たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

2015年マイベストディスクトップ20 10位〜1位

はい、今年のまとめということで、よく聴いたアルバムベスト10です。

一応おさらい。基本的なルールは今年発売された邦楽のアルバム(ミニアルバム含む)からの選出。因みに過去のランキングはこちらからどうぞ。
2010年のランキング 1位:サカナクション「kikUUiki」
2011年のランキング 1位:レキシ「レキツ」
2012年のランキング 1位:cero「My Lost City」
2013年のランキング 1位:tofubeats「lost decade」
2014年のランキング 1位:BABYMETAL「BABYMETAL」
20位から11位

ここで挙げたアルバムはホントにどれもお勧めです。例年以上に上位は横一線です。例によりAmazoniTunesApple Musicへの試聴リンクは付いているけどAWAやLINE MUSICやGoogle Play Musicユーザーの人は自分で探してくれ!

10位:lyrical school「SPOT」

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詳細はこちら。個々の楽曲は良い。構成もよくわかる。ただ、若干のぶつ切り感があったかな。いずれにせよ「CAR」「ゆめであいたいね」などの秀逸なアルバム新曲もありでトータルの満足度は高かった。メンバーが変わってこれからどうなっていくのか、来年もウォッチしていく感じ。ひとまずhimeちゃん加入初回のライブはニコ生で見たけど、えらくラップが上手くて驚いた。

9位:きのこ帝国「猫とアレルギー」

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前は結構よく聴いていたけど最近はあまり音楽聞いてないよっていう人にきのこ帝国を聴かせたら「Coccoっぽい」というコメントをもらった。確かに作品を出すたびにどんどん穏やかで落ち着いた曲になって本来のメロディの良さが際立っていってる、というのは両者に共通するところかも。今作は聞きながらうっとりする感じがしてよかった。

8位:CICADA「Bedroom」

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ネオソウル meets クラブミュージック meets J-POPみたいな感じで、個人的には完全に好みのど真ん中みたいなサウンドだった。しかもこういう曲やるグループってほとんど男性ボーカルなんだけど(これは日本で無くて海外でもそうだ)、若干paris matchみたいな色気のある女性ボーカルがポイント高し。こういうバンドがもっと出てくるとグルーヴ感とか多様化してより面白くなっていくと思うから応援したい。

7位:安室奈美恵「_genic」

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シンプルに、超クオリティが高かった。テイラー・スウィフトとかアリアナ・グランデとかと並べて聴いても別に違和感ないだろう。あと去年のバンプに続き初音ミクとも共演していたんだけど、より特性を活かすというか、リズム重視で歌わせている感じで、アプローチというか考え方の違いが際立ってるなあとしきり。

6位:星野源「Yellow Dancer」

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以前からの内省的な感じの曲やSAKEROCKを彷彿とさせるようなインストも挟み込みながらも、大部分を占めるのはブラックミュージック直系の王道J-POP。アシッドな感じの「Snow Men」や「Soul」なんかも含め、全体的に開かれている印象が強く、とにかく彼は色々と良い時期にあるんだろうな、ということが強く感じられる物であった。この勢いで紅白出て、スターダムを一気に登って行っちゃうんだろうなあ。すごいなあ。

5位:bird「Lush

 

試聴用のSoundCloud音源、なぜ消したし…「ドラム良ければ全てよし」と言い切る富田ラボさんがここ数年の「ロバート・グラスパー以降」のリズム・ドラム革新に対する研究成果を遺憾なくつぎ込んだ作品。前から僕も取り上げている「ヒップホップのアナログマシンで作られたよれたビートをジャズドラマーが自分の手で再現」したものを構造分解して冨田さんオリジナルのサンプリング音源を使ってデジタルに再現する、という恐ろしい作品。単純なビートはあまりないのでそれなりにノリが独特で入りづらいみたいなところはあるかもしれないけど、とにかくドラムがサイコーであり、聴いていてスリルを味わえる。これについてはbirdと冨田さん二人のインタビューがハイパー面白いのでぜひ読むべき。

4位:cero「Obscure Ride」

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birdと並ぶ「今年の最先端」枠の代表選手。ネオソウル・今ジャズ的なものをJ-POPの中に落とし込むということ自体は、この作品リリース時に挙げた通り近年急激に増えてきている。しかしながら、そういった作品群の中でこのアルバムのクオリティは群を抜いている。なぜかというと、「変にアーバンにカッコつけた感じになっていない、肩肘張らないポップスに仕上げていること」と、メロディや高城晶平のボーカル技術などによるところが大きい。それは彼等が経てきた音楽的変遷による積み上げによるというところもあり、「最初からブラック思考ではないバンドだった」ことは案外大きいのかもしれない。だからこれからもまだまだ変わっていくわけで。年末、久々に見るのが楽しみである。

3位:POLTA「SAD COMMUNICATION」

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noteにもブログにも長文のレビューっぽいものを垂れ流してしまった後で何を書くのかって感じもするんだけど、どうしてもこのアルバムのことを話そうとすると「30代の自分の現状」みたいなものと切り離して考えることができない。ただ、それを踏まえても率直にメロディ・アレンジに無駄がない聴きごたえのある作品だと思う次第。 だからこそ歌詞の内容がすんなり入ってくる、とも言えるわけで。今の時代こういう率直なギターポップをやるバンドはいないので、いろいろ苦労しているみたいな話もTwitterなんかで伝え聞くところであるので大事にして行ってほしいし僕も来年こそはライブ行かないとな。

2位:アナログフィッシュ「Almost A Rainbow」

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上で挙げている「Baby Soda Pop」はこのアルバムの1曲目なんだけど、こんな美しいハーモニーをのっけからならされてしまったらそれだけでノックアウトなのであった。そしてこの歌詞がとても良い。もちろん「Baby Soda Pop」もなんだけど、「No Rain(No Rainbow)」はさらに良い(柴那典さんの分析を参照。というか必読)。この曲の「ただそうであるというだけのものに対価っているの?」や、「Baby Soda Pop」の「待ちに流れているようなラブソングみたいな言葉が恋の言葉だというなら、僕は恋を知らないってことだ」という、なんとなく感じているけど言葉にしていなかったような心境に輪郭を付けてくれるような歌詞。とにかく必聴。

