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「30代の僕達が2015年に聴く音楽」についてずっと考えてるという話

このブログでは定期的に日本人の音楽受容みたいな話を書いているけど、日本では30代になると音楽を熱心に聞いたり追っかけたりしなくなる、というデータがある。例えば下記のエントリ。

tanimiyan.hatenablog.jp

理由は割と想像がつくところで、仕事での昇進あるいは転職・結婚・育児などライフスタイルが大きく変わる出来事がある、という話が大半だろう。ではあるんだけど、もう一つ大事な話として「30代に合った音楽が無い・もしくはアクセスしづらい」みたいな話もあるんじゃないかな、というのも日々感じている。ポピュラーミュージックは若者向け、みたいな話は聞かれて久しい(もちろんヒットする物には幅広い層にリーチする魅力がある)けど、こうも嗜好の細分化・クラスタ化が進んだ現代ではそれぞれの年代にリーチする音楽というのをもう少し考えてみてもいいんじゃないかな、と言うことをここ数年ずっと考えていた。そんなわけで、いくつか最近自分で見聞きした物をピックアップしつつ色々考えてみたい。

●ズバリ「30代」を描いたPOLTAとONIGAWARA

そもそも歌詞にその楽曲の主人公の具体的なパーソナリティを入れることってどちらかというと少ない。なんでかというと、その付加した属性に当てはまらないリスナーに共感されづらくなるからだと考えられる。なんだけど、裏を返すと「ターゲットを絞り込んで強く共感させる」という手法に用いられることもあるわけ。そんなところで最近「30代独身」みたいな要素を思いっきり歌詞に盛り込んできた物をいくつか立て続けに聴いて「これも一種の時代の流れなのかな…?」なんて思ったりした。

1つめはPOLTAの「SAD COMMUNICATION」。noteにクソ長いレビューを書いたのだけど「みそじれーしょん」の「あたし このまま死ぬのやだな」は超刺さった。「それでも前を向く」も含めて共感ポイント多数なんだけど、聴きすぎるとちょっと辛くなる(苦笑)。しかしながら「30」も含め、書いている歌詞世界はかなり真に迫るものがあるなあと思ったり。

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2つ目はONIGAWARAの「エビバディOK?」の「ONIGAWARA SUPER STAR」では「不謹慎とかじゃなく男子30にして嫁をめとらぬ者は人間失格 じゃあ僕はもうリタイアします音楽と一緒に心中します とか言ってみたいけど言うわけない 早く人間になりたーい」なんて30代独身男性視点の歌詞が出てきたりする。。銀杏BOYZとかサンボマスターとかが10年前くらいにやってたやってたリビドー全開のロックより若干思春期抜けた感じに仕上がってる。年末にもモテたい男子の妄想ソングをリリースとのことで、確かにそっちの方が今っぽい感じだ。

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とはいえ、ここまで書いた結果こういった歌は「ライフステージが変わってない人」のための歌なんじゃないかと気がしてきた。じゃあそういう人も含めてどんなのがフィットする広い意味での「30代にマッチする音楽」かな、みたいなのが次のお題。

●グッドポッポスみたいな話、それから歌は世につれみたいな話

最近思うのはじっくり聞かせてくれるようなポップスがより心地よくなっている、ということ。この辺は好みとしか言いようがないんだけど、自分としてはいわゆるギターロック的なものから年をおうごとに離れている自覚はある。エアジャムも98世代もメロコアもリアルタイムで一切通らなかったという人間なのでそうなのかもしれないけど、それ以上に自分の年齢にマッチしてきているんじゃないか、という感触がある。

