たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

TWEEDEESニューアルバム「DELICIOUS.」から考えるバンドの「進化」

沖井礼二というベーシストは自分にとっては特別な存在だ。大学生の時にCymbalsというバンドを知り、独特というか唯一無二のベースラインに惹きつけられそれからずっと聴いてきた。Cymbals自体はライブを見に行ったことはなかったけどその後は事あるごとに行ってたし、今沖井さんがやってるバンドであるTWEEDEESについては前にもブログで書いたりしている。

そのTWEEDEESのニューアルバム「DELICIOUS.」が先日発売された(もう随分前の話になってしまった…)

なんか発売までに事前情報をほとんど入れる余裕がなくかなり素な気持ちで聴き込んで、それでナタリーのインタビューを読んで、サイン会に参加して、そこからリリース時恒例の芋煮会(みんなで同時刻にアルバムの再生を始めてTwitterに感想を書き合う会)に参加したりして色々見えてきたことがあるのでそれについて書きたいなーと思う。

芋煮会振り返りの名を借りた全曲レビュー

まずはアルバムの曲たちはどんなのだったのか。芋煮会で書いたことを多少アップデートしながら書きます。Apple Musicとかで聴きながらどうぞ。

  1. DELICIOUS.
    TWEEDEES以前から沖井さんの作るアルバムのオープニングナンバーはそのアルバムのイントロダクションとしての機能を十二分に果たすような曲が来ることが多いが果たして今回はなんとシューゲイザーっぽい感じの楽曲に。つかみはバッチリ。イントロの雰囲気が今までのTWEEDEESとは確実に違った。それでいてなんだか霧がかかってる感じのイメージがあり、さあここからどうなる!?と感じさせる曲。
  2. 花束と磁力
    さあアルバム始まるぞってことで名刺がわりの一曲としてこの上ない沖井節ポップミュージック。ベースがブイブイ言うところとかほんと沖井ファンみんな大好きなやつ。メロディの駆け上がる感じなんかも沖井節120%みたいな。そしてボーカルも高音域多めで曲のパワーを感じる。
  3. 少年の見た夢は
    ビートルズ的・ブリティッシュロック的なミドルナンバー。サウンドだけではなく歌詞も「鐘」「石畳」とかのワードで外国の港町(というかリバプールじゃないかなこれ!?)を歌っているかのような印象。そして他の曲に比べて清浦さんのボーカルがはっきりと言葉を伝えようとしているような印象を受けた。
  4. 昼夜逆転の歌
    これまたピアノ主体のしっとりしたミディアムナンバー。から曲の途中でスウィング調になるところがめっちゃ良い。一曲の中に昼と夜を同居させ、夜を派手なサウンドにしたところはまさに昼夜逆転!見事な構成です。ピアノの井上さんはじめ演奏陣も素晴らしい仕事をしている。
  5. エトワールはオルゴールの中で
    これまたTWEEDEES初期からあった洋風趣味の曲。三拍子のワルツ調で進むおもちゃ箱みたいなサウンドと清浦さんの声にうっとりしてると曲があっという間に終わる(1分)
  6. Medley: 東京は夜の七時~21世紀の子供達
    今作最大の驚きかもしれない。メドレーだから曲と曲を繋ぐのかなと思ったら書き下ろし曲を「東京は夜の七時」で挟むという驚きの構成。そして清浦さんのボーカルは今まで聴いたどの「東京は夜の七時」とも違う。これは意義あるカバーです。
  7. 不機嫌なカプチーノ
    前がかりなイントロから始まるハイテンポ曲(GENさんの妙技!)。そしてめっちゃ沖井メロディだしこのツンとした感じの歌詞は清浦さんだよな〜〜。なんだかお茶目な感じもあり。今作で一番「TWEEDEESっぽい」曲かも。
  8. 美しい歌はいつも悲しい
    タイトルからは意外なハイテンポと込み入ったドラムパターン。しかし何よりこの曲の聴き所はしっとりさの中に凛とした存在感を放つ清浦さんのロングトーン。とにかく声がよく伸びる。TWEEDEESとしての一つの到達点。文句なしのリードトラック。MV見てね。
  9. 間違いだらけの神様
    これまでの曲のテンションの高さとは打って変わっての三拍子のミディアムバラード。最後の方のコーラスが冬っぽさとエンディング感を出しててアルバムが終幕に向かうことを暗示してる。優しげな清浦さんの歌声が木管主体のオケとピッタリで聴いてて落ち着く。
  10. 作戦前夜
    クリスマスソングにこのタイトルつけちゃうのがとてもよい。他の曲でも思ったけど今までのTWEEDEES作品に比べると歌を通して生活の情景が浮かんでくる作品であるようにも思えるところ。タイトルとか途中のテンポチェンジとかはらしいなって思っちゃうけどw