1位:花澤香菜Blue Avenue

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ぶっちゃけた話をすると、この曲に収録されているシングル曲は別にそんなに良くない(やくしまるえつこ作詞作曲の「こきゅうとす」に関して言えば、完全に曲と声がマッチしていて驚いたけど、それでも曲自体がいいか、というと普通くらい)。ただし、アルバムのために新規にニューヨークでレコーディングした楽曲がめちゃくちゃいい。1曲目「I ♥ NEW DAY!!」のイントロのドラムの音が質感がめちゃくちゃ良くて、そこで一気に引き込まれる。そこからの曲順の緩急はなかなか良い。個人的にはクラムボンのミトさん作曲による「Trace」やプロデューサー北川勝利さんによるダブナンバー「プール」等の憂いを帯びた楽曲群がとてもはまっていた。前から言っている通り声優さんのアルバムは表現力を誇示しようと収録曲の曲調があらばらで散漫な物が多い、と思っていたのだけど、このアルバムに関して言えばそこをプロデューサーが上手く仕切って整理している、という印象を持った。これまでのアルバムも曲はいいんだけど耳に残らない、みたいなのが多かったけど、今回はそんなこと無かった。割り切りが大事というか、欲張らないことが大事だということを教えて頂きました。VIVA LA ROCK初日(というかスピッツ出演日)と重なってなければ武道館ワンマンも行ったんだけどなあ……

●感想とか総評とか

選んでみるとびっくりするくらいに「ブラックミュージックをそれぞれの形で咀嚼して折衷的にアウトプットしている音楽」の割合が高い。さらにいうとネオソウルや今ジャズ・JTNC的を取り込んだJ-POPはトップ10の半分くらいを占めている。去年くらいから自分の音楽的関心のメインである部分だしそもそもこういう折衷的・クロスオーバー的なものが大好きなのでまあそうだよなって感じなんだけど、自分こんなにブラックミュージック好きだったのか!と少々驚いている。もちろんトップ20に上げたもの以外にもそういった傾向のものをたくさん聴いてるしApple Music使い始めてからは海外の新世代ジャズをガンガン聴いているので来年以降も同じような感じになるかもw

なんだけど、そういう範疇に入るはずの「アーバンなシティポップ」的な、カッティングギター中心でファンク・ソウル系のベースラインをのっけたような「シティポップ」的なものには食傷気味になってしまっている。フォーマットとしてはもう相当界隈に氾濫してしまっているので、ここからは歌詞・メロディの良さを上げるかリズム面などに工夫を入れるかなどしていかないとこれらのバンドは持続が難しいのではないかと感じた。そういう面での先行事例としてはベストディスクに入れていないけどAwesome City Clubの「Awesome City Tracks2」なんかはそういう取り組みが見られて、とても聴きごたえがあった。

今回はApple Musicへのリンクもつけてみた。定額制ストリーミングサービスで自分の音楽視聴スタイルが何か変わったかというと、CDリッピングが果てしなくめんどくさくなったのでほとんどレンタルしなくなり、CDよりも大抵配信で買うようになった(値段が安いというのもあるけどそれは前からで、本格的に利便性を求めて配信を使うようになった)。なのでジャニーズは今年下半期殆ど聴かなかった。というかこれに出てる曲ばっか聴いてるのである種の偏りは生じているのかもしれない。今のところどんどんApple Musicで聴けるようになっているので、来年以降も生活の中心ツールになるだろうな、と感じている。

というわけで来年もいろいろ聞いていきたいな、という感じなんだけど多分もう1回くらい使って洋楽とかもろもろ回収し損ねている話をするんじゃないかと思う。

2015年マイベストディスクトップ20 20位〜11位

さて、マイベストソングトップ10も発表し終わったところでいよいよ後編というか本番、今年のベストディスクの発表に移りたいと思います。ディスクというかアルバムなんですが。毎年聞くものが増えていて選出に困っているわけで、今回も例に漏れず。因みに、大体全体は3分割くらいな感じになってて、7・8曲ごと位に大きな境界線があります。なんでそういうことを先に言うかというと、上位はかなり団子だということを言いたいからです。

というわけで、基本的なルールは今年発売された邦楽のアルバム(ミニアルバム含む)からの選出。因みに過去のランキングはこちらからどうぞ。
2010年のランキング 1位:サカナクション「kikUUiki」
2011年のランキング 1位:レキシ「レキツ」
2012年のランキング 1位:cero「My Lost City」
2013年のランキング 1位:tofubeats「lost decade」
2014年のランキング 1位:BABYMETAL「BABYMETAL」

それではまず20位から11位(長いので前編後編で分割するよ)。例によりAmazoniTunesApple Musicへの試聴リンクは付いているけどAWAやLINE MUSICやGoogle Play Musicユーザーの人は自分で探してくれ!

20位:Suchmos「The Bay」

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めっちゃブラックで今っぽい。これをシティ・ポップと皆は呼ぶのだろうか…?所謂ヒップホップ・ネオソウル直系のサウンドを若干アーバンな味付けしている感じ。と思ったら、SANABAGUNメンバーの一部がやっているバンドなのね。納得のサウンド&クオリティだ。

19位:宮川純「The Way」

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国内ジャズ勢で今年一番良かったなあと思ったのは宮川純のアルバム。全曲試聴を聴けばわかるけどとにかくかっこいい。因みにドラムは去年Taylor McFerrinのライブにてサポートをやっていた23歳の俊英石若駿。彼のことはそれ以来結構注目していたので自身のソロ作「CLEANUP」や北園みなみ「Never Let Me Go」なども聴いたけど、そういった石若駿参加作品の中でも今年ナンバーワンじゃないかなあ。

