レギュラーメンバーとして参加させて貰ってるレジーさんのポータルでのプレイリストで、今年で結成20周年を迎えたクラムボンを題材としたプレイリストを組みました。同業のミュージシャンから支持があるミュージシャンズ・ミュージシャンであり、他のミュージシャンとも交流の多い彼等が築いた関係性をテーマにしています。今回はその話と冬にリリースされるトリビュートアルバムについて。
●プレイリスト解説
本当はTwitterでやろうかなあと思っていたんですが、書くことが予想以上に多かったのでここでやることに。笑
- さくら / グループ魂
一発目から意外な取り合わせだけど、映像内で語られているとおり原田郁子さんは子供の頃松戸市に住んでいて、その時に破壊(阿部サダヲ)と同じ小学校に通っていたということなのだ。因みに破壊さんと郁子さんは5歳差なので一応1年かぶっている。郁子さんは福岡出身のイメージが強かっただけにこれは驚きの事実だった。因みに福岡での高校時代の同級生にはナンバガ・ブッチャーズ・LAMAの田渕ひさ子さんがいたそうな。 - おだやかな暮らし / おおはた雄一
クラムボンがカバーアルバム第1弾「LOVER ALBUM」でカバーした楽曲。相当惚れ込んだのか、この時期に独立して事務所を構える際おはたさんも誘っている。 - Higher than the Sun / Cymbals
クラムボンと同じくデビュー時に「ポスト渋谷系」にカテゴライズされていた同世代バンドCymbals。沖井さんによると初めて対バンしたのはインディーズ2ndアルバムのレコ初ライブとのことで、相当初期から交流があったことになる。ミトさんはメンバー全員と仲良しのようだけど、沖井さんとは今でも濃い関係が続いてて、しょっちゅう飲みに行ってることが双方のTwitterで報告されている。 - 新利の風 / HUSKING BEE
12月に出るトリビュートアルバムの参加バンドで、クラムボンもまた彼等のトリビュートアルバムに「雲のいびき」で参加している(因みにこの曲自体がクラムボンをイメージして作ったものなんだとか)。昨年の「clammbon faVS!!!」にハスキンが参加している。磯部さんとミトさんが交友深いみたいね。 - 8.6 / toe + 土岐麻子
上記で挙げたHUSKING BEEのトリビュートアルバムに収録された大傑作。toeはクラムボンともっともなかの良いバンドの一つで、Gtの美濃さんがレコーディングエンジニアとして2009年の「Re-clammbon」以降の全ての作品(ベストアルバムを除く)を手がけている。また、郁子さんも何度かtoeのフィーチャリングボーカルとして参加。ライブでも幾度となく共演している。そして土岐麻子はCymbalsのボーカル。そう、この組み合わせを取り持ったのはミトさんなんです。この年のフジロックには土岐さん・ミトさんがtoeのゲストで出演。これで手応えを感じたtoeはアルバム「For Long Tomorrow」にて土岐さんを再度ボーカルに迎え、既に山嵜さんが歌唱していた「グッドバイ」再録版のボーカルを依頼。この曲は鉄板。 - Sun Shower / 木村カエラ
木村カエラとミトさんの付き合いはかなり長くて、2枚目のアルバム「Circle」の表題曲を担当してからは、全曲渡邉忍作曲だった「8EIGHT8」を除く全てのオリジナルアルバムに楽曲提供している。その中でもミトさんが特に思い入れのある1曲。 - U&I / 放課後ティータイム
ミトさんが重度のアニオタだということはもはやファンの間では常識になっているんだけど、特に入れ込んでいたのが「けいおん!」。そしてその入れ込み用から仕事が発生するというミラクル。主人公平沢唯役の豊崎愛生がクラムボン好きということで、シングル曲「Dill」をプロデュースすることに。その後も楽曲提供を続ける中、今度はクラムボンがカバーアルバム「LOVER ALBUM2」にてこの曲をカバーしちゃいましたとさ。 - Allegro Cantabile / SUEMITSU & THE SUEMITH
SUEMITSU & THE SUEMITHとは、木村カエラの「Butterfly」を作曲した末光篤のソロプロジェクトで、THE SUEMITHがサポートメンバーのことを指している。ミトさんはそこでベースを担当していた、と言うわけ。今でも末光篤ソロ名義のライブでたまに参加してたりします。 - 月の恋人 / Polaris
元フィッシュマンズの柏原謙がオオヤユウスケと結成したバンド。この曲ではコーラスで郁子さんが参加しているけど、他のメンバーもサポートとして何度も参加しており、非常に繋がりが深いバンド。ここでの共演が、その後フィッシュマンズの再始動に郁子さんがコミットしていくきっかけとなったとか。そしてオオヤユウスケは郁子さん、ハナレグミとユニット「ohana」を結成して活動。 - ただのともだち / salyu x salyu
clammbon faVS!!!の第1弾に参加したsalyu × salyu。福岡でクラムボンがライブをやっている日にsalyuが自ら自分のツアーの対バンを交渉するためだけに福岡を訪れた、というのが付き合いの始まり(その日アンコールで急遽salyuもステージに上がったそうな)。その後大いに意気投合したらしい。今年の7月にはsalyu、原田郁子に畠山美由紀を加えた3人でジョイントライブを日比谷野音で行った。行った方々によると超良かったらしい。 - オハナレゲエ / ハナレグミ(ohana)