全般的にアレンジが冴え渡っている楽曲が多く感じた。

バンドの進化・変化

TWEEDEESが3rdアルバムを作ると発表した時、自分は率直にrdアルバムはすんごい変化が欲しいな〜と思ったしいっそのこと「sine(Cymbalsの3rdアルバム。バンドサウンドから一気に打ち込み主体に変わってリスナーを驚かせた)」みたいに2人のバンドであることを活かすのもありなんじゃないかなとか思ったりしていた。それは直近の新作だった「a la mode」が、かなり良い出来だった「The Second Time Around」との違いがあまり見られなかったように感じられた(ミニアルバムだからある程度は仕方ないが)ところが大きかったと思う。果たして出てきたものはどうなったかというと、そこまで劇的な変化とはならなかったわけだけど、そうは言ってもこれまでのアルバムからもまた確実に違うものに仕上がったな、という感想を抱いた。

何が違うのかというと、2人のメンバー沖井礼二と清浦夏実の関係性あるいは楽曲の中での清浦さんの存在感。今からして思うと1st「The Sound Sounds.」において清浦さん「沖井礼二主宰のバンドにおける新たなボーカリスト」という感じであったように感じる。それが2nd「The Second Time Around」ではお互い触発し合う制作パートナーという一面が強くなり(念の為言っておくとそういう面は1st時にもある程度見られた)、3rdである今作においてどうなったかと言うと、清浦夏実成分が強くなり名実ともにフロントマン然とした佇まいを備えるに至ったなあという印象を抱いた。

そかある程度聴いて感想がまとまったところでナタリーのインタビュー見たら、なんか自分の考えを見透かされていたかのような気持ちになった(自意識過剰)。

TWEEDEES「DELICIOUS.」インタビュー | 正常進化のためのあくなき戦い - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

──先日、アルバム発売前に新曲をお披露目するライブが行われました(参照:TWEEDEES、3度目のプレミアムショウで新作「DELICIOUS.」を産地直送)。二十代のプレイヤーがサポートで参加して、沖井さんが常々言っていた「ポップスは若い人のためのもの」をサウンドでも体現するような試みだと思いましたが、同時に「沖井さんがTWEEDEESを突き詰めると、最終的な理想形は“沖井礼二がいなくなる”なのではないか」とすら感じました。

沖井 ライブを終えたあと、僕もまったく同じ印象を受けました。ポップスは若い人のためのもので、TWEEDEESはこの人(清浦)が歌ってくれていて……最終的にはおじさんが視界から消えたほうがいいんですよ(笑)。

ー中略ー

沖井 アルバム制作の半ばぐらいかな。「今できつつあるアルバムは、清浦夏実のボーカルアルバムだな」と感じた瞬間があって。たぶん僕が作ってきたアルバムの中で初めてじゃないかと思うんですけど、このアルバムは僕の声が一切入っていない。コーラスは全部この人の声なんですよ。僕の声のように聞こえるところも、この人がオクターブ下で歌っている。「花束と磁力」と「少年の見た夢は」は一度僕の声でコーラスを入れたんですけど、結局納得がいかなくて全部ボツにして。僕の声が夾雑物に聞こえてしまう何かが、この人の声の中に生まれているのかなという気がしています。

 

清浦 それは私もそうかもしれない。

沖井 やっぱり私の声が嫌ですか?(笑)

