たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

2014年の音楽配信の売上読み解き

先月CDなどのパッケージメディアの売り上げというか<a title="2014年の音楽パッケージメディア(CD・レコードなど)の売上読み解き" href="http://lyrical schoolのニューアルバム「SPOT」が3月10日に発売された。因みに今回はiTunes Store等での配信も開始されている。

前作「date course」は個々の楽曲やアルバムを通してのコンセプトメイキングが素晴らしく調和した大傑作であり、個人的にもラップ/ヒップホップへの抵抗感を和らげ聴く音楽の幅を広げてくれた大事なアルバムである。そして今作もやはりとても良いアルバムだったので、アルバムを聴いて気付いたことや感じたこと、それからあまりアピールされていない良さなんかも含めて書いていきたい。要は僕なりの推薦文です。

長いので先に結論を書いておきます。以下の理由で、今作「SPOT」はお勧めです。

  • ラップが上達して確実に表現の幅が広がっており、大きなコンセプトの下ながら1枚でヒップホップの様々なサブジャンルが味わえる。
  • 最近MVが公開されているハードコア路線だけでなく夜を感じるメロウな楽曲も盛り沢山(むしろそちらの曲が秀逸)。個々の楽曲のクオリティは引き続き高い。
  • アッパー・縦ノリ全盛の世の中だけどアゲる事だけを重視してなくて気持ちよく聴ける。

では、これからその3点について解きほぐしていきたい。

●「I.D.O.L.R.A.P」の世界の拡張

アルバムの話をする前に少しだけ昨年に行われたリキッドルームでのライブのDVDについて話をしておきたい。

ライブ自体と、それと同時に進んでいた「PRIDE」での取り組みについてはライブ直後に書いた通り。それを踏まえた上でこのライブDVDを見ると、このライブで表現したかったことはこれまでの「アイドルラップ確立」のための4年間を総括してその次の道を示す、みたいな感じだったんだろう。その辺は前述の文書の通りで、付け加えるならちょうどほぼ全曲やることで2時間ちょいくらいになった、という絶好のタイミングだった、ということだろう(この辺について「全曲ぶっ通しライブはどこかでやっておきたかった」とプロデューサーのキムヤスヒロ氏がインタビューで話している)。

ところでこのライブの本編最後にやってリリスクの第2フェーズを見せた「PRIDE」、確かにかっこいい曲であるしリリスクの表現の幅を広げたと思うんだけど、なんというかもうワンパンチ欲しいというかリリスクらしいエッセンスがほしいなあと思っていた。そこにアルバムリード曲として届けられた「I.D.O.L.R.A.P」はまさにその「欲しかったもう一歩」が付加されている曲だった。

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かっこよさとかわいさの両立されているとても良いヒップホップチューンに。ラップの難度は高まっているけどかなり歌いこなしてて彼女達の確実なる上達を感じることができる(その中でもやはりminanのラップの存在感が際立っており、個性的な声の他のメンバーのラップと上手く噛み合っている)。その一方でところどころにはさまれるキュートなフレーズ・歌い回しがアクセントになっていて、「PRIDE」以降さらにグループが先に進んでいることを実感できるで気になっている。そしてインストアライブで「I.D.O.L.R.A.Pに続き披露された「OMG」も同様な感じで冒頭でサイレンや「Make Some Noise!!!」といった男性ボイスが入ったりするなどかなりタイトな感じの音だけど、1番と2番の間の部分が最高にかわいい(動画の1:28~)。

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とはいえこういうハーコー(ハードコアヒップホップ)な感じの曲があまり好みでない人も少なからずいると思うけど、心配する必要は全く無い。確かにそういう曲が今回は先行公開されているが、既発・新曲含め様々なタイプの楽曲が収録されているし従来通りの「リリスクらしい」路線の方も強力な曲が揃っている(なので個人的にはもっとそちらの方も推して頂きたいのだけど…)。BABYMETALがメタルの傘の下で広範なサブジャンルを押さえてやっているように、lyrical schoolもヒップホップの傘の下で広範なサブジャンルを押さえてやっている。そして本人達のこれまでの経験がそれを可能にした。TV.Bros誌に掲載されていたインタビューでも「アイドルだし、ヒップホップだし」と自信の程を語っていたけど、どっちかに寄ることなく両立するというのもまた、BABYMETALのようなオンリーワン性に繋がるだろう。

