2022年4月に聴いてよかった音楽
何か大きな出来事に押しつぶされてしまってますが。そしてまた今月も特定発売日の作品に寄ってしまったのであった
香取慎吾「東京SNG」
主にスウィングジャズ歌謡的なアプローチが目立つ1枚。こういうの大好き。ちょっと古めなスターっぽい感じもするけどその意匠を乗りこなすことができるのは香取慎吾だからこそ、という感じもある。
lyrical school「L.S.」
このアルバムについてはここで語るのはなんというか難しい。今ここで書けるのは「これまでの5年間の積み重ねが花開いたとても素晴らしい宝物のような作品であるということ。どの曲を聞いてもリリスクのメンバーへの感謝の気持ちが絶えない、そんな作品。ちゃんとしたことはまた別途書きます。
レキシ「レキシチ」
レキシ7枚目のアルバム。シティポップ・AORっぽさが前面に出てて洒落てる1枚。歌詞は相変わらずだけど。カネコアヤノ・atagi・打首獄門同好会といったゲストのチョイスも旬をおさえててかつサウンド的にもマッチしている。歌詞は相変わらずだけど。
羊文学「our hope」
アニメ「平家物語」の主題歌だった「光るとき」がめっぽう良かった羊文学のニューアルバム。シューゲイザーみのある気だるいバンドサウンドというのが特徴だった彼女達の音楽に少しずつポピュラリティが芽生えていってるのを感じられる一作。
春ねむり「春火燎原」
凄かった。いわゆるインディ・オルタナティブロックの系譜にある(けれども様々なものを参照しているとみられる)サウンドに乗せたラップとポエトリーリーディングの間を行ったり来たりするような独特のフロウ、そこで歌われる切実さ。今聴くべき音楽が、ここにある。
YanKaNoi「ALMA」
トクマルシューゴのサポートミュージシャンとして色々な楽器を奏でているyunnikoさんのソロプロジェクト。なんと前作から7年半ぶりのアルバム。楽曲それぞれが丹念に作られた伝統工芸みたいな繊細な音の集まりで、かけられた時間にも納得の仕上がり。
2022年3月に聴いてよかった音楽
3月は多くの会社で決算月なこともあり結構渾身の新譜ラッシュなことが多いのですが今回も例に漏れず。というか今回あげたやつほとんど発売日一緒なのよね。
私立恵比寿中学「私立恵比寿中学」
8年ぶりの新メンバーを迎え9人になって初のアルバム。大橋ちっぽけ・キタニタツヤ・石原慎也(Saucy Dog)など全般的に今っぽい作曲陣を迎えてて、サウンドもそのあたり反映されて前作とはかなり変わったなと思わせるが、「シュガーグレーズ」などシリアスな感じの曲もあり。アルバム新曲の中でも「トキメキ的週末論」「さよなら秘密基地」等が好き。
中村佳穂「NIA」
1曲目「KAPO」の「Hi My nane is Kaho!」から彼女らしさフルスロットルで油断してると置いていかれそうになる。「歌」とか「リズム」をまた問い直しているかのようなさまざまなトライは聴いててワクワクするものがある。しかしねえ、「ありよりはべりの五十音の言葉で曲はできます(簡単!)」じゃあないよww
藤井風「LOVE ALL SERVE ALL」
今めちゃめちゃ旬な存在になった藤井風の新譜。1曲目「きらり」のイントロ無しで始まるあたりからも本人のボーカルへの自信が感じられる。
Cocco「プロム」
新譜を出すたびに凄みだったり時代を反映した祈りのような物を感じさせるCocco作品。今回はラップぽかったりポエトリー調だったり情念こもりまくりのブルースだったり色々バラエティに富んでて面白く聴けた。
原田知世「fluitful days」
原田知世さんの曲は落ち着いた気持ちで聴けるので好き。音も好みだし声が良い。
サカナクション「アダプト」
長らくアルバムが出なかった時期を超えてからはわりとアウトプットも安定してきた感がある。と言ってもこれも3年ぶりなのねwまあこのあと「アプライ」というついになる作品が出るのはアナウンスされてるので無事に今年か来年に出ることを願うのみ。収録曲のうち半分はこれまでのライブで既にやられてて一部ブラッシュアップされてるけど、テクノ基調のロックというフォーマットの中で色々な音の鳴らし方を試していて彼らのトップランナーたる所以を感じられる。
というわけで3月でした!