清浦 いや、そうじゃなくて(笑)。TWEEDEESの3枚目を作るにあたって、もちろん私も一生懸命ボールを投げてたんですけど、それよりも沖井さんの曲をより純度の高いものにする努力をしたほうが、TWEEDEESにとって幸せかもしれないって。お互い委ね合ってた、持ち場を守っていたみたいな。

 

沖井 前世の話になりますけど……3rdアルバムの作り方として、そこまでの経験を踏まえてグッと新しい方向に踏み込むというのが1つあって、前世で僕はまさにその方法を取ったんです。

──Cymbalsのメジャー3rdアルバム「Sine」(2002年7月発売)ですね。

沖井 ただ、それをやることは正常進化から逃げることにもなると思うんですね。今回はそれをきちんと受け止めよう、逃げずにやろうと(笑)。そのためには、とにかく曲の芯が強くなきゃいけない。それに尽きるのかなあ。「ポップスは若い人のためのもの」という言い方をしていますけど、僕はSex Pistolsが好きで音楽を始めて、ブラックユーモアや皮肉ったらしいものから大きな影響を受けていて。でも今回は違うところで勝負しなきゃいけないなと。そういうレコードを自分が聴きたかった。なんとしてもそれを自分の手で作りたい。「今、自分が聴きたいものしかこのアルバムには入ってはいけない」というところにこだわったんだろうなあ。

──TWEEDEESの3rdアルバムは、てらいのない作品じゃないといけないと。

沖井 てらい、作為を排除したところで何ができるか、というのが今回の勝負どころだと思っていたので。

うーむまさかsineの話がここまで明確に出ているとは笑。いやあそれでここまでいいんだったら全くもってそれでよいですよね。とりわけ「美しい歌はいつも悲しい」の衝撃的なまでの完成度の高さは驚きを通り越して嬉しかった。そしてこの曲はこのアルバムの特徴を最も端的に表現している曲だし、「清浦夏実だからこそ表現できる歌」だし、TWEEDEESとしての一つの到達点、この二人だからこそ作り得た曲である。

同じバンドを継続して見ていると色々な変化が起きることに立ち会う機会が増えるんだけど、TWEEDEESはとてもダイナミックに変化しているバンドだなあと思うし、意味がある変化をしているなあと思う。そしてボーカルとベースの2人であるにもかかわらずバンドを名乗っている意味というのもここにあるのかな、と。比較的メンバー間の関係が緩く希薄なイメージを漂わせる「ユニット」という言葉ではなく緊密な関係性を持つ「バンド」という名前を称するだけの強固な関係性がこの変化、いや進化を引き出してきたと言っていいのではないか。

主にボーカル面での沖井成分が薄くなるのは寂しさもあるけど、清浦さんが言うようにその分サウンド面での強度が高まる方向に行けばこの先もっと面白くなるだろうなと思う。今作のアレンジ面でのこだわりは今までの沖井ワークスの中でも随一だったので、ホントにホントにTWEEDEESのこれからが楽しみです。

 

11月に聴いてよかったCD

もうすぐ年末ですね。

 

マテリアルクラブ「マテリアルクラブ」

Base Ball Bear小出祐介氏によるゆるいつながりの音楽制作プロジェクト(といえば適切なのだろうか)。小出氏の今までのインプットのうちバンドではできないことが存分にアウトプットされているようで聴いてて面白い。

The Beatles「The Beatles(White Album) [Super Deluxe]」

リマスターされた2018MIXがすんごく音がいい。そして今までブートとかで出回ってた諸々のデモやアウトテイクをパッケージングしてCD6枚5時間超えの一品に。復刻版としても歴史的資料としても価値のある作品。

SAKA-SAMA「It's A SAKA-SAMA WORLD」

活動期間2年でメンバーの大半はこの夏以降の加入で、全般的に歌唱の拙い部分が散見されるんだけど、それを覆い隠すとかではなくむしろ生かす方向に作られたアレンジとメロディが際立つ佳作。

原田知世「ルール・ブルー」

ただ雰囲気がいいとかそういうのではなく陰陽際立つアレンジなど含めてトータルでとても完成度が高く聴きごたえのある一作。

SUSHIBOYS「350」

曲を作るモチーフがUSBメモリだったり遊戯王だったりして最高。今の3人体制における一旦最後の作品、必聴です。

 