18位:ぼくのりりっくのぼうよみ「hollow world」

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先行でApple Musicに出ていた「パッチワーク」を聴いて「これはヤバいな…!」という感想を抱いた。声や歌い方はオザケンのようでもあり、セカオワFukaseのようでもあり。ただ言葉の運び方やそれが音とマッチする感触なんかはものすごくスマートでみんな天才だ天才だっていうわけがわかる。因みにこの文章書くまでずっと「hello world」だと思っていたw

17位:シャムキャッツ「TAKE CARE」

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5曲入りのミニアルバム。今までのアルバムとはちょっと違ってメロウ色・みずみずしさが強い感じ。2曲目「KISS」が白眉。とにかくリードギターのエコーがきいた音が素晴らしく、聴いていると眠くなりそう(良い意味で)。

16位:ボールズ「SEASON」

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「切ないロック」っていうのはこういうやつのことなんじゃないか??という仕上がり。胸に来るリフ・フレーズ・メロディ。そういう意味ではFOLKSの「Blue & Yellow」なんかもとても良かったけど、全体的な曲の仕上がりやアルバムとしてのまとまりなんかはこっちかな、って感じ。とても丁寧に歌を聴かせてくれている。

15位:esno「Release」

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夏くらいにものすごく沢山聞いてた気がする。ベストソングで挙げた「21時のクラゲと月」以外にもdaokoをフィーチャーした「夕暮れパラレリズム」、リリスクゆみずさんの「ターニングポイント」など、とにかくきれいな音+かわいらしい女子ボーカル+ヒップホップ/ラップの組み合わせが心地良い。裏を返せば相当狙って作られた作品であるのは明確なんだけど、もうなんか抗えない。笑

14位:OK!?NO「Rhapsody」

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BandCampで発表されてた既存曲も取り直して収録していることもあり、ほぼ全曲がキラーチューン。その分目新しさという点では若干欠けるところはあるけど、クオリティは高い。スタジオ録音になってとても洗練されたので、すでにBandCampで買ってる人にもお勧めしたい。このアルバムのリリースライブにて突然の解散宣言。行ってホントに良かったなあ。

13位:TWEEDEES「The Sound sounds.」

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復活の沖井礼二。それだけでもう感無量ではあるんだけど、このアルバム単体としてはこんな位置。正直FROGの1stアルバムの時の衝撃を超えるには至らなかった。曲は抜群にいいんだけど、清浦夏実の名言も踏まえた過去の沖井礼二ワークスからの本格的な更新はこれからだなあというところ。カバー曲は正直いらんかった気がする。

12位:星野みちる「You Love Me」

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AKB48第一期生の歌手、星野みちる。これくらいの世代(ギリギリ同世代?)の歌手としてとてもまっすぐなポップスを歌っている、という印象。1曲目の「ディスコティークに連れてって」のイントロでやられ、2曲目の小西康陽提供曲「夏なんだし」が最低で(この曲に入っているオマージュなどは無視しとく)テンション下がるんだけどそのあとはセクシーさとかわいらしさとさわやかさのほどよいミックスで持ち直す。笑。ライブ見に行きたい。

11位:パスピエ「娑婆ラバ」

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とにかく後半の楽曲の存在感が凄まじい。印象的なイントロ、単調ではないながらもインパクトがあり体に響いて来るリズム、そして耳に残る良いメロディと歌詞。特に「つくり囃子」については、極端なまでに緩急が付いている曲調をはじめとして、「MATATABISTEP」以降パスピエが再度構築してきたオリジナリティの、一つの到達点ではないだろうか。

 

今年ほど順位づけに悩んだ年もないんだけど、総評とか傾向とかはトップ10発表後にって感じでよろしくなり。そう間を空けずに発表するつもりなのでよろしくです。

2015年マイベストソングトップ10

というわけで今年もいよいよ終わり、という感じになってきましたので、いよいよ毎年恒例のあれ、行きたいと思います。2015年マイベスト。昨年同様楽曲はベスト10、アルバムはベスト20で行きます。一応いくつか条件があります。邦楽・J-POP縛りで1ミュージシャン辺り1つにすること、それからネット上に何らかの聞ける音源(YouTubeSoundCloud)があることです。あとこの次に年間ベストアルバムを出すので、それとの兼ね合いもちょっとだけ考えたり。そしたらなんか若干面白みのないランキングになった気もしなくもないな…

因みに過去のベストはこちら。アルバムとは違って最近しかやってないの。
2013年 1位:パスピエ「On The Air」
2014年 1位:きのこ帝国「東京」

それでは行きましょう。今年からApple Musicへのリンクもあるものにはつけるようにしました。さすがにGoogle Play Musicまではカバーしきれないのでそれは各自で頼むよ。

10位:椎名林檎「長く短い祭」

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僕にとっては、ホセ・ジェイムスとコラボしてた椎名林檎がこういう曲を出すということは悲願だったかもしれない。ネオソウル・今ジャズ的な意匠をJ-POPに、というより椎名林檎に持ち込んだらこんなにも妖艶な雰囲気の曲になるんですね。浮雲とのデュエットと言うこともあるんだけど、めちゃムーディーなサウンドで良い。

9位:赤い公園「KOIKI」

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今年のギターロック方面での優秀賞。赤い公園の楽曲は全体的にガチャガチャしている感じがあるんだけど、それがきちんと調和取れているような感じになっているのが良い。なのですごく好き。ただリスナーの耳にしがみついて離せなくするような音数が多いだけの楽曲とは違うと思うの。

8位:Emerald「ふれたい光」

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日本版ネオソウル系の中では独特な音の温かみを持つEmerald。この曲について言えば、後半のドラマティックな展開がめちゃくちゃ気に入った。

7位:清 竜人25「Mr.PLAY BOY…♡」

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今年多分リリスクの次くらいに通った(それでも一桁回数だけど)清竜人25。その中で一番良かったのは間違いなくこれ。ビッグバンド系のオケが入る曲に僕がめっぽう弱いってのと、単純にスケベ一直線ともいうべきな勢いにやられて選出。清竜人25の特徴として挙げられる「非現実感」というものがトップクラスに出ていたと感じるところ。

6位:BABYMETAL「Road of Resistance」

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ベビメタでは珍しい、それなりにメッセージ性や主張がある歌詞。単純に僕がメロスピ・パワーメタルものが大好きというのもあるけど、聴くとなんか気合が入る。良い曲だと思います。

