たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

COUNTDOWN JAPAN14/15に行ってきた話〜拡大するロッキング・オンフェスの現在地

あけましておめでとうございます。今年もなるべく他の人がやらなそうなことをやりたいと思っていますので、当ブログのご愛顧よろしくお願い致します。

というわけで、今年の最初の記事は、毎年行っているCOUNTDOWN JAPANの話。というかこの話で始まるのも毎年恒例の話である。

というわけで今年は30と31日の2日間行ってきました。見たのは下記の通り。

30日:SCANDALくるりチャットモンチー→きのこ帝国→tofubeats後半→UNISON SQUARE GARDENTM Network大森靖子&THEピンクトカレフ→ねごと→indigo la End前半→the HIATUS

31日:清竜人25→Fly or Die→シナリオアート→Superfly(最初と最後)→でんぱ組.incKREVA(年越し)→女王蜂→People In The Box→竹原ピストル(ズ)

時間が長いはずの31日の方が30日より見てる物少ないってどういうことや!

全部に個別の感想述べるのはあまりやりたくないです。というのも清竜人25が底抜けに楽しかったのでそれ以外の記憶があまりない。笑。既に発売されていたシングルの曲以外を聴くのも初めてだったけど、どれも面白い曲だった。個人的には「Call♡Me♡Baby」のトイポップ感がすごく好き。Capsule初期〜Hazel Nuts ChocolatePlus-tech Squeeze box辺りのアキシブ系の臭いもする。でもこれも次のシングルには入らないんだよね〜。というか次のシングル「A・B・Cじゃグッとこない!!」のカップリングも披露されなかったのでまだ色々残しているようだ。恐ろしい…

それ以外でよかったのは大概30日。くるりチャットモンチー・きのこ帝国・ユニゾン辺りかな〜。あとFly or Dieはやっぱりお笑いの範疇のような気がしなくもなく、グループアイドルやゴールデンボンバー以上に過激なブッキングなんじゃないか…という印象がぬぐえない。面白かったけどね。

とまあその辺はさておき、今年は随分と会場レイアウトが変わったりブッキングにも一定の傾向があったのでその辺の話を中心に。

●会場拡大の話

今年最大の変化はこれまで1〜8ホール+イベントホールでやっていたイベントを9〜11にも拡大したことでしょう。会場の拡大はイベントホールを使うようになった2008年以来のことで、実際どんな運用になるのかはとても興味津々な話であった。

んで、蓋を開けてみたら結構変更があったので下記に箇条書き。

  • 9〜11ホールはクローク・物販・リクライニングシートのスペースに
  • そしてかつてクロークがあったホール8がまるまるGALAXY STAGEになりキャパシティが増えた
  • リクライニングシートがあった辺りまでEARTH STAGEが伸びてきて0.5ホール分面積拡大
  • GALAXY STAGEがあった7ホールに例年はCOSMO/MOON STAGE間にあった各種ブースを移設
  • COSMO/MOON STAGEが、前述のブースがあったところまで伸びてきて若干拡大。

詳しい図は公式サイトの去年のエリアマップ今年のエリアマップを比べてみるとよくわかる。

最大の懸念事項は1〜8ホールと9〜11ホールとの間は直接繋がっていないので通路に何かしらの防寒対策がなされるのかどうかだったが、結論から言うと何もなかった。雨よけの屋根みたいな物は元々備わっていたのだが、横の風をよけるものは何もなかったので昼はともかくとして夜は随分寒かった。3日目の終演後の時間・4日目のカウントダウン後は大体それなりに人がいるのでそんなにダッシュも出来ず。一度大晦日の21時頃に物販に行きたくなり9〜11ホールに行ったけどその時も通路はがら空き、というわけではなかった。

そもそもこの拡大自体が「チケットを取れない人が増えたため」と説明されていて(因みにRIJFが2日間×2になってるのも同様の理由)、それ自体は支持するんだけど、その分細かいところでRO社フェスの強みであるホスピタリティに詰めの甘いところが出てきている、というのは昨年と変わらない傾向だったので、その辺は次回改善してくれると良いなあと思います。とりあえず7ホールにも飲食エリアが出来たおかげでベンチの設置数が大幅に増えたため、去年までの「人気アーティストがやってないと座れない」みたいなことはなかったのは個人的にはめちゃくちゃ好印象。おかげで足があまり疲れなくて良かった。

