イマドキの夏ソング!?~Shiggy Jr.と lyrical schoolの新曲とワンマンライブの話

夏は夏ソングの季節として(主に僕に)有名だけど、今年の夏はこれだっ!て感じになるのがShiggy Jr.の「サマータイムラブ」だ。「Shiggy Jr. is not a child.」で耳の早いリスナーの注目を集め、「LISTEN TO THE MUSIC」のリリースから一気に駆け上り、メジャーレーベルの争奪戦を経てついに今年メジャーデビューしたShiggy Jr.。その新作ということで嫌が応にも期待が高まっていたが、軽々とその期待を超えてきた。

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そして同じくらい聴いているのがlyrical schoolの「ワンダーグラウンド」。3度目の登場となり、tofubeats同様リリスクとの相性が良いLITTLEによるリリックに加え、ももクロの「5 The Power」作曲・編曲のSUIを迎えて作られたディスコ・ヒップホップとでも言うべき、とても面白い作品。

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この2曲、世界観に共通してる部分があり、そこにすごく今っぽいなあと思うところがあるためその辺を掘り下げてみたいなあということで、今日はこのブログではほとんどやったことの無い「歌詞」の話。それから7月に双方のワンマンライブに行っているのでその話も併せてしてみたい。

●永遠ではないとわかっている夜の話

両方の曲を聴いて感じたのは、「思い浮かぶ風景が夜」だということ。

サマータイムラブ」 サマータイムラブ 1時間だけ長くそばにいられる 夕暮れに空が染まり出せば 並んだ影が伸び始めてる 「ワンダーグラウンド」 今夜自由になって 大丈夫12時になっても とけない魔法かけたから 楽しもう今日は今日だけだから

上記のように厳密には「サマータイムラブ」の方が「ワンダーグラウンド」よりも早い時間の夜(というか夕方)ではあるが、どちらも1日が終わりに近づいている局面の心情を描写した歌だ。「サマータイムラブ」の曲名は欧米で行われている制度としてのサマータイム(国全体として1時間時計をずらす)ところに由来しており、もしそうであれば1時間長く一緒にいられるのに…という恋心を歌った曲だ。夏→太陽→開放的みたいなのが一般に連想される夏ソングのテンプレだが、そういう図式とは真逆だ(リリスクのこれまでの夏ソングはそんな感じだったけど)。

しかし、ただ夏の夜をテーマにしただけの曲であれば別にあるんじゃない?というところでもある。そこで出てくるのがこの2曲に共通する「永遠ではないという諦観」だ。

サマータイムラブ」では「二人の時間」が続くことを繰り返し繰り返し「神様」にお願いをしているが、裏返してみればそれはそのお願いがかなわないことをわかっているということでもある。そして、「ワンダーグラウンド」では、「今時間が止まってて見つめ合っていたんだよなんで 嘘でもホントにしてほしい」「ねえここで君と笑ってたいなんて(ダメかな)」と、今の時間がずっと続くものではないということを自覚しているリリックがそこかしこに見られる。極めつけは「私たちはティンカーベルじゃないってとっくに知っちゃってる」という歌詞で、先に言及した「魔法」なんか本当は無いんだと言い切っているかのようだ。

ぶっちゃけ、夏なのに暗い(笑)。まあ今の夏って一昔前より暑いから、心情を描こうとしたら必然的に夜になるかもしれないけどさwただ、それゆえに妙なリアルさがあるのもまた事実。そこにとても心惹かれる部分がある。

●ジャンプアップのワンマンライブ

7月にはこの両者のワンマンライブがあった。1日にShiggy Jr.の初めてのワンマンライブが渋谷CLUB QUATTROで、25日にlyrical schoolの初全国ツアーのツアーファイナルがZepp DiverCityで行われた。両方のライブに行って感じたことを書いておきたい。

Shiggy Jr.のワンマンライブはメジャーデビューしたてでなおかつワンマンライブ自体初めて、ということもあってものすごく熱気に溢れた物だった。1stアルバム「Shiggy Jr. is not a child」から久しぶりに披露された「(awa)」なんかは後半で楽器隊による激しいジャムセッションが繰り広げられたり、初期に発表されていたアルバム未収録曲「おさんぽ」を森さんがウッドベースを弾く等のアコースティック形態でやったりと、楽器隊も含めたトータルのバンドの良さを遺憾なく披露していた、現時点のShiggy Jr.の120%のステージ。