5位:esno「21時のクラゲと月 feat.ボンジュール鈴木

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esnoのアルバムは夏にめちゃめちゃ聴いていたんだけど、その中でも一番好きなのはこれ。美メロっぽいオケに舌ったらずなボーカルで完全にあざといの塊以外の何物でもないんだけど、残念ながら好きだ。笑

4位:Shiggy Jr.「サマータイムラブ」

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Shaggy Jr.の曲は明るいサウンドでちょっと切ない内容を歌うっていうギャップに本質があるんじゃないかと思っているんだけど、個人的には歌詞自体もなんかひきつけられるものがある。普遍的なものにこれから進んでいきそうだなあ、ということを強く感じる。

3位:cero「Summer Soul」

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ロケ地が自分が通ってた大学の周り!というのもあるけど特にサウンドというかリズムのグルーヴ感が自分好み。CDリリースに先駆け最初にライブで聴いた時に「あ、これはすごい」と確信した。

2位:Negicco「ねぇバーディア」

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なんかこの前と入れ替わっている気がするけど堪忍な!Negiccoと池ちゃんが組んで良い曲にならないわけがないと思っていたけど、やっぱり出来上がりは一級品であった。エビ中に過去提供した曲と割と曲調なんかは似ててなるほど…という感じで、あとはNegicco3人の魅力分上積み。

1位:lyrical school「ゆめであいたいね」

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リリスクとtofubeatsの最高傑作。単純に曲のヒキは「おいでよ」「プチャヘンザ」の方があると思うけど、楽曲の作りはよく練られている(メロとサビでリズムが変わってるところとか)と思うし、メンバーの魅力はかなり出ていると思うのです。ヒップホップっぽいかというと少し違うところがあるかもしんないけど、単純にポップソングとしてすごくよくできている曲だと思う。

 

総評。レンタルCD、SoundCloudやBandcampなどのネット音楽に続き今年はサブスクリプション型定額配信が登場することで、たくさんの音楽を聴くこと自体はものすごく簡単にできるようになっている。それだけに、アルバムを離れて楽曲単位でよく聴いたもの、となるとどうしても自分が元々よく聴いてたものを選びがちで保守的なセレクトになる、という話を実感した。そのあたりトップ4には如実に出ているわけですが、その分アルバムの方はそういう縛り・くくりみたいなものからかなり外れたような気がするのでご期待ください。笑

ホームシアターシステムをオーディオ集約機+スピーカーとして使って快適音楽生活している話

ちょっと前に友達とカラオケボックスでのBlu-ray上映会をやったんだけど、その帰り道で自分の部屋でもいい音でBlu-rayを見たいと思ったわけですね。なにせ今の自分の部屋、レコーダーでWOWOW見られるんだけど出力先がテレビじゃなくてHYUNDAI製の液晶ディスプレイ(そんなのあったのか!というレベルのレア品。コンポーネント端子が付いていたのでWii接続のために購入したもの)なわけで、音質なにそれおいしいのみたいな感じ。そしてMacも据付のスピーカー。若干こっちの方が音がいいかもしれないってくらい。この辺を解消できるかなあと以前Olasonicのアクティブスピーカーを購入検討したんだけど結局集約とかは出来なそうだったので買わなかった。

しかしそれから数年。意外と今ならいいのあるかもねってことで色々探してたら、ソニーホームシアターシステムに良さげなものを見つけた。ホームシアターシステムっていうとどうしてもでかいウーファー置いて立体的に音が出るようにスピーカー配置してみたいなイメージだったんだけど、最近はこういうオールインワンな台座タイプ(ボードタイプと言うらしい)のものが安く出ており、省スペースなのもあって人気なんだとか。そんなわけでそのボードタイプの中から、ソニーの下の写真のやつ、型番はHT-XT1を購入。

というわけで、このソニーホームシアターシステムHT-XT1をどんな風につなげているかと、良いところ悪いところを挙げていきたい。あ、なんかブロガーっぽい記事だぞ!!

●接続構成という名の使い方

いくつかある機器をつなげた結果、以下のようになった。なんか複雑なように見えるけど、音の出力をほぼホームシアターシステムに集中させることができるようになった。

htxt1

上記の図を文章で説明すると下記のような感じだ。

  • アナログレコードは赤白→ステレオミニプラグのケーブルで普通に接続。
  • BDレコーダーとApple TVはHDMIで切り替え。アナログ含め音声ソースを気軽に切り替えて使っている。(他社機でHDMIを何個も挿せて切替器的に使える物は意外に少なかった!
  • BDレコーダーとAppleTV共にスマホのリモコンアプリで操作している。ちなみにホームシアターシステムもBluetooth接続すればリモコン的に使える
  • BDレコーダーは普通に録画したものだったり市販のBlu-rayだったりを流すのに使用
  • Apple TVにはiMacからiTunesの音声をAirPlayで流したり、iPhoneiPadで見ているものをAirPlayしたりしている。たまにスカパーオンデマンドも見てる。HuluやNetflixも対応しているのだけど、契約していないので見ていない。

SoundCloudとかBandcampはPCからだとAirPlayできないのでiOS機器からやることになるけどそれだとちょっとDigりづらい気がする。BTスピーカー接続すればいいのかもしれないけど、ペアリングはiOS機器でやりたいので今のところ保留。ちなみにHDMI出力側に最近のテレビを繋ぐと電源連動してくれるらしいんだけど、現時点ではテレビないのでそのめりっとはよくわからない。ただ、iTunesの音をAirPlayするときはディスプレイの電源を切っている(一応Apple TVを通じて再生画面出てくるんだけどね)ので、テレビを買っても電源連動は使わないかもしれない。

