たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

2013年上半期の印象に残ったアルバムの話+α

今日で2013年も半分折り返しなので、ここいらで総括的なエントリを一度書いてみようかなあというところ。上半期で特に個人的に印象に残ったアルバムを5枚挙げて(順位は今のところ付けずに)、そこから色々話を展開させていこうというお話。いつにも増してぐだぐだなエントリになることはおそらく間違いないと思う。笑

それでは最初に、今回のノミネート作品をご紹介(順位は付けないのでリリース順で。)。

なんか既にブログで取り上げちゃってるのが大半なのでネタ切れが懸念されるけど、そういうのは後日談というかアップデートみたいな感じになるんじゃないかな、と。

さっそく一つずつ紹介していきつつ話を膨らませていきましょか。

花澤香菜「Claire」

声優の花澤香菜の1stアルバム。あまりというかまったく声優さんのCD・楽曲など買っていなかった僕がこのCDを買った理由はここに参加しているメンツが「沖井礼二(ex.Cymbals)、ミト(クラムボン)、カジヒデキ宮川弾中塚武」等、僕としてはあまりにクリティカルヒットだったから。まあミトさんと沖井さんが自信作ぶりをあまりにもTwitterで語るもんだから特に試聴とかもせずにiTunes Storeで買ったよ。そしたら1曲目の「青い鳥」が抜群に良かった。この曲ってYUKIの「長い夢」とおんなじような系統の曲で、この手の曲にはとにかく弱いんだよなあ。

花澤香菜渋谷系の邂逅、というか声優と渋谷系の邂逅の話はプロデューサーを務めたROUND TABLEの北川勝利さんがインタビューで述べているのでそっちを読んでくれればいいだろうけど、とにかく作家陣は入魂の作品群をもってきたなあという印象。で本人もそれに応えてるんだけど、ちょっと優等生感があるというか、固い。笑。惜しいよなあと思うアルバム。その辺歌手としての経験積んでこの楽曲クオリティ維持されたらすごい作品出来るんじゃないかと思うところではある。しかしまあ花澤香菜もそうだけど、竹達彩奈(沖井信者の僕は彼女のアルバムも買いましたよ、ええ)、豊崎愛生という風に少しずつ声優界と、渋谷系だったりこの前クラムボンの「LOVER ALBUM」で触れた「シーンの中心から隔絶されたミュージシャン」達だったりとの接点が増えてきていて音楽的に面白い試みが出てきているような。まあ北川さんが先のインタビューで行っているとおり「まだまだアニソンや声優さんの歌う音楽のメインストリームではない」わけだけど。

おすすめ曲は1曲目の「青い鳥」と11曲目の「新しい世界の歌」。沖井さんのソングライティングセンスは衰えないよなあ。でもどっちもないので現存する唯一の公式YouTube動画から「Silent Snow」。

youtu.be

因みに沖井さんが全面的に関わっている竹達彩奈の「Apple Symphony」、花澤さんより歌い慣れてる感じはしたけど楽曲の煮詰まり感は花澤さんの方に軍配が上がるかなって気がする。声の質もあって竹達さんの方が歌える曲調が少し限定される感があるしね。ただあの「ライスとぅミートゅー」の破壊力は結構すごい。

youtu.be

すごい歌詞だろ。ウソみたいだろ。本人作詞なんだぜ…

ももいろクローバーZ「5th DIMENSION」

これについては既にブログでたっぷり書いちゃった。

ももクロのアルバムとライブとあといくつかの話

ここでだいたい言い尽くしちゃったんだけど、それくらいのインパクトのある作品だったなあということで、やっぱり5枚の中に選出。因みにここに書いたあとにいろんな所で指摘されてるのを見て気付いたんだけど、上記のジャケットの仮面ってカニエ・ウェストのオマージュなんだよねという話も「ももクロ渋谷系の相似性」として捉えることが出来るんじゃないかなとか。まあある種おっさんホイホイですよね。

