たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

たにみやんセレクション「2012年ベストアルバム10」

今年もたくさん音楽を聴いたもので、色々ライブに行ったけど、ここいらでまず自分的にどれが良かったのかを確認してみようと思う。毎年恒例ですな(去年のブログからのコピペ)。

今年買ったアルバムは52枚。そのうち今年の物は38枚。その中から特に良かった10枚を選択するの巻。ではさっそくGO。

10:SCOTT GOES FOR「SCOTT GOES FOR」 iTunesで見る

Cymbalsの沖井礼二・NORTHERN BRIGHT新井仁をはじめ、実力派のベテランバンドマン達が集合して作られたバンド。元々は1970年代のロックを演奏するコンセプトの「1970's」というバンドだったんだけど、思いの外このメンバーでの演奏が良かったために本格的にバンドとして音作りを始めたというだけあって、とにかくバンドとしてのまとまりはめちゃめちゃいい。いい大人達がやんちゃなロック少年に帰っている感じ。とはいえ、その音楽性・レベルはやっぱりアダルト感あるというか、「大人のためのロック」みたいなところはある。若い人ウケはそんなにしなさそうだなとは思いつつも、沖井さんのボーカルいちいちツボだったりするので引き続き活動を見て行きたいところ。ライブのUstream中継も頻繁にやっているのでぜひ見られたし。 ところで沖井さん、ソロプロジェクトFROGの方はいつ次のアルバム出ますか……w

9:木箱「hometown」 iTunesで見る

木箱は本当に北海道ローカルにしておくにはもったいないと思うくらいに曲のクオリティが高くて僕好み。メルヘン系エレクトロニカとでも言えばいいのかな。テクノ系よりよっぽどエレクトロニカという言葉はふさわしいと思うんだけど、とかそういうジャンル論を話していると宗教戦争に陥るとやめておこう。さてこのアルバム、初めての自主レーベルということで期待していて、まあいつも通り良かったなあと思うけど、ちょっとミックスの都合かボーカルが強い気がした。どちらかというとボーカルも楽器の一つくらいにとらえてたと思っていたので意外。あとは歌い方の変化もあるかな。前はもう少し流してたような。とはいえ、打ち込みで作られた幻想的な音とボーカルの調和は及第点だと思うし、もっと聴かれてもいいんじゃないかと思う。

8:怒髪天「Tabbey Road」 iTunesで見る

怒髪天って個々の楽曲はいいのになんでアルバムになると微妙なんだろうなあということを「トウキョー・ロンリー・サムライマン」より後のアルバムにずっと思っていたのだけど、久々にいいのが出てきた。というかおそらく、東日本大震災後に怒髪天の楽曲のクオリティはものすごく高まったんじゃないかなあと思ってる。先行シングル「走りつづけるかぎり」のカップリングだった「DO RORO DERODERO ON DO RORO」も琵琶の音を上手く取り入れていて和のにおいのするまさに「侍ロック」と呼ぶにふさわしいクオリティだったし。彼らの使命感と普段のスタンスとかが上手くかみ合ってる時期なんだろうな、と思う。その割になんかライブ行ってなくてすみませんw

7:きゃりーぱみゅぱみゅ「ぱみゅぱみゅレボリューション」 iTunesで見る

きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ。名前がどうにもふざけているように見えるために揶揄の対象になったりアンチがちょいといたりする(AKB48に比べたらはるかにたいしたことないけど)彼女、僕も最初何となく聴いてなかったけど、SWEET LOVE SHOWERで見てナメてたなこりゃと思ってこのアルバム即買いしたら良かったわけですよ。シングル曲・タイアップ曲が多いというのもあるんだけど、そうじゃないのも含めてアルバム通しで聴いても緩急ついていて非常にいい。特に最終曲の「ちゃんちゃかちゃんちゃん」については中盤以降の間奏に他のアルバム収録曲が顔を出していたりして、なんとも味わい深い。なんか中期(Sgt. Pepper〜White Album辺り)ビートルズの通じるような遊び心があるよねって思ったところで気がついた。中田さんは昔からこういう「アルバムのエンディング・オープニング専用曲」みたいなのを作っていたんだということを。そう、このアルバムは9年前に出たCapsuleの名作「CUTIE CINEMA REPLAY」のようだ。まあこのアルバムではOPENINGとENDINGでそういう小細工してるわけじゃないんだけど、久しぶりにこういう一冊の絵本みたいなアルバムを作ったという事実にちょっと感激しちゃったり、ね。