●実際に使って良かったところと、微妙だけど許容したところ

使い始めて1ヶ月。色々と良い点があった。

  • 音がいい 2.1chなので立体感とかがそんなにあるわけじゃないけどオーファーで低音もしっかりしているし、普通に中高音域もはっきり出る。モード切り替えで音楽向けとか選べるしかなり良い。因みに「声を聞こえやすくする」モードがあるんだけど、それを入れる前から普通に喋り声が聞き取りやすくなっていた。
  • オーディオの出る場所と方向を一つに集約できる 特に集合住宅に住んでいる人にとっては意外なるメリットなどではないかなと思いまする。部屋づくりしやすい。
  • 全体的にコンパクト とは言っても70cmあるのでテレビ台の板が10cm足りず、追加購入することになった。最初は換装しようかと思ったけど、結局上に乗っけた機器の重みで固定されているので普通にテレビ台の上に板をのっけて、HT-XT1とディスプレイを乗せて使っている。
  • HDMI機器を3つつないで、切替器としても利用出来る 正直これはかなり大きかった。今まではアナログな雰囲気のスイッチ型切替器を使っていて、いちいちボタンで切り替える必要があったんだけど(HDMI切替器なのにアナログとはこれいかに)、これでリモコンでどうにかできるようになったのとても良かった。
  • Bluetoothでつなげばリモコンとしても使える 専用アプリが必要ではあるけど。Blu-rayレコーダーもApple TVスマホから制御できるので、その気になれば専用リモコンなしでも頑張れる。

現時点で微妙なところは下記の通りだけど許容してる。もしくはそのうち対処する。

  • 2.ch1なので音質に限界があるといえばある でも以前とは比べ物にならないから満足。ちなみにナイトモードっていうのがあるんだけど、これを使うとウーファーが一気に弱まって音質とかそういう問題じゃなくなるので、夜は普通に音量下げてる。
  • リモコンアプリの起動が遅い スマホのリモコンアプリを立ち上げる→機器選ぶ→接続動作して使えるようになる、というので10秒くらいかかる。そして他のアプリに行ってから再度リモコンアプリに戻ると大体最初からやり直し。レコーダーのアプリも全く同じなんだけどこの辺なんとかならないかな、と思ってる。当然のことながら出力ソースが変わると音量も変えないといけない場合が多いからね…
  • iPhoneBluetoothペアリングを自動的にしてくれない 上記に加えてこれがあるので家帰ってきてからホームシアターシステムをペアリングする、という手順が入ってるわけ。なんか仕様っぽい気もするけど、どうにかならないかなあ。というわけでなんだかんだで物理リモコンが登場する頻度は高い。
  • スマホのリモコンアプリで音量が数値表示されない これ、LED画面の方にも変更結果が表示されないので、正直困っている。
  • MacSafariで再生しているYouTubeをAirPlayできない これは多分AirPlay先のApple TVが第2世代だからじゃないかなと思ってる。Apple TV自体でもYouTube見られないしね。いずれ現行世代のに買い換えたいんだけど、NASにアクセスできる良さげなアプリが出てくるまでもうちょっとだけ待つ。
  • ホームシアターシステム傘下の機器は全て一つの機器としてテレビ側からみなされる まあ集約するから当たり前なんですが。機器毎にテレビ側も色のモードとか変えてる人は大変よね。

とはいえ全体的に満足している。価格は今Amazonで29600円で、量販店の実質価格もそんなところだけど、1ヶ月前には25000円ちょいくらいだった。ちなみに僕はヤフオクで20000円+送料で買った。正直今年のこういった買い物の中で1番のヒットだと思う。イヤホンもちょっとお金かければ良くなるけど、家で聴く音もちょっと(と言うにはイヤホンよりお金かかるけど)お金をかけることで飛躍的に良くなるし、何しろオーディオの出る場所と方向を一つに集約できたのはかなりスッキリ。そんなわけで多分次回はそんな環境で聴いて選んだ年間ベスト!になるはずです〜〜。

第4回アイドル楽曲大賞2015に投票しました

この記事を書くともうすぐ今年も締めの季節に入りつつあるんだなあ、という気持ちになる。そんなわけで今年の振り返り第1弾、アイドル楽曲大賞への投票内容公開です。2013年2014年の記事はこちらなんで、それぞれ見て頂ければ。

そんなわけでさくさく行きますよ。投票サイトはこちら

メジャーアイドル部門

ノミネートされてる物の中から、この賞にマッチしているか、という観点から若干の絞り込みをしました(ぶっちゃけた話Silent Siren清竜人25、Perfumeなどを外しました)。例年こういうランキングの時には1ミュージシャン1つとしているんだけど、今回ばかりは二つ選ばせてほしい。配点は書くのめんどくさくてやめたけど、1〜3位にほとんどの持ち点を振り分けてます。

1位:Negicco「ねぇバーディア」

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Negiccoの纏う雰囲気とレキシ池ちゃんのポップス職人としての才能が化学反応を起こして出来た名作。

2位:lyrical school「ゆめであいたいね」

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tofubeatsリリスクのコンビでもトップ3に入る傑作ではないだろうか。

3位:Negicco「光のシュプール」

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2014年12月に出た曲なので投票。個人的には「まず、この曲よりも良いか」が判断基準になった。本当は1つのグループを2つ入れたくなかったんだけど、どうしても片方を切ることができなかった。

4位:BABYMETAL「Road Of Resistance」

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世界本格進出後の新曲の中ではピカイチ。というか、他が…(まあ音源出てないから投票のしようがないんだけど)

5位:乃木坂46「今、話したい誰かがいる」

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最後の1曲は色々考えたけどこれかな~。全体的にきれいにまとまってるな、って感じ。

 

ちなみにはっちゃけ体操がなかったのがものすごく悔やまれる。早く音源化してくださいお願いします。

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これだけ音源化されても困るけどw

インディーズ部門

実は、今回相当苦労した。コメントは書きません。

1位:amiina「canvas」

youtu.be

2位:星野みちる「ディスコティークに連れてって」

残念ながら音源アップなし

3位:Faint★Star「BoyFriend -A.S.A.P-」

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4位:RYUTist「メクルメクルメ」

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5位:せのしすたぁ「moment」

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Especiaがメジャーデビューしたのとライムベリーがああなっちゃってから聴いてないのと単純に色々と動向を追いかけるのが大変になったのもあり、選出には苦労した。この「追うのが大変になった」というのが今年のトピックかもしれない。インディーズ部門についてはホントにこれくらいしか聞いていないのが実情。あと意外に音源未リリースのものがあったりとか。ハイタッチガールズみたいに。

