BABYMETALのルーツたるヘヴィメタルを掘り下げてみよう〜その3「いいね!」

さて、前回に続いてBABYMETALのファーストアルバムの発売を記念した元ネタ・オマージュなどの深掘り企画。ついに出ちゃいましたね、ミュージックステーションファンとしては曲の短さはともかくとして他の出演者含めてしっかりフィーチャーしてくれて良かったなあという感想。しかしながら初めて見て驚いた人も多いんじゃないかと。そんな人達にもBABYMETALの突き抜け具合がわかって頂ければ幸い。というわけでMステでの披露曲をはじめとした今までの解説記事はこちら。


BABYMETAL

さて、第3回のお題はこちら。

いいね!

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BABYMETALの楽曲で初めてCDの形でリリースされた曲。キバオブアキバとのスプリットシングルという形でのリリースになり、カップリングにはそれぞれの楽曲のカバーを所収。BABYMETALは「Animation with you」を女の子目線に歌詞を変えたアンサーソングという形で「君とアニメが見たい」というタイトルにしてカバー。

さて、今回もメタル専門ムック「ヘドバン」を読みつつそれに+αする形で進んでいきますね。

●楽曲のオマージュ元

この曲はピコリーモといわれるジャンルで、「ピコピコなスクリーモ」つまりエレクトロサウンドが入ったスクリーモ(歌詞にもアイスクリーモって入ってるね)にあたる。いわゆるメタルコアって言われてるラウドミュージックの進化形みたいな感じ。名前の通り日本でしか通じないジャンル名なので注意ね!全世界的にはエトクトロニコアという方が通じる(Wikipediaでもこっちで項目名が作られている)。ここでは参考になっている2つのバンドを挙げたい。まずは、日本でも最近きっちり人気を伸ばしてきているFear, and Loathing in Las Vegas

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NEXTREME

冒頭のシンセによるピコピコイントロ、ノリのいいサビのメロディ、めまぐるしい展開の変化、挟まれるブレイクダウン。これぞって感じのピコリーモ。特にラスベガスはイントロでのシンセ音が強めなのでその辺りは「いいね!」との相似形を強く感じるところ。

ていうかラスベガスってメタルなの!?という疑問が出てくる人も多いんじゃないかと。僕も最初はそうだったwとはいえブレイクダウンのところの音のゴリゴリ感とかはやっぱりメタルの意匠を汲んでると思うんだよね。ただ基本的にこの辺のバンドやその前身であるラウドロックやメタルコア辺りのバンドはメタル色薄いよねというのは確かにうなずくところであり、メタル特有の様式美みたいなのが感じられないので、個人的な感覚としては正直縁が遠いなあと思っているところではある。

あとブレイクダウンのゴリゴリ感やドラムのパターンなんかはAttack Attack!の「Stick Stickly」辺りが参考になっているっぽい。

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Someday Came Suddenly

通称「カニさん」。最初の方の、バンド全体が映るシーンでみんなガニ股なのが超ウケる。ピコリーモといえば彼等なんだけど残念ながら去年解散。

んで、この辺の頻繁に展開が変わるメタルの祖先に当たる物として、プロデューサーKOBAMETALさんが挙げていたのがSYSTEM OF A DOWN。下記は1998年のデビューアルバムから。

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System of a Down

テンポや展開がくるくる変わる曲なのがおわかり頂けると思う。それが20世紀の時点でもうできてたということね。そんでもってここから影響を受けている日本の有名なバンドがマキシマム ザ ホルモン。彼等もまた1曲1曲の中での展開がめまぐるしいバンドだよね。

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予襲復讐

この曲「Maximum the Hormone」ではBABYMETALの振り付けを担当しているMIKIKOMETALの世を忍ぶ仮の姿、MIKIKO先生がMVでの振り付けをやっていたりする。そういえばブレイクダウン後半での折りたたみヘドバンを見て真っ先にホルモンを思い出した僕。この辺のメタルコア・ラウド系の音楽と地続きなところがあるからBABYMETALはロックフェスでバカウケするという面はあると思いますよ。

