たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

清竜人25とはなんだったのか

一夫多妻制アイドル清竜人25の「ラスト♡コンサート」が6月17日に幕張メッセイベントホールで行われ、3年間続いた活動は終わった。披露宴というコンセプトで(じゃあ今までは何だったのかという話はメンバーも気づいていたけどひとまず置いておいて)ひたすら幸福な空間が4時間にわたり繰り広げられた。先行販売とかでもうちょっと良い席取れば良かったなと思えるくらいにかなり満足のいくステージだった。

その日のライブ自体にはいろいろとレポートが上がっているので今更僕の方でディティールにこだわった記事を書くつもりはない(なにせ3階席だったし)。では何を書きたいのかというと、不思議なグループだった清竜人25とは何だったのかという疑問について突き詰めて考えることをしてみたいのだ。

まずはこの曲を見てほしい。

デビュー曲「Will♡You♡Marry♡Me?」。この曲が清竜人25そのものだ。この後の活動はあくまでこの曲の提示した世界を拡張するものであったと僕は考えている。なのでそんなに長く続けるつもりはなかったと竜人くんはあちこちで言っている。しかしやってみたら思った以上に面白かったので続けた、とのことだ(また、夫人達がかわいくなったから、とも語っている)。そういう経緯だったからか、近年のアイドルが繰り広げていた「規模拡大競争」のようなものには乗っかってなかったなあと思う。もちろん活動して行くにつれてワンマンの会場は大きくなってってたけど(因みに、2016年の中野サンプラザとラスト♡コンサートは会場を1年前から押さえて準備していたとのこと)。にしてもあちこち飛んでいた楽曲のアレンジや、特に技量を重視せずにメロディやライブの雰囲気(世界観、というと若干大袈裟か)など、シーンの流行どこ吹く風みたいな感じでやりたいようにやっていた、という印象が強い。まあ竜人くんの楽曲はメロディのクセが強いのでアレンジが色々なことにグループの寿命を延ばす作用があったと思うけどね。

そのやりたい放題だったステージ。そのステージ上では竜人と夫人達がいちゃつく、というのが基本的構図。そのいちゃつきというか絡みはまあマンガみたいな感じのごっこ遊び感強いものではあって、性的な要素を含む歌詞が多用されてた割にリアルという感じは全くないんだけど、僕たちはそれに熱狂し、喝采をあげていた。何がそうさせてたのかということを最近よく考えてたんだけど、竜人が提示した一夫多妻という虚構が、「ファンタジーと分かりきっているから、乗ると楽しい」ものだったからだろう。色々な人たちがすでに言っているだろうけど、アミューズメントパークみたいなものだ。そして、ファンタジーだとわかっているから、「愛してる♡キスしたい♡Hしたい♡」みたいなド直球な曲名でも抵抗なく受け入れていたし、思いっきり乗ってスケベコールしたりして楽しめたんだろう。ラスト♡コンサートで竜人は「清竜人25は夢ではありませんでした。現実でもありませんでした。清竜人25清竜人25でしかありえません」とMCで言ってたけど、ある種現実と夢の狭間に作られた幸せな空間だったのかもしれない。なので、「清竜人25とはなんだったのか」という問いに対しては「清竜人25でしかありえなかった」と僕も答えるだろう。

それだけに、グループの終わりは慎重に計画されてきたようだ。ラスト♡コンサートで予約販売されていた「清竜人25メモリアルブック」によると、2016年の6月の時点で、1年後に解散することを夫人達には告げていたらしい。解散宣言を曲にした「25」は、見て見ると振り付けが今までの楽曲のものをコラージュしたものになっていて、活動を総括するかの内容になっている。

実は解散宣言をしてからあまり「解散」という言葉は使われていない(特にラスト♡コンサートでは一度も使われなかった)。宣言時は仕方なかったにせよ、基本的に世界観を重視はしていたということで、結果としてラスト♡コンサートのコンセプトが先述の通り(多少?の矛盾は織り込み済みで)「結婚披露宴」という形になり、「そして竜人くんと夫人達は仲良く暮らしましたとさ、めでたしめでたし」というハッピーエンドになったのだろう。いわゆる解散・活動終了等に伴う節目のライブというのをそんなに見てきたわけではないけど、やり切った達成感がメンバーから感じられることが多く、コンセプトやシナリオで悲しみを上書きする、良い組み立てのライブだったなあと思う。それでも終わって数日は25ロス状態だったけどね!

そんなわけでめでたしめでたしなんだけど、「清竜人25メモリアルブック」には色々と興味深い話が載っていた。完全受注販売で在庫の放出もないと思われるところなので、そこに書かれてた興味深い話を一部紹介したい。この本5000円だったんだけど内容には相当満足したw

  • 各夫人との1対1インタビューで全員に「早死にしそうだから気をつけてね」と言われていた竜人くんだけど、本人は人生80年スパンで物事を計画しているらしい
  • 中野サンプラザ公演の前に日本テレビ系列「行列のできる法律相談所」に出演したところ、チケットが相当売れて「テレビってすごい」と思ったとのこと
  • ファンとの接触・コミュニケーションについて竜人くんは、「嬉しいけど、作品に影響するわけではない。アーティストとしては作った音楽をしっかり共有してWin-Winになるのが正しいあり方だと思う。」とのこと(要約してます)
  • 竜人くんはメンバー7割、プロデューサー3割くらいの気持ちの配分でやっていた。それがライブで多幸感を出せるようなグループの雰囲気作りに繋がった、とのこと
  • メンバーの今後についてもそれとなく書かれていた。まだまだショウビズの世界でやってきたいと明確に宣言していたのは2人、表舞台から引きそうなのが2人。ぼやかしていた1人は早々に夫婦別姓で再デビューした
  • 竜人くんはこのプロジェクトに相当満足しているらしく、「誰かに一夫多妻制アイドルを試してみてほしい。絶対に3年間続かないから」とドヤ顔(が文章から滲み出てた)

もっと他にも書きたい話とかあったけどひとまずここまで。割と最初の方から最後まで継続して見られたグループだったのでなんだかんだ思い入れがあるグループだな、と終わりが近づくにつれて気づいてきた。なので最後の方は竜人くんや亜美ちゃんとチェキ撮ったり結構満喫できてよかったな。清竜人40といわず30くらいで記念カムバック公演やってほしいなw