実際のライブ映像を見るとわかるけど女子ラップにつきまといがちな「ゆるふわ」みたいな感じは彼女達の楽曲・パフォーマンスにはもはや存在しない。そこにあるのは輝きと瑞々しさだ。では、拡張のフェーズに入ったアイドルラップ・アルバム「SPOT」とは、どんな作品なのか。というわけで次の話に移る。

●「SPOT」というタイトルと今作のコンセプト・曲のカラー

「SPOT」というタイトル、これは「Spotlight」の「Spot」です。どっかの場所とかそういうのでは無く、辞書的な意味で言うと「出番」みたいなものも含まれている方の「Spot」。公式サイトのアルバム紹介にはこう書かれている。

アルバムの前半ではシングル曲をはじめ、勢いのある楽曲で華やかなステージ上でのlyrical schoolを描き出し、後半ではステージを降り、普通の女の子に戻ったありのままのlyrical schoolのメンバーを表現した1枚となりました。

そう、今回もまた、ひとつのストーリーをアルバムを通じて表現しようとしているし、その取り組みは成功していると言っていい。次はこの辺について細かく掘り下げていきたい。前述の説明にあるように「SPOT」を浴びている前半、そこから降りた後半、という風に分かれるのが今回のアルバムの基本構造、ではあるのだけど、実はスキット「-4years-」「-8 p.m.-」等を境界線として、もう少し細かく分けることが出来る。

  1. 「I.D.O.L.R.A.P」「PRIDE」「OMG」:ハーコー感のある楽曲で「lyrical school」として名乗りを上げる
  2. FRESH!!!」「レインボーディスコ」「brand new day」:「ラップをするのは楽しいです」なリリスクお得意のパーティーチューン
  3. 「CAR」「月下美人」「ゆめであいたいね」:ステージを降り、普通の女の子に戻ったリリスクメンバーのありのままを描いた楽曲群
  4. 「わらって.net(Album Ver.)」「S.T.A.G.E take2」:おまけ(余興?)、ボーナストラック

1・2でだいたい20分。タワーレコード社長にして所属レーベルT-Palette Recordsの社長でもある嶺脇郁夫氏に「30分くらいのステージならもうどこにも負けないんじゃないか」と言わしめたけど、それがMC挨拶込みと考えると、この前半部分がその30分のショーケースに当たる。この前半部分でリスナーをまずぐいぐい引き込んでいく。特に楽しさ満開のパーティーチューン部分である2はよく知られているリリスクの魅力的な部分が出ているだろう。

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そして普通の女の子に戻った彼女達を表現した3だが、ここが本当に素晴らしい。前作「date course」でも「でも」「P.S.」「ひとりぼっちのラビリンス」の3曲が続くメロウなパートがひんやりとした夜のような雰囲気を醸し出していて秀逸だったが、今回もそれに比肩する出来である(個人的には超えたとすら思っている)。1st 「CITY」に収録されている「bye bye」を彷彿とされる、Kenichiro Nishiharaによる美しいトラックに乗せたジャジーヒップホップトラックである「CAR」、イルリメの作曲によるリリスク史上最も静かな楽曲である「月下美人」、そしてリリスクの良きパートナーであるtofubeatsによる渾身のドリーミーヒップホップ(僕が今名付けた)「ゆめであいたいね」。この3曲が織り成す世界もまた夜なのだけど、前作のような冷たく張り詰めた夜ではなく、「ひとりの夜もさみしくない(ゆめであいたいね)」というような暖かさと幸福感に溢れた夜だ。