そしてそのブレイクダウンの前にラップパートが挟まれる(1:32〜)んだけど、メタル+ラップといえば2000年代前半〜中盤にかけて流行ったニューメタル勢。Linkin Parkだったり、Limp Bizkitだったり、Rage Against the Machineだったり。リンプについては他に「おねだり大作戦」っていうもろ「My Generationだろ!」みたいな曲があるんだけど、彼等はあくまで「メタルラップ」って感じであり、こういう感じではないんだよな〜。ここのパートはむしろ完全にヒップホップ。

それから最後に。イントロのシンセメロディーはWinkの「淋しい熱帯魚」のそれ。メタルじゃないので最後に配してみた。

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あとブレイクダウンの所のメロディは童謡「こがねむし」なのはご察しの通り。

●MV・振り付けのオマージュ元とか

ここでは昨日Mステでベビメタを初めて見たBABYMETAL初心者の方のために、基本用語を二つ紹介したい。「キツネさん」と「モッシュッシュ」。この二つがちょうどこの曲に入っているので、タイミング良く紹介。

まず、ラップパートの最後(1:59辺り)に「Put your Kitsune Up!!!~キツネだお!」という歌詞が挟まり、そこからのブレイクダウンで出てくるグロウルボイスの歌詞「メロイックじゃない キツネさん」と繋がる。これが、BABYMETALの基本的な概念である「キツネさん」と「フォックスサイン」が曲の中に初登場した瞬間。

BABYMETALは、メタルの神様であるキツネ様が誕生させたアイドル界のダークヒロインである。そのためライブ中はキツネ様が3人に憑依しているため彼女達の記憶は無く、MCも無い。という設定である。笑。そのため、ヘヴィメタルでよく使われるメロイックサイン(コルナともいう。メタル界に広めたのはロニー・ジェイムス・ディオ)も、手が影絵のキツネになっている「フォックスサイン」になっている(Mステでは「キツネサイン」って言ってたね。)。下記が比較画像。


メロイックサイン


フォックスサイン

なんだけど実際は順序が逆で、最初の曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のMVを撮る際にメロイックサインを振り付けに入れたところそれをメンバーが影絵のキツネと勘違いしたことからこのフォックスサインが生まれ、そのキツネから設定を作ったりして後のライブで映像絵巻を流すことになったという、いわば後付け設定なのだ。笑。ただ面白いのは、基本的にメタルについては全く知らずにやっている彼女達ではあるものの、意外なことにメンバーから飛びだしたアイディアは「面白いね」となったら取り入れられているところ。確かライブの最後に「See You!」といって去るところもSU-METALのアイディアだったはず。

それからサビの歌詞で出てくる「モッシュッシュ」は見てわかるとおりモッシュのことなんだけど、BABYMETALのファンブック「BABYMETAL Apocalipse」ではモッシュッシュを「BABYMETAL流モッシュ」と定義し、「激しいモッシュではなく楽しいモッシュを推奨している」とのこと。またえらく曖昧な定義だけどwwそこからBABYMETALファンのことはMOSH'SH MATE(モッシュッシュメイト)と呼んだりします。単独ライブの席種もMOSH'SH PIT(アリーナ立ち見)とMOSH'SH SEAT(スタンド座席指定)と銘打たれるなど統一されてるわけ。

そんなわけで、BABYMETALのライブに行ったときはモッシュッシュしているメイト達により大量のキツネが天に向かって掲げられるという、わりかし楽しい光景が見られる訳です。というか昨日のMステで既に見てるかwwまあBABYMETAL自体ヘビーメタルとのシャレだし(それにプラスしてBABY+METALで「新しいメタルが生まれる」意味も込められているとか)、メタル自体をパロディにしつつもそれを面白い方向に持っていくべく彼女達は進んでいく訳であります。目標は世界征服!メタルに詳しいとそれはそれで面白いし、詳しくなくてもこういう風にパロディ・メタ的な部分を通じてメタルを知ることができるので面白いね!!

という訳でこのシリーズですが、アルバム発売までにあと2回やります(そしてその2回の間に何本か記事を挟む予定)。次の曲は多分BABYMETAL曲の中で最も濃ゆいとおぼしきあの曲ですよ〜。乞うご期待。