アルカイダから学ぶ:書評「ヒトデはクモより何故強い」

この本が出たのはもう4年前なんだけど、今一番読むべき本だと思うので紹介。

さて、今日のアメリカ当局の発表によるとFBIによる最重要指名手配犯であり、アルカイーダの精神的指導者であるウサマ・ビン=ラディンを狙撃し殺害、更には米軍で遺体を確保して水葬したとのこと。めちゃくちゃ手際いいなあと思うのだけど、これによりアメリカが勝利宣言して、テロの恐怖が遠のいたということで東京証券取引所では全体的に株価が上がり、久々に終値が1万円を超えたということで割と明るいお祭り状態になっているようだ。

そこに僕が底知れぬ違和感を感じていて、すぐに報復テロはあるだろうなと思ったし逆にこれからもっと酷くなるんじゃないかなと思っていたら早速パキスタンで報復テロとおぼしき爆発事件があったり。あーあ予想通りだなって思ったんだけど、何故そう思ったかというのが、これから紹介する本を読んでいたからなのであります。

ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ

「ヒトデはクモよりなぜ強い」。この本の特徴は、ズバリ今までの近代的に整備されて体系立った組織と真逆をいく「リーダーのいない組織」の話であり、何故今この本を読むべきなのかというと、アル・カイーダがまさにその組織の典型としてこの本で取り上げられているから。そして、この本の教訓を実は僕ら自身がいかしていけるのではないかと思うから。

ヒトデは切ったらそこから細胞が復活して二つになるが、クモは頭を潰されたら死んでしまう。本書ではクモを従来型のトップマネジメントを中心とした整然とした組織に例え、ヒトデをネットワーク型のフラットかつ自然発生的な組織に例えて比較している。分権型の組織はしぶとく、抑圧されていない各員の創造性は高い。一方で規律はなかったりとかもする。もちろんどっちかが正しいということはないし、中間をとることも出来る。その典型例として、「各自が工程をカイゼンする」ことを認めつつ組織としての体裁を保とうとするトヨタの工場の話が出てくる。この辺の話は有意義だと思う。そしてそういったネットワーク型の組織が優位を発揮している例としてやはりインターネット・デジタル産業(ちょっと古い言い方だけど)の話も出てくる。まあそりゃあそうだろうなあという感じでこの辺は理論を読み解いていくといいような。

んで、アル・カイーダに対抗するにはどうすればいいかという話で、そこで頭を叩く(ビン=ラディンを殺す)のはダメな手と指摘されている。イデオロギーを変える、つまり活動理由をなくせという話。なんでビン=ラディンとその一派がテロ活動を始めたかについて分析する所から始めないとねという話だけど、それはなかなか大変な話なんだろうな。最悪の場合アメリカがイスラム諸国側に相当歩み寄らなくちゃいけない可能性もあるわけだし。

とはいえ、逆にこの「リーダーなき組織」の基本的な考え方っていうのはもしかしたら今の日本にとっては相当に役立つ物なんじゃないかなって感じがするわけ。だって、まともなリーダーが出てこない、リーダーシップ不全な状態が散見されているから。むしろ、この時代を生き延びるために、身近な人達と繋がって、色々やりくりしながら生きていけばいいんじゃないかなーとか思った1日でしたとさ。久々にじっくり腰を据えて読もうかな。いや、しかしその前にあれとあれとあれを片付けねば…