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因みに上の動画のBGMであるtofubeats提供曲「ゆめであいたいね」、逆回転・目覚まし時計などの効果音を拓実に使いながらドリーミーな感じを醸し出してる超かわいい系ナンバーだけど、ライブになると重低音がガンガン効いて普通に踊れるトラックになるのが驚き。振り付けも良いし今作で最高にお勧めしたい楽曲であり、tofubeatsリリスクの最高傑作と言えるのではないか。

前に「文化系のためのヒップホップ入門」を下敷きに「ヒップホップは日常に密着している」という話を書いたけど、その話に沿っていうのであれば、今回の「ステージ上と、ステージを降りたありのまま」の両面を一つのシナリオに沿って歌うのはまさに「アイドルのヒップホップ」そのものだし、後半楽曲群の幸福感は彼女達の活動が充実していることの反映だろう。そして今作収録の楽曲の過半数(11曲中6曲)のリリックに「lyrical school」の言葉が含まれているのもまた同じことで、2014年の活動を通して、自分たちの活動に胸を張れるようになってることが現れているのではないかと思える。

残りの2曲はおまけ的意味合いが強いように感じたけど、「わらって.net」のアルバムバージョンは冒頭30秒くらいが最高。これは是非聴いて確かめてみてください。因みにアコースティックアレンジです。

ユニーク過ぎて唯一無二なアイドルとラップのミュータントへ

突然話は変わるが。指原莉乃さんの「逆転力」という本にこんな一節がある。

 (総選挙1位の結果を受けて)できあがってきたのは、「恋するフォーチュンクッキー」です。 正直な話を良いですか? 最初にこの曲を聴いたときは、超イヤだったんです。スローテンポだし、疾走感がない。ぜんぜんいい曲とは思えない! 私がアイドルの曲に求める物は疾走感なんですよ。それを秋本さんに伝えたら、「おまえが好きな曲は目をつぶっても書ける」と言われました。だったらそれを書いてくれればいいのに…

このあといざ出てみたら評判が良かったので自分も好きになったというオチがつくんだけど、中学生からかなり筋金入りのハロオタだったことで知られる指原さんのこのコメントは、割と標準的なアイドルファンの態度を示しているんじゃないかという気がする。ロックフェスで体感重視の高速四つ打ちディスコビートっぽい物が一世を風靡しているのは僕も散々指摘してきたけど、アイドルでも同様の傾向がみられる。大きくブレイクしているアイドルを見てもアッパーだったりテンションの高い曲が多いし、TIFでもやはりそういう曲を選択する人達が多いのねという感想を抱いた。

もちろんそうでないアイドルはたくさんあるけど、とりわけリリスクはそういうシーンの流れからかなり離れたところにいるように感じる。曲調がヒップホップであるために縦ノリ寄りではない(全くないとは言わないけど)し、(メンバーの名前を呼ぶタイプの)コールやMIXも殆どない。ただ、縦ノリ一辺倒では無いがゆえの間口の広さもあると感じているところではある。先日アップアップガールズ(仮)・アイドルネッサンスとのスリーマンライブでは、縦ノリだけでは実現できない独特のグルーブを作り出し、他の2者に全く負けていない盛り上がりを見せていた。この「SPOT」を聴くと、lyrical schoolによる「アイドルラップ」が、EAST END × YURIやKICK THE KAN CREW以来の「ヒップホップを大衆的なポップミュージックとして受け入れてもらえる存在」になるポテンシャルを持っていると強く感じる事が出来る。リリスクには徹底的に今のコンセプトを追究して欲しい。

そして7月25日(土)にZepp DiverCityでのライブが決定。リーダーayakaは率直に「今の私達では成功は難しい」と素直な心情を吐露しているし、昨年のリキッドルームが結果的には満員になったものの当日券も出ていたことを考えるとわずか8ヶ月で3倍弱の動員は率直に難しい挑戦と言わざるを得ない。何かしら飛躍のジャンプ台として考えていることがあるのかもしれないが、あるのであればそのジャンプ台への助走としてこのアルバムが機能するだろう。それだけのポテンシャルを感じる作品である。この文章を読んだ人は是非「SPOT」を聴いて欲しいし、ライブを見に来て欲しい。幸いにして今週は都内中心でリリースイベントとしてフリーライブが行われているので、お近くの人は是非行ってみて体をゆらしてみて欲しい。(木曜日と土曜日のタワレコ新宿店は20時以降の回があるのでお仕事後等に行けてお勧めです)

