ゲーミフィケーションって結局何なのみたいな話:書評「幸せな未来は「ゲーム」が創る」

最近会社の某所でも話題になってたりしてたし、せっかくだから読んでおこうと思って買った本。なかなか濃厚だった。

幸せな未来は「ゲーム」が創る

この本は、アメリカのゲームデザイナーが書いたもので、ゲームにのめり込むメカニズムを現実世界に応用できないか、ゲームを通じて世の中をよくすることができるんじゃないかということを真剣に考えたもの。人はなぜゲームにはまるのか、というよりもなぜあんなに熱中できるのか、なぜゲームをすると幸せな気分になれるのかということをまず考えて、それをもとに実際にゲームが世界を良くしようとしている事例を色々と出してきて、「どうやって」世界をゲームでよくしていくか、ということを類型化している、という流れで本文は進んでいく。

前半の方で導入事例として取り上げられるゲームは前半はビデオゲームが多いけど、後半につれて現実代替ゲームが増えてくる。現実代替ゲームってのは、レクリエーションだったりシチュエーションプレイだったりみたいな感じで、実際に自分たちで役割を演じてやってみるというもの。日本だとあまり馴染みがないかも。やっている例はあるみたいだけどね。○○探し的なのはたまにネットでも記事を見たりするし。

つまるところ今話題になっている「ゲーミフィケーション」の本。この本には一言もその言葉自体は出てこないけど。でも、ゲームをやることの楽しさとそれを現実に応用するプロセスの理屈はよく分かるし、丁寧に解説しようとしているなっていうのがよく分かる。特に、最初の方でゲームにはまる要素としてあげられている「より満足できる仕事」「楽しい失敗とより高い成功への期待」「より強力な社会的つながり」「自分の存在よりも大きな何かの一部になる」という分析はなかなかやるなあと思ったわけで。特に「楽しい失敗」っていうのはまさに!と思った。この辺は現役のゲームデザイナーならではの知見だなあ。そしてそれらの考え方を基本にして、どういうゲームを通じて現実世界を良い物にしていくか、ということのいろいろな実例を見せてくれている。正直そちらの実例については、どう評価していいのか分からなかった、というのが正直なところ。たしかに成果は出てるんだけど、現実へのフィードバックが薄いかな。でも応用の可能性がすごくあるのは分かる。

というわけで、類書としてあげられる(というか本の装丁まで似てる!)「ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足と比べると(って、こっちは読んでないんだけど目次だけ比べる限りでは)幅広く、割と抽象的というか概念的な話で書いてあるので、がっつり取り組むならこっちじゃないかな、と思ったりする次第です。実際は読み比べするのがいいんだろうな。積み本…orz

んでもってゲーミフィケーションとその辺の話についても、ちと思うところがあるのでついでに書いておきたいなと。

僕はこれって結構有効な話だととらえている。ただ、何もかもゲーム化すればいいとかそういう問題ではなくて、そのエッセンスを感じ取って製品のUIなり物事の導入なりを考えていけばいいんじゃないの?という話。要は「ゲームは何故楽しい?」というところに着目して、じゃあ○○はなんで楽しくないの?という問いをかけて逆に楽しくするにはどうすればいいの?ということを考えればいい、という話だと思う。まあこれは何にも有効だとは思わないけど。(コピー1枚取るのだけでなんかゲームが走るとかそういうのは困るw)

ただねえ。これを突き詰めていくと結局つまらないものはどんどんやられなくなるのか?という問いが起きても来るんだよなあ。

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というわけで、おもしろさで引きつけてみたはいいけど、意外と持続しないとかそういうことはないのかな、とか。この辺は心理学的な知見とかが必要になるのかなって気もするけど。教科書のUIが面白ければ教育水準が向上するかはよく分からない。正解かもしれないし、正解じゃないかもしれない。ただ、インプットデバイスである教科書を進化させるなら、アウトプットデバイスである問題演習も同時に進化が必要なのは間違いない。ただその進化の過程でそぎ落とされる演習携帯とかはないかな、とか思ったりする。書き取り?それもスライタスで解決?でもディスプレイの書き味と神の書き味は明らかに違うよね?とか。期待はしつつも、何か抜け落ちてないか、ちょっと不安だなあと思っている。