これから更に飛躍して行くであろうことが、会場の誰にも予感できたことであろう。次のライブは11月26日、赤坂BLITZ。一気に倍近いキャパシティのライブに挑戦するわけだけど、この夏の各種フェス・イベントを通じて更に多くの人に彼等の音楽は届くだろうという自信の現れだろう。ここまでド直球なポップスが今の夏フェスでどう響くか、とても楽しみである。

さて、7月25日にはZepp DiverCityにてlyrical schoolの全国ツアーファイナル公演があった。5年間の活動で初めての全国ツアー、そして昨年の年末に行われたLIQUIDROOM公演以来の東京でのワンマンライブ。その昨年のLIQUIDROOMはとにかく曲をガンガンやりまくっていくという物であったが、このZepp公演はまた違うアプローチを取っていた。まず最初にイントロムービーが流れ、そこからつながる形でライブがスタート。曲間にMCが入ったりもしたが、転換にはムービーを活用(これで衣装替えタイムも確保)し、どちらかというと演出主導のライブ、という印象だった。また、ステージ後方部分を高く取り、階段・段差を活用するステージングも見せる(写真はナタリーとかで見てちょ)など、彼女達が6人グループであることを活かした構成にもなっていた(「ひとりぼっちのラビリンス」などはそれがフルに発揮されていた)。リキッドルームの時は「曲!曲!曲!」という畳み掛けるようなライブだったのが、文字通り「奥行きのある」ライブになっていた、というのが率直な感想で、これが全国ツアーでの成果なんだな、と感じた。実際リキッドルームどころか4月のVISIONでのリリースパーティーよりも表現力は増していた。アルバム「SPOT」の収録曲から振り付けがかなり複雑になり、「ラップが置いてきぼりにならないか?」みたいなことを感じてはいたのだが、彼女達は想像以上のスピードで上手くなっているなあと驚かされるくらいの立体感あるパフォーマンスだった。

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その上で、「ワンダーグラウンド」がライブの中核に据えられていたわけだが、本編ラストに披露されたその曲までの橋渡し役としてとても重要な役割を担ったのが「Sing, Sing」だろう。「ワンダーグラウンド」とも通じる「永遠なんて ありえないこと わかってるけど 今日も願うよ」という歌詞は、この日のために用意されていたかのようだった。

今回のライブには個人的にはかなりフラットな気持ちで臨んでいたというのもあるが、爆発する熱量!大盛り上がり!というよりは素直に良かったと言えるという方が適切なんじゃないかという気がしている。ライブの最後には11月にオールナイトイベントをやることだけが発表され、新曲や次のワンマンが発表されることもなかった。まるでこのライブも一つの通過点であるというかのように。

Zepp DiverCityの1Fフロア後方は閉鎖され、集客の観点からすると正直全く良くなかったといえる本公演だが、リリスクがZepp DiverCityを選択したのは「大きいライブハウス」というよりも「大きいステージの上で」やることが彼女達にとって必要なことだったから、ではないだろうか。アイドルシーンはこの1・2年で成熟期を迎えた、という感触もあり、もはや「曲やパフォーマンスが良い」は差別化要因にはならない。それ故にそれぞれが「+α」をつけていく必要があり、リリスクにとっての「+α」は今回のライブでの「演出やパフォーマンスの見せ方」だということだろう。であればそれを突き詰め、照明とかももっと使い倒して追究して作り込んで欲しいと思った。既に30分くらいのステージでの彼女達はスペシャルな存在なのだから(もちろんファンが増えないと恒常的にこういう素晴らしい公演が出来ないので、集客それ自体は一つの課題としてあるのだけど)。

とても楽しい時間を2つのライブで過ごせたわけだけど、楽しさと共にそれと隣り合わせな儚さのような物も内包していることから、2組の楽曲が自分の「日常」に寄り添う物になっているなあということを実感した。これから1ヶ月、僕はまだまだこの2曲を沢山聴くだろうなあと改めて思うのだ。