それから今回が脱ヒャダインを目指しているという話は先のブログだけでなくここ最近話題の「手数の多い浮世絵的J-POP」の話に絡めてここでも書いたんだけど、この前出たももいろクローバー時代の楽曲集「入り口のない出口」を聴いていたときに「最強パレパレード」のカバーとか初期からわりと圧縮度の高い楽曲を志向していたんだなあということを改めて感じたところで。そこでその路線に強いヒャダインを起用したら予想外にハマりすぎたけどそれでイメージつくのが嫌だから、ということなのだろうか。それにしても「猛烈宇宙交響曲第七楽章・無限の愛」以降のヒャダインの扱いはわりとわかりやすく酷くて、ももクロの別名義(桃黒亭一門、もリフ、UFI)とあーりんソロへの曲提供だけで、別名義への曲はまとめてシングル化した上にももいろクローバーZ名義ではないという。まあ裏事情とかどうでもいいのでこれ以上の言及はしないけどももクロの楽曲をヒャダインが手がける機会は今後ますます減っていくんだろうねえ、と。

全然関係ないけど今個人的に熱いアイドルはBABYMETALです。

youtu.be

大学の友達に結構色々教えてもらったこともあってメタルへの造詣がそれなりにあったのと、元々異種格闘技みたいなクロスオーバー的音楽が好きなのもあって激ハマり中。しかしこれ半年早く知りたかったわというか自分が発見するのが遅かったことに今すごく後悔しているところ。

しかしながらこういう異種格闘技みたいな音楽ってベースがしっかりしていないと成り立たないわけで、例えばこの曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」なんかはメロスピ(メロディック・スピードメタル)の基本トラックがきちっとしていてそこにボーカルと合いの手を乗せるという方法で成り立っている。まあ「ド・キ・ド・キ☆モーニング」とかみたいにJ-POPとメタルをミックスさせる(不自然さが感じられない繋ぎ方をしている)というやり方もまたセンスがすごいと思う。あとメインボーカルのSU-METAL(中元すず香)が歌上手い。声質が伸びる感じなのでメタルの音と組み合わせても違和感ない。

ちなみに異種格闘技みたいな音楽ということでもう一つ紹介しとこう。6月にtvkの「Mutoma」で新人枠で紹介されてたカラスは真っ白の「かいじゅうばくはつごっこ」。

かいじゅうばくはつごっこ

在日ファンクみたいなファンクサウンドにそれこそ渋谷系やカフェミュージックやってたような女の子の声をボーカルとして乗せてしまうというこれまたどこからそういう発想がわいてきたんだよという試み。リード曲の「メニー・メアリー」はかなりポップス方面に寄った曲なんだけどそれにピンときて試聴せずに買うと1曲目がゴリゴリファンクのイントロダクション曲なので買うもん間違えたんじゃないか、と思うこと請け合い。ただこれもなかなかバランス取れてて面白い。つい最近ベビメタと同日に買ったので併せて聴いてて頭おかしくなりそうww

youtu.be

敢えてリード曲でないものを貼るw

 

更に余談(もうそろそろその辺にしとけ)。こういう異種格闘技的音楽の僕的源流は「SPEEDのhiroによるJazzプロジェクト」ことCoco d'Orだ。最初に出たときあまりにも出来がいいので驚いた記憶がある。というか本物のJazzボーカリストとはかけ離れたあくまで「Jazzっぽい」歌い方ではあるんだけど、それがいいというか僕のツボだったという次第。


Coco d'Or- Route 66

音悪いな、これ。昔オフィシャルビデオあったと思うんだけどあれどこ行ったんだ……アルバムは3枚あるけど1番最初のがいいと思います。

tofubeats「lost dacade」

これももう書いちゃった!!

まさに「今」のポップミュージック〜ディスクレビュー:tofubeats「lost decade」

さて。順位は付けないとかいってるけど、多分上半期No.1のアルバムは何かと聞かれたら間違いなくこれと答えると思う。それくらい良かったし、やっぱり今の音だよねえ、という感がある。

ところで、このブログ記事で「「SO WHAT!?」ってイントロのシンセがまるでドリカム」って言ったら、後日tofubeats本人より思いっきりネタバレがあった。この曲は森高千里の「私がオバさんになっても」のオマージュなんだと。


森高千里 『私がオバさんになっても』 (ライブ)

