cero「Obscure Ride」の次に聴きたい「今ジャズ・ネオソウル+J-POP」

ceroの2年半ぶり3枚目のアルバム「Obscure Ride」が今熱い。

 

 

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元々古今東西の音楽ジャンルを縦横無尽に駆け巡り紡ぎ上げていく音楽性が特徴だった彼らだけど、2013年のシングル「Yellow Magus」以降、いわゆるネオソウルのようなブラック・ミュージックへの傾倒を深めていったのは周知の通り。その辺の影響度合いについては前にも書いているのでそちらを参照してほしい。個人的にはその辺りで深掘りしたこともあり、今回のアルバムに特別に新規性を感じているわけでは無い(というか「Yellow Magus」が出てから先述の記事を書く時に既に新規性を感じてた)けど、アルバム単位で出されるとインパクトあるし、それに2014年末に発売されたD'Angelo & TheVanguard「Black Messiah」からの影響がダイレクトに感じられるなど、海外との同時代性という点でもインパクトのある作品だといえる。

というわけでこのアルバムの話をしようと思ったけど既にいろんなメディアで大量に出回っている(しかもレビューに関しては割と同じ内容が多い)ので今更僕が書いても仕方が無い。なので、彼らと同様に「今ジャズ・ネオソウル」的な物が好きな音楽愛好家として、ceroと同じようなアプローチに取り組んでいるミュージシャンを何個か紹介してみようと思う。

と、その前に今ジャズ・ネオソウルについて超簡単に紹介。今ジャズに関しては去年の春と秋に1本ずつ記事を書いているのでそれを見てくれれば良いのだけど、ネオ・ソウルというのは2000年前後くらいにアメリカで勃興した「ソウルミュージックにヒップホップのサンプリングやプログラミングの要素を加えつつ生演奏でグルーヴ感を獲得していく」アプローチの音楽のことで、昨年末に15年ぶりのアルバムをリリースしたディ・アンジェロやエリカ・バドゥなんかがその代表として挙げられることが多い。中にはJ・ディラのようなトラックメイカーもその中にくくる人もいたりと音楽的に明確な定義があるわけではない。そんでもって上記のアプローチは今ジャズ勢も取っているのでロバート・グラスパーやホセ・ジェイムスなんかもネオソウルだという見方をする人もいる。まあグラスパーなんかはJ・ディラにめちゃくちゃ影響受けているしエリカ・バドゥをゲストボーカルに迎えたりしているので連続したものとして捉える見方ってのはまあアリなんだろうな、という気がする。

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ざっくりとした特徴としてはサンプリングで作ったビートを人力で再現しようとするために変拍子ポリリズム・リズムのヨレなどが多く見られるということ。それを不自然な物ではなく、気持ちよいグルーヴとするのがこういった楽曲のキモでしょうな。

●Emerald

さて1つ目は昨年CDデビューしたEmerald。このバンドの出自というか抱えているストーリーについては下記の記事をご一読頂ければ。

『音楽を、やめた人と続けた人』最終話:「音楽を続けた人」は、それでもやっぱりバンドをやめない - 連載・コラム : CINRA.NET

ロバート・グラスパーが好きというメンバーがリアルタイムなブラックミュージックを聴く中から紡ぎ出されていったアンサンブル。とはいえ湿度高い感じではなくかなり洗練された形に落とし込まれているなあというのが率直な感想。アルバムも構成がかなり練り込まれている感じでとても良いですよ。

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●SANABAGUN

以前このブログでも紹介したSANABAGUN。ヒップホップを生バンドで再現という所でやってること自体思いっきりネオソウルのそれなんだけど、DJプレイによるスクラッチや揺らぎなんかも落とし込んでいるところが他にはない特徴として挙げられると思う。渋谷で頻繁にストリートライブをやっている。

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●入江陽

「ネオソウル歌謡」と銘打っている入江陽。今年出たアルバム「仕事」、とても良かったです。Emeraldよりもうちょいブラック寄りな感じで、適度な湿度感のあるサウンドで心地よい。「ミュージック・マガジン」の「ceroと新世代シティ・ポップ」特集で新世代シティポップの一つとしてディスクレビューが掲載されていたけど、山梨や鎌倉(曲名に入っている)はシティなのか、という疑問が思い浮かぶ。笑

あとゲストで女性ボーカルが参加している曲が総じてかわいい!笑

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●CICADA

今年の2月に発の全国流通盤「BED ROOM」をリリースしたCICADA。先日初めてライブを見た際に「この人力ドラムンベース、思いっきりRobert Glasper Experimentっぽい」ってTwitterで言ったらドラムの櫃田さんに「その通りです!」と言われるという心温まるやりとりが早速あった。その場でCDも即買いしたわけだけど、何で僕これ買ってなかったんだろうって言う位にどんぴしゃではまってます。リードトラックの「Naughty Boy」なんかもそういったタイプの楽曲なんだけど、ただ手数が多いだけのドラムにならずに落ち着きのあるグルーヴにつながっている。

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ここで挙げた中では唯一の女性ボーカル。どことなくparis match辺りを連想させるセクシーな歌声も良い。

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●それ以外・まとめ

バンド・作品全体で、というのではなく、単曲のアプローチなんかもあったりする。サカナクション「さよならはエモーション」なんかもそうだし、Negicco「BLUE, GREEN, RED AND GONE」なんかもそうなのかな?と思わせるような所がある。

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ここ1年くらいは特にこういうビートがお気に入りであり、やっぱりそのきっかけはceroの「Yellow Magus」だったよなあと思ったりするところなんだけど、当分はこういった感じのをいっぱい聴きそうだなあという感想。夏にはサマソニディアンジェロも来るし、もっともっとこの辺盛り上がって色々面白い物が出来てくることを期待したいところ。