6:モーモールルギャバン「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」 iTunesで見る

このアルバムについては既にレビューしているから実際あまり書くことはない。とか言うと怒られそうだから書いとくと、モーモールルギャバンのアレンジ面での飽くなき追求の旅はまだまだこれからも続いていくんだろうなあ、という気持ちを再度確認した次第。そういう意味では彼らは本当に「西のクラムボン」になっていくのかもしれないなあ。あくまでJ-POPでいたいと考えていて3人でできることにこだわっているから、クラムボンのようにジャンルを融解させて室内楽的というかポストロック的な方面にも広がっていくとかそういうことではないと思うんだけど、あくまで音楽に対する好奇心や探究心を持ち続けて更にどんどん変化を遂げながら進んでいくんじゃないかなと思うわけで、本当に毎回毎回聴いてて楽しい。ああ、頼むからライブでもこのアルバムの曲もっとやっておくれ!!盛り上がり重視で旧曲多めなのは分かるんだけどさ!だけどさ!

5:チャットモンチー「変身」 iTunesで見る

大震災を経て自分たちの使命感を確認して楽曲の質が高まったのが怒髪天なら、バンドの存続の危機という激震を乗り越えて楽曲の質が高まったのはチャットモンチーといえるだろう。正直に申し上げると「AWA COME」以降のチャットモンチーはどこかぬるく、楽曲にたるみがあるように思えていたが、現在の2人体制になってからの曲は緊張感があってものすごく曲が引き締まっている。これぞチャットモンチーでしょ。「耳鳴り」「生命力」「告白」で聴いてきたチャットモンチーでしょ。あっこちゃんのめちゃうまベースはなくて、それでいてドラムはバタバタしててクミコンよりも明らかに上手くないけど、それでもこの楽曲に漂う凜としたたたずまい、これこそがチャットモンチーの音楽なんだなということを改めて感じた。クミコンが抜けて今まで通りにはできないという切迫感。そこで敢えてサポートなり追加メンバーを入れるという甘えの選択をせずにあくまでバンドの精神を貫いたことによる渾身の成果物。

4:パスピエ「ONOMIMONO」 iTunesで見る

若手の中でも抜群の注目株だと思うパスピエ。この人達もアレンジが上手くて凄く音が締まっているというか、強さとエネルギーを感じる。 最初の「トロイメライ」→「デモクラシークレット」の2曲が破壊力高くボーカル含めたこのバンドの魅力を十二分にぶつけてきて、そこから緩急付けて聴かせていくという構成が良い。最後の前の「最終電車」が危ういバランス取れているというか、ただハイテンションというわけではないけど盛り上がりはあるしせつなさ成分も混ざってるしでなんともこれまた絶妙なさじ加減。ポスト相対性理論といわれるし僕もそう扱ったことがあるけど、一度聴くと頭から離れない魅力的なバンド。来年は絶対ライブ観に行くぞ。

3:jizue「novel」 iTunesで見る

既にレビューしてるからこれも書きづらいな。笑。なんというかねえ。jizueはとにかく上手いよ。そして楽曲の出来がめちゃくちゃいい。ギター・ピアノ・ドラム・ベースの4つの楽器がものすごく上手く絡み合ってる。ものすごくよくできているという評価に尽きる訳なんだけど、ライブで見てもすごく良いよ。このアルバムで言えばとにかく「Sun」がめちゃめちゃいい曲。アッパーで演奏力見せつけまくりとかそういうタイプの曲じゃなくて、聴かせる曲ながらも、うなるポイントに充ち満ちているというのがもうなんというか感性をわしづかみにしてくれる。まあどの曲もそうなんだけどこれは特に。白眉。来年はもっとライブで見たいぞ!フェスで見たいぞ!