郁子さんとの共演の機会が多く、とにかく仲が良いことで有名なハナレグミこと永積タカシ。先程触れた「ohana」の曲のうち、全編彼がメインボーカルを取っているこの曲は、その後の彼のソロライブでも定番の曲になっている。ネット上では既に結婚してるんだみたいな話も出てるけど実際どうなんだろうね。因みにクラムボンはSUPER BUTTER DOGの「外出中」を「LOVER ALBUM」でカバー済。あとレキシさんとも仲良しですね。 - Rollin’ Rollin’ / 七尾旅人
彼もまた最近郁子さんと共演の機会が多い。原曲はやけのはらとのコラボ。クラムボンは彼の「ぎやまん」を「LOVER ALBUM 2」にてカバーしているが、とにかくアバンギャルドというか、前衛的なアプローチのアレンジになっている。その辺の経緯はミトさん直々の解説を御参照ください。 - Reflection Eternal / clammbon with yamazaki, mino & yamane from toe
2010年に事故死したトラックメイカーNujabesの楽曲のカバー。元々彼がクラムボン曲をリミックスしてくれたところから縁が始まり家族ぐるみの付き合いをしていたそうな。その彼のトリビュートアルバムを作成するに辺り、同様に付き合いのあったtoeのメンバーを呼んでレコーディングした物がこれ。そしてこのレコーディングの詳細は、ミトさんがTwitterでお話してくれてます。
本当はLITTLE CREATURESとかも入れようとしたんだけど残念。因みに僕は数年前にこの辺のミュージシャン交流を軸に聴くものを増やしていた時期がありました。一つのミュージシャンを軸に興味を伸ばしていくのは、自分の好みに近いものにあたる可能性が高いので割とお勧めです。
●トリビュートアルバムについて感じたことと少し予想
さて、そのクラムボンですが、アニバーサリー企画として12月にトリビュートアルバムが出ることになりました。参加メンバーを見ると、かなり予想通りだなあという感じ。基本的に彼等と付き合いのあるミュージシャンが殆どであり、上記のプレイリスト同様彼等がこれまで音楽活動を通して築いてきた関係が垣間見える物になっている。意外に重なってないので、せっかくなのでこちらについても解説しておこう。
- Buffalo Daughter
2010年のneutralnationというライブイベントで共演してるのを見たけど、それ以外にもベースの大野さんはsalyu × salyuのサポートしてて、会う機会も多い。お互いオヤイデ電気ユーザーなのもあって話も弾んでると推察。 - downy
かなり古い時代からの付き合い。 - GREAT3
共演経験多数。この前のLIQUIDROOMアニバーサリーイベントでも対バンしてましたね。 - HUSKING BEE
プレイリスト参照。 - Mice Parade
唯一の海外組。「id」で一部楽曲のプロデュースを担当。クラムボンメンバーもマイスのアルバムにゲスト参加してる。 - NONA REEVES
ワーナーミュージックでの、同期のレーベルメイト。CDデビューの時期は微妙に違うんだけどね。(リンク先のツイートはキリンジの堀込泰行が脱退を発表した日のもの) - TOKYO No.1 SOUL SET
「LOVER ALBUM2」には、BIKKEを招いて「状態のハイウェイ」をカバーしたライブ音源が収録されている。 - 青葉市子
郁子さんと仲良しで、タム君ことウィスット・ポンニミットと3人で共演したり、市子さんのツアーグッズのイラストを郁子さんが手がけたりしている。あとは福岡のCircleってフェスでレキシのバックコーラス一緒にやったりとかしてたね(残り二人はハナレグミとSalyu)。 - ストレイテナー
ミトさんとホリエさんが仲良しみたい。たまにツイートに名前が出てくる。 - 蓮沼執太フィル
ライブで「ある鼓動」のカバーを演奏しているらしい。
というわけで見れば納得のメンバーなんだけど、上記のプレイリストで挙げた人たちがあまり入ってないのでそこから数組くるかな、というところと、あとは期待したい人達をいくつか。
ハナレグミ・レキシ辺りのバタードッグ界隈やtoeは出てほしくはあるけど、敢えて出ないのかも。後輩バンドとしては今年2回ほど対バンしたパスピエやこの前「君は僕のもの」のカバーをシングルのカップリングに出したNICO touch the wallとか。出てくるか。パスピエは出てくれ。あと花澤さんや豊崎さん辺りが出てきたら面白いだろうな。
クラムボン自体の音楽的な変遷は前に書いたとおりなんだけど、そのことが様々なミュージシャンとの関係を作るだけでなく彼等の音楽へのフィードバックになっているような印象を受ける。カバーアルバムで積極的に同時代のミュージシャンを取り上げたりしてるくらいだし。現在彼等は来年リリース予定の5年ぶりのオリジナルアルバムを制作中なんだけど、今回のトリビュートアルバムを踏まえた物になるんじゃないかな。ということでどちらの作品も首を長くして待っております。