2022年2月に聴いてよかった音楽
2月について振り返ります。どこかで2ヶ月遅れになってるのを戻したい。
MONDO GROSSO「NEW WORLD」
MONDO GROSSOっぽい夜の音楽でかつ今のトレンドもキャッチアップしてる曲が多く、今回もまさに2022年版MONDO GROSSOって感じでかっこいいのだけどその中でも異彩を放つ齋藤飛鳥ボーカルの「Stranger」。突然のシューゲイザー。
崎山蒼志「Face To Time Case」
かなりの部分を自分で宅録して作ってるという崎山蒼志(以前テレビでGarageBand使ってるって言ってたね)。良いメロディを作るようになってきたなあというのが第一印象で、石崎ひゅーいやリーガルリリーとのコラボ曲も胸に響いてくるキャッチーさがある。
花澤香菜「blossom」
過去2作くらいではなんか模索してた感じがあるけど今回レーベル移籍を機に原点回帰というか再出発という感じになり過去に楽曲提供してきた人が中心に。おなじみ北川勝利さんがThe Weekendの「Blinding Lights」に倣ってa-haの「Take On Me」をオマージュした「Don't Know Why」花澤香菜の声という素材をフルに使いこなした「Moonlight Magic」、沖井礼二さんの傑作ポップチューン「Miss You」など聴きどころ多数の珠玉のポップスアルバム。
Robert Glasper「BLACK RADIO III」
ジャズ・R&Bにおける越境と進化の象徴だった「Brack Radio」のシリーズ最新作が登場。今回はエクスペリメント名義ではないというところに「ある程度フォーマット・スタイルとして定番化した(実験=Experimentではない)」ということなのかも。基本的にはこれまでの基本的なフォーマットの「グラスパーはアルペジオ弾いててドラムがヒップホップなサンプラーの人力再現みたいなリズムを叩く」という曲が多いのだけどエスペランサ・スポルディングとの「Why We Speak」やジェニファー・ハドソンとの「Out of My Hands」など新基軸もあったり。既存ラインでもHERとミッシェル・ンデゲオチェロとの「Better Than I Imagined」はドラムのパターンが強い。来日公演、日程が合わないのが残念だ。
竹内アンナ「TICKETS」
会心のアルバムだった「MATOUSIC」から2年ぶりのアルバムは歌のバリエーションがさらに広がっててかつ「一世一遇Feeling」とか「我愛me」とかフックのあるタイトルが目立つ、色々な意味で引きの強い一作。
Awich「Qweendom」
自伝的リリックの「Qweendom」から始まる、名実ともに日本語ラップの女王といえるAwichの2年ぶり(かつメジャーデビュー後初)のフルアルバム。先行配信されてる楽曲を筆頭に基本タフで強い女性像が描かているんだけど、後半の「Follow Me」や「44 Bars」などはオリエンタルでしなやかなフロウで二面性が引き立っている。その二面性こそが、彼女が女王を名乗れるゆえんなのかもとか思ったり。
3月分もなるべく早めに出しますね。その前後で何か書くかも。
2022年1月に聴いてよかった音楽
頑張って今年もつけていきます。
マカロニえんぴつ「ハッピーエンドへの期待」
取り立てて新規性みたいなものはなくて王道の邦楽ロック的な感じなんだけど良い。シティ成分もラウド成分もなく90年代後半のバンドからの影響が感じられる所で、今の時代の若手としては新鮮なのかも。
宇多田ヒカル「BADモード」
新規の書き下ろし曲少ないしまあ…とたかをくくってたら不意をつかれてクリーンヒットの一撃を喰らったというか。少ない音数でもこれだけ情報量のある音像を作れるのかという感想(そういう点ではJPOPらしさが薄いので合わないという人はそれなりにいそう)。「One Last Kiss」をはじめとする既発曲もアルバムという形にまとめられて聴くとよりそれらの曲の強度が際立つという構成。そして表題曲以外の新曲「気分じゃないの(Not In The Mood)」、「Somewhere Near Marseiles〜マルセイユ辺り」の2曲がそれらを繋ぎアルバムの流れを成立させてる。というかこの 2曲が強い。Floating Pointが参加した「Somewhere Near Marseiles〜マルセイユ辺り」とか11分超の長さでしかも歌詞の大半が英語で。何かというカテゴライズをすることがいい意味で難しい、現代ポップミュージックの最前線を往く会心の一作。
