たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

2015年マイベストディスクトップ20 10位〜1位

はい、今年のまとめということで、よく聴いたアルバムベスト10です。

一応おさらい。基本的なルールは今年発売された邦楽のアルバム(ミニアルバム含む)からの選出。因みに過去のランキングはこちらからどうぞ。
2010年のランキング 1位:サカナクション「kikUUiki」
2011年のランキング 1位:レキシ「レキツ」
2012年のランキング 1位:cero「My Lost City」
2013年のランキング 1位:tofubeats「lost decade」
2014年のランキング 1位:BABYMETAL「BABYMETAL」
20位から11位

ここで挙げたアルバムはホントにどれもお勧めです。例年以上に上位は横一線です。例によりAmazoniTunesApple Musicへの試聴リンクは付いているけどAWAやLINE MUSICやGoogle Play Musicユーザーの人は自分で探してくれ!

10位:lyrical school「SPOT」

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詳細はこちら。個々の楽曲は良い。構成もよくわかる。ただ、若干のぶつ切り感があったかな。いずれにせよ「CAR」「ゆめであいたいね」などの秀逸なアルバム新曲もありでトータルの満足度は高かった。メンバーが変わってこれからどうなっていくのか、来年もウォッチしていく感じ。ひとまずhimeちゃん加入初回のライブはニコ生で見たけど、えらくラップが上手くて驚いた。

9位:きのこ帝国「猫とアレルギー」

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前は結構よく聴いていたけど最近はあまり音楽聞いてないよっていう人にきのこ帝国を聴かせたら「Coccoっぽい」というコメントをもらった。確かに作品を出すたびにどんどん穏やかで落ち着いた曲になって本来のメロディの良さが際立っていってる、というのは両者に共通するところかも。今作は聞きながらうっとりする感じがしてよかった。

8位:CICADA「Bedroom」

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ネオソウル meets クラブミュージック meets J-POPみたいな感じで、個人的には完全に好みのど真ん中みたいなサウンドだった。しかもこういう曲やるグループってほとんど男性ボーカルなんだけど(これは日本で無くて海外でもそうだ)、若干paris matchみたいな色気のある女性ボーカルがポイント高し。こういうバンドがもっと出てくるとグルーヴ感とか多様化してより面白くなっていくと思うから応援したい。

7位:安室奈美恵「_genic」

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シンプルに、超クオリティが高かった。テイラー・スウィフトとかアリアナ・グランデとかと並べて聴いても別に違和感ないだろう。あと去年のバンプに続き初音ミクとも共演していたんだけど、より特性を活かすというか、リズム重視で歌わせている感じで、アプローチというか考え方の違いが際立ってるなあとしきり。

6位:星野源「Yellow Dancer」

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以前からの内省的な感じの曲やSAKEROCKを彷彿とさせるようなインストも挟み込みながらも、大部分を占めるのはブラックミュージック直系の王道J-POP。アシッドな感じの「Snow Men」や「Soul」なんかも含め、全体的に開かれている印象が強く、とにかく彼は色々と良い時期にあるんだろうな、ということが強く感じられる物であった。この勢いで紅白出て、スターダムを一気に登って行っちゃうんだろうなあ。すごいなあ。

5位:bird「Lush

 

試聴用のSoundCloud音源、なぜ消したし…「ドラム良ければ全てよし」と言い切る富田ラボさんがここ数年の「ロバート・グラスパー以降」のリズム・ドラム革新に対する研究成果を遺憾なくつぎ込んだ作品。前から僕も取り上げている「ヒップホップのアナログマシンで作られたよれたビートをジャズドラマーが自分の手で再現」したものを構造分解して冨田さんオリジナルのサンプリング音源を使ってデジタルに再現する、という恐ろしい作品。単純なビートはあまりないのでそれなりにノリが独特で入りづらいみたいなところはあるかもしれないけど、とにかくドラムがサイコーであり、聴いていてスリルを味わえる。これについてはbirdと冨田さん二人のインタビューがハイパー面白いのでぜひ読むべき。

4位:cero「Obscure Ride」

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birdと並ぶ「今年の最先端」枠の代表選手。ネオソウル・今ジャズ的なものをJ-POPの中に落とし込むということ自体は、この作品リリース時に挙げた通り近年急激に増えてきている。しかしながら、そういった作品群の中でこのアルバムのクオリティは群を抜いている。なぜかというと、「変にアーバンにカッコつけた感じになっていない、肩肘張らないポップスに仕上げていること」と、メロディや高城晶平のボーカル技術などによるところが大きい。それは彼等が経てきた音楽的変遷による積み上げによるというところもあり、「最初からブラック思考ではないバンドだった」ことは案外大きいのかもしれない。だからこれからもまだまだ変わっていくわけで。年末、久々に見るのが楽しみである。

