一人の快男児の伝記〜書評:「スティーブ・ジョブズ I」

本当は2冊読み終えた時点で書いた方が良いのかなあとも思ったんだけど。

スティーブ・ジョブズ I

先に結論を言うのもなんだけど、一人の人間の伝記として面白かった。そしてビジネス書として教訓を得るとかそういう発想は出てこなかった。

この本の発売直前に知ったんだけど、アメリカは伝記というのが本のジャンルとして確立されているくらい盛んなんだってね。日本だとそうでもないよね(もちろんアメリカとは違うジャンルが発達してるわけで、それはそれで良いことだと思う)。そういうわけで専門の伝記作家という人達がいて、この著者であるウォルター・アイザックソンもそういう人だと。それゆえそもそもアメリカでこの本が出るとわかったときの期待感は相当なものだったんだろう。

この本では、ジョブズが生まれてからスティーブ・ウォズニアクと出会い、アップルコンピューターを設立し、追い出され、ピクサーで成功するまでが書かれている。最後に成功するから良い気分で読み終えられるけど、かなり中盤あたりからのかみ合わない感は読んでてしんどく思える(笑)。まあこの頃のジョブズは正直評価しづらい所があるなあと。現実歪曲フィールドの説明に1章割いているけど、この前半部分ではあまり功を奏していないところもあって、なんともなあという感じ。

てな訳でこの上巻ではジョブズはひたすら失敗しまくる。その上でいろいろ暴れたり厄介極まりない。まだ大きな子供だしね。というわけで、下巻でどのように大人になっていくのか。それがすごく楽しみだったりする。

そんでもって、この本をなんでこの時点で紹介しとこうと思ったかというと、一番前書きにあった「文系と理系の交差点に立てる人にこそ大きな価値がある」という言葉。かくいう僕も文系だけど、エレクトロニクスやコンピューターも大好きで、気がついたら今はIT・システム系のお仕事をするに至っている。まだまだこれからではあるけど。いつも宗教戦争になりそうなこの二つの軸をつなぐ・束ねることができる人間でありたいなあと前書きを読みながら素直に思った次第。そういう意味では絶好の読み出しだったかも。

とはいえ、著者はビジネスの教訓をこの本で得られると入っているものの、ここからすぐに役立つ何かを学びたいのであれば、去年と今年に日経BPから出た「スティーブ・ジョブズ 驚異の○○」シリーズを読んだ方が良いと思う。特に上巻は失敗ばっかりなので、失敗から何かを学ぶという構えで読んだ方が良いんじゃないかな。でも僕はあえてそうせず、ただの一人の快男児(いや、クソ野郎といった方が良いかなw)の人物伝として、楽しむことを重視して読んだ。

因みに、今回この本は紙で買わずに、電子書籍で購入した。紀伊國屋のBook Web Plusから買って、iPadで読んだ。ジョブズの伝記を、彼が生み出したデバイスで読む。オバマ大統領も言ってたけど、それ自体が彼への最高の賛辞だと思うから。

来週出る下巻が楽しみ。