ようやく年間ベスト的なものを考え始めたけど今年はギリギリまで悩むことになると思います。てか今の時点で既に悩んでる。

第7回アイドル楽曲大賞2018に投票しました

アイドル楽曲大賞、毎年自分のまとめとして投票してたけど流石に今年は記事まで書かなくてもいいかなーとかむしろ投票するのもめんどくさいなーと思っていたけど友人の桐山さんが投票内容投稿してたのを見てうんやっぱ自分もやっておくかなって思ったので書きます。それでiTunesの履歴見たらそれなりに出てきたのでまあいいかな、と。なお、選定にあたっては基本的に自分が遭遇したものだけを評価対象にする主義の人間なのでこの時期になって聞き逃しがないかとかそういうのはまったく気にしていません(来月アップするであろう今年の総括・ベスト選出もそう)。なので投票内容には大いに偏りがあるが気にするな。

 

そんなわけで早速いきましょうか。

メジャー部門

メジャー部門は順位をつけるには至ってないので全部同じ配点で並べました。

kolme「Hello No Buddy」 

 新しい学校のリーダーズ「恋の遮断機 (feat.H ZETTRIO)」

NGT48「春はどこから来るのか?」

sora tob sakana「New Stranger」

ももいろクローバーZ「あんた飛ばしすぎ!!」

特にコメントすることはないです。だいたい対バンとかSNSで遭遇して見聞きしたやつ。すごいどうでもいいんだけど「Hello No Buddy」の「恋愛について書いた曲です」っていう前口上はいつも同じなのだろうか。

インディーズ部門

こちらは順位をつけています。

1位:lyrical school「つれてってよ」

2位:lyrical school「DANCE WITH YOU」

3位:lyrical school「Hey! Adamski!」

4位:lyrical school「オレンジ」

5位:RYUTIST「青空シグナル」

 

いやいっそ全部リリスクにしてもよかったのではないかという気も少ししてます。なんとなくライブ盤の曲は入れませんでした。ちゃんと音源が出た時のためにとっておきたい(出るのかは知らない)。

アルバム部門

1位:lyrical school「WORLD'S END」

2位:SAKA-SAMA「It's A SAKA-SAMA WORLD」

3位:・・・・・・・・・『』

「WORLD'S END」は本当に本当に素晴らしいアルバムなのでホント聴いてくださいって事を強く強く申し上げておきます。

推し箱部門

lyrical school

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※自分で撮った写真です

リリスクめっちゃいいよなんで見てないのみんな?って気持ち。今年リリスクをより一層好きになりました。

感想とか総括とか

長く活動している中堅どころともいうべき名前の知れてるグループが次々と解散してアイドルブーム終わったねとかそういう話出てるけど、まあなんというか色々サイクルが一巡したようなところは感じる。そんなわけで「中堅どころのアイドルグループはそこそこの規模で持続可能な形を探るのが最良」みたいな言説が出てきてて、理屈はわかるけどそれでメンバーのモチベーション保てるのかなみたいなことは思ったりしてました。この世界夢がないと続かないでしょ。

まあそんなことはさておき、今年もなんだかんだシーンをいい感じに楽しんだと思います。久々にTIFチケット買って複数日参加したし。

 

さてさてこの記事を書いたということはそろそろ年末振り返りシーズン。まだ全く年間ベスト決めてないんで乞うご期待w

2018年10月に聴いてよかったCD

他に書きたいこともあるけどまずはこちらを。因みに毎月この3倍くらい数を聴いてるけど語ってない作品はたくさんあるんです。

 

Special Favorite Music「TWILIGHTS」

グッドミュージックの極みみたいな音楽。またライブ行きたいな。

 

折坂悠太「平成」

藤原さくらさんのレコメンドで知りました。なるほど納得な感じで面白い。

 

ジェニーハイ「ジェニーハイ」

川谷絵音is天才を実感する作品。新垣隆のラップにどうしても笑いがおさえられない。

 

高岩遼「10」

ベタベタなモダンジャズなのかな?って思って聴いたらそんなこともなく、自分のバンドでやってることをうまく消化してソロに出してきてる感じで良かった。interludeにてダンディボイスで他愛のない話をしているのが最高。

