亀田音楽専門学校SEASON2のケーススタディをしてみよう〜#06「恋するコード学〜小悪魔編〜」
毎週恒例アップの亀田音楽専門学校のケーススタディ第6回です。今回でおそらく折り返しでしょうかね。
過去の記事はこちら。第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第1部の最終回
さて、第6回は前回に引き続きスキマスイッチ先生を迎えて「恋するコード学〜小悪魔編〜」。前回が純情編だったから小悪魔編、としたわけだろうけどwさあ、今回もいつも通り前半で講義の内容を要約して、後半でコメント入れつつケーススタディをしますよ。
●講義の内容
小悪魔コード進行とは
まず最初に「F→G→Em→Am」というコード進行が示される。これが小悪魔コード進行だということで。まずはスキマスイッチ先生による実践、ということでこのコードを引きながら井色々な歌を歌うことに。スピッツ「ロビンソン」、サザンオールスターズ「いとしのエリー」、スキマスイッチ「ガラナ」が歌われる。続いて、番組側からはケツメイシ「さくら」、荒井由実「卒業写真」、オフコース「Yes-No」、Mr.Children「HERO」、平井堅「瞳をとじて」が流れる。
この進行の特徴はメジャーメジャーマイナーマイナーの順、すなわち明明暗暗という順番になっていること。そして、主和音CなのでF→G→Cといくとすんなり行きそうなのに突き放すかのように下がること。そして最後にまた暗い音で締めるので切なさが出てくるのだ。好きなのか嫌いなのか、答えが出てこないかのようなコード進行(ずっとループさせることが出来る)。だから小悪魔進行。さて、この答えが出てこないかのような小悪魔コード進行に結末を付ける(締める)には?どうすればいいのか。校長からは、次のようにすればいいとの解説が。
明るく締める:Dm→G→C 悲しく締める:Dm→G→Am
小悪魔コードはAメロ・Bメロ・サビのどこにでも現れる万能コードだ。
小悪魔を食い止める工夫
スキマスイッチ「全力少年」もまたサビが小悪魔コード進行の曲だが、「小悪魔に押し出されるのをグイッと食い止める」ための若干の工夫がされているという。この曲のサビのコード進行は「F→G/F→Em→Am」。GがG/Fという表記になっているが、これは具体的に何が違うのだろうか?G/Fとすることでルート音がキープされるためにの音がい続けている。最低音が同じ音でキープされるとメロディの動きが引き立って切ない効果が出てくのだる。こういう効果を狙うには、地味に替えるのが良い。
スキマスイッチが選ぶ小悪魔コード進行の名曲
- 槇原敬之「もう恋なんてしない」 切なさの代表的な曲ながら若干の前向きさ。サビの最初でどん!と出てくる。
- Mr.Children「HANABI」 小悪魔コードはミスチルでも使ってるくらいの、有名コード。メロディーが自然に小悪魔に導かれる。メロディを作ってる内に特定のコードを使いたくなる
- 渡辺美里「サマータイムブルース」 切ないのだけど、曲のテーマが夏なので複雑な気持ちになる。若干夏の暑さなどが混ざってる?
小悪魔コード進行の進化形「泣き」
「瞳をとじて」では、EmをEに変える(真ん中の音を半音上げる)ことで、切なさ・悲しさが増幅させる工夫がされている。GGA→GG#Aとなり音がスムーズになるためだ。G#になったところは聞く人の感情を高揚する効果があり、これを「泣き」と言う。実際に亀田校長はサビのメロディが繰り返しに入った所で泣きを混ぜている。泣きは終わりを予感させる、クライマックスの効果があるコード進行だ。
まとめ
スキマスイッチの二人からは、「この4つで音楽が出来てるとは知らなかったけど、いろんな好きな曲にあったということですんなりしみこんできた。作る上での切なさ・力強さが表れてるコードなので、これをループさせながら作曲の勉教素材にすると良いのでは」とのコメント。
亀田校長からは、「小悪魔コード進行はJ-POPらしいわびさびを簡単に表現できる魔法のコード。使いやすいので多用されるが、それゆえこのコードだけだとどこかで聴いたような音になってしまうので、ミュージシャンは泣きのコードや分数コードなど色々工夫している。」との総括。
●コメント・補足
始まってすぐに何人かの方が指摘してたけど、このコード進行って俗に「王道進行」とか「4536進行」とか言われている、J-POPの中でも相当頻出のコード進行なんですよね。しかしながら亀田校長がすごいなあって思うのは、それに対してあえて新たにキャッチーなネーミングをしちゃうこと。前回の純情コードもそうだけどホント凄いです。
●ケーススタディ
今回のケーススタディは、楽器.meというサイトのコード表記で一応確認しております。僕音感ないからね。今回は「瞳をとじて」と同じような進行をしているとおぼしきものを集めてみました。多分合ってるはず。泣きのコードが入っていないのは勘弁してね!
さよならポニーテール「ぼくらの季節」
サビが小悪魔的なコード進行。さよならポニーテール自体がメンバーのビジュアルを公表していないある種の「謎に包まれているミュージシャン」なので、かなり相性はいいように感じる。因みにこの曲のMVの監督はでんぱ組.incの夢眠ねむ。
竹達彩奈「春がキミを綺麗にした」
アニメ「けいおん!」で中野梓を演じた竹達彩奈の1stアルバム収録曲で、川本真琴が作詞作曲をしている(MVの後ろの方にも沖井礼二と一緒に映っている)。彼女が小悪魔的かどうかは別にして、この曲に満ちた瑞々しさはまさにこのコード進行によるものでしょう。
さて、次回はゴスペラーズ先生(変な言い方だ!)を講師に迎えての「ハモハモ大作戦」。番組内容をいかにケーススタディに落とし込めるか…今年はこれを重視するはずがそんなにうまくいってない感じなのでがんばります。