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Tパレ勢なんかは実際インディーズだしこっちに入れてよ……とも思ったけど、そうすると票はそこに偏りそうな感じがあるので今の配置でいいのかもな、と思いましたとさ。

アルバム部門

1位:lyrical school「SPOT」

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2位:Negicco「Rice & Snow」

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3位:callme「Who is callme?」

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ベビメタのライブ盤とか入れようかな、と思ったけど入ってなかったのでやめました。いや入ってても入れなかったと思うけど。callmeはいいんだけどちょっと優等生すぎる感じがする。あるいは習作感が漂っているというか。Negiccoはまあもうちょっとできたんじゃないの?みたいなところはあり。いやそれはリリスクもそうなんですが。なんというか動向追ってるところは出来がある程度予想ついちゃってるところ多いから評価しづらいというか全体的に辛めの評価になりがち。それでもこの辺がトップを占めるあたりあまり僕は動向を追ってないなあ。いや他にも聴いたんですけどね。

推し箱部門

lyrical school

来年もよろしくお願いします。

全体的なコメントとか

自分自身が夏頃からアイドル現場に行く回数が相当減ったのもありなんかコメントしづらいところあるけど、「シーンの疲弊感」「楽曲派向けアイドルの生き辛さ」みたいなのは今年割と感じた。

WASTE OF POPSさんのところでやってるアイドルライブキャパ定点観測にもあったけど、最近ライブ会場をバンバン上げていく攻め方をするアイドルが増えている。WWW→リキッド→赤坂BLITZZepp野音中野サンプラザみたいな倍々ゲーム。そしてこのインターバルも半年だったり、それ以下だったり。さらにはその大箱ワンマンの週にCDリリースして物販も展開して一気に収穫、みたいなのが多い。しかしお客さんの数も有限だけど1人のお客さんの財布の中身も有限なのだ。スパンが短くなればそれにつれ厳しくなる。だいたいリキッドくらいまではうまくいくんだけど、そこから先で急速にきつくなることが多い。あとこれ失敗するとアイドルとそれを取り巻く諸々が一気に後ろ向きになる気がする。自分が見てるもの以外もそんな感じの話が色々ある印象。

スパンが急速なので楽曲の良さでじわじわ……みたいなのはとても難しい。というか楽曲が良いってなんだ、みたいなことを最近思う。2月くらいに行ったトークライブで南波さんが言ってたけど、「曲がいい」のは当たり前なんだよね。みんな力入れてるので、ホント好みの話でしかない。そうなるとたくさん積む人がいる方が伸びる。「楽曲派」は色々目配せしつつ広く薄く買っていくからそういうファンが多いとなかなか色々伸びない。みたいなのがここ最近の実感。解散商法使われたバニラビーンズなんかはかなりそういうとこあるよなあとか。そういえばTパレ最近あまりCDリリースしてないけど大丈夫なのか、と言われたりしてる。実際のところどうなのかな。

全く実になる話でなくて後ろ向きで申し訳ないなあと思いつつ、なんだかんだ楽曲やらパフォーマンスやら何やらを通じて楽しませて頂いているのは事実なのでアイドルの皆さんには感謝である。

さあ、ここから一気に年末モード突入ですね!

「30代の僕達が2015年に聴く音楽」についてずっと考えてるという話

このブログでは定期的に日本人の音楽受容みたいな話を書いているけど、日本では30代になると音楽を熱心に聞いたり追っかけたりしなくなる、というデータがある。例えば下記のエントリ。

tanimiyan.hatenablog.jp

理由は割と想像がつくところで、仕事での昇進あるいは転職・結婚・育児などライフスタイルが大きく変わる出来事がある、という話が大半だろう。ではあるんだけど、もう一つ大事な話として「30代に合った音楽が無い・もしくはアクセスしづらい」みたいな話もあるんじゃないかな、というのも日々感じている。ポピュラーミュージックは若者向け、みたいな話は聞かれて久しい(もちろんヒットする物には幅広い層にリーチする魅力がある)けど、こうも嗜好の細分化・クラスタ化が進んだ現代ではそれぞれの年代にリーチする音楽というのをもう少し考えてみてもいいんじゃないかな、と言うことをここ数年ずっと考えていた。そんなわけで、いくつか最近自分で見聞きした物をピックアップしつつ色々考えてみたい。

●ズバリ「30代」を描いたPOLTAとONIGAWARA

そもそも歌詞にその楽曲の主人公の具体的なパーソナリティを入れることってどちらかというと少ない。なんでかというと、その付加した属性に当てはまらないリスナーに共感されづらくなるからだと考えられる。なんだけど、裏を返すと「ターゲットを絞り込んで強く共感させる」という手法に用いられることもあるわけ。そんなところで最近「30代独身」みたいな要素を思いっきり歌詞に盛り込んできた物をいくつか立て続けに聴いて「これも一種の時代の流れなのかな…?」なんて思ったりした。

1つめはPOLTAの「SAD COMMUNICATION」。noteにクソ長いレビューを書いたのだけど「みそじれーしょん」の「あたし このまま死ぬのやだな」は超刺さった。「それでも前を向く」も含めて共感ポイント多数なんだけど、聴きすぎるとちょっと辛くなる(苦笑)。しかしながら「30」も含め、書いている歌詞世界はかなり真に迫るものがあるなあと思ったり。

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2つ目はONIGAWARAの「エビバディOK?」の「ONIGAWARA SUPER STAR」では「不謹慎とかじゃなく男子30にして嫁をめとらぬ者は人間失格 じゃあ僕はもうリタイアします音楽と一緒に心中します とか言ってみたいけど言うわけない 早く人間になりたーい」なんて30代独身男性視点の歌詞が出てきたりする。。銀杏BOYZとかサンボマスターとかが10年前くらいにやってたやってたリビドー全開のロックより若干思春期抜けた感じに仕上がってる。年末にもモテたい男子の妄想ソングをリリースとのことで、確かにそっちの方が今っぽい感じだ。

