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mabanuaとD'AngeloからJ-POPと現代ブラックミュージックの交わりを考えた

●mabanuaプレイリスト&ワークスの話

ちょっと前の話になるけど、レジーさんのサイトのプレイリストでmabanua特集プレイリストを作成したので、まずはその振り返りと、「mabanuaと私」みたいな話から。

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僕がmabanuaという名前を知ったのは2013年にjizueへのリミックス提供したことがきっかけなので、実は結構最近。その前からjizueとOvallは何度か対バンしてたわけで、今からしたら見に行っとけば良かった。後悔しても遅いけどw(2013年の秋にOvallは活動休止)

その翌年春にGotchのライブバンドへの参加が発表され、それと同時位に出たジャズバンドLibstemsのプロデュースでその仕事の幅広さを知ったわけだ。今ジャズ・ネオソウル的な物が盛り上がりを見せてきはじめ、ceroを始めダイレクトにその動きに呼応しているミュージシャンも出てきていた頃だったので、非常にタイムリーな動きに感じた。Libstemsの和田さん曰くmabanua/Ovallを擁するorigami PRODUCTIONSが出てきたときは衝撃を受けたとのことで、若手ジャズメンからしたら相当頭抜けた存在だったのだろうと推察されるところ(去年行ったLibstemsのライブの時に聞いたお話)。そんで年末くらいにアルバム「only the fact」聴いたらめちゃくちゃ良かったわけです。リリスクに楽曲提供してくれないかな〜って今年の前半ずっと言ってたw

そんな中、2015年の最初にAwesome City Clubの自主企画ライブで彼らが「mabanuaをプロデューサーに迎えアルバム作ってメジャーデビュー」することを発表したとき、これまでの動きとも相まって「これはmabanua積極的に動き追ってった方が良いのでは!?」みたいに感じ、注目していた所。そしたら春にくるりのドラマーとしての参加が発表され、「これはきた!!」となったわけ。そんでVIVA LA ROCKにて見たところかなりアシッドな感じのドラムを叩いていた(それもあって「Liberty & Gravity」とかはホント最高だった)だけに、8月に行われたNegiccoのバックドラムは期待半分不安半分で行ったわけだけど、結果としてはかなりマッチしていた。

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その前辺りにプレイリストをまとめていたわけだけど、川本真琴Charaへの楽曲提供なんかはアレンジもかなり洗練されていて、その振り幅の広さに感心するばかり。その辺は「いままでやってきたことをその場に応じて呼び起こす」、みたいなことを過去のインタビューで言ってて面白いなあと感じていた次第。

伊橋成哉×mabanuaが明かす“ミュージシャンからコンポーザーになった経緯” 「作曲の世界は3割バッターさえあまりいない」(前編)

これを読むとGotchやくるりのドラマーになぜ彼が起用されたのかがわかるなあ。ドラマーとしてもそんな感じかな?と思ったり。

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このように幅広い範囲を横断しつつも個性を出しつつ、今のトレンドとリンクしているmabanuaは、やはり2015年のJ-POPのキーパーソンの一人だなあということをこの9ヶ月で改めて確信した次第。そのトレンドとは…?というところで次の話。

ディアンジェロの伝説的ライブとネオソウル的J-POPの話

mabanuaが参加したNegicco野音ライブの2日後、僕はZepp Tokyoに来ていた。昨年末に突如14年ぶりのアルバムをリリースしたD'Angeloの来日公演を見るために。既にサマソニ大阪・東京公演でその評判は流れていたものの、どのような物になるのかあまり想像せずに(録画していたサマソニの映像も見ずに)ライブに臨んだ。アルバム「Black Messiah」はかなりアシッドな雰囲気の作品でこれが今のブラックミュージックの雰囲気なのかな、みたいに感じていたんだけど(ケンドリック・ラマーの新作もそんな感じだったし)、いざライブに入ったら衝撃的な程にどファンク。「陽性のブラックミュージック」とでも言おうか。どちらかというと位中に技巧でグルーヴ感出していくのかなと思っていたんだけど、とにかく演奏陣から今まで感じたことがないくらいの強烈なエネルギーとグルーヴが巻き起こってきたのが強く印象に残っている。本当に今まで味わったことがないような音楽体験で、生涯ベストライブと言い切れる。

さて、そんなディアンジェロのライブ、mabanuaやceroのメンバーをはじめ、多数のミュージシャンが見に来ていたようだ。そして、直接的な影響のある物ない物それぞれあるにせよ、ヒップホップ的なビート・ネオソウル的な手法を取り入れた楽曲がこの夏辺りからかなりオーバーグラウンド方面でも進んできている。これが2015年のJ-POPでトレンドの一つとして数えられるんじゃないかなと思うわけで、ここではそういう流れの中に数えられそうな物を挙げていきたい。

SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」

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ブラーのデーモン・アルバーンによるプロジェクトであるゴリラズのサウンドプロデューサーを務めるダン・ジ・オートメーターをプロデューサーに迎えて作られた作品。「Tree」の楽曲とテイストが全く違って新鮮。そもそもセカオワはベースもドラムも打ち込みなので(所謂ブレイクビーツの人力再現がキモとなっている)ここら辺のくくりに入れていいのか果てしなく微妙なんだけど、ビートの意匠を取り入れたかったんじゃないかという印象。

椎名林檎「長く短い祭」

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去年も既に書いた話だけど、椎名林檎はホセ・ジェイムズのアルバムの日本盤ボーナストラックに参加してるし、そのきっかけは彼女自身がホセのライブを観に行ったことなので、こういうサウンドを取り入れること自体は全く不思議ではない。手な訳でようやく出てきたか!という感じ。因みにデュエット相手(といえばいいのか?)は東京事変のギタリストでもあった浮雲なので事変ファンとしてはなんか懐かしさを覚えるw

星野源「Snow Man」

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星野源もこういう曲を出すようになったか……そこまでリズムに複雑さはないにしても、アダルトな意匠としてのソウル/R&Bという物を使ってきている辺り、この辺若干意識しているのでは…?という気が若干する。あとは盟友山口一郎氏のサカナクションもニューシングル「晋宝島」のカップリングでローズピアノの音色が思いっきり昔のソウルっぽい「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームで」という曲を作っているので、その辺からの影響ってのもあるかもね(山口さんがロバート・グラスパーなどに相当インスパイアされてるっぽいという話は去年書いたとおりで。)

もちろんどメジャーなところ以外でもこういう流れに沿った物は色々出てるよね。前回のceroの記事の時にあげた面々に加えて、Suchmostoeアナログフィッシュ、なんかの新譜にはその影響が出ているように感じたし、まだまだこれから大なり小なり影響を感じる物が出てくるだろう。この辺も「シティぽっぽ」同様バズワード化しやすい予感があるけど、そもそも作るのもやるのも難しい印象のある音楽なので、極端な同質化により食傷気味になることはまあないかなあと思いつつ、色々境界線上をふらふら歩きながら眺めていこうと思う次第。