 

IZ*ONE「COLOR*IZ」

作品としては確かに良い。しかしこのグループが他のグループとどう違って際立って良いのかが見えない。日本人のいるユニットはTWICEなどがあるしオーディション番組は前からあるものだ。48から選ばれたメンバーが入ってるよってくらいでは日本以外に訴求力どんだけあるの…という気もする。

 

TWEEDEES「DELICIOUS.」

これについては実は原稿準備中です。早いとこ書き上げたい。とにかく8曲目の「美しい歌はいつも悲しい」が彼らのキャリア最高の楽曲に仕上がっているので必聴です。

 

来月は1年のまとめ的なやつも書きたいので早めに今月分書き上げることにします。

2018年9月に聴いて良かったCD

翌々月になってしまった……半期末なので色々たくさん出ましたね。

 

ものんくる「RELOADING CITY」

ジャズでありポップスであり。前作も相当良かったけど軽々超えてきてまだまだこのバンドのことが楽しみに。またライブ行きたい。

きのこ帝国「タイム・ラプス」

プロダクションとしては良いです。ただこれはきのこ帝国なのか?と言われるとわりと謎。バンドが音楽性を変遷していくのは珍しいことではないんだけど、らしさはなくなった気がする。

絶対忘れるな「絶対忘れるな」

僕の好きな音楽の中に「平熱の音楽」というか普段の生活と地続きになっているというものがあるんだけど、この会社員5人組ラップグループの1stはまさにその1つの到達点。

TWICE「BDZ」

すんごいできが良くて安心して聞けるポップミュージック。日本人メンバー以外の日本語がたどたどしいのがなんかおもしろみある。

くるり「ソングライン」

わかっていたけど超良かった。世界各国の様々な音楽を血肉として提示されたアウトプット。今年のマストなやつ。

藤原さくら「Red」

今一番ライブ観に行きたいのは藤原さくらさんです。

きゃりーぱみゅぱみゅ「じゃぱみゅ」

あまり意味のない響き重視のシュールな歌詞の曲とか、僕たちが大好きなきゃりーぱみゅぱみゅが戻ってきた感じがある。ここ数作の中でも相当良い

レキシ「ムキシ」

 

傑作すぎた。三浦大知とのコラボ曲、めちゃくちゃカッコいいじゃん。

lyrical schoolツアーファイナルを見て確信したリリスクの輝きと未来への期待

本当にいいライブだった。見ててずっと楽しさと喜びでいっぱいだった。

リリスクことlyrical schoolの「WORLD'S END」ツアーファイナル公演。今回ツアー地方公演13公演あってその内12個行ってたのだけど、ファイナル公演はそのどれとも違う特別なライブだったし個人的にもリリスクのライブの中で最高を更新するライブだったので感じたこととかを書き残しておきたい。

※ライブ中の写真はナタリーのライブレポート掲載のものをそのまま参照しています。全ての写真にライブレポートへのリンクをつけています。今回書くにあたってライブレポ的なものは基本的に外しているので両方見てね。

いつもと違うカッコイイ出囃子を経てからドロップされた1曲目が「モアリップスクール 校歌」だったのがメチャクチャ良かった。

WebCMのためのオリジナルソングをここでやっちゃう。このびっくりチョイスに見られるようなお茶目さ加減が今のリリスクっぽいな〜ってすごく思っちゃう。なんともかわいらしい。

 

そこからは曲!曲!曲!でどれもすごいパフォーマンスを強度だったしとにかくスタジオコーストのステージがジャストサイズな感触で。もちろん広いことには広いんだけど空きスペースができてる感じがしなかった。今年はリリスクもスタジオコーストで何度か短いライブをやってたんだけどその時と比べてもフロアを使いこなしている印象を受けた(もちろんDJ卓があるから相対的には狭いんだけど横幅は一緒だったわけで)。最前列の端っこから見てたんだけど集中途切れずライブに没頭できた。もちろんパフォーマンスもホントに仕上がってて。ここまでのツアー12公演での積み重ねが見事に花開いた感じだった。とにかく力強く楽しいパフォーマンスだった。終わってみたらソロ・ユニット曲も入れると29曲やってたんだね。リリスクのライブの中でここまでたくさん曲をやったのは2014年のリキッドルーム以来だった。その間ずっと楽しかった。コラボも最高だったな〜。ヤンハス氏のラップにコールを入れるリリスクの面々が楽しそうですごく良い。