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とはいえ、ここまで書いた結果こういった歌は「ライフステージが変わってない人」のための歌なんじゃないかと気がしてきた。じゃあそういう人も含めてどんなのがフィットする広い意味での「30代にマッチする音楽」かな、みたいなのが次のお題。

●グッドポッポスみたいな話、それから歌は世につれみたいな話

最近思うのはじっくり聞かせてくれるようなポップスがより心地よくなっている、ということ。この辺は好みとしか言いようがないんだけど、自分としてはいわゆるギターロック的なものから年をおうごとに離れている自覚はある。エアジャムも98世代もメロコアもリアルタイムで一切通らなかったという人間なのでそうなのかもしれないけど、それ以上に自分の年齢にマッチしてきているんじゃないか、という感触がある。

その代表的なのは先日あったクラムボン日本武道館ライブ。クラムボンはここ5・6年くらい見てて、3人だけで織り成す強靭なアンサンブルに常に圧倒されてきていたんだけど、それが日本武道館というスケールでも普通に機能してることに驚いた。両国国技館でやった時よりもはるかに響きも良かったように感じるんだけど、機材のアップグレードによるものだけでもないだろう。また、アンサンブルという観点からは先月見に行った吉田ヨウヘイgroupのワンマンライブも相当に良く、こう行った「音を聴かせる」ことと「グルーヴ感」を両立したポップスなんかは正直に言ってもっと僕ら世代の人間に聴いてほしいと思う。クラムボンイオンモールツアーをやった理由には「子育て世代に入った自分たちのかつてのファンに見てほしいから」というのがあったけど、確かにこういう音楽をカジュアルに聴く機会があったらなあという感じはある。吉田ヨウヘイgroupのライブを見終わった後にはほんとそう思った。あと「ホールで見たい」というのも。

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もう一つ、そういった聴かせるポップス方面として良かったなあと思うのは先月行われたTWEEDEESとROUND TABLEの対バン。ROUND TABLE花澤香菜のバックバンドとしてもやっているメンツが半分以上で、心地よくかつ軽やかな音が印象的だった。そして何よりもゲストコーラスの藤村鼓乃美(ワンリルキス)のソロ楽曲「SUMMER VACATION(北川さんプロデュース)」がめちゃくちゃ良かった(CD再販してください…配信でもいいんで)。

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それを受けてのTWEEDEESも、6月のワンマンライブからかなり場数を踏んでいたためかバンドとしての一体感も出てるし各曲における歌い方や見せ方が「バンド然としてきた」印象を受けた。沖井礼二feat.清浦夏実状態だったデビュー当初からするとバンドとして成立してきているなあと。その実感が出てきていることが清浦さんの次の台詞からもうかがえる。

「みんなCymbals好きでしょ? 私も好きだよ。でもね、私がCymbalsのこと忘れさせてあげるから! Cymbalsよりもほかのバンドよりも、TWEEDEESをもっともっといいバンドにしていくから!」

TWEEDEESと北川勝利、盟友ツーマンで清浦夏実「忘れさせてあげる」 - 音楽ナタリー

Cymbalsの「怒れる小さな茶色い犬」を披露した後の盛り上がりを受けての物だったけど、率直に言って僕はこの言葉を聞けて、ポスト渋谷系チルドレン(というかCymbalsチルドレン)としてすごく嬉しかった。Cymbalsの再現みたいな物を求めるんじゃなくて、現在進行形のバンドとして進んでいくんだ、という決意が聞けたことが本当に嬉しかった。

特にここ数年は90年代のヒット曲を中心にカバー曲やリバイバルが大盛り上がりで、「もう新曲いらない」みたいな気持ちの人も多いかもしれない。でもやっぱり「歌は世につれ世は歌につれ」という「音楽と時代・思い出の結びつき」みたいな物は、空気感薄くなったとはいえ絶対にあると思うわけ(前節で挙げた「30代独身」の歌なんかもそう)。懐メロ商売自体は大して否定しないけど、それ自体が過去にばっか目が向いているよねえということが、僕にとってこの手の物にあまり手を出したくならない理由。だから、過去に頼らない自分たちの歌をきちんと作って聴かれていくぞ、というその意思表明については本当に拍手したい。

特にこのグループにはCymbalsファンと清浦夏実ファンという二つのクラスタがあって、それぞれが(僕も含め)かなり過去にとらわれている印象があったので、その辺について思うところはあったんだろうなあとも思うわけ。ここからに本当に期待したい。Cymbalsのアナログ再発、結局注文しちゃったけどそれはそこから沖井さん達が活動続ける原資になればなあという気持ちもあってであり、やっぱもっとこの先の展開を見たい。まずはCymbalsや清浦ソロの曲やらなくてもいいくらいにレパートリーがほしいよね。笑

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そんな感じで、自分の好みに自覚的になりながら、そこにマッチする音楽を引き続き探していこうかな、と思う次第。いいのがあったらもちろんここなどでピックアップする予定。近日1本紹介する予定(最近遅筆だけど割とすぐやる予定!)

mabanuaとD'AngeloからJ-POPと現代ブラックミュージックの交わりを考えた

●mabanuaプレイリスト&ワークスの話

ちょっと前の話になるけど、レジーさんのサイトのプレイリストでmabanua特集プレイリストを作成したので、まずはその振り返りと、「mabanuaと私」みたいな話から。

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僕がmabanuaという名前を知ったのは2013年にjizueへのリミックス提供したことがきっかけなので、実は結構最近。その前からjizueとOvallは何度か対バンしてたわけで、今からしたら見に行っとけば良かった。後悔しても遅いけどw(2013年の秋にOvallは活動休止)