リーガルリリー「Cとし生けるもの」
リーガルリリー、久々に聴いたらとても凛とした佇まいの音を出すバンドになっていた。シューゲイザー的なサウンドは厚みを増し、少しか細かった声は味を残したまま存在感を増している。
さよならポニーテール「銀河」
昨年11月リリースのアルバムが今年になってようやくストリーミング配信されたので聴いた。ここ数作の流れを汲んだバラエティ豊かなポップス作品集というのが今作。前半の「劇場」「キマイラ」といった曲が強いが後半もビートが特徴的な「ちいさわへいわ」をはじめとしてバラエティに富んで?良い曲が揃ってて端的に好き。
蒼山幸子「Highlight」
ねごとのヴォーカル&キーボードだった蒼山幸子の1stフルアルバム。ねごと解散の半年後に出したEPの曲の再録とか先行シングル曲からねごと(特に後期)の流れを汲んでいることを感じさせるんだけどその一方でゆるやかなバラードや今っぽいビートでクロスオーバー感のある「PANORAMA」など新基軸も感じさせるところでこれからに期待。
2月分も程なくアップできれば〜
2021年12月に聴いてよかった音楽
忙しかったので1月に書けなかったけど、ひとまず去年の分をきちんと消化。簡素ですみません
パスピエ「ニュイ」
ここまでのシングル全部良かったので期待してた。まあ期待通りって感じかなー。もうちょいなんか欲しかった気もする
アナログフィッシュ「SNS」
基本的には近作の傾向の延長上だけど、タイトルからもわかる通りより今の時代を移してるかのような作品。好き。
橋本絵莉子「日記を燃やして」
英語でアクセスするとタイトルが「Burn a diary」になるのがなんかかっこいい。アルバム1曲目の冒頭から橋本絵莉子というミュージシャンがオンリーワンの存在であることがわかる。
(sic)boy「vanitas」
KMとのコンビで知られる(sic)boyの単独名義でのアルバム。がっつりKMと組んで音作ってる中で特筆すべきはギターサウンドがかなり入り込んでること。lyrical schoolにKMが提供してる「The Light」との繋がりを感じられる。
それでは1月分をまた遠くないうちに。
2021年マイベストディスクトップ20
先日のソングトップ10に続き、アルバム単位でのベスト20をまとめてみました。アルバム聴きする旧世代の人間なので、ベストソングよりベストアルバムの方がサクサク選べるんだよね。
過去のものはこちら。
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
自分的にどういうアルバムを選ぶかについては選考基準的なものがあるので書いておきますね。ちなみにこれは毎年の使い回しです。
個々の楽曲:当たり前だけど収録曲が良いと思うかは超大事。ちなみに歌詞やメロディにあまり関心を置いておらず(もちろん強烈なインパクトがあれば覚えるけど)どちらかというとアレンジ・ビート・あと言葉を音にはめた時の気持ち良さみたいな方を重視。
構成の妙:つまるところ曲順。個々の良くても、明らかにかみ合わせの悪い並び順になっていたりしてるとつらい気持ちになります。
成長性・進化:アルバムというのはシングル以上にそのミュージシャンの一定期間における活動のまとめというような色彩を持つと思うわけ。だから、やっぱり前より良くなってほしいしマンネリ感や成長が見て取れない感じを見ると「惜しいな」と思っちゃう。
時代性:「この2021年に鳴るべき音か」とかいうけどハイパー主観に満ちた要素。どちらかというと懐古的表現やちょっと前の焼き直し的な作品に「この時代にこれかよ!」みたいな減点要素に使ってしまってる気もしなくもなく。
それではどうぞ。順位は結構ノリでつけてます。
20位:ずっと真夜中でいいのに。「ぐされ」
19位:Cocco「クチナシ」
18位:aiko「どうしたって伝えられないから」
17位:くるり「天才の愛」
16位:和田彩花「私的礼讃」
15位:mekakushe「光みたいにすすみたい」
14位:アナログフィッシュ「SNS」
13位:中納良恵「あまい」
12位:Hiatus Kaiyote「Mood Valiant」
11位:Official髭男dism「Editorial」
10位:Porter Robinson「Nurture」
9位:Homecomings「Moving Days」
8位:小袋成彬「Strides」
7位:lyrical school「Wonderland」
6位:橋本絵莉子「日記を燃やして」
5位:CHAI「WINK」