その代表的なのは先日あったクラムボン日本武道館ライブ。クラムボンはここ5・6年くらい見てて、3人だけで織り成す強靭なアンサンブルに常に圧倒されてきていたんだけど、それが日本武道館というスケールでも普通に機能してることに驚いた。両国国技館でやった時よりもはるかに響きも良かったように感じるんだけど、機材のアップグレードによるものだけでもないだろう。また、アンサンブルという観点からは先月見に行った吉田ヨウヘイgroupのワンマンライブも相当に良く、こう行った「音を聴かせる」ことと「グルーヴ感」を両立したポップスなんかは正直に言ってもっと僕ら世代の人間に聴いてほしいと思う。クラムボンイオンモールツアーをやった理由には「子育て世代に入った自分たちのかつてのファンに見てほしいから」というのがあったけど、確かにこういう音楽をカジュアルに聴く機会があったらなあという感じはある。吉田ヨウヘイgroupのライブを見終わった後にはほんとそう思った。あと「ホールで見たい」というのも。

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もう一つ、そういった聴かせるポップス方面として良かったなあと思うのは先月行われたTWEEDEESとROUND TABLEの対バン。ROUND TABLE花澤香菜のバックバンドとしてもやっているメンツが半分以上で、心地よくかつ軽やかな音が印象的だった。そして何よりもゲストコーラスの藤村鼓乃美(ワンリルキス)のソロ楽曲「SUMMER VACATION(北川さんプロデュース)」がめちゃくちゃ良かった(CD再販してください…配信でもいいんで)。

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それを受けてのTWEEDEESも、6月のワンマンライブからかなり場数を踏んでいたためかバンドとしての一体感も出てるし各曲における歌い方や見せ方が「バンド然としてきた」印象を受けた。沖井礼二feat.清浦夏実状態だったデビュー当初からするとバンドとして成立してきているなあと。その実感が出てきていることが清浦さんの次の台詞からもうかがえる。

「みんなCymbals好きでしょ? 私も好きだよ。でもね、私がCymbalsのこと忘れさせてあげるから! Cymbalsよりもほかのバンドよりも、TWEEDEESをもっともっといいバンドにしていくから!」

TWEEDEESと北川勝利、盟友ツーマンで清浦夏実「忘れさせてあげる」 - 音楽ナタリー

Cymbalsの「怒れる小さな茶色い犬」を披露した後の盛り上がりを受けての物だったけど、率直に言って僕はこの言葉を聞けて、ポスト渋谷系チルドレン(というかCymbalsチルドレン)としてすごく嬉しかった。Cymbalsの再現みたいな物を求めるんじゃなくて、現在進行形のバンドとして進んでいくんだ、という決意が聞けたことが本当に嬉しかった。

特にここ数年は90年代のヒット曲を中心にカバー曲やリバイバルが大盛り上がりで、「もう新曲いらない」みたいな気持ちの人も多いかもしれない。でもやっぱり「歌は世につれ世は歌につれ」という「音楽と時代・思い出の結びつき」みたいな物は、空気感薄くなったとはいえ絶対にあると思うわけ(前節で挙げた「30代独身」の歌なんかもそう)。懐メロ商売自体は大して否定しないけど、それ自体が過去にばっか目が向いているよねえということが、僕にとってこの手の物にあまり手を出したくならない理由。だから、過去に頼らない自分たちの歌をきちんと作って聴かれていくぞ、というその意思表明については本当に拍手したい。

特にこのグループにはCymbalsファンと清浦夏実ファンという二つのクラスタがあって、それぞれが(僕も含め)かなり過去にとらわれている印象があったので、その辺について思うところはあったんだろうなあとも思うわけ。ここからに本当に期待したい。Cymbalsのアナログ再発、結局注文しちゃったけどそれはそこから沖井さん達が活動続ける原資になればなあという気持ちもあってであり、やっぱもっとこの先の展開を見たい。まずはCymbalsや清浦ソロの曲やらなくてもいいくらいにレパートリーがほしいよね。笑

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そんな感じで、自分の好みに自覚的になりながら、そこにマッチする音楽を引き続き探していこうかな、と思う次第。いいのがあったらもちろんここなどでピックアップする予定。近日1本紹介する予定(最近遅筆だけど割とすぐやる予定!)