たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

「本物」は正義なのか?

えっと、2013年になりましたね。今年もよろしくお願いします。毎年書いていた年末CDJのレポートは今年は何となく書かないことにしました。あ、でもくるりはホントに良かった。何か感想をツイートしたら岸田さん本人にRTされて結構RTとFavが集まりフォロワー少し増えて驚きだったけど、まあ幸先いい一年なんですかね。カウントダウン神社で引いたおみくじで「くるり日本武道館公演から今年のライブを始めなさい」といわれるなど、くるりがかつてなく個人的に来てる今年。はい。まあその前にレキシのリキッドルーム公演でライブはじめなんだけどさw

さて、そんな中年末年始に駆けて色々「(´Д`)ハァ……」って感じの自称があったのでそれが今日の主題ですよ。

まずは積極的に僕も意見を述べたこれ。

鹿野 淳×柴 那典スペシャル対談 2012 前編

レジーのブログ 「ロック」を崇拝し「アイドル」を侮蔑する人々

上の方にあがってる対談の方で2012年の音楽シーンを総括するときに鹿野淳さんがアイドルブームを「受け止めがたい」といい、Perfumeきゃりーぱみゅぱみゅのステージに人が集まる様子を「本当に面白くない」と評した上で、自分で曲作りをしない「アイドル」と自分が伝えたいことを自分で作る「アーティスト」と対比して「アイドルを音楽批評として語る価値を見いだせない」と評したわけ。それっておかしくない?という意見がレジーさんのブログで提示され、Twitter上でも議論になったよ、というのがこれ。

因みに僕もそのレジーさんの見方に同意する物で、それが今の邦楽ロックの閉鎖性に繋がってると思う次第。

http://twitter.com/tanimiyan/status/287082868985974784

http://twitter.com/tanimiyan/status/287083349321867264

そして次。

エル・ゴラッソのデザイナー佐藤峰樹さん「ヨーロッパに日本人選手は要らない、Jでテキト~に稼いでいれば良いじゃん」Twitterで炎上 | サッカーコラム速報でろブロ

これはタイトルの通りなんだけど、更に具体的にいうと、「だいたいユナイテッドやインテルあたりで日本人がヨロヨロやってるのがや安っぼくて、有り難みがないんだよ。どんだけの評価もらってるか知らないけど、早く他へ行ってくれよ。興醒めなんだよね。」「もうヨーロッパに日本人選手は要らないし、不快だ。足手まといで邪魔ななんだよ。Jでテキト~に稼いでいればいいじゃん。身の程を知れ。」と書いたことで炎上、エル・ゴラッソは謝罪文を出して他の雑誌での彼の連載は強制終了となった炎上案件。

http://twitter.com/tanimiyan/status/286785397495848960

と僕が指摘したとおり、この記事のブコメでも言及されてるけど明石家さんまもかつて同じようなことをラジオで言ったみたいなのよね。

さんまが香川真司批判!?「マンUに日本人は入ってほしくない」と発言

そして最後はこれ。

Cul-de-sac: 「青空文庫」はアブナイ

青空文庫は勝手に元本から表記を変えててけしからん、という主張。「誤植であっても、ウェブ屋やゲーム屋が勝手に直してはいけない。」「正しいか正しくないか、なぜゲーム屋が決めるのだ。そして、最終決定は青空文庫とか。いつからそんな権威になったんでしょうかね。」といういい感じに香ばしい論調です。

 

これらの案件に共通しているのが「本物が正義であって、そうでないまがい物はけしからん」みたいな考え方。鹿野さんにとってはそれが「自前で曲を作るミュージシャンの音楽」であり、エルゴラの佐藤さんや明石家さんまにとっては「日本人風情では及びもつかない海外(特にヨーロッパ)のサッカーチーム」であり、青空文庫はアブないと言っている人にとっては「これまで日本文学を支えてきた実績のある出版社や研究者」であるという。

でも、本当に本物は正義なのか?本物が常に優先されなくてはいけないのか?という話。僕は凄く疑問に思っている。今となっちゃあインターネットが発達して色んな物をボーダレスに見ることができるようになったので(手垢のついた表現)、何かそんなことを言うのがばからしい、僕はそう思う。去年の年末にあった「洋楽離れ」議論の時も思ったんだけど、「海の外こそリアル」みたいな話になってて、え、そうなの?と思わざるを得なかったけど、そういうんじゃ無くてもっと並行的に洋楽も邦楽も昔の音も今の音も味わって、そこからアウトプットを出すミュージシャンとかもいますごく増えてるわけじゃない。ceroなんかはその代表格だと思うけど、ももクロはおなじみ前山田健二以外にも布袋寅泰から大槻ケンジにやくしまるえつこ、さらにはマーティー・フリードマンが参加してるわけだし、AKB48ファミリーの楽曲も作詞こそ秋本康ながら作曲陣は多彩で若い人もいたりとかするわけで、そこには色んなバックグラウンドや感性が関わってきてる。だいたいいつも思うんだけどAKB48が沢山CD売ってレコード大賞取るのって何か悪いことなのかな。まあいいや話がそれるや。

音楽の話ばっかになってしまった。サッカーの話。海外チームはそんなに権威なのか?というか海外サッカーファンの中には佐藤峰樹や明石家さんまみたいな考えの人間は少なからずいると思う。何か自分の領分を乱されてミーハーファンが増えるのが嫌なんだろうなとか。

でも翻って考えてみると、そもそも本物って何だろうという。自作自演のロックバンドやサッカー大陸ヨーロッパのクラブチームや書かれたままの文章の本は本物という主張は一見するともっともらしい。しかし、それが曲は提供してもらってるけどパフォーマンスは自分でやるアイドルや100年構想を掲げ地域密着を目指し、来年には3部リーグをついに作るであろうJリーグのチームやそこでサッカーをしている選手や現代人が読みやすい言葉に直された本は「まがいもの」なのかな?

例えばバンドでもアイドルでもステージは総力戦だ。総力戦らしい例としてサカナクションPerfumeを考えてみると、多くの人たちとメンバーがコラボレーションしてやる様は全く変わらない。サカナクションはDVDにその辺のドキュメンタリーをよく納めてるし、PergfumeはよくNHKで何度かその放送がされていて、それを見る限りどちらも舞台で何が起こるかを理解してそれに真摯に向き合う真剣なパフォーマーだ。

自分の使命・目指す物に真剣に向き合う限り、本物も偽物もないよねえというのが僕の中での結論。好き嫌いはあるだろうけど、優劣の問題ではないよね、というところで、次回も多分似たような話でもやもやします。笑