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大手チケット販売サイトの手数料とかについて僕が考えていること

ぴあ・イープラス・ローチケの3大チケット販売会社は、音楽ファンからの評判がすこぶる悪いことでも有名である。いや、たぶん音楽だけじゃなくて取り扱っているエンタメ全般のファンに嫌われているといった方が正しいのかもしれないけど、とにかく嫌われている。僕もこれらの事業者のサービスに満足しているわけではないが(ここ重要)、なんか文句がいちゃもんに聞こえるときもあるので、自分なりに考えていることを整理してみたいなと思った。次のことについて書こうと思う。

  • 各種手数料
  • 土曜午前10時のサーバーダウン
  • その他

繰り返しだけど、僕はこれらのサイトの回し者ではないしお金ももらってない(だからステマなどでは決してない)ということ。

●手数料は正当なものなのかという話

とにかくまず挙がるのが「色々手数料を取っている」という話。ここで挙げた3社やイベンター(DISK GARAGE・ウドー等)の直営サイトなんかで行われる先行販売の際にはとにかく話題に上がる。先行販売に申し込むとチケット代以外に特別先行販売手数料500円+システム利用料250円+発券手数料108円で合計1000円近く加算よ、なんてことはざらだ。お財布の中身は有限なのでそりゃあ高いより安い方が良いよ、というのは心情的にはよくわかる。じゃあこれらの位置づけって何なんだろう、というのが最初のお題。まず、ぴあイープラスローチケそれぞれのサイトの説明を見ても、それが何かということは殆ど書いていない。なので、ここからは推測なのだがほぼ間違っていないと思う。手数料の内容・意味は下記の通りだろう。

  • 発券手数料:実際のチケット印刷や封詰め代+(店頭行けば)どこでもチケットを買える事への対価
  • 決済手数料:その名の通り。コンビニとかからチケット販売業者への送金とかの手数料
  • システム利用料:各種サイトに(文字通り)どこからでもアクセスしてチケットを予約できる事への対価
  • 先行販売手数料:一般販売よりも前にチケットを押さえられる権利への対価

発券手数料。これを考える際には手売りされているチケットとの比較が一番わかりやすい。手売りされているチケットは、既に印刷もされているのでその場で手渡しされればすぐ使える物になる。しかし、みんなが興行者なり出演者から直接チケットを買うことは出来ないのでこういったチケット販売業者が出てくることになる。そうするとその場でチケット印刷をして手渡しすることになるのでそのための対価(材料+人件費)とそもそも店頭に行けば興業者から直接買える事への対価だろう。そしてシステム上で即完結するクレジットカード以外は出先と販売業社間の送金が発生するので手数料いりますよ、と。恨むなら金融機関を恨もうw

とはいえ店頭に素早く行けるわけでもない事情というのは存在する(最近はコンビニが取り扱いしてくれるから良いものの、昔はチケット販売業者の出先でないと買えなかった)。なのでネットや電話を通じて押さえて後で店頭に行って発券したいというニーズが出てくる。その対価がシステム利用料だろう。電話でもネットでも同じ価格である場合が多いが、まあいちいち分けたりするの大変だろうな、という感じはする。

ここまではあくまで一般販売されているチケットについての考察だが、最近は行きたい人が多く販売時に人が殺到するケースもたくさん存在する(実際は昔からそうだったんだけど)。そうするとシステム側でも捌けないし、そもそも発売日に即完売では公平に行き渡らないよねってことで最近増えているのが先行販売。この制度自体はそれこそインターネットでのチケット販売がなかった20年前位からあったけど、ファンクラブやぴあカード会員など「一定の対価を既に払っている人」向けの施策だったと記憶している(違ったらすみません)。なので、一般販売よりも前にチケットを確保できる権利への対価として先行販売手数料という物が出てくる、と考えられる。そして恐らく各社ここで稼いでいるのだろう。特に大物アーティストのツアーを丸ごと独占先行!みたいなのは販売業者の営業さんがアーティスト側に頑張って営業かけて獲得した案件、ということでしょう。今は先行で取るのが当たり前みたいになっているけどそもそもは一般販売がベース(この精度が良いかどうかはさておき)とすると、合理性はあるのではないか。

