たにみやんアーカイブ(新館)

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BABYMETALのルーツたるヘヴィメタルを掘り下げてみよう〜その2「ヘドバンギャー!!」

さて、前回に続いてBABYMETALのファーストアルバムの発売を記念した元ネタ・オマージュなどの深掘り企画。なんと今度の金曜日、2月7日にはミュージックステーション出演が決まりましたね。ロックフェスでのあの「なんかすごいもん見ちゃった…」感をお茶の間にも味わわせて頂きたいです。そんなMステでの演奏予定曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の解説記事はこちら


BABYMETAL

さて、第2回のお題はこちら。

ヘドバンギャー!!

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「イジメ、ダメ、ゼッタイ」同様ライブで物凄く盛り上がる、サビのメロディラインが印象的な曲。タイトルはもちろんヘヴィメタルの定番のフリである「ヘッドバンギング」とビジュアル系バンドの追っかけの「バンギャ」をかけたもので、歌詞もバンギャデビューの心境が反映されている、ビジュアル系に寄せている曲。ビジュアル系とメタルって関係あるの?っていう人は前回のイジメの解説読んで頂ければわかると思うんだけど、Xがメタルの潮流を組んでいるのでその流れの延長上でビジュアル系メタルバンドは結構いるのです。代表的なところではLOUD PARKに2度出演したDIR EN GREYやあとで出てくるthe GazettE陰陽座など。とはいえLUNA SEA等のパンク系、GLAY・L'Arc-en-Cielなどの王道ポップス系など、ビジュアル系もまたアイドルと同じで一つの音楽ジャンルにくくることのできない、いわばメタジャンルだよね。

●楽曲面でのオマージュ

この曲の作曲は、ももクロの「黒い週末」で大胆なブラックサバスオマージュをしたNARAMETALことNARASAKIさんが担当。前回でも参考文献にした「ヘドバン」にもインタビュー掲載されてるんだけど、CDJounalでの南波一海さんによるインタビューがあるので、こちらを併せて読んで頂くと話が早いかも。

南波一海 presents 「ヒロインたちのうた。」 〜アイドル・ポップのキーパーソンを直撃!〜 - 第6回:NARASAKI - CDJournal.com

インタビューの後半部分でヘドバンギャーの話してるんだけど、まずもってテーマは「ヴィジュアル系」だったと。ただし「ヘドバン」で言っていたのは、ヴィジュアル系を通ってきてなかったので「ちょっと臭メロっぽいのを真面目にやるのがV系」というイメージがあったので「梶芽衣子みたいな悲しい和メロ」のような感じを出していこうとしたと。

http://www.youtube.com/watch?v=Mi0YEuSjNXUwww.youtube.com

むむむ…笑

さて、そろそろメタルの話をしようwwこの曲ではNARASAKIさん本人が言っているとおり、スウェーデンのエクストリームメタルバンドSoilworkのドラマー、Dirk Verbeuren(ダーク・ヴェルビューレン)がドラムを叩いているMIDIパターンを使って雰囲気を出している。因みに販売価格1,995円。

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ダークがSoilworkに入ったのは2005年発表のアルバム「Stabbing the Drama」から(上が同名のリード曲)なんだけど、とにかくこの人上手い。特にすごいのはツーバスの正確性。下の動画を見るとその辺よくわかるし、彼のドラムがクリプトンによってMIDIパターンとして(いくつかのジャンルがある中のメタル編で)販売されるに至ったのも納得だ。

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Stabbing the Drama

そしてその正確かつマシンガンみたいな勢いのあるツーバスによるブラストビート(上の動画だと早速1:20辺りで披露されている)を使ってPPPHをやるという、ぶっ飛んだアイディアがこの「ヘドバンギャー!!」には採用されている訳だ。笑(動画では1:27から)。

そしてそのPPPHの部分でも挟まれるグロウルヴォイス。デスボイスという言い方の方がなじみ深いけど、一応設定上はYUIMETALとMOAMETALの二人がそういった物をはじめとする「スクリーム」をするパートに割り当てられている。笑。