ただし、COSMOとMOONが近接したことにより音被りが頻繁に発生するようになってた。これはちょっといただけないなあと思ったし観客だけじゃなくてミュージシャン達も困ると思うので、来年以降は指向性の高いスピーカーを入れるなり再度場所調整するなりして直してほしいなあ。あと、ステージ中程の辺りにも出口を作ったことにより音漏れも増えてた。飲食エリアでも聴ける!といえばポジティブに捉えられるけど。笑

因みに公式発表では4日間での来場者は18万人。去年が16万人だったので、1日辺り5000人増えてるわけだけど、それでも余裕は若干あったのできっと来年も増やすだろうな〜。因みに過去の来場者数がCDJ公式Webサイトに載っていたので今年のデータと合わせてグラフを作ってみた。

CDJ来場者数

当然ですが06/07〜08/09にやっていたWestは抜いた数字。動員が大きく増えている06/07は4日間開催になったときですな(当時は29〜1/1の開催で、翌年から現在の日程に)。今回はその時に次ぐ増え幅かも。

●ブッキングなどの話

今年のブッキングおよびタイムテーブル配置の傾向の特徴は大きく二つあって、「ジャンルの再調整」と「新世代バンドの台頭」に集約されるんじゃないかと考えている。

まず最初の「ジャンルの再調整」について。昨年のRIJFでは1日辺り2〜3組の所謂グループアイドルが出演していたわけだけど、今回は29・30・31に各日1組だけ(清竜人25は除く)にとどまったかわりに、昨年ASTRO ARENAに押し込まれていたのとは対照的に今年はGALAXY・MOONといった通常エリアのステージに配されることになった。その上で、各日にブッキングされたのは℃-ute、チームしゃちほこ、でんぱ組.incといった今年日本武道館でライブを成功させたグループのみとなっている。ある程度厳選した上でブッキングしていることはわかる。

その一方で28日にはLiSA・KalafinaOLDCODEXといったアニメソング分野の人気歌手をブッキング。こちらもLiSAは2014年に日本武道館公演を行っていて、KalafinaOLDCODEXは2015年に日本武道館公演を行うことが決まっている。所謂ロックフェスをアウェーとするアーティストをブッキングしてジャンルの交わりを醸成するというのであれば単体でもそれなりに集客力があるミュージシャンでないと難しい、というのが運営サイドが出した結論なんだろう。

その煽りを食ったからなのか、毎年ブッキングされていたボカロ勢はごっそり抜かれていたのが地味ながらもインパクトの大きい変更。ある意味グループアイドルよりも前(おそらくボカロ人脈からの初登場は11/12に出演したgalaxias!のDECO*27)から出演実績を重ねていて、去年は年明けのアストロアリーナに3時間ほどの「ボカロユニバース」が開催されるくらいまでなったところに今年ゼロというのはなかなか厳しい話であり、ここはシーンがあまり交わらなそうだという結論が出たのだろうか、あるいは武道館級のミュージシャンが出てきていないということか。次のRIJFではどういうことになるのか、というのが一つの注目ポイント。

それから今年は若いバンドのステージ昇格が目立った。WHITE ASH、グッドモーニングアメリカゲスの極み乙女、KEYTALK、キュウソネコカミパスピエ東京カランコロンがGALAXYに昇格し、KANA-BOONはEARTH STAGE。その一方で長年EARTH STAGEでずっとやってきたバンドがGALAXY落ちするケースも随分見られ、転換期にあるのかな、という印象を受けた。上記に挙げた若いバンド達には、所謂「高速4つ打ちロック」みたいなフィジカルに訴えかけて盛り上げることを重視するバンドも多く、その勢いはまだまだ止まってなんかいないということが改めて実感されるところ。音楽メディアやブログ界隈なんかではその辺に対するカウンター的言説が出てきてるけどその辺はまだマイノリティで、そういった言説が実効性を持つにはもう少し時間がかかるだろう。

 

とはいえ、なんだかんだでこれだけのラインナップが出てくるとそれなりに見所あったし、快適なのは間違いないので今年の年末もきっと行ってるだろうなあ。こういう風に色々考えたりあっちとこっちをつなげたりしながら今年も書いていきたいと思いますのでひとつよろしくお願い致します。