「いま」は30年前からあったのだ〜書評:「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」
ちょくちょく話題になっていたので、僕としてはこれは読まないと!と思っていて、つい先日ようやく読み終えた次第。
グレイトフル・デッド。プロシュート兄貴、ではなくバンドの方ね。 このバンドはアメリカではかなりカルト的な人気を誇っていて、今に至るまで根強い人気を保ってるのだけど、その姿勢とか特徴とかが独特だし今の時代のビジネスを先取りしてるよねって話。なのでそれをビジネスに生かせるように抽象化してまとめましょうという本な訳。具体的には下記の通り。
- グレイトフル・デッドはライブの録音オッケー(ライブ会場には録音専用スペースまである!)。配布オッケー。それを元にファンを増やしていくというのは、今盛んに言われている「フリー&シェア」「口コミ重視」のビジネスモデルの走りだよねという話。
- グレイトフル・デッドはCDよりもライブで稼いでいる。そのチケットは仲介業者を通さない直販。ファンクラブの開放も1970年代からやっており、ファンとの「つながり」を大事にしている。
そして具体的なケースとしてAppleやらGoogleやらセールスフォース・ドットコムやらCOACHやらいろいろな辞令が出ている。ただし、その性質からか圧倒的にIT企業の事例が多い。ここはちと不満だけど現状そういうフリーミアム的マーケティングが一番起こっているのがこの業界だからそこは致し方なきところ、なのかな。
ただ僕はこれを読んでビジネスへの応用ということよりも今の音楽業界の姿を見事に先取りしているなあということに凄く感心した次第。
まずグレイトフル・デッドがCD売り上げよりもライブで稼いでいるという話。
https://twitter.com/tanimiyan/status/7091948456
2年ちょっとくらい前にこんな話があったけど、そういう流れが出てきたのって21世紀に入ってしばらくしてからなんだよね。
そしてライブが一つ一つ特別な物であるという話。本書によると、グレイトフル・デッドのライブでは既存の曲は別アレンジになるはカバーはあるわアドリブし放題やら。それってライブバンドの奇跡がことごとく詰まってるじゃない。
http://twitter.com/tanimiyan/status/154538332859281408
サカナクションとかはライブで全くアレンジが変わる曲があったりするし(ただしセトリは固定感が強いけど)、クラムボンはミスとかハプニングも笑い飛ばして音楽の中に取り入れたりしてる。そして一度として同じライブをやらないレキシ(笑)。
でもそれは全てグレイトフル・デッドが30年前からやっていたんだなあと思うとすごいと思う。今になって出てきた流れでは決してないという。ネットで検索するとグレイトフル・デッドのライブ音源ってかなり無料でダウンロードできるようになってる。ライブごとにDL数がめちゃくちゃ違ったりしてて面白い。
ところでライブアルバムといえば、最近出たクラムボンのライブアルバムすんごく良かった。音が良くて臨場感たっぷりだったなあ。
録音機材も進化したんだよね。いまやライブしてすぐにアルバム突くって売れちゃうくらいだからね。国内だと2010年のEMI ROCKSでやってたやつ。もちろんグレイトフル・デッドはやってるとの話もこの本にあった。
とにかく面白く読んだ次第。オススメですよ。