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リリカルスクール WEEKEND革命 みんな揃って記念撮影 クシャクシャむちゃくちゃ変顔 おいでよわらってプチャヘンザ!

lyrical school「レインボーディスコ」

/id2686" target="_blank">生産状況について色々考察など入れてみたけど、音楽配信の方も年間のデータが出たのでざーっとレビューしていこう。日本レコード協会有料音楽配信売上実績というデータで、こちらは配信業者からの売り上げデータ提出による物なので生産じゃなくて売上なんですね(そもそも複製コストゼロの配信で「生産」を数えることには意味がないしね)。

この集計の概要ははっきり明記しているわけではないけど、日本レコード協会が正規音源を扱っていると認定している証である「エルマーク」を付与されている音楽配信サイトが対象になっている物と推測される。iTunes StoreAmazon MP3にももちろんついているし、リスト(PDFです)を見るに各アーティスト・レコード会社等の直販サイトも対象になっているようです。

基本的な問題認識などに関しては去年の売上考察文章を読んで頂けると幸いです(前触れたことはあまり書いてないので)。

●サマリー:ついに底打ち?

まずは売上数量。

volume

PC/スマホシングル:1億903万5千DL(前年比119%)
PC/スマホアルバム:772万DL(前年比117%)
着うた+着うたフル:2,426万5千DL(前年比48%)
メロディコール:5,303万5千件(前年比83%)
DL数総計:1億9,653万9千件(前年比91%、ビデオ等その他項目含んだ数値)

基本的に着うた+着うたフルが大変な勢いで減っているので分量としてはトータルで落ち込んでいるというのがここ数年の流れ。確かに「音楽配信全体としては減少」なんだけど、着うた+着うたフルは毎年半減以下、という状況なので、このままのペースで行けば、来年辺りで底を打つんじゃないかな、という感じである。ただ、これまで前年比130~140%くらいであったスマートフォン向けダウンロードの数値の伸びが若干鈍化していて(去年「サブスクリプションの浸透による旧曲DLの減少」と推察した)、若干潮目が変わってきているような感じもするところで、来年以降の状況は不透明。

そして売上金額。

sales

PC/スマホシングル:174億8,700万円(前年比118%)
PC/スマホアルバム:83億5,200万円(前年比121%)
着うた+着うたフル:42億1,300万円(前年比43%)
メロディーコール:37億5,300万円(前年比77%)
ダウンロード総計:345億1,400万円(前年比92%)
サブスクリプション:78億4,700万円(前年比288%)
音楽配信売上総計:436億9,900万円(前年比105%)

着うたフルもPC/スマホダウンロードも単価は一緒なので、ダウンロード型音楽配信だけだと数量同様で前年度比90%くらい。しかし、サブスクリプションの大幅伸張によりトータルでは前年度比100%ちょっとくらい、というところに落ち着いている。それにしてもガラケー向けは随分存在感がなくなったもんだ……メロディーコールは意外になくなってないけど(大半は解約忘れだろう)。

因みにどんな曲が売れたのか。これは定量数値はないんだけど、日本レコード協会が一定ダウンロード数に達した楽曲に「ゴールド」「プラチナ」等の認定をしている(いわゆるゴールドディスクとかと同じ原理だね)。これを元に、ある程度推測することは可能だ(去年の文章からのコピペ)。因みに2014年にリリースされた楽曲でプラチナ以上のランクに認定されたのは以下の楽曲。

ミリオン

  • 松たか子「レット・イット・ゴー~ありのままで~(日本語歌) 」

プラチナ(25万DL~)

このほか、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」は1月度の認定で50万DLに達した翌月に75万DLを達成している。ともあれ、なんだかんだで比較的納得感ある顔ぶれに加えてDLだと強いんだなと感じられるミュージシャンもいるところ。結構面白い。そして「アナと雪の女王」の圧倒的な存在感…!