余談だけど、この特別先行手数料の価格は概ねチケット代に比例しているようだ。そのため同じ公演で極端に価格差がある場合(ポール・マッカートニー日本武道館公演など)には安いチケットの特別販売手数料が高いチケットの手数料に引きずられてチケット同額とかいう冗談みたいな状態になってしまう。それは何とかしてよ、と思ったり。(よくヤフオクなんかでダフ屋行為が問題になるとプレミアム高額チケットを出した方がいい、という議論が出るが現実にそうならないのは公平性の確保以外にこういう融通の利かないシステムに原因があるのかもしれない。)

そういう風に考えると、ある程度手数料類も納得いくんだけど、正直に言って各チケット販売会社はここら辺についてもっと周知するべきだろう。通販(特にAmazon)の送料についてダンピングとか下請け締め付けとか話題になるけど、そういう心配をする人達もチケット販売の手数料については一様に文句を言っているというのが率直な印象だ。PR大事。

●土曜朝10時になるとサーバーが落ちる件について

各種チケット販売サイトの一般販売開始が土曜日の朝10時なのはなんでかというと、やはりその時間帯が一番「人の活動が少ない」即ち店頭にチケットを買いに来られる人が多く、なおかつ電話や何やらが他の用途で使われてて邪魔になることが少ない時間帯であるということだろう。以前は日曜の朝10時、というのもあったような気がするけど、週休2日が普及してからは土曜日が主になったはず。それこそ20年前に、母親と弟が大宮ソニックシティでやるtrfのライブチケットを取りに駅の反対側にある西友にあったぴあだかチケットセゾン(今のイープラス)の店に朝から行ってたのを記憶している。ただ取り扱い点数が増えた上にインターネットでの販売も普及した今ではその時とは比較にならないくらいのリクエスト量が集中して電話は繋がらない(昔もだったけど)わネットではサーバーからエラーメッセージが出るわで購入メニューに行くのも一苦労、というわけだ。それゆえに先行販売をする公演が昔に比べて広がったという側面もあるんだけど、それにしても土曜朝10時は地獄の時間だ。

IT業界の隅っこにいる人間からしたらクラウド化して負荷に応じてリソースを増やしたり減らしたりするElasticな形態にすればいいじゃん、と思ったりもするんだけど、そうも許さない事情があると考えられる。まず一つは価格比較をして多分クラウド化した方がまだ運用含めて高くつく、という計算になっているということ。もう一つはぴあが2008年にシステム入れ替えに失敗して各興行主に敬遠されて大赤字になり希望退職を募集するまで至ってしまったことの記憶が業界に残っており、業界全体として若干保守的なのではないかと見られること。あとは電話とかはどうにもならんじゃんとかあるけど。

じゃあPeatixとかのスマホチケットはどうなのよみたいな話が出てくるけど、その昔ももクロのイベントを先着順で受付用としたらサーバーが落ちて半日復旧できなかった事案があったように、規模的な面を考えるとそれだけのリソースを用意できないという事情がある。そしてやっぱりそういう投資余力を手数料収入で確保してるんだろうなあというかんじ。スパイク(突発的な負荷上昇)への対策というのは、クラウドでやるにしても意外と面倒なものだし、普通のサーバーだと平常時との乖離が激しければ激しいほどどこに合わせてリソース設計するかという話になる。例えば土曜日午前のアクセス数が平常時の5倍だとしたら、それに合わせて設計すると1週間のうち160時間以上は8割もリソースの無駄が発生することになる。それは企業として取れる選択肢なのか。因みにぴあは上場企業なので決算書が公開されているから見てみる(PDF)と、いろいろとチケットサイト特有の特報が出ていて面白いです。「固定資産の中に占めるソフトウェアの金額比率の高さ」とか。

●結論のようなもの

この記事で言いたいのは殆どが「手数料は別にそんなに不当な物ではない」なんだけど、事業者側も寡占事業になっていることにあぐらをかいてサービス品質の向上にあまり取り組んでなさそうなところや説明不足なところについては「それでいいの?もっと頑張れよ」という気持ちだ。実際ネットからの購入大変だし、ローチケとか個人情報入力させすぎ(Pontaおサイフケータイ登録すると格段に楽になるけど)だし。因みに僕は新興勢力のスマホチケット系にはそんなに期待していない。先に挙げたシステム障害もさることながら、全国各地の公演をカバーしていくのはネットだけではしんどいんじゃないかなあと思っているところがあるからだ。

それでも定価リセール(ぴあ)とか電子マネー対応(ローチケ)とか少しずつ良くはなっているので、まあもっと頑張れ、って感じ。まあ何事もそうだけどダメなところは参考にせず、良いところを見習わないとね。あまり締まらないけどまあそんなところです。