その翌年春にGotchのライブバンドへの参加が発表され、それと同時位に出たジャズバンドLibstemsのプロデュースでその仕事の幅広さを知ったわけだ。今ジャズ・ネオソウル的な物が盛り上がりを見せてきはじめ、ceroを始めダイレクトにその動きに呼応しているミュージシャンも出てきていた頃だったので、非常にタイムリーな動きに感じた。Libstemsの和田さん曰くmabanua/Ovallを擁するorigami PRODUCTIONSが出てきたときは衝撃を受けたとのことで、若手ジャズメンからしたら相当頭抜けた存在だったのだろうと推察されるところ(去年行ったLibstemsのライブの時に聞いたお話)。そんで年末くらいにアルバム「only the fact」聴いたらめちゃくちゃ良かったわけです。リリスクに楽曲提供してくれないかな〜って今年の前半ずっと言ってたw

そんな中、2015年の最初にAwesome City Clubの自主企画ライブで彼らが「mabanuaをプロデューサーに迎えアルバム作ってメジャーデビュー」することを発表したとき、これまでの動きとも相まって「これはmabanua積極的に動き追ってった方が良いのでは!?」みたいに感じ、注目していた所。そしたら春にくるりのドラマーとしての参加が発表され、「これはきた!!」となったわけ。そんでVIVA LA ROCKにて見たところかなりアシッドな感じのドラムを叩いていた(それもあって「Liberty & Gravity」とかはホント最高だった)だけに、8月に行われたNegiccoのバックドラムは期待半分不安半分で行ったわけだけど、結果としてはかなりマッチしていた。

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その前辺りにプレイリストをまとめていたわけだけど、川本真琴Charaへの楽曲提供なんかはアレンジもかなり洗練されていて、その振り幅の広さに感心するばかり。その辺は「いままでやってきたことをその場に応じて呼び起こす」、みたいなことを過去のインタビューで言ってて面白いなあと感じていた次第。

伊橋成哉×mabanuaが明かす“ミュージシャンからコンポーザーになった経緯” 「作曲の世界は3割バッターさえあまりいない」(前編)

これを読むとGotchやくるりのドラマーになぜ彼が起用されたのかがわかるなあ。ドラマーとしてもそんな感じかな?と思ったり。

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このように幅広い範囲を横断しつつも個性を出しつつ、今のトレンドとリンクしているmabanuaは、やはり2015年のJ-POPのキーパーソンの一人だなあということをこの9ヶ月で改めて確信した次第。そのトレンドとは…?というところで次の話。

ディアンジェロの伝説的ライブとネオソウル的J-POPの話

mabanuaが参加したNegicco野音ライブの2日後、僕はZepp Tokyoに来ていた。昨年末に突如14年ぶりのアルバムをリリースしたD'Angeloの来日公演を見るために。既にサマソニ大阪・東京公演でその評判は流れていたものの、どのような物になるのかあまり想像せずに(録画していたサマソニの映像も見ずに)ライブに臨んだ。アルバム「Black Messiah」はかなりアシッドな雰囲気の作品でこれが今のブラックミュージックの雰囲気なのかな、みたいに感じていたんだけど(ケンドリック・ラマーの新作もそんな感じだったし)、いざライブに入ったら衝撃的な程にどファンク。「陽性のブラックミュージック」とでも言おうか。どちらかというと位中に技巧でグルーヴ感出していくのかなと思っていたんだけど、とにかく演奏陣から今まで感じたことがないくらいの強烈なエネルギーとグルーヴが巻き起こってきたのが強く印象に残っている。本当に今まで味わったことがないような音楽体験で、生涯ベストライブと言い切れる。

さて、そんなディアンジェロのライブ、mabanuaやceroのメンバーをはじめ、多数のミュージシャンが見に来ていたようだ。そして、直接的な影響のある物ない物それぞれあるにせよ、ヒップホップ的なビート・ネオソウル的な手法を取り入れた楽曲がこの夏辺りからかなりオーバーグラウンド方面でも進んできている。これが2015年のJ-POPでトレンドの一つとして数えられるんじゃないかなと思うわけで、ここではそういう流れの中に数えられそうな物を挙げていきたい。

SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」

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ブラーのデーモン・アルバーンによるプロジェクトであるゴリラズのサウンドプロデューサーを務めるダン・ジ・オートメーターをプロデューサーに迎えて作られた作品。「Tree」の楽曲とテイストが全く違って新鮮。そもそもセカオワはベースもドラムも打ち込みなので(所謂ブレイクビーツの人力再現がキモとなっている)ここら辺のくくりに入れていいのか果てしなく微妙なんだけど、ビートの意匠を取り入れたかったんじゃないかという印象。

椎名林檎「長く短い祭」

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去年も既に書いた話だけど、椎名林檎はホセ・ジェイムズのアルバムの日本盤ボーナストラックに参加してるし、そのきっかけは彼女自身がホセのライブを観に行ったことなので、こういうサウンドを取り入れること自体は全く不思議ではない。手な訳でようやく出てきたか!という感じ。因みにデュエット相手(といえばいいのか?)は東京事変のギタリストでもあった浮雲なので事変ファンとしてはなんか懐かしさを覚えるw

星野源「Snow Man」

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星野源もこういう曲を出すようになったか……そこまでリズムに複雑さはないにしても、アダルトな意匠としてのソウル/R&Bという物を使ってきている辺り、この辺若干意識しているのでは…?という気が若干する。あとは盟友山口一郎氏のサカナクションもニューシングル「晋宝島」のカップリングでローズピアノの音色が思いっきり昔のソウルっぽい「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームで」という曲を作っているので、その辺からの影響ってのもあるかもね(山口さんがロバート・グラスパーなどに相当インスパイアされてるっぽいという話は去年書いたとおりで。)

もちろんどメジャーなところ以外でもこういう流れに沿った物は色々出てるよね。前回のceroの記事の時にあげた面々に加えて、Suchmostoeアナログフィッシュ、なんかの新譜にはその影響が出ているように感じたし、まだまだこれから大なり小なり影響を感じる物が出てくるだろう。この辺も「シティぽっぽ」同様バズワード化しやすい予感があるけど、そもそも作るのもやるのも難しい印象のある音楽なので、極端な同質化により食傷気味になることはまあないかなあと思いつつ、色々境界線上をふらふら歩きながら眺めていこうと思う次第。