そんな感じでひとまず売上金額だけは久しぶりに前年度越えした日本の音楽配信市場だけど、そうそう順風満帆というわけでもない感じ。ここからはその辺を見つつ、展望のような物を述べていきたい。

●定額制サブスクリプションの危機、LINE MUSICに期待(2年連続2度目)

今年になってから出てきた音楽配信関連のニュースとしてあげられるのは、ソニーMusic Unlimitedがサービス終了を発表したこと。2500万曲のカタログをもつ、日本国内で展開されているサービスでは最大規模の物だったので、おそらく国内での会員数もそれなりにいたはず。それがごっそりなくなってしまう(他国ではPlaystasion MusicというSpotifyによるOEMのようなサービスが立ち上がるが、日本では当面展開されないので受け皿はない)のは、業界としても大きい。KKBOXやレコチョクBestにユーザーが移るかというと、必ずしも全部移るわけではないだろうと想像される(曲数の違いもあるし)。

それにしても去年来ると言われてたSpotifyについては今年も来る気配がない。おそらくフリーミアムモデルへの抵抗が強いからだろうが、これはしょうがないだろう。だって事業予測立てづらいもん。どれだけの人がフリーという導線から音楽にお金払ってくれるのかということを考えると、難しいなあと思ってしまうのだろう。日本にはレンタルCDもあるし、何もかもアメリカと同じように行くわけじゃないしね。てな訳で今の状況は、「このままじゃじり貧なのは分かってるんだろうけど一気に収益を落とす判断に踏み切れない」という典型的なイノベーションのジレンマではある。ただ、破壊的イノベーションで成功する保証もない。

というわけでMusic Unlimited無くなってどうなるのという答えは、おそらくSMEも出資しているLINE MUSICなのだろう。一応これもサブスクリプション型のサービスになると言うことをアナウンスしている。去年も「LINE MUSICに期待」と書いたが、残念ながら今年も「LINE MUSICに期待」と書かざるを得ない。というかMusic Unlimitedが終了するまでにこれがこないと定額制サブスクリプションのユーザーが吹っ飛んで来年はまたしてもマイナスに転じる可能性が強い。まあどっちにせよSpotifyが来たら一気にマイナスに転じることになりそうな気がするけど。

●これからの音楽鑑賞の話をしよう

そんな中、最近電子書籍で下記の本を読んだ。

 

この「未来は音楽が連れてくる」という本は、Musician-NETで連載されている同名のコラムをトピック毎にまとめて書籍化した物だ(因みに全6巻の予定で作られており、現在は2巻までがKindleで刊行されている)。連載の順番(Spotifyから始まる)ではなくて、時代別に再編されているので、まずはアメリカにおける近代音楽産業の幕開け、すなわちエジソンによる蓄音機の発明から始まる。そこからレコード産業は成長してきたがラジオという「無料で音楽が聴ける存在」の登場により壊滅に追いやられた。そこから技術革新でレコードはラジオ以上の高音質を確保しただけでなく、価格破壊・映画との結びつき・ダンスホールなどの新しい楽しみ方など数々のイノベーションで再び音楽メディアの中心に返り咲く。このレコードとラジオの関係は今のCD(ある種配信も含む音楽を「買う」行為)とYouTubeの関係を彷彿とさせる。そしてSpotifyだったりハイレゾだったりという新しいソリューションが出ているのだろうけど、ある程度の必要十分な音質と利便性が揃ってしまっている今は状況が異なる。テイラー・スウィフトSpotifyに「NO」を突き付け最新アルバム「1989」を大ヒットさせた。もちろん彼女くらいの人気あってこそできる話なのだろうけど。

今向かってる方か、テイラートム・ヨークの主張か、どれが正解かというのはまだわからないけど、基本的に音楽にアクセスする環境がたくさんあるということは良いことだとは思う。僕個人としてはこれからも楽しませてもらってるお礼(と言う名の消費)をしながら音楽を楽しんでいきたい。というわけで今回はこんなところで。