メンバーもみんなホントに輝いてた。

hinakoちゃん。1年3ヶ月hinako推しとして見てきたけど、顔つきも所作もホントにアイドルになったなあって思います。1年くらい前に「普通の女の子がラップするリリスクの初期コンセプトの体現者」って書いたけど、今のhinakoちゃんはスーパーアイドル。新木場でのラップはパーフェクトかわいいラップだけでなくカッコ良い力強さも身につけてて曲によって違う顔を見せるなど、ラップがさらに成長曲線をのぼっているなあと感じるところ。学業との両立しながらの努力の成果。ますます目が離せない存在になるなあ。あとユニット曲での格好がかわいすぎて悶えました。

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himeちゃん。堂々とパフォーマンスする姿がとにかくカッコよくて、その中に挟まれるかわいらしい仕草もまた良い。そしてラップ大好きなだけだあってSUSHIBOYSやYoung Hatsleとのコラボ曲の複雑なフロウを楽々と乗りこなしててさすがだなって思います。最後の「photograph」での間奏ラップ、「リリスクに任せとけ」って言う姿には頼もしさを感じました。

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minanちゃん。ソロでの凛とした佇まいの美しさがとにかく眼を見張るばかりだった。自作のリリックも素敵だった。何よりライブ中にホントに楽しそうにしているのがすごく良かった。歌ってる時すごくいい笑顔だなあって感じたのでした(この写真とかどうよ!!)。歌声もよくのびてたな〜。ホント綺麗で大好きな歌声です。

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yuuちゃん。ラップにおける「キャラクター作り」がすごく上手いなあと感じた。yuuちゃんのラップ部分はシチュエーションや歌の中の主人公の顔がよく想像できる。「Cookin'」なんかのラップはその中でも新境地なのでは。あとはrisanoちゃんとのコンビダンスもバシッと決まっててカッコいい。あとはおどけた時の表情がとてもかわいらしいのとポーズを決めたときもなんかのキャラクターな感じになってるところとかも良い。あとユニット曲での格好が(以下同文)

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risanoちゃん。risanoちゃんの煽りって今のリリスクのライブにおける重要な要素になってるよなあってことを改めて感じた。英語の発音が良いからしっくりくる。あとは常にダンスをしてるところも良いよね。ライブを目で見る楽しさを増やす役割を果たしている。リリスクのフリーなライブスタイルをぐいぐい牽引して見る人を楽しませるパフォーマンスをしてるなあって思う。

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そして特に良かったなあと思うのがメンバー全員のクルー感というか、5人揃った時、まとまって何かをするときに化学反応が起きてるなあということが視覚的に感じられたところ。「消える惑星」の最後の部分で5人向かい合って歌ったところとかは特にそうだし、ステージ中央部に5人集まってきたところで舞台上に余白を感じなかったのはそういう化学反応のなせる技って気もする。

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メンバーみんなの魅力が存分に発揮されてたしとにかく終始楽しかった今回のライブ、僕が見てきたリリスクのどんなライブよりも良かったと感じている。今もこのライブの情景がふと浮かんでくる。こんなこと久しぶりだ。自分の好きなグループが最高を更新してくれるなんてこんなに嬉しいことはない。

アンコールで披露された新曲「パジャマパーティー」、トラックがトラップ的でラップもまたアクロバティックなものが増えてて、コラボ新曲の時に比べるとかわいい要素があるものになっててまた面白くなりそうだなって感じた。今日の景色がまたもっと広がって最高が更新されることを願ってやまない。これからもリリスクのこと、見ていたい。

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※これは自分で撮ったやつですw

lyrical schoolのコラボ新曲の面白さとツアーファイナルへの期待

現在全国ツアー中のリリスクことlyrical school。残すはファイナルの新木場スタジオコースト公演なんだけどそのライブに先駆けて発表した新曲がめっぽう面白いのでその話を今日はしたい。