グロウルを誰が始めたかとか誰が広めたかとかは諸説あるんだけど、BABYMETALに連なるところでいえば、TESTAMENTなんかがあるんじゃないかと(ヘドバンでもKOBAMETALさんによりリコメンドされてる)。例えば1988年のアルバム「The New Order」から「The Preacher」。下の映像では冒頭からいきなりグロウルが入るw(オリジナル音源ではグロウルが入るのは途中のギターソロの直前のみ。Wikipedia情報だけど最近になりよりグロウルで歌う割合が強まったとか)


Testament / Vancouver, BC: "The Preacher" (Gene Hoglan only)


The New Order

因みに、ボーカルのチャック・ビリーが持ってる明らかに短いサイズのマイクスタンドはSU-METALが持っている物のモデルでしょう。更に言うと、こういう短いマイクスタンドを持つ歌手で一番有名なのはフレディ・マーキュリーですよねー。

●MVと振り付けのオマージュ元

このMVのオマージュ元はとにかく「ヘドバン」。という訳で重要なヘドバン関連の元ネタをご紹介。

まず最も大事なのは1番のサビが終わったあと(2:07位からと2:30位から)の「土下座ヘドバン」。これの元ネタはthe GazettEの「関東土下座組合」。

http://www.youtube.com/watch?v=HJfpCpw3MQU

ライブでの定番曲だけど、音源自体は超初期に出た廃盤EPにしか入っていないので入手困難。てなわけでライブDVDやBlu-rayなどで見てくださいな、という話になっちゃう。残念。まあ土下座するのはファンの方なので正しいと言えば正しいか。


the GazettE LIVE TOUR 12-13【DIVISION】FINAL MELT LIVE AT 03.10 SAITAMA SUPER ARENA

the GazettEは音かっこよくてキャッチーな曲も結構ある(黒執事の主題歌になった「SHIVER」とか、ザ・V系って感じで良い)、メタルに寄せてるヴィジュアル系バンドの中でもDIR EN GREYとかよりはかなり聴きやすいんじゃないかな、と。因みに昨年のサマソニではBABYMETALと同じステージで出番が直前だったね。

そしてありえないほど首が回っている通称「扇風機ヘドバン」はアメリカのデスメタルバンド、Cannibal Corpseのボーカル、ジョージ・フィッシャーのオマージュ。しかし良く回るよなあ。

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Kill

このバンドは普通のデスメタルなので、好き嫌い分かれるかも。個人的にははラウドやメタルコアよりはデスメタルの方がまだ聴けるんだけどどうしてだろうとか思ってる。

それからコルセットはX JAPANYOSHIKIが1990年代後半にあまりにも激しいドラミングがたたり椎間板ヘルニアになったために付けざるを得なくなった物なのはご存じな方も多いかと。しかしホントX好きだよなあww

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あとメタル以外のところで言えば、歌詞に出てくる「15(いちごと読む)の夜」は言わずもがな尾崎豊の同名楽曲からの引用。わかりやすいよねw

それから冒頭と最後の「ヘドバンヘドバン…」っていう横に首を振るヘッドバンキングはベビーヘドバンというBABYMETAL独特のヘドバンのやり方なんだけど、その後の「バンバンババン」は、「鋼鉄ジーグのうた」が元ネタなのかな…?

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プロデューサーのKOBAMETALさんはビジュアル系ブームの頃にアミューズに入社したとのことなので世代的には子供の時に聞いて耳に残ってるという線はありそう。

 

総じて言うと「イジメ、ダメ、ゼッタイ」より前のシングル曲はメタル的には変化球で、飛び道具的にメタルを使ってるという節が強い(これはKOBAMETALさん自身が認めてる)ので、前回に比べると楽曲自体でのオマージュは少なめだしそれもわかりやすくない。笑。というわけなんだけど、次回はMステと時期が重なるのでもう少し過去の曲を取り上げつつベビメタの基本用語・概念みたいな物をちょっと紹介する流れにしたいなあと思います。ではでは。

P.S.公式に上がってる生バンドバージョンもすごくいいよ!

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