にOK?NO!!のレコ初ワンマンライブがあって、3月18日にはTWEEDEESのアルバムが発売される。大学生の時から大好きな(かれこれ15年くらいか!)サウンドがまだまだアップデートされて新鮮に聴き続けられるというのはとても嬉しい話だし、2015年最初の3ヶ月だけでこんなに楽しいことがあっていいんだろうか。いや、その先にはきっとそれを超えるもっと楽しいことがあるはずだ。この2者の共演とか。なーんてね。笑