 

今回のツアーファイナル公演ではコラボレーションゲストとしてSUSHIBOYSとYoung Hastleがコラボレーションゲストとして参加することが発表されている。この形式はヒップホップのライブだとよくある、お祭り的にいろんなアーティストをFeat.してライブを展開していくやつだ。どんなコラボをするのかなと思っていたところ、両者がそれぞれリリスクのために書き下ろし曲を作りFeaturingアーティストとして参加するという形式になった。そしてそのコラボ曲がライブ本番に先立ち、YouTubeで先行公開された。

 

SUSHIBOYSとのコラボレーション曲「シャープペンシル

 

Young Hatsleとのコラボレーション曲「Cookin'」

 

リリックの内容とかトラップ色の強いトラックについても話したいけど長くなるので話題を絞って。この2曲はそれぞれのアーティストの色が出ていて好きだなあと思うと同時に、リリスクにとっては新しいアプローチのラップだと感じ、すごく面白みを覚えた。どこがというと、ラップにおける言葉の「密度」が高いと感じた。僕はめちゃくちゃ熱心なヒップホップリスナーというわけではなく話題になってるのをつまみ食いしているレベルなんだけど、そんなレベルでも「これまでとかなり違う今っぽいラップだな」という感想を持った。

ここでリリスクが今っぽいラップに踏み出すことはグループにとってものすごく意義のあることだなあと思う。よく言われてる話だけど、リリスクの楽曲は基本的には90年代〜00年代のヒップホップを参照してアレンジしている物が多く、結果としてラップのフロウ(要はラップの歌い方・歌い回し)もそれらに近いものが多かった(ただしもちろんファストラップみたいなのはしばしば入っていたし、最新アルバム「WORLD'S END」ではこれまた今っぽさに満ちた3連符ラップが取り入れられるなど、色々なアプローチを取り込もうとしているという前提はある)。とはいえ今っぽいラップのアプローチをしたこと自体がいいというわけではなく、いろんな年代のラップを縦に行き来できることが良いことだと思うのだ。そして、それを実現するスキルを彼女たちが体得するに至ったこともまた素晴らしいことだと思う。それぞれが新しいフロウにアジャストしながら自分たちの個性を出せていると感じるし、実践を積み重ねることでまだまだ表現の幅が広がっていきそうだとも思える。なので今回のコラボ曲は既存の曲にもいい影響があるんじゃないかなって思ったりもする。そして両者コール&レスポンスを入れやすそうな箇所があったりリリスクの曲としてきちんと成立してるのが良いし、ライブ映えしそう(個人的にはCoookin'が色々楽しそう)。

アイドルというスタイルは音楽ジャンルではないということはよく言われる話で、その分自由な表現ができるというのはとても良いことだと常々思う。その自由さを活用してリリスクが今っぽいラップもクラシカルなラップもどっちもやってそれぞれで個性の反映されたいいフロウを繰り出してくれればとても良いなあと思ってる。例えばBABYMETALも古典的なパワーメタルから今どきなメタルコアやジェントなんかまで広くおさえてることが確実にたくさんの支持を集めてることに繋がってるし(前に弊ブログで書いたのでご参照ください)、リリスクもそんな感じでいろんなヒップホップを乗りこなす存在であればいいよね、と思うわけです。

 

これらのめっちゃ面白い曲が聴けるし、アルバム「WORLD'S END」の曲も聴けるしアルバムから今回のコラボ曲との間に出た曲達も良いし。今の5人になってからの1年半で作られた曲はなんと23曲。どれも特徴ある良い曲ばかりだしなにせその曲を歌って踊るメンバーがめっぽう楽しそうでこっちも楽しくなっちゃうリリスクのライブ。その中でも今年一番の大きなライブ、来られる人は来たらいいことあると思いますのでこれを読んだあなたは下の画像をクリックだ!

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来られない人はニコニコ生放送での配信もあるのでチェックしてね。タイムシフト予約もあります。

いちリリスクファンとして、当日ははちゃめちゃに楽しみつくしたいです。