イントロは似ている気がする。あとは全体的な曲の雰囲気や世界観などか。そういえば昨日TBSの「音楽の日」で 森高千里が出てたけど、彼女は「ハエ男」「ロックンオムレツ」「ロックンロール県庁所在地」みたいな電波ソングの走りみたいなのも書けば「私がオバさんになっても」「気分爽快」みたいなおちゃらけとマジメのバランスを取った曲、「渡良瀬橋」「雨」みたいな超マジメバラードも書く、という所がすごいよなあと思った。まあほぼ作詞だけだけど、それでもすごい才能というか、女版桑田佳祐とでも言いたい。今に至るまでずっと感性を維持して現役バリバリで活動してたら 凄い曲を色々作ってたんじゃないかなあと思いながらTV見てた。

●Homecomings「Homecomings with me?」

今年の新人賞とイントロ大賞はもうこれで確定でいいんじゃないですかね。

このグループを知ったのはototoyの企画でやってたOTOTOY×若者たちpresents「いま、一番面白い音楽を教えてください!! 」っていう記事。これ見てる中でもう抜群に引きつけられたのがこのHomecomingsだったってわけ。

youtu.be

この青春感すごい。メロディが絶妙すぎると思うんだけど、ハーモニーの使い方がこれまたうまいなあと思ってて、ビーチボーイズとか好きなのかなと思ったらそうだった。この前アコースティックで聴いたけどなんか違うんだよね。バンドサウンドでこのみずみずしい音を鳴らすことに意味があるわけで。そう考えると本当に奇跡的だしおそらくこの年代だからこそ出来るバンドなんだろうなあと思ったり。大学生の時に出会ってても絶対にどストライクだっただろうなあ。

しかし京都のインディーズバンド、個人的に自分にヒットする割合が高い。そういえばjizueもそうだし、LLamaも良い。jizueのこの前出たニューアルバムも良かったね。まあ前回の方が傑作度合いは高かったと思うけど。個人的には打ち込みっぽい感じの音が入ってることに「?」となってしまった。しかしテンションの高い踊れるインストゥルメンタル曲を作らせたら彼らの右に出る者はいないね。「rosso」「dance」の出来はずば抜けて良いよ。


journal

パスピエ「演出家出演」

これは本当に語り尽くしたわ。笑

パスピエのこれまでとこれからの話をする〜ディスクレビュー:パスピエ「演出家出演」

とはいえ思い入れもあるし実際入ってる曲も良かったし、ここの5枚に挙げないと嘘になる。

オリコンでは初週11位(6310枚)→翌週31位(2108枚)ということで累計だと10000枚くらいまでは行くのかな?来週のライブが楽しみ。前回の列伝はあまり調子よくなかった感があるしね…RIJFRUSH BALLなど夏フェスにも呼ばれるようになり、じわじわきてる。ブッキングする側が追いつけてない感があるから、冬くらいには結構いろんな所に出るのかなあと思慮。

 

 

あと上半期の最後の1週間にリリースされたきゃりーぱみゅぱみゅの「なんだこれくしょん」、このブログのために5枚選出して書きたいこともだいたいまとめたあとに聴いたらあまりに恐ろしい作品だったので入れようかどうしようか迷ってたんだけど、ちょっと別枠で書いておいた方がいい気がするのでまた別途。うむ。先に一言言っておくと上半期の最後に隕石が降ってきたかのような衝撃だった。

 

今回はまあそんなところで。しかし下期もすでにPerfume、So many tears、ふくろうず、片想いなど沢山キラーアルバム候補が揃っているので楽しみですね。しかしながら僕が選出した物の傾向か音楽界の傾向かわからないけど、「タイムレス」「ジャンルレス」というのが一つのテーマというかとピックなんじゃないかなと思う次第で。ここに挙げた5枚はそれぞれが過去へのリスペクトやオマージュ満載の作品になっていて、うち半分くらいはジャンルの壁を越えたような作品になっているという。これはAmazoniTunes Storeや大型レコード店やディスクユニオンやツタヤやYouTube等、昔の音楽から今の音楽までまんべんなくアクセスできるっていう環境があって、PCの中にぎっしり音楽を納められるようになったからこそ、なのかなあと思ったりするところ。その辺に注目して下半期も色々聴いてみたいな。