3位:POLTA「SAD COMMUNICATION」

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noteにもブログにも長文のレビューっぽいものを垂れ流してしまった後で何を書くのかって感じもするんだけど、どうしてもこのアルバムのことを話そうとすると「30代の自分の現状」みたいなものと切り離して考えることができない。ただ、それを踏まえても率直にメロディ・アレンジに無駄がない聴きごたえのある作品だと思う次第。 だからこそ歌詞の内容がすんなり入ってくる、とも言えるわけで。今の時代こういう率直なギターポップをやるバンドはいないので、いろいろ苦労しているみたいな話もTwitterなんかで伝え聞くところであるので大事にして行ってほしいし僕も来年こそはライブ行かないとな。

2位:アナログフィッシュ「Almost A Rainbow」

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上で挙げている「Baby Soda Pop」はこのアルバムの1曲目なんだけど、こんな美しいハーモニーをのっけからならされてしまったらそれだけでノックアウトなのであった。そしてこの歌詞がとても良い。もちろん「Baby Soda Pop」もなんだけど、「No Rain(No Rainbow)」はさらに良い(柴那典さんの分析を参照。というか必読)。この曲の「ただそうであるというだけのものに対価っているの?」や、「Baby Soda Pop」の「待ちに流れているようなラブソングみたいな言葉が恋の言葉だというなら、僕は恋を知らないってことだ」という、なんとなく感じているけど言葉にしていなかったような心境に輪郭を付けてくれるような歌詞。とにかく必聴。

1位:花澤香菜Blue Avenue

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ぶっちゃけた話をすると、この曲に収録されているシングル曲は別にそんなに良くない(やくしまるえつこ作詞作曲の「こきゅうとす」に関して言えば、完全に曲と声がマッチしていて驚いたけど、それでも曲自体がいいか、というと普通くらい)。ただし、アルバムのために新規にニューヨークでレコーディングした楽曲がめちゃくちゃいい。1曲目「I ♥ NEW DAY!!」のイントロのドラムの音が質感がめちゃくちゃ良くて、そこで一気に引き込まれる。そこからの曲順の緩急はなかなか良い。個人的にはクラムボンのミトさん作曲による「Trace」やプロデューサー北川勝利さんによるダブナンバー「プール」等の憂いを帯びた楽曲群がとてもはまっていた。前から言っている通り声優さんのアルバムは表現力を誇示しようと収録曲の曲調があらばらで散漫な物が多い、と思っていたのだけど、このアルバムに関して言えばそこをプロデューサーが上手く仕切って整理している、という印象を持った。これまでのアルバムも曲はいいんだけど耳に残らない、みたいなのが多かったけど、今回はそんなこと無かった。割り切りが大事というか、欲張らないことが大事だということを教えて頂きました。VIVA LA ROCK初日(というかスピッツ出演日)と重なってなければ武道館ワンマンも行ったんだけどなあ……

●感想とか総評とか

選んでみるとびっくりするくらいに「ブラックミュージックをそれぞれの形で咀嚼して折衷的にアウトプットしている音楽」の割合が高い。さらにいうとネオソウルや今ジャズ・JTNC的を取り込んだJ-POPはトップ10の半分くらいを占めている。去年くらいから自分の音楽的関心のメインである部分だしそもそもこういう折衷的・クロスオーバー的なものが大好きなのでまあそうだよなって感じなんだけど、自分こんなにブラックミュージック好きだったのか!と少々驚いている。もちろんトップ20に上げたもの以外にもそういった傾向のものをたくさん聴いてるしApple Music使い始めてからは海外の新世代ジャズをガンガン聴いているので来年以降も同じような感じになるかもw

なんだけど、そういう範疇に入るはずの「アーバンなシティポップ」的な、カッティングギター中心でファンク・ソウル系のベースラインをのっけたような「シティポップ」的なものには食傷気味になってしまっている。フォーマットとしてはもう相当界隈に氾濫してしまっているので、ここからは歌詞・メロディの良さを上げるかリズム面などに工夫を入れるかなどしていかないとこれらのバンドは持続が難しいのではないかと感じた。そういう面での先行事例としてはベストディスクに入れていないけどAwesome City Clubの「Awesome City Tracks2」なんかはそういう取り組みが見られて、とても聴きごたえがあった。

今回はApple Musicへのリンクもつけてみた。定額制ストリーミングサービスで自分の音楽視聴スタイルが何か変わったかというと、CDリッピングが果てしなくめんどくさくなったのでほとんどレンタルしなくなり、CDよりも大抵配信で買うようになった(値段が安いというのもあるけどそれは前からで、本格的に利便性を求めて配信を使うようになった)。なのでジャニーズは今年下半期殆ど聴かなかった。というかこれに出てる曲ばっか聴いてるのである種の偏りは生じているのかもしれない。今のところどんどんApple Musicで聴けるようになっているので、来年以降も生活の中心ツールになるだろうな、と感じている。

というわけで来年もいろいろ聞いていきたいな、という感じなんだけど多分もう1回くらい使って洋楽とかもろもろ回収し損ねている話をするんじゃないかと思う。