2:レキシ「レキミ」 iTunesで見る

全力でやりたい放題面白いことやったら突き抜けた名盤になってしまった前作「レキツ」と比較するとどうしても前作に軍配が上がるけど、レキシらしさというか、クオリティとユーモアの両立というのは相変わらずきっちりと満たされててたいしたもんだ。1曲目の「大奥〜ラビリンス〜」から完全にぶっ飛ばしてる。「岐阜県よりお越しの春日局様〜」という風に史実にきっちり合わせながら(春日局美濃国、今の岐阜県の生まれ)ギャグを挟んでくる。「武士ワンダーランド」ではカブキちゃん a.k.a. Salyuのボーカリストとしての新しい一面にむしろこっちが気付いちゃった!という感じで才能掘り起こしみたいな。しかしこの曲、ファンクの歴史総決算みたいな感じで随所にパロディやら小ネタやらがまき散らされている。タイトルと御意トゥザワールド切腹マシーン辺りはまあ分かるところだけど、それ以外にもあるみたい。そういう笑いの側面と共に音楽的な見所も多くて特に「暴れん坊将軍」における元気出せ!遣唐使渡和久from風味堂)ととなりの登呂遺跡(朝倉真司)のコンビネーション・ソロがものすごくグルービーすぎてたまらない。そして正当派ポップスとして珠玉の出来である「LOVE弁慶」を経て壮大なバラード「墾田永年私財法」で締め。ていうかこの曲ものすごく頭に残る。それゆえ墾田永年私財法が743年であることは容易に覚えられる。もしかしたら直接受験勉強に役立つ初めての曲かもしれないけど。他を忘れてしまう危険性はものすごく高いけど。笑。というわけで今作もやはり出来が良くてなおかつ面白いというレキシの矜恃を見せつけられたアルバム。来年も沢山ライブを見ることだろうなあww

1:cero「My Lost City」 iTunesで見る

今年の1月1日に買ったアルバム、つまり新年初買いのアルバムがceroの前作「WORLD RECORD」だったんだけど、このアルバムを1年近く買い逃していたことを本気で後悔するくらいいい出来だったわけ。そんで4月に見たライブでもずいぶん新曲(というかアルバム未収録曲)をやってたからアルバムは今年のうちに出るだろうなあと期待していたところに、満を持して出たアルバム。前作よりも更にコンセプトアルバム色を増しているというか、本当にアルバム一つが大きなストーリーになっていて、「ワイルドサイド」や「マイロストシティー」 という共通語、そして「大洪水時代」→「船上パーティー」といった「水の世界」感。全ての曲が絡み合い一つのアルバムを作っている感。アルバムとしての出来がものすごく良い。それでいてここの曲がまた魅力的。今まで聴いてきた全ての音楽をリスペクトし、並行的に奏でるかのような新世代ポップ・ミュージック。とにかく「スマイル」と「さん!」にあふれる多幸感が、音楽のすばらしさを雄弁に語ってるともいえる。これぞまさに「音楽」だ!といいたくなる、2012年を代表する1枚。もう一回り聴いた瞬間に思ったよ。

 

というわけで以上10枚、どれもものすごくよく聴いたアルバム。今年は自分の趣味が「脱ロック」みたいな感じかなと思ったけどトップ10見る限りそうでもないのかな。まあしかしインディポップ寄りになっているのは強く感じるところであり、やはり4・5年くらい前と比べるとずいぶん変わってきてるよなあという当たり前のことを思う次第。

あ、あと次点。

FINAL FANTASY TRIBUTE~THANKS~ iTunesで見る

FINAL FANTASY25周年記念のトリビュートアルバム。マズオープニングのスカパラによるメドレーで胸が熱くなる。jizueのFF11メドレーもいいし、栗コーダーカルテットの「ビックブリッヂの死闘」は意外性ありすぎだし、そこで油断しているところにたたみかけられるmudy on the 昨晩のバトルメドレーはとにかくかっこよすぎる。僕らの世代を始め、FINAL FANTASYと共に育ってきた人らにはたまらない一品。他にもSo many tearsとかSchroeder-HeadzとかNabowaとかDAISHI DANCEとかそうそうたる実力派メンツがそろったことにより、25周年を存分にお祝いするお祭アルバムが仕上がりましたとさ。

今年の前半はどうなることやらと思っていたけど振り返ってみると今年も豊作だったね。CD不況とはいわれてるけど、毎年素晴らしい曲ができていることについては本当に良いことだと思うし、来年以降も応援していくのでよろしくお願いしますねー。