たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

宇都宮徹壱講演会「アフリカ開催は何をもたらしたか 2010 FIFAワールドカップを現場で取材して」

昨日標題の講演会に行ってきた。 そこで人生初の「tsudaる(講演会などの内容をtwitterを使って実況中継すること)」をしたので早速リスト化してみた。

http://togetter.com/li/37517

おかげさまで講演の内容がただのんべんだらりと聞くより遥かにしっかり頭に入ってきた。能動的に講演会に参加するというのはこういうもんなのかなとも思ってみたり。

宇都宮徹壱さんは、ヨーロッパを何度となく訪れて、その国のサッカーを草の根レベルまで取材しているノンフィクションライター。近著の「フットボールの犬」も非常に面白かった。

フットボールの犬―欧羅巴1999‐2009

さて、講演会の感想なんだけど、南アフリカW杯について、僕らは基本的にテレビを通してその試合しか見ないわけで、そのインフラが堂だったとかについては知る機会がなかった。特に南アフリカは遠いし治安もよくないしとかネガティブイメージが先行したために、おそらくその周りの取材とかまで出来るほどのリソースを投入しきれなかったのだろう(その辺の事情については質疑応答でも多少触れられた)。なので、実際に取材に行った人からのリアルな話が聞けたのは非常に面白かった。

とにかく話を聞いて思ったのは、「ああ、本当に南アフリカでワールドカップちゃんとできたんだなあ」ってこと。開催前にあれだけ色々騒がれたし(アフリカ他国でのテロなんかもあったし)、決していい噂は聞かなかったけど、ちゃんとうまくいったんだよなあ。確かに会期中のテロとか重大犯罪はなかったし。窃盗とかはちょくちょくあったみたいだけどね。とにかくそれなりに円滑に出来たというのが最大の成果な訳だね。言い方がいいかどうかは別として、「アフリカでも出来る」事を証明できたということですね。

そういう中で宇都宮さんから「多様性の大陸、アフリカ」という視点が提示されたのはすごく興味深い。入植者の子孫、アジア系奴隷(アフリカ人は狩猟民族が多く、アフリカで定住させ働かせることは困難だったためアジアから連れてきたそうな)の子孫、そして古くからのネイティブ・アフリカン(なんか変な言い方だけど)。アメリカも多様性の国だけど、今後アフリカ各国が力を付けていくに従って、そういう見方が浸透してくることになるかもしれない。上のリストでは触れてないが、2020年のオリンピックに南アフリカヨハネスブルグケープタウン)が立候補することは十分あり得るだろうとのこと。まあまだアフリカ大陸でこういった大会を開催できるだけの経済力がある国は少数だし、多様性故の多発する紛争など解決すべき課題は多いけどね。

サッカー自体の話はあまり出なかったけど、中身はなかなか濃かったと思う。全くかじったことのない分野だったので、知的刺激を受けることが出来た。またこういう機会があったら行ってみようっと。