4位:Arlo Parks「Collapsed in Sunbeams」
3位:土岐麻子「Twilight」
2位:ザ・なつやすみバンド「NEO PARK」
1位:YUKI「Terminal」
YUKIのアルバムは初っ端から良かった。時代がどうとかそういうのでなくやっぱりつかみって大事だよねという当たり前の原則を再確認した。土岐麻子のアルバムもだけどアルバム先頭曲のイントロ〜歌い出し、大事。
ベストソング書いた時にも思ったんだけど全般的に保守的な選出になった気がする(ベストソング側の方がその傾向はより顕著だけど)。これは在宅勤務主体で打ち合わせバンバンしてて音楽聴く暇があまりなかったというところが大きいように感じる(決して老化ではない、決して……)。
そんな中でやっぱり前作からの上積みが感じられた(というかスタイル模索してた中で解を見つけた感のある)CHAIやHomecomingsのアルバムは好印象。あと新顔としてはArlo Parksとnekakusheあたりか。あやちょのソロ作も良かった。
ちなみに上位はかなり団子で順位付けには苦労した感。全体的な本命不在感というものが個人的にあったんだけど、そもそものリスニング時間が減ってる中新譜の数が減らないので全体的に消化不良になってしまったかも。
とはいえ今年出た音楽がダメかっていうとそんなことはなくて日々良いものが出てるなあと思わされるので来年はもっとたくさん新しいものに触れたい。
それではみなさん、よいお年を!(唐突)
2021年マイベストソング
さて、いよいよ年の瀬ということで今年の振り返り。毎年その1年に聴いた音楽の中から良かったものを選ぶということをしているので今年もやろうと思います。まずは曲から。過去のはこちら。
2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
基本アルバム単位で聴く屋さんなので曲単位でのベスト選ぶのに苦労してて今年も10個リストアップすることすらできず。外出時間の減少により外出に伴う音楽リスニング時間がググッと減って、仕事も打ち合わせ主体だったりしたのでなかなか聴けずでした。そんな中でも印象に残った9曲はこちら。なおほとんど歌詞は重視してません。
順位はつけてません!
lyrical school「Fantasy」
「今の5人のlyrical school」を余すところなく表現している楽曲。元々ファンで今も親交のあるRachel(chelmico)によるラップの調子がきちんと5人全員にフィットしてるし、タイトな感じとかわいいところを上手くミックスさせてるのが良い。
星野源「創造」
自分が彼同様に「任天堂のゲームに育てられた」人間だから補正が入ってしまうところは否めないんだけど、任天堂のさまざまなゲームの要素を歌詞やサウンドに落とし込んだ上で、その文脈と切り離しても普遍的なポップソングとして機能する最上級のリスペクトソング。
ザ・なつやすみバンド「Trinos」
サビのメロディが郷愁を誘う大賞2021認定です。
cero 「Nemesis」
ceroについては毎回出す曲が期待を上回ってくれてありがたい。今回はコーラスも重ねてちょっと静謐な感じのミニマルなコーラスワークから始まる流れなのが「Nemesis(罰を司る女神)」のタイトルとマッチしてる。
POLTA「Myself」
POLTAのミドルテンポ楽曲、好きなんすよね。無駄に明るかったりせず等身大で聴けるのが良いのでこれからも好きなバンドです。
ばってん少女隊「わたし、恋始めたってよ!」
ばっしょーはリリスクと7月に対バンやった時の「Dancer in the night」がめちゃくちゃ気に入ってそればっか聞いてたけど他はまあ普通ねって感想だったのですね。しかしこの曲はすごく気に入った。細かい刻みのビートに歌い出しのエフェクトかかった声が突き刺さった感じ。ライブで見てみたい。
サカナクション「プラトー」
サカナクションはある程度バンドの個性みたいなものはありつつも個々の楽曲のアレンジは結構バリエーションあって、最近その辺がさらに進化してるような感がある。イントロのドラムのパターンとか意外感あって好き。
花澤香菜「Moonlight Magic」
君は私とどうなりたい!?って花澤香菜さんに聞かれたらどうすればいいのよ。
上坂すみれ「生活こんきゅーダメディネロ」
上坂すみれ×ヒャダインの電波ソング、今まで誰も考えてなかったのが意外すぎるくらいに大ハマり。聴いてて爆笑してしまう。好き。
駆け足で紹介してきました。明日にはベストアルバム上げたい。順位はこれから決めます。